平成30年1月28日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「雪」 両澤行兵衛選
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爆発で雪も真っ黒白根山 |
長野峰明 |
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ドカ雪に閉鎖を惜しむスキー場 |
荒岡浩志 |
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雪だるま子供や犬はどこへやら |
長川哲夫 |
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雪しきりあれから二人深い仲 |
倉周三 |
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雪しきり森中恵美子と忍び逢い |
中桐徹 |
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窓際で一人空虚に見てる雪 |
盛無球 |
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雪しんしん語る人生更ける夜半 |
水田蓉子 |
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雪が舞う思い出が舞う里の駅 |
矢野野薫 |
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バージョンアップ雪に紅そえ南天が |
内藤夢彦 |
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かまくらの寒さ温さの雪の室 |
斎藤功 |
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恋染めし少女は白い雪の精 |
牧野和子 |
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雪の夜はアダモ気取って君を待つ |
下山田靖子 |
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雪しきり逢いたい人が一人いる |
平井美智子 |
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わたくしにそっくりらしい雪だるま |
樋口祐子 |
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粉雪の絵にしてほしい冬景色 |
山内迪 |
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積雪が君との距離を近くする |
長川哲夫 |
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故郷の駅手を振る母は雪の中 |
松本光江 |
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雪ふわり心の傷を癒やすよう |
小山紀乃 |
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降る雪にロマン求めて旅に出る |
小山紀乃 |
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ポタポタと雪夕刊の訃報欄 |
平井美智子 |
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儚きはひと日の恋と春の雪 |
中桐徹 |
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被災地に済まぬが君と雪見酒 |
倉周三 |
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水仙の花びら匂う雪の朝 |
倉田雄登美 |
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地吹雪の底から亡父の叱咤飛ぶ |
安部美葉 |
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紙吹雪浴びてやさしい鬼になる |
山辺和子 |
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雪しんしん仮設の屋根を低くする |
倉周三 |
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来ぬ人を待ち侘び雪の音を聞く |
山辺和子 |
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積もらない雪に想いを重ねる夜 |
荒岡浩志 |
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雪の日の虚言は深い底のまま |
盛無球 |
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降る雪に浮かぶ金閣寺の威厳 |
盛無球 |
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てのひらの雪のはかなさ命ふと |
小山紀乃 |
佳 |
平成生れ二の字二の字は理解せず |
中桐徹 |
佳 |
富士山を美人に見せる雪化粧 |
長野峰明 |
佳 |
まだ見届けぬ風花の着地点 |
村岡義博 |
佳 |
雪解けに人の情を運ぶ川 |
長川哲夫 |
佳 |
雪しんしん言えぬ本音が胸にある |
古橋茂子 |
人 |
命繋いで絆つないで雪の故郷 |
牧野和子 |
地 |
シャンソンの雪は大人の味がする |
沼尾美智子 |
天 |
哀しみの海に祈りの雪が降る |
平井美智子 |
軸 |
美しいだけで済まない銀世界 |
両澤行兵衛 |
兼題 「猫」 安部美葉 選
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釣り人の情けに頼る野良二匹 |
荒岡浩志 |
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老い耄れの猫逞しい面構え |
大谷祝星 |
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猫と鼠にシャッター少し開けておく |
山内迪 |
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漱石を売り出したのは吾輩や |
両澤行兵衛 |
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缶詰の値段は猫の方が上 |
有岡敏晴 |
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いつからか猫のルールの中にいる |
野口修 |
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客の入り悪くて悩む招き猫 |
中谷光男 |
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船着き場グルメ待ってる猫の群れ |
山本としや |
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いつの間に猫が操る人じゃらし |
清水尚子 |
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びしょ濡れの小猫を抱いて泣く老女 |
村岡義博 |
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悩むのは明日へすり寄る猫を抱く |
古橋茂子 |
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猫撫で声の好きな彼とはちっぽけな |
山内迪 |
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マグロから蟹缶もある三毛の餌 |
両澤行兵衛 |
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人気者猫も活躍コマーシャル |
今野美恵子 |
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ブランドを欲しがる猫を持て余す |
宇山昌成 |
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老夫婦猫に癒され会話ある |
今野美恵子 |
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新社員いつまで続く猫被り |
河合敏夫 |
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猫抱いて欲捨てに行く大枯野 |
桂ひろし |
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今朝も快調猫のポーズの心地良さ |
池田史子 |
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十年居るタマと猫語を話す仲 |
上野五柳 |
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ホームドラマの真ん中にいるペルシャ猫 |
山辺和子 |
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缶詰に馴れてネズミをとらぬ猫 |
倉周三 |
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妻よりも心交わした猫に餌 |
水田蓉子 |
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ネコよりも猫っ被りの君が好き |
中桐徹 |
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猫撫で声で男の骨を抜く女 |
辰巳和子 |
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猫グッズあれもこれもと部屋飾る |
井上登美 |
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駅長よりたまは小判が良いという |
村岡義博 |
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猫の声まねて居留守の処世術 |
井上登美 |
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俺よりも贅沢してるペルシャ猫 |
宇山昌成 |
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関白も外では借りた猫の顔 |
清水尚子 |
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猛犬に注意と書いて猫を飼う |
奥西勇人 |
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いざとなりゃ野獣に戻る猫パンチ |
長川哲夫 |
佳 |
猫柳揺れて木漏れ日よく跳ねる |
延寿庵野 |
佳 |
淋しげな私にそっと猫が添う |
松本光江 |
佳 |
帰らない猫の皿にも入れる水 |
平井美智子 |
佳 |
猫被り七人の敵欺かん |
内藤夢彦 |
佳 |
黒猫を抱いて夢二の画集繰る |
辰巳和子 |
人 |
猫の瞳に射貫かれている悪巧み |
田中俊子 |
地 |
猫といて煩悩の缶切り開く |
桂ひろし |
天 |
ゆるやかな猫の尻尾にある妬心 |
平井美智子 |
軸 |
四面楚歌そっと黒猫ひざに抱く |
安部美葉 |
兼題 「のんびり」 前川淳 選
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のんびり屋に見えて金には小うるさい |
中桐徹 |
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のんびりと見せて策練る昼行灯 |
長野峰明 |
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「何時までも待つわ」だなんて無理ですわ |
松本光江 |
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取り立てて用のない日の長電話 |
水田蓉子 |
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熱気球乗ってのんびり初日の出 |
延寿庵野 |
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ひと仕事終えて昼寝でもするか |
小山紀乃 |
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のんびりゆらり花の老女でおわりたい |
下山田靖子 |
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メサイアを聴いて心の鱗取る |
井上登美 |
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のんびりをいつも鴉に笑われる |
赤井花城 |
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仕事はのんびり遊びは精一杯 |
森本高明 |
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のんびりと独楽を回している独り |
野口修 |
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のんびりと漂う鴨の足の先 |
池田史子 |
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のんびりが性に合わない戦中派 |
平井美智子 |
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晴耕雨読ひねもすのたり恙無し |
倉周三 |
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のんびりの顔で稼いでいるパンダ |
黒田忠昭 |
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語り部の訛りに溶けてゆく民話 |
清水尚子 |
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用の無い日曜だから返事書く |
前川千津子 |
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携帯は持たずに竿とワンカップ |
両澤行兵衛 |
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車中でものんびり出来ぬスマホ族 |
斎藤功 |
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ひとり居の優雅にのたり粥を炊く |
安部美葉 |
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初夢の余韻にひたる湯の煙 |
河合敏夫 |
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のんびりの裏に必死の声がする |
荒岡浩志 |
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競争嫌いナメクジとカタツムリ |
村岡義博 |
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日向ぼこ縁でのんびり爪を切る |
水田蓉子 |
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終章はのんびりと決め今日の風 |
山辺和子 |
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のんびりや話のつぼは外さない |
前川和朗 |
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凍てる日も太公望は糸たらし |
樋口祐子 |
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ごろ寝する積んどく本は風が読む |
古橋茂子 |
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鈍行に揺られまどろむ初春を行く |
清水尚子 |
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のんびりが好きでいつでも終い風呂 |
黒田忠昭 |
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ワンテンポずれてる私のんびり屋 |
河端世起子 |
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のんびりの旅の一夜に雪女 |
長川哲夫 |
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城下町のんびり歩く春立つ日 |
辰巳和子 |
佳 |
のんびりに見せてせかせか水面下 |
村岡義博 |
佳 |
のんびりと時止めてゆく豪華船 |
岸本博子 |
佳 |
のんびりとさせてくれない北の国 |
青木公輔 |
佳 |
のんびりと出来る頃には命つく |
中谷光男 |
佳 |
のんびりと隠棲をする過疎の里 |
大谷祝星 |
人 |
ネジ一本ゆるめのんびり生きている |
斎藤功 |
地 |
生まれつき爪の先まで楽天家 |
赤井花城 |
天 |
のんびりなど無かった過労死の日記 |
有岡敏晴 |
軸 |
たらればは忘れのんびり番外地 |
前川淳 |
兼題 「初物」 上野五柳 選
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初物が届いたからと客を呼び |
矢野野薫 |
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初物の自作の胡瓜無農薬 |
大谷祝星 |
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初物に今日の命を贈られる |
古橋茂子 |
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命日にちょっと奮発したメロン |
平井美智子 |
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フルムーン九州巡りななつぼし |
井上登美 |
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蕗の薹酢味噌仕立ての春を盛る |
清水尚子 |
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初めての雪を見つめる乳母車 |
有岡敏晴 |
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風花が消えりゃイカナゴ浜に湧く |
長川哲夫 |
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耳目そばだてイカナゴ漁の春を待つ |
赤井花城 |
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なすきゅうりまいにち初物夏が行く |
中内眞佐子 |
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亡母からはもう届かない初鰹 |
松本光江 |
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時化終りゴーヤの初荷届く秋 |
山本としや |
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初競りの鮪に踊るご祝儀値 |
清水尚子 |
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編上りそわそわ服に袖通す |
山内迪 |
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プレゼント背に馴染まぬランドセル |
河合敏夫 |
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第3ビール意外な味に合い虜 |
村岡義博 |
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初物に試行錯誤の腹の内 |
水田蓉子 |
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初物の若菜小鳥に先越され |
池田史子 |
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春菊の香ぷんと鼻突く雪見酒 |
延寿庵野 |
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温室が初物食いを狂わせる |
荒岡浩志 |
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何であれ初物食いでしくじって |
前川淳 |
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初物に手出しができぬ年となる |
水田蓉子 |
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初物には糸目をつけぬのがセレブ |
有岡敏晴 |
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初物食い癖治らないまたあなた |
前川和朗 |
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要注意初物好きの女には |
内藤夢彦 |
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初物食い粋がる人の味音痴 |
宇山昌成 |
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初物を避けて値下げを待つ余裕 |
荒岡浩志 |
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初物にすぐ飛びつかぬ主婦財布 |
岸本博子 |
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初物が四季を知らせる国に住む |
森本佳子 |
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季節感無くて初物何が何時 |
盛無球 |
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これこれまずはお供えですよそれからよ |
水田裕子 |
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初物はまずお供えと子に教え |
二宮千栄幸 |
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遍路行く新茶の香り風を読む |
井上登美 |
佳 |
アハハと笑い初物たべる言い伝え |
水田裕子 |
佳 |
七十路の初恋春を抱く両手 |
安部美葉 |
佳 |
初物へ意外に多い他国籍 |
宇山昌成 |
佳 |
初物の松茸なれど見て通る |
前川千津子 |
佳 |
初物と聞けば目のない日本人 |
倉周三 |
人 |
初物の松茸届くカナダから |
沼尾美智子 |
地 |
ラーメン屋オープン直ぐに駆け付ける |
内藤夢彦 |
天 |
ボージョレーヌーヴォーゆっくりと秋を飲む |
山辺和子 |
軸 |
初物は神といただく日本の美 |
上野五柳 |
兼題 「開く」 赤井花城 選
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夢開く嬉しい顔よ栃の心 |
前川千津子 |
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展望の開けた朝の銀世界 |
内藤夢彦 |
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ドア開けて招き入れたい福の神 |
倉周三 |
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元旦の開門を待つ人の列 |
森本佳子 |
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蕾から香り立つよな春を待つ |
井上登美 |
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福は内ちょっと寒いが開ける窓 |
長川哲夫 |
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新しい一歩を開く屠蘇を酌む |
延寿庵野 |
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運開く少し太めの恵方巻 |
安部美葉 |
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ピピピッと又呼んでいる冷蔵庫 |
黒田忠昭 |
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嫁姑心開けば産む絆 |
盛無球 |
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一日に一度は開く日記帳 |
矢野野薫 |
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家計簿を開くと妻の愚痴が出る |
有岡敏晴 |
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開けゴマ夢の続きをもう一度 |
井上登美 |
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絵本あけ子供に戻るファンタジー |
小山紀乃 |
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ご開帳国宝を見る列つづく |
前川千津子 |
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開いたと思えば閉じて反抗期 |
池田史子 |
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反抗期の心を開く聞き上手 |
倉周三 |
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柵を破って未来切り開く |
辰巳和子 |
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未知の戸を開けて少年夢つかむ |
延寿庵野 |
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何が開いたのか恋動き出す |
青木公輔 |
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辞書開き言葉の森を闊歩する |
辰巳和子 |
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枝折戸を開くと過去が顔を出す |
安部美葉 |
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専門書序章開いて舟を漕ぐ |
荒岡浩志 |
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おいでやす扉を開けてくれた友 |
小山紀乃 |
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封開ける心も踊る招待状 |
今野美恵子 |
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ときめきを鎮め手紙の封を切る |
山辺和子 |
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華やかな過去のページをまた開く |
岸本博子 |
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こぼれ種開花で明かす氏素性 |
長野峰明 |
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開けゴマ傘寿の知恵で今日も生く |
井上登美 |
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全開のシャワーで煩悩を流す |
前川淳 |
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逃げ道を開けて待っててくれた母 |
平井美智子 |
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未知のドア開ける最後の好奇心 |
荒岡浩志 |
佳 |
ひたすらに開花予報を待つ冬芽 |
田中俊子 |
佳 |
反核へ祈りを込めて開け胡麻 |
清水尚子 |
佳 |
次の世の戸びらを開く子らの顔 |
沼尾美智子 |
佳 |
立ちばなし自動扉が思案中 |
河合敏夫 |
佳 |
亡母思う桜の花の咲くように |
松本光江 |
人 |
ランプ消え安堵の扉(と)開(あ)く手術室 |
山本としや |
地 |
半開きのドア人生の分岐点 |
青木公輔 |
天 |
海光るこころの窓を開かねば |
山辺和子 |
軸 |
千年の湖北の秘伝扉開く |
赤井花城 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
延寿庵野 |
大谷 祝星 |
倉田雄登美 |
宇山 昌成 |
牧野 和子 |
荒岡 浩志 |
長野 峰明 |
清水 尚子 |
矢野 野薫 |
松本 光江 |
水田 蓉子 |
河合 敏夫 |
斎藤 功 |
長川 哲夫 |
古橋 茂子 |
内藤 夢彦 |
山本としや |
森本 佳子 |
今野美恵子 |
岸本 博子 |
沼尾美智子 |
上野 五柳 |
平井美智子 |
中桐 徹 |
下山田靖子 |
安部 美葉 |
山辺 和子 |
両澤行兵衛 |
山内 迪 |
村岡 義博 |
盛 無球 |
前川千津子 |
桂 ひろし |
井上 登美 |
小山 紀乃 |
池田 史子 |
倉 周三 |
樋口 祐子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
奥西 勇人 |
有岡 敏晴 |
森本 高明 |
野口 修 |
水田 裕子 |
中内眞佐子 |
田中 俊子 |
河端世起子 |
二宮千栄幸 |
中谷 光男 |
辰巳 和子 |
黒田 忠昭 |
青木 公輔 |
前川 和朗 |
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