令和元年11月17日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「介助」 山本さとし選
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介助などいらぬと仔鹿凛と立ち |
延寿庵野 |
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信号は赤介助犬の律儀 |
安部美葉 |
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介助して真心という広さ知る |
池田史子 |
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百歳を目指した母に手を添える |
長川哲夫 |
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介助車そろそろ要るか膝痛い |
みぎわはな |
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木枯らしの日も温かい介助の手 |
荒岡浩志 |
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黙々と家族に代り介助犬 |
長野峰明 |
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するよりもされる介助は早目から |
中桐徹 |
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どの部屋も歩行介助の手摺付け |
長野峰明 |
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「階段よ」などとポチには優しい手 |
中桐徹 |
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茶髪でも介助の君の良さを知る |
松本光江 |
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介助するけなげにこなす若い嫁 |
大谷祝星 |
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秋晴れに妻乗せて行く車椅子 |
黒嶋海童 |
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介助する身からされねばならぬ身へ |
前川淳 |
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牛歩でいい待つことを知る介助の日 |
清水尚子 |
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介助して感謝の笑みに癒されて |
清水尚子 |
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おせっかいしたりされたり血が通う |
岸本博子 |
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嫁よりもあったかそうAIの手 |
岸本博子 |
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寄り添ってよそ見はしない盲導犬 |
村岡義博 |
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抱っこして下さい階段苦手です |
村岡義博 |
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診察のあいだ正座の介助犬 |
桂ひろし |
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黙々と介助の戦午前二時 |
盧光来 |
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恩恵の杖の介助を手離せぬ |
水田蓉子 |
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朝な夕瞳やさしい介助犬 |
長川哲夫 |
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愛犬の介助に使う乳母車 |
宇山昌成 |
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介助して席を譲った朝のバス |
山本としや |
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病身に沁みる介助の思いやり |
荒岡浩志 |
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介助士の異国のひとの温かさ |
みぎわはな |
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悩みまで話せる仲に介助犬 |
荒岡浩志 |
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句会にて介助と介護違い知る |
前川和朗 |
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早々と私は妻の介助犬 |
中桐徹 |
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うれしいな君の介助で救われた |
松本光江 |
佳 |
電車内よろめき伸びる手の温さ |
長野峰明 |
佳 |
無口でも義母の介助が光ります |
松本光江 |
佳 |
介助した両手に温い脈が打つ |
安部美葉 |
佳 |
一口の水最後まで歌いきる |
上野多惠子 |
佳 |
リハビリの妻へ手を貸す肩を貸す |
辰巳和子 |
人 |
介助九年天寿を生きた母送る |
辰巳和子 |
地 |
信号機そっと手を添え白い杖 |
今野美恵子 |
天 |
される身の愛に包まれ湧く泉 |
大窪千龍 |
軸 |
お父さん又甘える自分でやってね |
山本さとし |
兼題 「指」 山内迪 選
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指と指つないで世界平和の輪 |
牧野和子 |
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立冬もまだまだ十指みな動く |
矢野野薫 |
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十指を合わせ平癒祈願の撫仏 |
奥西勇人 |
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幼な子が指さす蝶よ光舞う |
中内眞佐子 |
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逢いたくて又げんまんをする小指 |
倉周三 |
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十指伸ばして今日の計画たてなおす |
上野多惠子 |
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聴衆の心をつかむ指揮の技 |
井上登美 |
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七人の子を育てた老母の太い指 |
奥西勇人 |
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節くれだった指に苦労の花咲かせ |
前川和朗 |
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無の境地弥勒菩薩の指に溶け |
大窪千龍 |
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みよちゃんと指切りをした淡い恋 |
宇山昌成 |
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人指した指がズキズキ胸を刺す |
みぎわはな |
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この指に止まって俺の山の神 |
清水尚子 |
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中指があなたを狙う輪ゴム銃 |
村岡義博 |
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ジーの真似孫が指折る五七五 |
山本さとし |
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指先で一寸突いて見る鮮度 |
水田蓉子 |
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手袋は脱いで指切りする母子 |
黒田忠昭 |
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指で摘むひと粒ごとにある恵み |
延寿庵野 |
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美の極致弥勒菩薩の指の先 |
辰巳和子 |
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指相撲負けて財布を押えられ |
山本としや |
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後ろ指それも苛めの一つかも |
赤井花城 |
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指先の動きに潜む深い意図 |
荒岡浩志 |
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指の輪が意気投合の縄のれん |
長野峰明 |
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握手する指のすき間にある本音 |
中桐徹 |
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指切りの指に私も騙された |
松本光江 |
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自信過剰の指に孤独がまといつく |
安部美葉 |
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節くれた指いとしげに眺めやる |
前川淳 |
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煩悩は消えず十本の指たしかめる |
下山田靖子 |
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約束は疾うに忘れている小指 |
村岡義博 |
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指をもて砂に文字書く恋心 |
桂ひろし |
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背に指好きだと書いた日の若さ |
河合敏夫 |
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約束の小指は軽いものと知る |
森口美羽 |
佳 |
指触れてショートしました恋の花 |
池田史子 |
佳 |
薬指愛する彼の輪が光る |
山本さとし |
佳 |
三つ指をついてた妻が顎で指示 |
倉周三 |
佳 |
指の間をこぼれた愛は戻らない |
みぎわはな |
佳 |
十指には足りぬ感謝のありがとう |
清水尚子 |
人 |
穢れなど知らぬ尼僧の白い指 |
黒嶋海童 |
地 |
指一本一本づつにある使命 |
黒嶋海童 |
天 |
大仏の指が大好き雀の子 |
黒田忠昭 |
軸 |
指折って待っていた日の去る早さ |
山内迪 |
兼題 「読む」 黒田忠昭 選
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小説の声が聞こえる子供部屋 |
延寿庵野 |
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医学書を読み過ぎ癌と早合点 |
倉周三 |
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いつまでも株価高値と甘い読み |
奥西勇人 |
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グラビアの美女の名前を読んでいる |
有岡敏晴 |
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お経を読む母の背中がふるえてる |
矢野野薫 |
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脳味噌の老化を防ぐ新刊書 |
倉周三 |
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歎異抄読んで見たいと思う日々 |
牧野和子 |
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藤村の「破戒」夜長に読み返す |
奥西勇人 |
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パー3でラインを読んでプラス8 |
中谷光男 |
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何読んでいるのかうすら笑いして |
上野多惠子 |
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名作を読む度錆びた脳騒ぐ |
盧光来 |
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若いパパ育児に料理本を読む |
大谷祝星 |
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世渡りのコツを読み取る立志伝 |
延寿庵野 |
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週刊誌無き世の源氏スキャンダル |
岸本博子 |
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読み聞かせした日の膝が淋しそう |
安部美葉 |
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人生のどん底で読む歎異抄 |
桂ひろし |
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残り火は風を読み解き紅を引く |
長野峰明 |
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読む本は単純な筋チャンバラだ |
内藤夢彦 |
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モナリザの眉を読んだら謎解けた |
前川淳 |
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空気読みマナーモード解除する |
樋口祐子 |
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立ち読みは散歩コースの紀伊國屋 |
松本光江 |
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近頃はハズキルーペに媚び売られ |
中桐徹 |
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光秀に油断読まれた本能寺 |
長野峰明 |
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一日に一冊読めと急かす齢 |
赤井花城 |
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あとがきを読んで買う気になった本 |
上野多惠子 |
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三四郎忘れた頃に読むこころ |
長川哲夫 |
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読み書きは不自由させぬ電子辞書 |
山内迪 |
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窓際で風の流れを読んでいる |
辰巳和子 |
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病得て寂聴の経を読むベッド |
山本としや |
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早く読まないと大人になっちまう |
赤井花城 |
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俺の気をもう読み切った妻の思惟 |
黒嶋海童 |
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黙る子の心を読んでこそ育児 |
荒岡浩志 |
佳 |
AIに読みとられます盗られます |
水田裕子 |
佳 |
読み聞かせ上手で子等が寝てくれぬ |
中桐徹 |
佳 |
優先席空気読めないスマホ族 |
みぎわはな |
佳 |
金太郎読ませて熊になってやり |
内藤夢彦 |
佳 |
周平の世界に浸る秋夜長 |
辰巳和子 |
人 |
共感し著者と心の会話する |
大窪千龍 |
地 |
本読む人よその姿ただ見とれます |
水田裕子 |
天 |
真心の本棚あけて君を待つ |
井上登美 |
軸 |
まだ読んでいるのきのうのラブレター |
黒田忠昭 |
兼題 「ラジオ」 上野多惠子選
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非常時のラジオ見つめる不安な目 |
荒岡浩志 |
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ラジオから現状知りたい避難場所 |
今野美恵子 |
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ウォーキングラジオ聴きつつ一万歩 |
中谷光男 |
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日々ラジオお鍋かきまぜハミングで |
水田裕子 |
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ナイターの結果ハンドル気もそぞろ |
山本としや |
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事故ニュースラジオボリューム少しあげ |
大谷祝星 |
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カーラジオ大音量でぶっ飛ばす |
水田蓉子 |
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カーラジオ独りぼっちの彼彼女 |
渡邉純子 |
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ニタニタとラジオ聞いてる床の中 |
矢野野薫 |
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ラジオ買う亡父のあの日の太っ腹 |
山内迪 |
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ラジオ聴くひととき冬の陽は沈む |
安部美葉 |
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終戦後毎日ラジオ尋ね人 |
牧野和子 |
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敗戦をラジオで聞いたあの無念 |
山内迪 |
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長生きしたしラジオ体操今日もする |
上野五柳 |
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イヤホンのラジオを友に一人旅 |
河合敏夫 |
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ニュース読むテノールの君と今朝も会う |
中内眞佐子 |
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挨拶も受けずラジカセすれ違う |
長川哲夫 |
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校庭に響くラジオへ弾んだ日 |
清水尚子 |
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アナログに生きてラジオと合う波長 |
辰巳和子 |
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FMはジャズクラシック楽しませ |
内藤夢彦 |
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深夜便聴いてラジオと添寝する |
倉周三 |
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眠れぬ夜は焼酎と深夜便 |
村岡義博 |
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どちらかと言うと見た目はラジオ向き |
有岡敏晴 |
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リスナーのハガキが光る深夜便 |
岸本博子 |
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ラジオから帰って来いと呼んでいる |
森口美羽 |
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神棚でラジオが鳴っていた故郷 |
黒田忠昭 |
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昔むかしラジオを抱いて夜明かす |
樋口祐子 |
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君の名は風呂屋を空にした昭和 |
岸本博子 |
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玉音を聴く真空管は濡れていた |
村岡義博 |
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玉音を聞いたラジオは蔵の中 |
矢野野薫 |
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埒もない話ラジオに笑わされ |
大谷祝星 |
佳 |
闘病のベッドラジオが側に居る |
有岡敏晴 |
佳 |
深夜ラジオかなり含蓄ある中身 |
前川和朗 |
佳 |
近頃は叩かなくてもなるラジオ |
中桐徹 |
佳 |
今ラジオ走り出しそう競馬アナ |
河合敏夫 |
佳 |
ラジオ消し本気で叱る亡父でした |
松本光江 |
人 |
戦いが始まる朝のラジオから |
安部美葉 |
地 |
大本営発表の声残る耳朶 |
赤井花城 |
天 |
新兵と古いラジオは叩かれた |
長野峰明 |
軸 |
ドレスディーに弾んだ終戦後のラジオ |
上野多惠子 |
兼題 「旅行」 赤井花城 選
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独り旅の中で出合った生きるとは |
牧野和子 |
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久々の出番にはしゃぐパスポート |
有岡敏晴 |
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胃薬を連れてグルメの旅に出る |
荒岡浩志 |
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何度目のセンチメンタルジャーニーか |
水田裕子 |
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赤とんぼ旅の帽子に来て止る |
矢野野薫 |
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みちのくへ心痛めて旅の人 |
水田裕子 |
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三回忌旅の約束そのままに |
中内眞佐子 |
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桜見るツアーにわたしも連れてって |
上野多惠子 |
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ローカル線訛を友にひとり旅 |
盧光来 |
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鈍行で小さな秋を探す旅 |
森口美羽 |
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一泊の旅に女のあれやこれ |
辰巳和子 |
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俺も又行方定めぬいわし雲 |
長川哲夫 |
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黙々と食べて終わったフルムーン |
上野多惠子 |
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フルムーン二泊三日が分岐点 |
中桐徹 |
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ミステリーツアー行方知らずにワクワクと |
清水尚子 |
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餞別の重荷気になる旅カバン |
河合敏夫 |
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御馳走と温泉だけの旅が好き |
水田蓉子 |
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夢に見た旅先めざす雪列車 |
小倉修一 |
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思い出を語り合うひと探す旅 |
村岡義博 |
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ゆっくり過ごす遊行期の旅枕 |
前川淳 |
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フルムーン疲れを癒やす家の風呂 |
河合敏夫 |
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山河も楽し日々に感謝の旅終盤 |
池田史子 |
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道の駅美味い物ありバスツアー |
宇山昌成 |
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全国の神が旅する神無月 |
桂ひろし |
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目移りの旅行案内見て終る |
水田蓉子 |
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永平寺亡夫を連れて秋の旅 |
下山田靖子 |
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移る季を旅行気分の出す句会 |
山内迪 |
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しがらみを解いて旧友古稀の旅 |
岸本博子 |
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旅行する気の合う友と行く至福 |
今野美恵子 |
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四季の花求めてつづく遍路旅 |
延寿庵野 |
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旅三日ここがふるさとデイゴ咲く |
長川哲夫 |
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思い出の旅よ毬藻は青かった |
黒嶋海童 |
佳 |
山菜おこわ湯気の向こうの旅愁など |
前川和朗 |
佳 |
旅三日やっと心が晴れてくる |
森口美羽 |
佳 |
傷心の旅路で和む祭笛 |
奥西勇人 |
佳 |
被災者を思えば旅はしてられぬ |
山本さとし |
佳 |
冬枯れて最終章を飾る旅 |
荒岡浩志 |
人 |
ここに来てもう戻れない旅半ば |
安部美葉 |
地 |
私がわたしを癒やす一人旅 |
盧光来 |
天 |
遥けくも虹の付け根を探る旅 |
辰巳和子 |
軸 |
芭蕉追う旅いつしかに傘寿越ゆ |
赤井花城 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
大谷 祝星 |
今野美恵子 |
長野 峰明 |
内藤 夢彦 |
上野 五柳 |
盧 光来 |
山内 迪 |
黒嶋 海童 |
松本 光江 |
水田 蓉子 |
中桐 徹 |
宇山 昌成 |
森口 美羽 |
山本としや |
長川 哲夫 |
辰巳 和子 |
下山田靖子 |
前川 和朗 |
荒岡 浩志 |
延寿庵野 |
井上 登美 |
小倉 修一 |
安部 美葉 |
みぎわはな |
大窪 千龍 |
河合 敏夫 |
村岡 義博 |
清水 尚子 |
桂 ひろし |
岸本 博子 |
山本さとし |
黒田 忠昭 |
前川 淳 |
上野多惠子 |
池田 史子 |
樋口 祐子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
牧野 和子 |
矢野 野薫 |
奥西 勇人 |
中内眞佐子 |
倉 周三 |
青木 公輔 |
有岡 敏晴 |
中谷 光男 |
水田 裕子 |
渡邉 純子 |
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