平成28年1月31日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「飾る」 安部美葉 選
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廃屋の窓にもあったしめ飾り |
樋口祐子 |
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全てよし飾る言葉は有難う |
池田史子 |
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私を飾る心を持って生き |
前川千津子 |
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いざとなれば飾り言葉の二つ三つ |
山内迪 |
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素顔ではないので今日は泣きません |
古橋茂子 |
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春立ちぬ老いを飾って赤い靴 |
久山節子 |
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五線紙に人生劇場飾りたて |
矢野野薫 |
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飾っても酒が本音を暴き出す |
中尾さる |
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有終の美は飾れない爪の垢 |
中桐徹 |
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作らねば最後を飾るもの何か |
盛無球 |
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表向き笑顔の裏に抱くマグマ |
長野峰明 |
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家族葬それでも少し壇飾り |
斎藤功 |
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目一杯派手めに飾る私小説 |
平井美智子 |
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雛人形飾りひと部屋華やかに |
森本佳子 |
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再会へ饒舌になるネックレス |
山辺和子 |
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美しく老いたし花も咲かせたい |
倉周三 |
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飾らない人柄でした共白髪 |
水田蓉子 |
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巻頭を飾る言葉が出てこない |
二宮千栄幸 |
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美辞麗句言葉飾るも愛空ろ |
水田蓉子 |
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着飾ってみてもかくせぬ首の皺 |
大谷祝星 |
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義理チョコへ愛のマークを包み込む |
樋口祐子 |
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ブランドで飾って心飢えている |
辰巳和子 |
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巧言の裏には怖い罠がある |
内藤夢彦 |
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流行を求め飾ってからの飢え |
野口修 |
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時に耐え流れに耐えている飾り |
野口修 |
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命短し着飾る時を愛おしむ |
樋口祐子 |
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食前に薔薇を飾って老いの贅 |
前川和朗 |
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着飾ってみても座席を譲られる |
中桐徹 |
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耐えに耐え勝ち得た賜杯飾る春 |
盛無球 |
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淋しいと言うまい今日は雛飾る |
古橋茂子 |
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終章を錦の文字で飾りたや |
矢野野薫 |
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拭き上げてトイレに飾る菊一輪 |
沼尾美智子 |
佳 |
虚飾みな落として眠る冬木立 |
前川淳 |
佳 |
修飾語並べ中身のない話 |
辰巳和子 |
佳 |
飾らない一言沁みる胸の底 |
盛無球 |
佳 |
渦巻きの芯に飾っている何か |
野口修 |
佳 |
誠実と言う名で飾る終の章 |
黒嶋海童 |
人 |
子を叱る言葉に飾りなど要らぬ |
黒嶋海童 |
地 |
売られゆく牛にれんげの首飾り |
桂ひろし |
天 |
晩節を飾る一句がまだ詠めぬ |
辰巳和子 |
軸 |
花一輪そそと飾って我が家春 |
安部美葉 |
兼題 「時」 鱸紅雷 選
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時は今三分の二の鬩ぎ合い |
丸田坡 |
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ロスタイム1点差でのせめぎ合い |
中谷光男 |
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潮時を悟る椿が落ちていく |
田中俊子 |
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キスされた時からあなたただ一人 |
村上氷筆 |
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一円は一円なりに時を待つ |
木村稔 |
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栄光のときは語らぬ古時計 |
奥西勇人 |
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歳月をかけて紡いでいく絆 |
田中俊子 |
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運転免許そろそろ返す時悟る |
奥西勇人 |
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古時計ボンと明治の家軋む |
青木公輔 |
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決断の時だしっかり大地踏む |
野口修 |
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両の手を合わせる時は真人間 |
辰巳和子 |
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そんな時頭を低くやり過ごす |
長野峰明 |
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会期末時間と数の鬩ぎ合い |
山本としや |
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日時計を休ませている春の雨 |
黒田忠昭 |
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時々は鬼になりたい女かな |
前川千津子 |
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片時をいちごの世話に草むしり |
山内迪 |
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よしましょうその話もう時効です |
山本さとし |
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越後屋は時代変われど寅羊羹 |
中桐徹 |
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あんた暇ならタイムサービス行ってきて |
黒田忠昭 |
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リセットをしたい命の砂時計 |
黒嶋海童 |
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スマホにライン時の流れに追いつけず |
沼尾美智子 |
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生きてる時金つかわねば何時つかう |
上野五柳 |
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あの時の母の言葉が今分かる |
辰巳和子 |
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それぞれの時がモノ言う同窓会 |
岸本博子 |
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点滴が命に沁みる時を待つ |
荒岡浩志 |
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愛された時を手繰ればなお淋し |
久山節子 |
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時駆ける少女三人清々し |
井上登美 |
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じんわりとひにち薬が効いてくる |
平井美智子 |
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看取りにも時には使う飴とムチ |
古橋茂子 |
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雪女抱きしめた時夢覚める |
桂ひろし |
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時よ止まれこのまま君と沈みたい |
倉周三 |
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時遅くあと一段で発車ベル |
二宮千栄幸 |
佳 |
一時間八百円は私の値 |
内藤夢彦 |
佳 |
時すでに遅し流氷とけていく |
安部美葉 |
佳 |
時々拗ねる抱きしめて欲しいから |
倉周三 |
佳 |
時を越え親の慈愛を満月(つき)にみる |
松本光江 |
佳 |
輝いた時もあったにホームレス |
黒嶋海童 |
人 |
今時のその若者に支えられ |
丸田坡 |
地 |
テロ続き鳴かなくなった鳩時計 |
みぎわはな |
天 |
時を見て妻に言わねばありがとう |
盛無球 |
軸 |
時は残酷母が時々あんた誰 |
鱸紅雷 |
兼題 「ナンバー」 前川和朗 選
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ナンバーに記載はされぬ努力賞 |
平井美智子 |
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初恋のTELナンバーはまだ胸に |
久山節子 |
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年賀状下二桁も当たらない |
井上登美 |
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ナンバーを隠し暴走する青春 |
山本さとし |
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ナンバーワンもうあきらめて日向ぼこ |
大谷祝星 |
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切れ者のナンバー2が握る鍵 |
村上氷筆 |
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ナンバーツーでよいではないか頑張れば |
前川淳 |
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ナンバーワンよりオンリーワン目差したい |
辰巳和子 |
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ナンバーワン保つ努力は血の涙 |
みぎわはな |
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悪ガキでナンバーワンと言う異名 |
二宮千栄幸 |
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ナンバーの縁起を担ぐ答案紙 |
長野峰明 |
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心まで掴ませないぞマイナンバー |
古橋茂子 |
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守秘義務と押しつけられたマイナンバー |
古橋茂子 |
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ナンバーが轢き逃げ犯に縄を打つ |
鱸紅雷 |
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春近しまだ届かないマイナンバー |
水田蓉子 |
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やっと覚えるマイナンバーの語呂合わせ |
小山紀乃 |
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国民にうむを言わせず背番号 |
上野五柳 |
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引出しで様子見ているマイナンバー |
下山田靖子 |
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マイナンバー寿限無と長さ競う肚 |
田原宏一 |
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マイナンバーどんなドラマが生まれるか |
牧野和子 |
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十二桁人生初のマイナンバー |
大谷祝星 |
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マイナンバー背負い泣いたり笑ったり |
山辺和子 |
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フルネーム数字で書くと十二桁 |
内藤夢彦 |
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ナンバースリー辺りの地位が性に合う |
青木公輔 |
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人間をナンバーで呼ぶ新時代 |
桂ひろし |
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抽出しの中でナンバー待たされる |
前川千津子 |
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ナンバーで国民統治する気配 |
辰巳和子 |
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マイナンバー芋づる式に調べられ |
井上登美 |
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マイナンバー付けて徘徊放っとかれ |
倉周三 |
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マイナンバー新たな歴史始まるか |
牧野和子 |
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マイナンバー手におちゃらけすぎた甘利さん |
下山田靖子 |
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墓石にもマイナンバーを刻んどく |
黒田忠昭 |
佳 |
ナンバーワンでなくてよいから側に居て |
森本高明 |
佳 |
下取りのナンバープレートタイで会う |
池田史子 |
佳 |
パスワード愛しい人の誕生日 |
平井美智子 |
佳 |
黄泉での戸籍欠番になっている |
前川淳 |
佳 |
ナンバーは付けまい我が子みな宝 |
黒嶋海童 |
人 |
マイナンバーあの世へ続く一里塚 |
沼尾美智子 |
地 |
マイナンバー覚え切れずに春の風邪 |
古橋茂子 |
天 |
逝く順序乱数表で呼ぶ閻魔 |
山本としや |
軸 |
慣れてないナンバーワンに落ちつけず |
前川和朗 |
兼題 「人気」 平井美智子選
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人気無い二階の音に身構える |
村上氷筆 |
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ラップ調人気集めた安保デモ |
木村稔 |
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お一人様一個に並ぶ人気店 |
田中俊子 |
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ゆるきゃらの名前を全部言えますか |
みぎわはな |
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五郎丸カットが増える理髪店 |
久山節子 |
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人気スター素顔に鍵を掛けて出る |
鱸紅雷 |
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マスコミの手に踊ってる人気者 |
長野峰明 |
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人気狂わすひとつの恋のスキャンダル |
青木公輔 |
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人気出て接客悪くなった店 |
黒嶋海童 |
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いつまでも続くことない金・人気 |
安部美葉 |
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人気もギャラもとっくに弟子に負けている |
倉周三 |
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バスツアー安さ人気に落とし穴 |
村岡義博 |
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露天風呂おさるの家族人気者 |
下山田靖子 |
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医師よりも坊さん人気のクラス会 |
中桐徹 |
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七光り抜けて人気は本物に |
古橋茂子 |
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程々の人気を保ち輪の中に |
青木公輔 |
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認知症ゼッケンつけて人気出る |
桂ひろし |
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バレンタインチョコに男を試される |
野口修 |
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海外へ行くなら和服持参せよ |
牧野和子 |
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シングルになって人気の出る女優 |
中桐徹 |
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スマップの人気者でも要る謝罪 |
山内迪 |
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人気取り無理は承知のマニフェスト |
大谷祝星 |
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芸達者な子役が人気掻っ攫う |
辰巳和子 |
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ほどほどの人気で生きてはや傘寿 |
前川和朗 |
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人気店並ぶほどではない味だ |
河端世起子 |
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またひとつ消える人気の老舗の灯 |
安部美葉 |
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人気取りに節操などはないと知る |
前川淳 |
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初孫が茶の間の人気独り占め |
黒嶋海童 |
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年金の下りる日孫が寄ってくる |
黒田忠昭 |
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人気者一人が皆をなごませる |
森本佳子 |
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人気者だから厳しい風に会う |
大谷祝星 |
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人気波ざあーっと引いて目が覚めた |
岸本博子 |
|
人気者の脚を引っ張る黒い爪 |
盛無球 |
佳 |
わが家では人気分け合うポチとタマ |
上野五柳 |
佳 |
少子化へ孫かまう手の十重二十重 |
久山節子 |
佳 |
絶頂の人気を妬む旋風 |
長野峰明 |
佳 |
似非人気十日経つ間に消える泡 |
盛無球 |
佳 |
ショーウィンドー春の流行りを整える |
野口修 |
人 |
並ぶのは平気豚まん蒸し上がる |
山辺和子 |
地 |
人気絶頂その先にある落し穴 |
青木公輔 |
天 |
人気者孤独の底は覗かせぬ |
辰巳和子 |
軸 |
肩書きの人気だと知る停年後 |
平井美智子 |
兼題 「抜く」 黒嶋海童 選
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力抜くコツも心得母を看る |
辰巳和子 |
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一度抜けて敷居の高くする古巣 |
山内迪 |
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貧乏神抜きつ抜かれつ世を渡る |
倉田雄登美 |
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九十年舌を抜かれる嘘もあり |
丸田坡 |
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終盤は気を抜きありのまま生きる |
荒岡浩志 |
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この句なら柄井先生でも抜くぞ |
上野五柳 |
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永久歯とおーの昔に皆抜けた |
倉周三 |
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詫びことば誤解晴らして抜けた棘 |
川畑めぐむこ |
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人ごみを抜けてひとりの靴の音 |
山辺和子 |
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ランク付けされたくはない輪を抜ける |
辰巳和子 |
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抜きつ抜かれついいライバルだそして友 |
山本さとし |
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抜歯してもう全快の気にさせる |
大谷祝星 |
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手抜きにも叱る夫なし除夜の鐘 |
池田史子 |
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生き抜いた昭和回顧に母の影 |
大谷祝星 |
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抜け道をよく知る人について行く |
水田蓉子 |
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舌抜いてやろか議員の嘘ばかり |
二宮千栄幸 |
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まあ力抜いて見なはれ楽でっせ |
鱸紅雷 |
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父の年抜いて抱いてる丸い膝 |
古橋茂子 |
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コルク栓うまく抜けない古ワイン |
今津隆太 |
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今ここで抜いたら竹光がばれる |
倉周三 |
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気を抜くと九条いつか消されます |
鱸紅雷 |
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脳幹に刺さる憤怒の棘を抜く |
前川淳 |
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喜寿祝うシャンパンを抜く軽い音 |
盛無球 |
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湯に沈む糸抜いた跡指が這う |
田原宏一 |
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毛が三本抜けて利口な猿になる |
樋口祐子 |
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筒抜けになるから言えぬ君の名は |
古橋茂子 |
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身代金一枚抜いても分かるまい |
山本としや |
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あどけない顔で男の牙を抜く |
田中俊子 |
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栓を抜くシュワッと昔あふれでる |
山辺和子 |
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棘抜いてバラは抱かれる夢を待つ |
長野峰明 |
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とげ抜きの上手い男で苦労人 |
村岡義博 |
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数の子の塩を抜いてる割烹着 |
矢野野薫 |
佳 |
あと一本抜けばいよいよ総入れ歯 |
中桐徹 |
佳 |
風呂の栓抜いてひと日を締めくくる |
村上氷筆 |
佳 |
競い合い抜けて大きくなる器 |
野口修 |
佳 |
妻の栓抜けば溺れる愚痴の海 |
みぎわはな |
佳 |
毛が抜けるからあの会社辞めました |
森本高明 |
人 |
険悪な空気を抜いた大クシャミ |
長野峰明 |
地 |
抜け穴を利権と賄賂往き来する |
盛無球 |
天 |
子に抜かれ父は嬉しい顔をする |
平井美智子 |
軸 |
愚直にも男の筋は通し抜く |
黒嶋海童 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
桂 ひろし |
大谷 祝星 |
牧野 和子 |
倉田雄登美 |
二宮千栄幸 |
古橋 茂子 |
山辺 和子 |
長野 峰明 |
森本 佳子 |
今野美恵子 |
岸本 博子 |
黒田 忠昭 |
前川千津子 |
山本としや |
荒岡 浩志 |
盛 無球 |
水田 蓉子 |
安部 美葉 |
黒嶋 海童 |
山内 迪 |
村岡 義博 |
平井美智子 |
斎藤 功 |
下山田靖子 |
みぎわはな |
鱸 紅雷 |
辰巳 和子 |
上野 五柳 |
山本さとし |
久山 節子 |
中桐 徹 |
井上 登美 |
内藤 夢彦 |
沼尾美智子 |
田原 宏一 |
倉 周三 |
前川 和朗 |
今津 隆太 |
野口 修 |
矢野 野薫 |
前川 淳 |
青木 公輔 |
中尾 さる |
池田 史子 |
樋口 祐子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
森本 高明 |
小山 紀乃 |
中谷 光男 |
河端世起子 |
田中 俊子 |
木村 稔 |
奥西 勇人 |
村上 氷筆 |
川畑めぐむこ |
丸田 坡 |
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