平成29年3月26日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「家電一切」 山本さとし選
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力道山見たさに通う喫茶店 |
井上登美 |
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巣立つ子へ小型掃除機ひかる春 |
水田蓉子 |
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アナログの時代が矢張り性に合い |
野口修 |
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冷蔵庫閉め忘れられひいひ鳴く |
田原宏一 |
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進歩する電化に悩む高齢者 |
野口修 |
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共稼ぎエアコン弱で待つペット |
松本光江 |
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CDのお経流して春彼岸 |
平井美智子 |
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対立の電極いつもショートする |
長川哲夫 |
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暖房をつけてよそよそ子等を待つ |
山内迪 |
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東芝シャープ家電業界大童 |
倉周三 |
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流行へ使える物も家電ゴミ |
池田史子 |
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風弥生電子ピアノが春を弾く |
山辺和子 |
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沸きました煮えましたよと電子音 |
黒嶋海童 |
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洗濯機オシャカになってもみ洗い |
山本としや |
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モノラルのレコードで聴く浪花節 |
盛無球 |
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ビデオ機器教えた昔今は無視 |
小倉修一 |
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捜すのが難儀家電の日本製 |
荒岡浩志 |
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チンと鳴りお燗一丁さあ飲もう |
内藤夢彦 |
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スマホからスイッチ入れる炊飯器 |
延寿庵野 |
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セコムしています家にも心にも |
平井美智子 |
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スマホの進歩世界が近く成りました |
牧野和子 |
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ご成婚見たさに買ったテレビジョン |
井上登美 |
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ファックスでゆるりとやってきた訃報 |
山辺和子 |
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ひとり身を案じて夜毎鳴る電話 |
山辺和子 |
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電化してほのおが消えた台所 |
黒嶋海童 |
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新しい家電を見ればほしい欲 |
今野美恵子 |
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皆脱げと母に告げさす洗濯機 |
斎藤功 |
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息子不惑冷蔵庫と同い年 |
水田裕子 |
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ジューサーを横目にりんごまるかじり |
荒岡浩志 |
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床暖房猫が寝ている指定席 |
延寿庵野 |
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もの造る人への畏敬スマホです |
古橋茂子 |
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わが家での生きた家電は愚痴小言 |
中桐徹 |
佳 |
進化して使いにくいぞ電子辞書 |
黒嶋海童 |
佳 |
昼も夜もチンが我が家の料理長 |
中桐徹 |
佳 |
冷蔵庫留守の児待っている苺 |
大谷祝星 |
佳 |
蛍光灯のように点いてる我が余生 |
長川哲夫 |
佳 |
換気扇ひとりひっそり汚れ役 |
田原宏一 |
人 |
留守電に母の敬語が入ってる |
古橋茂子 |
地 |
閉めた鍵明けて炬燵を確かめる |
山内迪 |
天 |
エアコンに遠く薪ストーブ燃える |
安部美葉 |
軸 |
通販で買ったアンマ機はなされず |
山本さとし |
兼題 「縁」 荒岡浩志 選
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縁側の夏に習ったヘボ将棋 |
山本としや |
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縁側で孫を相手のヘボ将棋 |
矢野野薫 |
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縁日の金魚と遊ぶ三連休 |
山本としや |
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笹の葉に遠い縁の雨しきり |
松本光江 |
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頂いた縁間もなく半世紀 |
沼尾美智子 |
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前向きの笑顔が好きな運と縁 |
池田史子 |
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ばっさりと断ち切る縁落ち椿 |
安部美葉 |
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縁あって夫婦冷めてもまだ夫婦 |
上野五柳 |
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良縁と勧められたがもう離婚 |
倉周三 |
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日は昇る嬉しい縁が紛れこむ |
古橋茂子 |
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縁あってこの人と添い娘も二人 |
二宮千栄幸 |
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行きずりの風の縁も愛おしい |
赤井花城 |
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縁があり紡いだ糸がほつれだす |
川畑めぐむこ |
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赤い糸もつれていても深い縁 |
河端世起子 |
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梅が枝に結ぶ縁のうた祭り |
長川哲夫 |
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添い遂げていい縁だったなと思う |
黒嶋海童 |
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同姓が縁でルーツを探してる |
樋口祐子 |
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徒花が縁切寺の庭に散る |
田中俊子 |
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縁日に見合いしたっけ君と僕 |
山本さとし |
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縁側で猫とうとうと春の陽に |
河端世起子 |
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縁とはこつこつ紡ぐものと知る |
沼尾美智子 |
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三月の出合い別れにある縁 |
牧野和子 |
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証人喚問義兄弟の縁を切る |
前川和朗 |
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縁結び神社巡りに明け暮れる |
井上登美 |
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被災地で水分けおうてからの縁 |
山辺和子 |
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血縁も金がからむと薄くなる |
宇山昌成 |
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綻びを縫った縁で結ばれる |
奥西勇人 |
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晩婚の息子の相手は父好み |
河合敏夫 |
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居酒屋で傍に座ってからの縁 |
辰巳和子 |
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良縁と言われて乗った泥の舟 |
盛無球 |
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知らぬ間にチャンスが逃げる縁のなさ |
山本さとし |
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数知れぬ縁がまとい付く一期 |
赤井花城 |
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争いの空気背負って靴を履く |
中内眞佐子 |
佳 |
結局は娘の世話になる老後 |
宇山昌成 |
佳 |
無念なり蒲団の縁に蹴躓く |
長川哲夫 |
佳 |
縁結ぶ神も時々ミスをする |
黒嶋海童 |
佳 |
綻んだ縁を繕う母の糸 |
平井美智子 |
佳 |
娘の縁談喜ぶ母と渋る父 |
倉周三 |
人 |
ポジティブに生きて薬に縁がない |
辰巳和子 |
地 |
濡れ縁の内側にある腐れ縁 |
黒田忠昭 |
天 |
血縁の絆に頼っている孤独 |
盛無球 |
軸 |
友も無く無縁仏とコップ酒 |
荒岡浩志 |
兼題 「惜しむ」 中桐徹 選
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優勝の寸前怪我をする不運 |
盛無球 |
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若すぎる柩を花で埋めつくす |
山辺和子 |
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一時も惜しみ働く蟻の性 |
岸本博子 |
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惜しまれて九品浄土へ鈴振って |
豊野光子 |
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惜別へ涙を拭う鯨幕 |
延寿庵野 |
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絆縒る労なら汗も惜しまない |
斎藤功 |
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お気に入り忘れて帰る惜しい傘 |
今野美恵子 |
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一枚の紙にされどの自負がある |
野口修 |
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勝ち意識すぎたか捕逸惜しまれる |
田原宏一 |
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手加減のボギーが出来ず椅子逃がす |
内藤夢彦 |
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維新の志短命惜しむ花嵐 |
村岡義博 |
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惜しまれて辞めると自分では思い |
倉周三 |
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一言を惜しんで悔いの風に乗る |
古橋茂子 |
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惜しまれるうちに行きたい天国へ |
今津隆太 |
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惨敗を惜敗にした地方版 |
大谷祝星 |
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まだ浅き春惜しみつゝ友が逝く |
黒嶋海童 |
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使い捨て惜しむ心も捨てられた |
岸本博子 |
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惜しまないでね転生します別の星 |
赤井花城 |
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はや溶ける手にのせてみる雪うさぎ |
小山紀乃 |
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特攻のつぼみで散った仇桜 |
長野峰明 |
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惜しまれるいとまもなくて落椿 |
田中俊子 |
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満塁に野手の正面突く当り |
山本さとし |
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一泊の旅には惜しい陽が沈む |
河合敏夫 |
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惜しむのは無駄使いする才能よ |
水田裕子 |
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捨てられぬニセと分かっている家宝 |
黒田忠昭 |
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風向きが浜風なればホームラン |
宇山昌成 |
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惜しまれて幕引いた日の充実感 |
二宮千栄幸 |
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嫁ぐ娘へ別れを惜しむ御立ち酒 |
奥西勇人 |
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惜しまれて去るのに筋書きは要らぬ |
失名 |
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又一人若い命が散り急ぐ |
辰巳和子 |
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信長の天下統一見たかった |
長野峰明 |
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競い合う色香さまざま花疲れ |
中内眞佐子 |
佳 |
理由付け出し惜しむぼく実はケチ |
上野五柳 |
佳 |
出し惜しみした饅頭に黴が生え |
盛無球 |
佳 |
名を惜しむ男で苦境語らない |
黒嶋海童 |
佳 |
なごり雪あなたの肩に積もりたい |
下山田靖子 |
佳 |
惜しまれても棺の僕には聞こえない |
内藤夢彦 |
人 |
惜別の言葉訥々師を偲ぶ |
井上登美 |
地 |
いい料理手間惜しんでは作れない |
前川和朗 |
天 |
ケチなのに医療費だけは惜しまない |
上野五柳 |
軸 |
イカナゴの不漁を惜しむ友数多 |
中桐徹 |
兼題 「紙」 平井美智子選
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東北の空に羽ばたけ千羽鶴 |
河端世起子 |
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テーブルに一万借りと子からメモ |
中谷光男 |
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たとう紙の着物が昔語りする |
田中俊子 |
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手紙に書いてからメールしています |
森本高明 |
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論説の紙のナイフが世相斬る |
奥西勇人 |
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字を書いて白紙も意志を持ってくる |
小山紀乃 |
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億の目が夫人のメール読む誌面 |
今津隆太 |
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いざと言う時の念書は貰ってる |
古橋茂子 |
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あやふやな脳を助けるメモ用紙 |
宇山昌成 |
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お祝いの紙一枚で果す義理 |
山内迪 |
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義理立てて押した判子を嘆く紙 |
内藤夢彦 |
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万札も元々ただの紙でした |
荒岡浩志 |
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紙屑のように使ってきた諭吉 |
矢野野薫 |
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自分疑い自分を照らす紙の月 |
水田裕子 |
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紙人形の首のあたりにある憂い |
山辺和子 |
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赤紙一枚若者一人奪い去る |
岸本博子 |
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句箋紙に自画像かいて投句する |
前川和朗 |
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白紙では無いと漫画が描いてある |
盛無球 |
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夫婦とは紙一枚にある重さ |
水田蓉子 |
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一枚の紙人生を振り分ける |
荒岡浩志 |
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三度目の回収古紙も疲れ果て |
倉周三 |
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シングルとダブルトイレの紙のこと |
黒田忠昭 |
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午後からは水が重たい紙を漉く |
大谷祝星 |
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口下手が正論を吐く原稿紙 |
桂ひろし |
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中が恥じ入る大仰な包装紙 |
前川淳 |
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一枚の紙の強さか妻の座は |
二宮千栄幸 |
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エコノミークラスが狭い紙おむつ |
黒田忠昭 |
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紙芝居いじめなんかはありません |
桂ひろし |
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五線紙からはじき出る春のメロディー |
前川淳 |
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宅配の地方紙開く春キャベツ |
延寿庵野 |
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障子越し春の日差しと鳥の声 |
二宮千栄幸 |
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折鶴が癒やしたヒロシマの心 |
赤井花城 |
佳 |
真っ白の紙に邪念を透かされる |
辰巳和子 |
佳 |
過去は過去脱皮に懸けるダンボール |
田原宏一 |
佳 |
まだ学ぶつもり八十路の紙と筆 |
黒嶋海童 |
佳 |
紙コップ踏んで新たな策を練る |
失名 |
佳 |
札束の額コンニャクで確かめる |
村岡義博 |
人 |
煩悩をすり抜けてきた再生紙 |
水田蓉子 |
地 |
判捺した紙一枚に責められる |
黒嶋海童 |
天 |
ジェラシーを拭って紙は白いまま |
安部美葉 |
軸 |
プライドを贈る老舗の包装紙 |
平井美智子 |
兼題 「記憶」 黒嶋海童 選
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歯が抜けたように記憶が飛んでいる |
樋口祐子 |
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辛すぎて記憶も新た喪が続き |
奥西勇人 |
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君の名がやっと出て来た三次会 |
中桐徹 |
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もの忘れ私二階になに取りに |
今野美恵子 |
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二日酔い昨夜のことが分らない |
矢野野薫 |
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あちこちにハサミの音がする記憶 |
黒田忠昭 |
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震災の記憶が揺れる空青く |
荒岡浩志 |
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アルバムに記憶が戻る走馬灯 |
長野峰明 |
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つつかれて記憶に無いとシラを切る |
山本さとし |
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自分史の準備に記憶仕訳する |
内藤夢彦 |
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薄れゆく記憶の中に聴く勅語 |
野口修 |
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子も二十歳記憶の底のルミナリエ |
長川哲夫 |
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故郷の記憶を刻む古時計 |
山辺和子 |
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君の名はある日突然思い出す |
岸本博子 |
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初恋の遠い記憶はセピア色 |
河端世起子 |
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脳内でぼかし模様になる記憶 |
宇山昌成 |
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初恋の記憶に残る通り雨 |
松本光江 |
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AIが人の記憶を食べに来る |
延寿庵野 |
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幸せにするよと言った記憶ない |
今津隆太 |
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藁草履で駆けた記憶が糧となり |
山内迪 |
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悪いことしたから記憶有りません |
黒田忠昭 |
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証人喚問記憶の淵は澱み過ぎ |
長川哲夫 |
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花の名を忘れた母と観る桜 |
山辺和子 |
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若い日の記憶をたどるジャズ喫茶 |
宇山昌成 |
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日溜りで遠い記憶に遊ぶ父 |
田中俊子 |
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たけくらべ遠い記憶の柱疵 |
赤井花城 |
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出会いの日記憶にぽっと点く灯り |
岸本博子 |
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教育勅語すらすら言える認知症 |
矢野野薫 |
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ほろほろと時が攫って行く記憶 |
辰巳和子 |
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戦中の記憶消えないさつま芋 |
桂ひろし |
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二次会から記憶が飛んだ千鳥足 |
倉周三 |
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目の前の君の名前が出てこない |
前川和朗 |
佳 |
古稀過ぎて一気に落ちた記憶力 |
倉周三 |
佳 |
あの世でも妻の名前は憶えてる |
上野五柳 |
佳 |
幼い日の記憶恐怖とひもじさと |
盛無球 |
佳 |
記憶はない言い切る顔にある歪み |
野口修 |
佳 |
噛み合わぬ記憶を紡ぐ日向ぼこ |
河合敏夫 |
人 |
都合よく作り直してゆく記憶 |
平井美智子 |
地 |
手のひらが記憶している母の背な |
荒岡浩志 |
天 |
眼で告げた別れは遠い日の記憶 |
古橋茂子 |
軸 |
年を経た辛い記憶は美しい |
黒嶋海童 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
古橋 茂子 |
長川 哲夫 |
岸本 博子 |
今野美恵子 |
桂 ひろし |
上野 五柳 |
水田 蓉子 |
山辺 和子 |
青木 公輔 |
小倉 修一 |
山本としや |
田原 宏一 |
沼尾美智子 |
大谷 祝星 |
延寿庵野 |
平井美智子 |
前川千津子 |
安部 美葉 |
牧野 和子 |
松本 光江 |
黒嶋 海童 |
盛 無球 |
森本 佳子 |
河合 敏夫 |
斎藤 功 |
前川 和朗 |
村岡 義博 |
今津 隆太 |
中桐 徹 |
二宮千栄幸 |
山内 迪 |
宇山 昌成 |
倉 周三 |
矢野 野薫 |
井上 登美 |
荒岡 浩志 |
下山田靖子 |
野口 修 |
山本さとし |
内藤 夢彦 |
黒田 忠昭 |
前川 淳 |
水田 裕子 |
中内眞佐子 |
池田 史子 |
樋口 祐子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
小山 紀乃 |
河端世起子 |
豊野 光子 |
森本 高明 |
川畑めぐむこ |
奥西 勇人 |
田中 俊子 |
中谷 光男 |
長野 峰明 |
辰巳 和子 |
中内眞佐子 |
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