平成30年3月18日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題「さんずい偏」 盧 光来選
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難解なさんずい偏は誰の選 |
河合敏夫 |
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春だから発注します恋ひとつ |
黒嶋海童 |
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かくし事図星さされて目の泳ぐ |
中内眞佐子 |
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選抜の母校に添えた義援金 |
今津隆太 |
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泣いている途中に腹が減ってくる |
平井美智子 |
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一枚の名画よ瀬戸の夕焼けは |
上野五柳 |
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錆ついたこころ潤す人の情 |
野口修 |
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満ち足りた笑みが眩しい稚児寝顔 |
盛無球 |
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明日は採血注射が探る細い腕 |
山本としや |
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池の鯉何故こんなにも肥満ぎみ |
前川和朗 |
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池上彰を聞いて博識面 |
樋口祐子 |
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愛深い女性は憎もまた深い |
上野五柳 |
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離別の期涙腺ゆるむ日が続く |
盛無球 |
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働いた汗が男を光らせる |
倉周三 |
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花の下歩んで花に溶けていく |
荒岡浩志 |
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紅ズワイすらりと並ぶ春港 |
牧野和子 |
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いつでも泣ける女涙を武器にする |
倉周三 |
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決断も出来ず日がなもやもやしています |
二宮千栄幸 |
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選抜にもれて涙の甲子園 |
矢野野薫 |
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春来たと沈丁花の香庭に満ち |
盛無球 |
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くどいけど美人になる湯知らないか |
松本光江 |
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パラ五輪汗と涙と家族愛 |
宇山昌成 |
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喜々として紳士淑女が歌を詠む |
清水尚子 |
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春告げる稚魚押しよせて播磨灘 |
清水尚子 |
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尾ひれ付き噂ばなしが泳ぎ出す |
岸本博子 |
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席題に汗と涙で句をひねる |
岸本博子 |
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湯煙りに苦労も愚痴も溶けてゆく |
古橋茂子 |
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捨てたものさがしに行った故郷の海 |
下山田靖子 |
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陽光に汗を感じる肌襦袢 |
山内迪 |
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父祖の汗滲む田畑に挑む技 |
池田史子 |
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振り袖の門出にばあば嬉し泣き |
井上登美 |
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母をさらった海を少年睨みつけ |
倉周三 |
佳 |
水仙の香に包まれた淡路島 |
矢野野薫 |
佳 |
海鳴りを聞いて育った子は強い |
黒嶋海童 |
佳 |
官僚の濁流暴く永田町 |
清水尚子 |
佳 |
悲願達成努力の汗が透けている |
野口修 |
佳 |
ホーキング宇宙へ消える流れ星 |
延寿庵野 |
人 |
氷上に雅楽流れて羽生が舞う |
井上登美 |
地 |
瀬戸際に立って男の値が決まる |
黒嶋海童 |
天 |
開発の波に消されていく自然 |
山辺和子 |
軸 |
酒蔵で下戸が買うのは酒の粕 |
盧光来 |
兼題 「福」 今津隆太 選
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ニコニコと我が家の妻は福の神 |
田中俊子 |
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暇つぶしに来てはせしめる残り福 |
有岡敏晴 |
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煩悩を捨てて福祉を塗りかえる |
桂ひろし |
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歯で悩み入れ歯安定いまが幸 |
中谷光男 |
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おとなりの家まで来てる福の神 |
有岡敏晴 |
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最高の福だと思う孫できる |
宇山昌成 |
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初孫の赤ちゃん笑顔福の神 |
前川和朗 |
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恙ない親族揃い至福の湯 |
池田史子 |
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ひとと会う福をもらっているのです |
水田裕子 |
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福耳が果報呼び寄せ熟成中 |
池田史子 |
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まだ来ないもう来ないかも福の神 |
黒嶋海童 |
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日溜まりも湯槽にも福伸びをする |
岸本博子 |
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福耳と言われてるのに嫁が来ぬ |
倉周三 |
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結論の出ない福耳もてあます |
樋口祐子 |
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大きい恋入ってるかも福袋 |
上野五柳 |
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気付かずに福を掴めず通り過ぎ |
今野美恵子 |
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福助も一役買った雛祭り |
矢野野薫 |
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裕福な猫で煮干を跨ぎ行く |
黒嶋海童 |
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晩婚だが残り福引き美人妻 |
上野五柳 |
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身の丈に合った暮らしで幸福だ |
延寿庵野 |
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幸福に生まれ幸せまだ知らず |
野口修 |
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幸福は身動ぎもせずただ光る |
山本としや |
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福笑いまたも自分に似てしまう |
古橋茂子 |
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福耳も年の所為だと痩せてくる |
斎藤功 |
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「笑門」という表札をかけている |
水田裕子 |
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福の神このごろあなた見かけない |
前川和朗 |
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福の神そっぽを向いてばかりいる |
二宮千栄幸 |
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慈しみ声は上げない福の神 |
斎藤功 |
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ゴールには福の神様待っていた |
黒田忠昭 |
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微笑みにつられ感じる淡い福 |
山内迪 |
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幸せにするよと春の使者が来る |
平井美智子 |
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福娘庶民の夢の的当てる |
井上登美 |
佳 |
一日一善励めば福が近くなる |
盛無球 |
佳 |
「福」と書くだけで嬉しくなってくる |
平井美智子 |
佳 |
傘寿まで待っても福は寄り付かぬ |
宇山昌成 |
佳 |
同じ空見上げて君に添う至福 |
古橋茂子 |
佳 |
福々し顔だが腹が見抜けない |
矢野野薫 |
人 |
里だよりくぎ煮が届く至福感 |
延寿庵野 |
地 |
福音が降り立つ里のコウノトリ |
長川哲夫 |
天 |
幸せな日々川の字に寝ています |
倉周三 |
軸 |
その人の尺度でつかむ残り福 |
今津隆太 |
兼題 「下手」 荒岡浩志 選
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口下手に口説き落とされウェディング |
河端世起子 |
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ポチだって下手に出ればつけ上がる |
有岡敏晴 |
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生き下手が最後に狙うホームラン |
田中俊子 |
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饒舌のわりにはあなた口説き下手 |
有岡敏晴 |
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口下手で生きるのも下手貝になる |
桂ひろし |
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生き下手も自分の流儀崩せない |
牧野和子 |
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五十年未だに下手な嘘をつく |
長川哲夫 |
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生き下手も下手は下手なりもう八十路 |
上野五柳 |
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下手すれば出番の消えてゆくみじめ |
山内迪 |
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下手でいい自己実現の夢を追う |
小倉修一 |
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初デート下手なメッキがすぐ剥がれ |
河合敏夫 |
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逆上がり下手だったねと同窓会 |
岸本博子 |
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下手すると御釈迦になると注意受け |
二宮千栄幸 |
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お別れの下手な言葉が胸を打ち |
松本光江 |
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下手な嘘動きでわかる妻の感 |
今野美恵子 |
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ミミズ這う字だが放せぬ母の文 |
村上氷筆 |
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下手でいい愛がつまっている手編み |
山辺和子 |
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生き下手で難儀ばかりを引き当てる |
黒嶋海童 |
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パーフェクトより下手に生き愛される |
小倉修一 |
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宴会の下手で指揮をとる幹事 |
矢野野薫 |
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二度三度刺されて漏れる注射液 |
平井美智子 |
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雲行きを読むのが下手で無位無官 |
辰巳和子 |
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下手すると号外が舞う総辞職 |
赤井花城 |
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手術中医者のしまった二度も聞く |
倉周三 |
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ボクの絵と変らんなあと抽象画 |
盛無球 |
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話し下手酒の相手は聞き上手 |
今津隆太 |
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練習をすればする程下手になる |
山内迪 |
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自分だけ得意に語る指導下手 |
斎藤功 |
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下手すると忖度解散ある議会 |
中桐徹 |
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朝帰り下手な芝居が癪の種 |
河合敏夫 |
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口下手も料理上手で唸らせる |
中谷光男 |
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口下手の出番はなくてつい無口 |
古橋茂子 |
佳 |
慰めが下手で一緒に泣いている |
古橋茂子 |
佳 |
下手に手を出してしまって大火傷 |
二宮千栄幸 |
佳 |
絵画展味があるわと切り抜ける |
岸本博子 |
佳 |
下手な嘘ついてヘソクリ場所がばれ |
松本光江 |
佳 |
下手でいい真心滲む子の手紙 |
池田史子 |
人 |
不器用な世渡り下手を妻支え |
大谷祝星 |
地 |
息つぎが下手で浮き世を立ち泳ぎ |
辰巳和子 |
天 |
口下手の真実籠るいい祝辞 |
黒嶋海童 |
軸 |
口下手が地平を拓く鍵になる |
荒岡浩志 |
兼題 「歩」 盛無球 選
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這った歩いただけで家中大拍手 |
倉周三 |
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この道と決めて歩いてきた人生 |
水田蓉子 |
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一歩ずつ健康寿命踏み固め |
池田史子 |
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腰痛の手を添え歩く月曜日 |
今野美恵子 |
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笑い袋抱えて闊歩するこの世 |
平井美智子 |
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歩け歩けいいもの拾うこともある |
上野五柳 |
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進歩ないお笑いアハハと見ています |
二宮千栄幸 |
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再びの明日掴もうと試歩の杖 |
黒嶋海童 |
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あの世まで一緒に歩むと云わぬ妻 |
下山田靖子 |
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牛歩でいい待つ身の介護板につき |
清水尚子 |
|
もう一歩気力伝わる母の杖 |
岸本博子 |
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デジタルへ背を向けそぞろ歩の意固地 |
清水尚子 |
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ふる里の駅から広くなる歩幅 |
辰巳和子 |
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ていねいに歩こう今日という命 |
平井美智子 |
|
終章の歩みゆっくりゆっくりと |
有岡敏晴 |
|
人間模様百態巡礼徘徊も |
倉周三 |
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寄り添って労り歩く老夫婦 |
大谷祝星 |
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寅さんのように歩いてきた八十路 |
矢野野薫 |
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サヤサヤとかそけき葉の音歩をやすめ |
水田裕子 |
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二足歩行日に五千歩を課す命 |
赤井花城 |
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行く末はと金を目指し歩は進む |
黒嶋海童 |
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もつれあい助けあいつつ来た歩幅 |
池田史子 |
|
敵陣でと金に変わる歩の重み |
宇山昌成 |
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進展がしない話に継ぎ歩する |
有岡敏晴 |
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人生の余白を歩く孤独感 |
桂ひろし |
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歩き出す足三本で前見つめ |
小倉修一 |
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生命線途切れてからも歩いてる |
古橋茂子 |
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歩数計付けると乱れだす散歩 |
盧光来 |
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ギアチェンジ蝸牛で歩む老いの坂 |
岸本博子 |
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人垣の中で孤独と歩む日々 |
荒岡浩志 |
|
蟠り解けて軽―くなる歩巾 |
牧野和子 |
|
不揃いの歩幅の中にある試練 |
野口修 |
佳 |
ふり返る歩いて来た道もう見えぬ |
水田裕子 |
佳 |
ついて来いと口説いた妻の後歩く |
盧光来 |
佳 |
ともすれば忘れる雑魚の歩の構え |
山内迪 |
佳 |
あやふやさ一杯ためてまた一歩 |
樋口祐子 |
佳 |
一四歩と金の夢を捨て切れず |
長川哲夫 |
人 |
いまはもう見上げるだけの歩道橋 |
黒田忠昭 |
地 |
間延びした歩幅で今日を生きている |
野口修 |
天 |
家族背負い歩いた証しちびた靴 |
村上氷筆 |
軸 |
リハビリに励む明日を歩むため |
盛無球 |
兼題 「迷う」 長川哲夫 選
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迷ったら楽しいほうと決めている |
田中俊子 |
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情報の海で迷いが深くなる |
辰巳和子 |
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春風に迷いも知らず桜散る |
荒岡浩志 |
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迷ったら自分信じる道を往く |
牧野和子 |
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迷わないようにと妻についてゆく |
平井美智子 |
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迷いなく愛を貫く人もいる |
荒岡浩志 |
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迷ったら頭ふっても智恵出ない |
小倉修一 |
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行こか戻ろか今なら開いている扉 |
平井美智子 |
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迷ってもまっすぐ歩け僕の道 |
斎藤功 |
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寝返りを打つたび深くなる迷い |
山辺和子 |
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朝からの雨雲迷う外出着 |
樋口祐子 |
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酔払い迷うも家に着く不思議 |
上野五柳 |
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コート脱ぎ薄着にきめて風邪をひく |
今野美恵子 |
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迷いつつ夢見た甘いささやきに |
古橋茂子 |
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自戒まだ遠い迷路の中に佇つ |
野口修 |
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どの嘘にしようか改ざんばれている |
倉周三 |
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一言がもしやもしやと胃に刺さる |
二宮千栄幸 |
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保護色が迷走しつつ抜け落ちる |
池田史子 |
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迷ったら小さい葛籠と決めている |
岸本博子 |
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一本の道すら迷い抜く月日 |
赤井花城 |
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余生なお自負も自戒もある迷い |
大谷祝星 |
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もう妻よ迷うな黄泉の弥陀の膝 |
黒嶋海童 |
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締切りへ答でぬまま日が過ぎる |
山辺和子 |
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迷走の軌跡たどれば花模様 |
池田史子 |
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故郷の道は闇夜も迷わない |
倉周三 |
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あんたに会い老いの心が迷いだす |
上野五柳 |
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多機能のスマホに老いの手が迷う |
大谷祝星 |
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鉛筆が語彙の一つに迷いだす |
野口修 |
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迷わずに成仏してと妻の弁 |
前川和朗 |
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のんびりと笑顔で居たい迷わずに |
盛無球 |
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迷うのは若い証しと胸を張る |
斎藤功 |
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迷ったらヘルプミー言う家の中 |
小倉修一 |
佳 |
バーゲンの服を迷って笑い合う |
前川千津子 |
佳 |
守り札迷子札とを同居させ |
河合敏夫 |
佳 |
迷ったけど青春でしたあの頃は |
松本光江 |
佳 |
一張羅縫い付けられた迷子札 |
今津隆太 |
佳 |
横文字に迷うて眼鏡ふいて見る |
樋口祐子 |
人 |
迷うから消しゴムぼくの必需品 |
今津隆太 |
地 |
道聞けば私もですと地図出され |
中桐徹 |
天 |
梅こっち桜はあっちどうしましょ |
黒田忠昭 |
軸 |
迷い道ゆるり休んで行けばいい |
長川哲夫 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
大谷 祝星 |
清水 尚子 |
古橋 茂子 |
平井美智子 |
下山田靖子 |
水田 蓉子 |
黒嶋 海童 |
上野 五柳 |
延寿庵野 |
山本としや |
山辺 和子 |
盛 無球 |
今津 隆太 |
斎藤 功 |
荒岡 浩志 |
長川 哲夫 |
矢野 野薫 |
宇山 昌成 |
黒田 忠昭 |
村上 氷筆 |
岸本 博子 |
今野美恵子 |
二宮千栄幸 |
内藤 夢彦 |
牧野 和子 |
小倉 修一 |
松本 光江 |
盧 光来 |
野口 修 |
前川 和朗 |
中内眞佐子 |
水田 裕子 |
河合 敏夫 |
山内 迪 |
井上 登美 |
中桐 徹 |
池田 史子 |
前川千津子 |
倉 周三 |
樋口 祐子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
森本 高明 |
中谷 光男 |
有岡 敏晴 |
桂 ひろし |
田中 俊子 |
河端世起子 |
田口 晴子 |
辰巳 和子 |
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