平成27年7月26日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「七十」 村岡義博 選
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七十年前の私は美少女で |
沼尾美智子 |
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もう七十まだ七十の生きる道 |
瀬島流れ星 |
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戦後七十りんごの歌も遠くなる |
辰巳和子 |
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満州へ恋を忘れて古希になる |
樋口祐子 |
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敗戦と551が七十年 |
矢野野薫 |
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父・母よ70年は恋しかり |
沼尾美智子 |
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古希記念画集など出しただ得意 |
前川和朗 |
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古稀すぎてスローライフになる二人 |
山辺和子 |
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七十の手習いまたも挫折感 |
井上登美 |
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九十の現役七十を叱る |
みぎわはな |
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終戦をお腹で聞いた娘も古稀に |
山辺和子 |
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七十歳長寿を決める分水嶺 |
岸本博子 |
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七十年疎開先での終戦勅語 |
河合敏夫 |
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七十年癒える事ない傷の跡 |
久山節子 |
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七十年過ぎても島で揉めている |
鱸紅雷 |
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万華鏡七十路あたり相聞歌 |
前川和朗 |
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百までは生きる七十路始発駅 |
瀬島流れ星 |
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古希なんて未だ人生のテスト生 |
川人良種 |
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七十を越え人情の機微にふれ |
大谷祝星 |
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七十の恋じんわりと茄子を焼く |
平井美智子 |
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七十年談話八十路になれどチンプンカン |
中桐徹 |
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七十の若さを囃す趣味の会 |
瀬島流れ星 |
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未熟な柿ふところに抱き古希こえる |
山本としや |
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途中下車する間なかった七十路坂 |
山内迪 |
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シナリオはいらない七十からの生 |
古橋茂子 |
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七十が喘ぎみあげる寺の坂 |
大谷祝星 |
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ケロイドが被爆体験語り継ぐ |
山辺和子 |
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七十才のゆらぎ落着いて来た八十路 |
山内迪 |
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老斑は七十年の風語る |
牧野和子 |
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七十年戦語らず逝きし父 |
水田蓉子 |
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七十路の坂まだときめきの風を待つ |
辰巳和子 |
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七十年前のあの日の空青く |
田原宏一 |
佳 |
七十年アッと言う間の夢芝居 |
倉田雄登美 |
佳 |
玉音でつないだ首で七十年 |
長野峰明 |
佳 |
七十年核のこわさが身に纏う |
二宮千栄幸 |
佳 |
七十路を黒字で生きてきた誇り |
川人良種 |
佳 |
息詰めて首相談話を待つ世界 |
荒岡浩志 |
人 |
七十年かけて見頃の貌となる |
川人良種 |
地 |
九十の母七十の息子を案じ |
倉周三 |
天 |
七十の自画像に足す紅の色 |
平井美智子 |
軸 |
抑えとれギンギラギンの古希でいる |
村岡義博 |
兼題 「草」 斎藤功 選
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草いきれ記憶の底に青い恋 |
二宮千栄幸 |
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草餅を買って帰ろう老妻が待つ |
上野五柳 |
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塾のためエースが抜ける草野球 |
久山節子 |
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草笛が淋しい村に響き合う |
樋口祐子 |
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四ツ葉の幸きっとあるはず草むらに |
岸本博子 |
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夏草の生うに任せて住む孤愁 |
赤井花城 |
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夏草のみどり目に染む病み上り |
田中俊子 |
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露草にてんとう虫の見え隠れ |
河端世起子 |
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地に還す遊び疲れた猫じゃらし |
古橋茂子 |
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ねじり草健気にピンと自己主張 |
井上登美 |
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初恋をのせた草笛よく響く |
長野峰明 |
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ゴーヤなど蔓草延ばしエコの壁 |
中谷光男 |
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賑々と秋草誘い里神楽 |
井上登美 |
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八月の草笛胸に生きている |
樋口祐子 |
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なにげなく草籠に百合活けてある |
二宮千栄幸 |
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草萌える青い山脈希望燃え |
倉田雄登美 |
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草引きに疲れて頼る除草剤 |
今野美恵子 |
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雑草のど根性見る雨上がり |
水田蓉子 |
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虫の音も上手下手あり草を刈る |
田原宏一 |
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雑草も愛されたくて背伸する |
藤田雪菜 |
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爽やかな草刈り汗のボランティア |
奥西勇人 |
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無人駅あわだち草の自尊心 |
松本光江 |
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草引けば草も意地から盛り返す |
小山紀乃 |
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八月の記憶の底の草いきれ |
辰巳和子 |
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草の名を知れば気になる花の色 |
盛無球 |
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草の露が守る小ちゃないのちたち |
みぎわはな |
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草刈りを任されてヤギ不貞寝する |
荒岡浩志 |
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球拾い妻を借り出す草野球 |
大谷祝星 |
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ステテコがライトを守る草野球 |
倉周三 |
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さがし物上手になった草野球 |
黒田忠昭 |
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草いきれローカルバスの時間待ち |
河合敏夫 |
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草に寝てふんわり雲の掛蒲団 |
水田蓉子 |
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水草の花に数多の雑鮎群れ |
大谷祝星 |
佳 |
雑草を愛でて耳貸す四季の風 |
瀬島流れ星 |
佳 |
草いきれ子らは元気にかくれんぼ |
沼尾美智子 |
佳 |
浮き草のように流されはや傘寿 |
前川和朗 |
佳 |
草々と結びにいつも母の文 |
矢野野薫 |
佳 |
ふたりには空しか見えぬ草いきれ |
黒田忠昭 |
人 |
雑草の強さが欲しい失意の日 |
山辺和子 |
地 |
父母眠るその一坪の草を引く |
倉周三 |
天 |
目を閉じて亡母の声聞く蓬餅 |
長野峰明 |
軸 |
古顔と庭にはびこる多年草 |
斎藤功 |
兼題 「ケーキ」 瀬島流れ星選
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ケーキよりお酒がいいと言う娘 |
盛無球 |
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角々にケーキ多彩な港町 |
斎藤功 |
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バイキング小皿のケーキ持ち帰る |
山本としや |
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均等とケーキ切る手に目が光る |
荒岡浩志 |
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ケーキの名読めずに悔やむ多国籍 |
南つかさ |
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ケーキより田舎饅頭舌に合い |
藤田雪菜 |
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別腹と食後のケーキ囁かれ |
前川和朗 |
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ケーキ二個食べて補給をする笑顔 |
平井美智子 |
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いつからかローソク立てぬ誕生日 |
田中俊子 |
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爺さんの喜寿のケーキを待つみんな |
黒田忠昭 |
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シュークリーム食べにくかった初デート |
古橋茂子 |
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ダイエットケーキと少し距離をおく |
山辺和子 |
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酔った手が土産のケーキ下げている |
大谷祝星 |
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手作りのケーキが慰めてくれる |
小山紀乃 |
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夢見てるロールケーキの丸かじり |
盛無球 |
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手土産のケーキで客の株上る |
古橋茂子 |
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暑気払いせめてケーキはモンブラン |
中桐徹 |
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ママのより店のがいいと子供の目 |
岸本博子 |
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たん生日せめてケーキは華やかに |
松本光江 |
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甘くないシフォンケーキは味方かも |
小山紀乃 |
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貧しくもショートケーキで誕生日 |
倉周三 |
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ロールケーキ横目に検査日を待って |
牧野和子 |
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ケーキ屋の前でメタボが迷ってる |
大谷祝星 |
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バイト帰り百円ケーキ下げて来る |
川畑めぐむこ |
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カラフルなケーキ目移りバイキング |
水田蓉子 |
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ケーキより餡こが好きと女の子 |
二宮千栄幸 |
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顔面にケーキ投げ合うバカ喜劇 |
長野峰明 |
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贅沢な酒とケーキの二刀流 |
山内迪 |
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店頭のケーキに迷う孫の指 |
河合敏夫 |
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罪ほろぼしのケーキひとつが掌に重い |
山辺和子 |
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神戸では味に外れのないケーキ |
久山節子 |
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切り分けたケーキではかる俺の位置 |
前川和朗 |
佳 |
朝ドラが奇麗なケーキ目に食わす |
長野峰明 |
佳 |
愛と哀幾つ重ねてミルフィーユ |
辰巳和子 |
佳 |
詫び入れるつもりかケーキ下げている |
田中俊子 |
佳 |
女子会はケーキセットでお開きに |
井上登美 |
佳 |
いも羊かん供えて巡る八月忌 |
赤井花城 |
人 |
ケーキ入刀なぜか別れの予感する |
倉周三 |
地 |
手作りのケーキで彼の骨を抜く |
辰巳和子 |
天 |
手土産のケーキで母と娘の時間 |
山内迪 |
軸 |
指差して買う読みにくい名のケーキ |
瀬島流れ星 |
兼題 「言葉」 上野五柳 選
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おはようの言葉で朝が動きだす |
田中俊子 |
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幸せにしてやるって言ったじゃないの |
河端世起子 |
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ありがとうなんて言うから泣けてくる |
平井美智子 |
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ただ一言愛してるよりありがとう |
岸本博子 |
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暑い暑い言いながらよう食うて飲む |
鱸紅雷 |
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立て板に水の保険屋あやしまれ |
倉田雄登美 |
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女学生に道開けさせる咳払い |
村岡義博 |
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言葉数増えて坊やの誕生日 |
沼尾美智子 |
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無学でも亡父の言葉に筋あった |
山内迪 |
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回覧板言葉も添えてお手渡し |
沼尾美智子 |
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犬掻きで言葉の海を漂流す |
岸本博子 |
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引っ込みのつかぬ言葉と突っ走る |
赤井花城 |
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敬語の裏に少しいじめを匂わせて |
青木公輔 |
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慰める言葉探して肩を抱く |
辰巳和子 |
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言い足りぬ気がしてきつく抱き締める |
平井美智子 |
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目くばせだけでわかる二人の合言葉 |
倉周三 |
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しばらくは温めておく語彙の畑 |
南つかさ |
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補聴器が無くても分かる国言葉 |
黒田忠昭 |
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言の葉を紡いで絆太くする |
水田蓉子 |
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日々新語どっこい言葉生きている |
斎藤功 |
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ごめんなさいそれが言えずにまた喧嘩 |
川畑めぐむこ |
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言葉尻とらえる妻は更年期 |
田中俊子 |
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被災地で励ます言葉見失い |
矢野野薫 |
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思いがけない人から貰う褒め言葉 |
小山紀乃 |
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ひと言の力人生裏返す |
みぎわはな |
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離婚裁判本音ひと言こじれだす |
山本としや |
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一言が足りず別れたコップ酒 |
河合敏夫 |
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まあいいか殺し文句が胸にある |
古橋茂子 |
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訥訥と言葉をつなぐ敗戦記 |
黒田忠昭 |
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言葉巧みにまた老人を泣かすのか |
青木公輔 |
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言葉では表現しがたいニュアンスで |
二宮千栄幸 |
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あの人の言葉に酔えるまだ男 |
矢野野薫 |
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樹が語り風が囁く神の杜 |
みぎわはな |
佳 |
言いたい事言って独りで悦に入る |
山本幸香 |
佳 |
謝っても謝り方でまた揉める |
鱸紅雷 |
佳 |
言葉より嘘の涙が胸を打つ |
荒岡浩志 |
佳 |
ひと言が多く昇進追い越され |
倉田雄登美 |
佳 |
名を持たぬ花に付けたい花言葉 |
盛無球 |
人 |
あの言葉脳裏に刺さり抜けぬ棘 |
井上登美 |
地 |
一言がメスより切れる時がある |
長野峰明 |
天 |
人と人を繋ぐ言葉に込める愛 |
山内迪 |
軸 |
方言はわかるが言えぬ孫ひ孫 |
上野五柳 |
兼題 「財布」 赤井花城 選
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役割を終えて静かな小銭入れ |
南つかさ |
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仕送りの温い手紙を知る財布 |
川畑めぐむこ |
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ヘソクリも貯まらぬ俺の空財布 |
みぎわはな |
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カード一枚諭吉一枚革財布 |
山本としや |
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金の要る話に財布口閉ざす |
山辺和子 |
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ヘソクリは黄色い財布に貯めている |
みぎわはな |
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お財布が気になりつつも時価の鮨 |
山本としや |
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拾うより落さぬように持つ財布 |
上野五柳 |
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空財布カード一枚持つ強み |
水田蓉子 |
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我が家宝大福帳と布財布 |
豊野光子 |
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同窓会男の財布が見栄を張る |
河合敏夫 |
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割勘のレジに財布が姦しい |
辰巳和子 |
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紙幣消え財布で威張るポイント券 |
荒岡浩志 |
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年毎に福運色の財布買う |
今津隆太 |
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財布から万札消えて定年後 |
森本高明 |
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いい母で居たくて財布の紐を解く |
松本光江 |
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円安の値上げラッシュに泣く財布 |
川人良種 |
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財布の出口きりきり締める妻の紐 |
斎藤功 |
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通帳が財布の紐を窘める |
山内迪 |
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明日の夢描いていつも空財布 |
牧野和子 |
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カード部屋ばかり賑わう空財布 |
河合敏夫 |
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ボーナス日が恋し定年後の財布 |
倉周三 |
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いつもいつも腹をすかせている財布 |
平井美智子 |
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パンパンに膨れた財布持て余し |
樋口祐子 |
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小銭ばかり財布の中でせめぎ合い |
藤田雪菜 |
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遊びぐせついて財布が痩せてくる |
矢野野薫 |
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定位置に暮らしの財布かしこまる |
沼尾美智子 |
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軽い財布日々が幸せなれば良い |
牧野和子 |
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サイフには僅かな金とでかい夢 |
平井美智子 |
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勘定が合わず溜息つく財布 |
田中俊子 |
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落した財布丸ごと届く日本国 |
中桐徹 |
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ブランドの財布を持って飢えている |
田中俊子 |
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膨らむと徘徊したくなる財布 |
鱸紅雷 |
佳 |
年金の財布に重い義理の数 |
辰巳和子 |
佳 |
巾着に母の形見の鈴をつけ |
矢野野薫 |
佳 |
万札が入ると浮かれだす財布 |
倉周三 |
佳 |
年金の財布工夫を詰めこんで |
小山紀乃 |
佳 |
身の程を知った財布の慎ましさ |
奥西勇人 |
人 |
年金の財布ええかっこはしない |
村岡義博 |
地 |
青春切符入れて財布の有頂天 |
古橋茂子 |
天 |
生き方を財布の底が知っている |
荒岡浩志 |
軸 |
印伝の財布わたしのステータス |
赤井花城 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
倉田雄登美 |
長野 峰明 |
荒岡 浩志 |
大谷 祝星 |
岸本 博子 |
今野美恵子 |
村岡 義博 |
河合 敏夫 |
瀬島流れ星 |
二宮千栄幸 |
牧野 和子 |
斎藤 功 |
黒田 忠昭 |
盛 無球 |
山本としや |
山本 幸香 |
藤田 雪菜 |
中谷 光男 |
水田 蓉子 |
森本 佳子 |
みぎわはな |
山内 迪 |
久山 節子 |
古橋 茂子 |
田原 宏一 |
鱸 紅雷 |
川人 良種 |
沼尾美智子 |
辰巳 和子 |
上野 五柳 |
倉 周三 |
井上 登美 |
平井美智子 |
前川 和朗 |
山辺 和子 |
矢野 野薫 |
中桐 徹 |
樋口 祐子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
森本 高明 |
今津 隆太 |
松本 光江 |
豊野 光子 |
河端世起子 |
奥西 勇人 |
南 つかさ |
川畑めぐむこ |
青木 公輔 |
青木 公輔 |
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