平成29年11月19日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
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特別席題  「港」  中桐徹 選
繁栄の続く開港百五十 野口修
世界一高いツリーが待つ港 延寿庵野
青雲の大志を抱いて出た港 黒嶋海童
わくわくと帰港する父待つ子供 森本佳子
ドラの音の聞こえる街に住めた幸 前川淳
大漁旗港にカモメ連れ帰る 河合敏夫
港から港A子からB子へ 沼尾美智子
港町ドラの音慕情掻き立てる 倉周三
引き揚げの父を迎えた港の灯 牧野和子
港町なぜか演歌で唄われる 宇山昌成
忍び逢う二人に温い港の灯 山辺和子
少子化の母港べったり帆を挙げぬ 長野峰明
害虫が真っ先に来る港です 宇山昌成
港から港へ恋を仕分けする 青木公輔
出港は別れと覚悟してる嫁 今津隆太
大船も小舟も癒す母港 岸本博子
変遷を刻んで栄える神戸港 野口修
雪しんしん汽笛と消えてゆく妬心 矢沢和女
少年の港ブラジル丸は今 樋口祐子
マドロスの面影しのぶ港町 矢野野薫
激戦港今は優雅に舞うかもめ 清水尚子
小港に昔美人のママの店 村岡義博
山肌に錨絵になる神戸港 瀬島流れ星
軍港の死角で揺れている世情 安部美葉
冬の海伊根の舟屋に海猫が 二宮千栄幸
港の灯ゆらり残してドラがなる 下山田靖子
港では映画やドラマ主人公 小倉修一
波止場からおしゃれな神戸歩きだす 山本としや
異人館港神戸によく似合う 濱田英明
古漁港終の棲家と決めた猫 岸本博子
七彩の虹と港が交差する 青木公輔
浮上する潜水艦に草矢射る 桂ひろし
長旅を終えて母港で垢おとす 上野五柳
港の昭和淡谷のり子の窓がある 村岡義博
純愛を故郷の港に置き忘れ 黒嶋海童
武器のせた船とは縁のない港 小山紀乃
ちぎれる程ハンカチ振った恋人いずこ 牧野和子
流離うて妻の港に辿り着く 辰巳和子
赤い靴記憶尋ねて港町 山本としや
暖かい母の懐子の港 井上登美
世界一のツリーも嬉し神戸港 中桐徹

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特別席題「還る(帰る)」  矢沢  和女選 
きやびんと同じ還暦です私 今津隆太
待ちぼうけ月と一緒に帰路につく 山辺和子
御浄土へゆっくり還る宇宙葬 延寿庵野
鍋物が欲しい木枯らし吹く家路 小山紀乃
飲ん兵衛と働き蜂の最終車 盧光来
摩文仁ヶ丘還らぬ人の名が並ぶ 上野五柳
夕焼けに帰れ帰れと母の声 山本としや
手に掬う土に還ろういつの日か 小山紀乃
四十年還る娘を待つ髪白し 黒嶋海童
帰郷する町の明かりがぼくを待つ 前川淳
夕烏よぼくにも帰る巣があるさ 上野五柳
父帰る戦中戦後汗のあと 井上登美
ストレートな喜怒哀楽で子にかえる 清水尚子
古里へもう還れない墓じまい 村岡義博
決め付けてしまえば原点還れない 盛無球
空遠く異国の丘の帰還兵 斎藤功
古里に帰る都会の灯を背ナに 安部美葉
人生の大波小波帰り着く 水田蓉子
Uターンうきうき顔の木守柿 樋口祐子
フクシマの帰れぬ家の萩ゆれて みぎわはな
戦前へ帰りたがっている政治 宇山昌成
石ひとつ軽い戦死の父帰る 桂ひろし
古里へ子供ら還り天高し 牧野和子
父還る茶の間にぱっと華が咲く 牧野和子
いつか来た道に帰って行く気配 辰巳和子
働いた汗が還って来る大地 野口修
やがて地に還す命を日々磨く 辰巳和子
ふる里へ帰れぬ罪がひとつある 黒嶋海童
父帰る一輪差しの向きをかえ 樋口祐子
愛された記憶はるかはるかのブーメラン 下山田靖子
捨ててきたものを拾いに帰る街 平井美智子
レコードの針でも還る場所がある 濱田英明
寄り道をせずに帰った悔いがある 野口修
地に還る切符はどこで買おうかな 前川淳
故里へ帰る小さな旗たてて 沼尾美智子
錆ついて古里行きのバスに乗る 矢沢和女

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兼題  「突然」  平井美智子選 
身におぼえないのにパパと言われても 豊野光子
逆走のニュースに浮かぶ父の顔 田中俊子
ガイダンス突然妻の声になる 有岡敏晴
風向きに突然変わる人模様 荒岡浩志
突然の裏切りきっと雨のせい 田中俊子
不意の客アサギマダラが庭に舞う 赤井花城
突然がくれたときめき押し花に 岸本博子
旧姓で呼ばれとっさの生返事 今野美恵子
青春の手紙突然舞い戻る 安部美葉
突然の左遷ホームの灯にぬれる 桂ひろし
AIが突然ボクの職を取り 延寿庵野
突然にパッと開けた僕の運 山本さとし
選挙時期突然懐かしい電話 盧光来
忽然と消えて置いてけぼりを食う 赤井花城
細胞の反乱ある日地獄耳 樋口祐子
心臓が突如休暇をくれと言い 濱田英明
訃のしらせまたねと言ったのは昨日 小山紀乃
納得が行かぬ突然来た別離 辰巳和子
突然に外された肩寡婦の意地 水田蓉子
突然の雨がシナリオ塗り替える 山辺和子
突然の一語潜んでいる本音 野口修
ふわっと落ちてきた飛行機の欠片 黒田忠昭
ある日突然おふくろと呼ぶ息子 山辺和子
突如来た父に見られたペアパジャマ 倉周三
突然のリストラ妻に切り出せぬ 辰巳和子
寝坊した朝に突然義母が来た 盛無球
不意の客夫婦喧嘩を休ませる 盧光来
平穏を修羅場に変えた震度六 倉周三
シナリオに無かった夫の突然死 古橋茂子
突然に訃報連れ来る秋の風 黒嶋海童
だしぬけにドラマの幕が降ろされる 樋口祐子
突然の失踪SNSの闇 宇山昌成
付け睫毛突然飛んで慌て出し 延寿庵野
突然死しないよう時々サボる 桂ひろし
酒タバコ競馬もやめて突然死 中桐徹
突然にごめんねと言う彼岸花 井上登美
出しぬけに唄ったたそがれのビギン 矢沢和女
突然に川を渡ったとの報せ 長野峰明
背信は突然ラッパ吹きながら 矢沢和女
突然の誰何わが正体を問い直す 山本としや
突然のもて気御払いしておこう 平井美智子

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兼題  「長い」  黒嶋海童 選
還暦のきやびんよ長く続いてね 河端世起子
長命の家系に生まれても美人 有岡敏晴
廃炉への長い苦闘の道拓く 荒岡浩志
話せば長い前置き長い みぎわはな
秋夜長思いは君のことばかり 倉周三
長電話やかんピーピー鳴り止まず 延寿庵野
最後です長い手紙をくれました 前川千津子
溜息の長さと恋の切なさと 青木公輔
薬にもならぬ話に夜が更ける 清水尚子
椅子引いてさあーこれからと電話する 中桐徹
長かった君の胃袋掴むまで 古橋茂子
原稿を見てるな長い御答弁 黒田忠昭
人生の長い旅路の果てが今 斎藤功
長生きもほどほど少子化が睨む 盧光来
老いらくの恋の二人の長電話 桂ひろし
花野ゆく老いた二人の長い旅 下山田靖子
重い荷を分け合い越えた長い坂 辰巳和子
明けぬ夜はないと枕を抱いている 平井美智子
長いようで短いいのちさあ恋だ 倉田雄登美
穏やかで長い物には捲かれてる 水田蓉子
生命線長く伸びろとこする日々 宇山昌成
長い尾を切ってトカゲは生き延びる 長野峰明
長考の末に選んだ迷い道 濱田英明
それからを語れば時間足りませぬ 野口修
乾杯の長い挨拶泡も消え 岸本博子
スランプの長さを武器に美酒を酌む 安部美葉
三日でも逢えぬと長い深い仲 瀬島流れ星
長い髪バッサリ切って今を生く 井上登美
おんな脱ぎさてそれからの長い道 安部美葉
イントロの長さに愛が冷めはじめ 前川和朗
叱るよりこたえた母の長いハグ 古橋茂子
下積みの長さは言わぬ叩き上げ 辰巳和子
哀しいなモディリアーニの長い首 水田裕子
ぐるぐるのストールに頭浮いている 中内眞佐子
十五から患ってます恋病 倉周三
長生きを済みませんねと国に詫び 中桐徹
影法師伸びても農夫鍬置かぬ 前川淳
三分が長い君待つ砂時計 山辺和子
子や孫に迷惑かけず皇寿まで 矢野野薫
長い闇抜けて学んだこと数多 小山紀乃
独り住む男に長い無の時間 野口修
六十年思えば長い夢芝居 赤井花城
癌を病み無明長夜の旅続く 黒嶋海童

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兼題  「人情」  村上氷筆 選
ちちははを受け継いでゆく人情味 赤井花城
地震の街義理人情がよみがえる 山辺和子
人情のぬくさに触れる過疎の村 二宮千栄幸
青春の流離で知った人情味 赤井花城
マンションに人情の芽を摘み取られ 荒岡浩志
人情に心を許す勝手口 濱田英明
世渡りに時々使う情の棹 盧光来
若者も震災あればボランティア 今野美恵子
人情に触れて長生きしたくなる 田中俊子
おせっかいでもありがたい友である 宮本智美
人情にほだされ真人間になる 倉周三
余所の子も叱る爺さん居た長屋 盧光来
人情の機微心得た受付嬢 山本としや
人情を逆手に取っているサギ師 矢野野薫
ローカル線人情温い国訛り 延寿庵野
また知らぬ人と会釈のいい散歩 黒田忠昭
人情も訛も温い道の駅 有岡敏晴
デジタルの海で溺れている情 平井美智子
人情味猫も分かって随いてくる 黒田忠昭
いっぱいもらったからいっぱい返す 岸本博子
人情が行き交っている飴一つ 川畑めぐむこ
思いやりの心が傷い程沁みる 牧野和子
ほっこりの人情を読む地方版 宇山昌成
衣食住足りて人情やせ細り 長野峰明
人情がうなだれ通る都市砂漠 清水尚子
地図にない路地で拾った人の情 辰巳和子
人情の機微は苦手というスマホ 村岡義博
人情が頼りの旅へヒッチハイク 久山節子
子を諭す言葉に込める人情味 佐々木たみ子
方言も人情も濃い島に住む 黒嶋海童
ロボットもいずれ涙を流すだろ 矢沢和女
アナログに生きて人情には脆い 辰巳和子
先々の親切嬉し遍路旅 倉周三
人情に助けてもらい日が昇る 中谷光男
理不尽もこれも人情受け止める 水田裕子
お裾分け今も人情生きる町 佐々木たみ子
人情を包んで雨が柔らかい 荒岡浩志
限界村人情生きる助け合い 瀬島流れ星
左遷地で人情に触れ地酒酌む 延寿庵野
人情の重みに涙耐えかねて 濱田英明
十指みな開くと見える人の情 野口修
身内より深い他人の情に泣く みぎわはな
見返りを求めていない介護の手 平井美智子
人情と味の交響道の駅 村上氷筆

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兼題  「糠」  赤井花城 選
八十路でも糠の利き目かピッカピカ 井上登美
糠漬の家伝一人も継ぐ子なし 上野五柳
酒のあてきゅうり糠漬けあればよい 倉田雄登美
妻の肌今も光らす糠袋 盧光来
あの頃は何磨いてた糠雑巾 黒田忠昭
糠味噌がかすかに匂う赤い爪 瀬島流れ星
糠袋で背中洗った遠い日々 沼尾美智子
糠に釘こんな人とは知らなんだ 二宮千栄幸
失恋の足取り重し小糠雨 長野峰明
糠床を混ぜれば亡母の掌の温さ 村上氷筆
籾も糠も活かして使う知恵がある 岸本博子
ぬか床を混ぜる母の手美しい 河端世起子
糠床をつくった亡姉の後を継ぐ 山本としや
糟糠の妻と信じた筈なのに 清水尚子
糠漬けの母の真心歯に沁みる 濱田英明
糠漬けの茄子はむらさき母偲ぶ 山辺和子
糠床においしくなれと気も漬ける 中谷光男
傘着ても心に沁みる小糠雨 岸本博子
春暁や糠よろこびの夢の跡 久山節子
つれづれに糠釘ながめ思案する 樋口祐子
お喋りな母の糠床混ぜている 古橋茂子
糠床の神様元気ありがとう 井上登美
貴方には貴重な意見糠に釘 前川和朗
糠漬は忘れられない母の味 山本さとし
糟糠の妻も昔は美人です 倉田雄登美
嫁にまだ糠床だけは渡さない 黒嶋海童
糠漬の味まろやかに故郷の味 河合敏夫
B型に意見大抵糠に釘 瀬島流れ星
糠喜びでしたいい夢みてたのに 倉周三
糟糠の妻に感謝のプチダイヤ 辰巳和子
逢うてきた余韻に浸る小糠雨 山辺和子
糠漬けがすぐ醗酵す独り膳 みぎわはな
糠床も母も百歳越えました 桂ひろし
糠よろこびいたずら天使の贈り物 中内眞佐子
組ちがい糠よろこびの宝くじ 矢野野薫
糠床のみょうばん効いた茄子の色 盛無球
さよならの手が解けない小糠雨 清水尚子
糠床の底から浮いて出る本音 安部美葉
たましいに近づくように糠を煎る 矢沢和女
子を帰せ呼べど叫べど糠に釘 中桐徹
日本の味覚の底に糠と糟 村上氷筆
糠床を開けると亡母の息遣い 野口修
艶やかな母が愛した糠袋 赤井花城

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【出席者】 (順不同・敬称略)
小山 紀乃 倉  周三 山辺 和子 牧野 和子 長野 峰明 清水 尚子
下山田靖子 村上 氷筆 山本としや 安部 美葉 斎藤  功 水田 蓉子
矢沢 和女 前川 和朗 河合 敏夫 古橋 茂子 上野 五柳 今野美恵子
岸本 博子 森本 佳子 盛  無球 桂 ひろし 宇山 昌成 濱田 英明
延寿庵野 村岡 義博 矢野 野薫 中桐  徹 小倉 修一 沼尾美智子
辰巳 和子 盧  光来 黒嶋 海童 今津 隆太 宮本 智美 平井美智子
野口  修 倉田雄登美 山本さとし みぎわはな 瀬島流れ星 井上 登美
二宮千栄幸 前川千津子 黒田 忠昭 前川  淳 青木 公輔 田中 美子
樋口 祐子 赤井 花城

【投 句】
久山 節子 川畑めぐむこ 河端世起子 中谷 光男 荒岡 浩志 森本 高明
豊野 光子 有岡 敏晴 田中 俊子 佐々木たみ子 中内眞佐子 水田 裕子

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