平成27年1月12日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「スタート」 中桐徹 選
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スタートの一句が抜けて良い兆し |
久山節子 |
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初日の出五年日記の封を切る |
盛無球 |
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同時入社誰が亀やら兎やら |
黒嶋海童 |
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初みくじ凶でスタート蹴躓く |
盛無球 |
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人生の門出に1を積み上げる |
川人良種 |
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初詣傘寿世界へ第一歩 |
上野五柳 |
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合格と決意のかたち書き初める |
久山節子 |
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荒波へ一歩踏み出す新成人 |
倉周三 |
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スタートへ元気じるしがエールくれ |
大谷祝星 |
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定年をスタートにして趣味に生き |
黒嶋海童 |
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今日からは補聴器何でも聞いてやる |
盛無球 |
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ソから出る知床旅情二部合奏 |
野澤淑子 |
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毎日がスタートラインの上に居る |
沼尾美智子 |
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スタートはバレンタインのチョコひとつ |
山辺和子 |
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競争の公平装うヨーイドン |
斎藤功 |
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スタートは名曲喫茶のレモンティ |
古橋茂子 |
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スタートの平和への道パリ燃える |
水田蓉子 |
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スタートを見据えて今日の四股を踏む |
平井美智子 |
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初夢の縁起かついで靴を履く |
長野峰明 |
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床の間に十二支揃え飾ります |
井上登美 |
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スタートで頂上見てる親子亀 |
黒田忠昭 |
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よーいどん人の背を見て走り出す |
岸本博子 |
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スタートに再の字増やす年重ね |
荒岡浩志 |
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スタートに隔たりのあるランドセル |
平井美智子 |
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震災日を出発点とする神戸 |
田原宏一 |
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ポツポツとスタートしだす梅の花 |
沼尾美智子 |
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スタートはみんな真っ白だったはず |
山辺和子 |
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手鍋からスタート遠い昭和の日 |
古橋茂子 |
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いい顔だ今年もこれで乗りきれる |
松本光江 |
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先制のスタートダッシュで威圧感 |
池田史子 |
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超本命スタート遅れ大穴に |
中谷光男 |
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小吉でスタート残り福狙う |
樋口祐子 |
佳 |
スタートのミスを努力で取り戻す |
辰巳和子 |
佳 |
成人式花よ蝶よと祝辞浴び |
倉田雄登美 |
佳 |
スタートは隣り合わせの露天風呂 |
井上登美 |
佳 |
スタートは亭主関白だったのに |
上野五柳 |
佳 |
新年のスタート切って医者通い |
今野美恵子 |
人 |
スタートはあなたに逢った日が全て |
山内迪 |
地 |
朝一番夫がパンを焼く匂い |
松本光江 |
天 |
スタートを春の絵の具で塗る二十歳 |
田原宏一 |
軸 |
皮肉にもテロで始まるひつじ年 |
中桐徹 |
兼題 「炉」 水田蓉子 選
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使い捨て懐炉握って新成人 |
久山節子 |
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懐炉買うことしか出来ぬおもいやり |
山内迪 |
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貼る懐炉そのまま洗濯した悲劇 |
盛無球 |
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使い捨て懐炉今年も重宝し |
前川和朗 |
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窯出しに見る処女作の出来具合 |
中谷光男 |
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怪談に祖母は炉端で得意顔 |
倉田雄登美 |
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溶鉱炉炎で日焼け黒い顔 |
今津隆太 |
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ふる里はだご汁囲む囲炉裏端 |
倉田雄登美 |
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汽車待ちの炉端で点いた恋ごころ |
黒田忠昭 |
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フクシマの嗚咽が原子炉に溜まる |
辰巳和子 |
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炉端には岩魚が二匹魯山人 |
下山田靖子 |
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溶鉱炉の火が落ちてまだ鉄の町 |
倉周三 |
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炉端から昔話に花が咲く |
二宮千栄幸 |
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宙に浮く廃炉そのまま雪景色 |
古橋茂子 |
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溶鉱炉火が消え街も冷えてきた |
上野五柳 |
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里の炉に祖先の歴史見てる今 |
盛無球 |
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原子炉の巨大なロスを世にさらし |
池田史子 |
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笑ったね呑んだね若き日の暖炉 |
沼尾美智子 |
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襟正し柄杓かまえる風炉の前 |
佐々木たみ子 |
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ゆったりと本音出てくるいろり端 |
木村稔 |
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しとやかな香炉が醸す京料理 |
川人良種 |
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炉辺話嘘交わるも聞き上手 |
田原宏一 |
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方言も飛び交う里の囲炉裏端 |
川人良種 |
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床の間の香炉が抱いている野心 |
平井美智子 |
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日本の再起へ燃えた溶鉱炉 |
長野峰明 |
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原子炉の功罪言わず廃棄迫る |
大谷祝星 |
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三世代継いだ囲炉裏の灰温い |
山本としや |
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炉の灰に母が火箸で忍と書く |
黒嶋海童 |
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炉に集う思いは遠く故郷は過疎 |
松本光江 |
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炉を囲み語り明かした青春賦 |
沼尾美智子 |
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暖炉の火だんだん誤解とけて行く |
二宮千栄幸 |
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春遠く炭火はじける囲炉裏ばた |
岸本博子 |
佳 |
もう逢えぬ炉で聴く祖母のわらべ唄 |
松本光江 |
佳 |
稼動するしないに揺れる原子の炎 |
山辺和子 |
佳 |
生き生きて夏炉冬扇の道を行く |
赤井花城 |
佳 |
ゆったりと今日を鎮めていく香炉 |
山辺和子 |
佳 |
民宿の温いもてなし囲炉裏端 |
倉周三 |
人 |
炉を囲むお炭点前や梅ひらく |
牧野和子 |
地 |
原発炉どう裁くのか神ぞ知る |
奥西勇人 |
天 |
炉を囲み絆温めた家族愛 |
長野峰明 |
軸 |
雪舞うてポッケの懐炉自負を持つ |
水田蓉子 |
兼題 「役」 田原宏一 選
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役ひとつ退いたら次の役が待つ |
小山紀乃 |
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一つずつ役を減らして無に還る |
赤井花城 |
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役職を解かれ味わう無聊感 |
川人良種 |
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脇役を通しパセリはシャンと座す |
沼尾美智子 |
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損な役兄黙々と引受ける |
黒嶋海童 |
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役立たぬ飼い犬隣の家守る |
山本としや |
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斬られ役に徹して生きた意地誇り |
川人良種 |
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悪役ですがベッドシーンもありますよ |
黒田忠昭 |
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脇役に徹し見ている絵具皿 |
盛無球 |
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黒子役徹した母を地に還す |
古橋茂子 |
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煙たくて相談役へ祭り上げ |
長野峰明 |
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空くじを引いて喜ぶ役員選 |
岸本博子 |
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引き続き今なら出来るお世話役 |
山内迪 |
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無役だがしがらみ無いとでかい顔 |
斎藤功 |
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出世して貰う役から渡す役 |
中谷光男 |
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記念写真いつも引き立て役になり |
倉田雄登美 |
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幼稚園主役の姫が五人出る |
荒岡浩志 |
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まだ少し役に立つのか呼びにくる |
辰巳和子 |
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世話役の準備万端会和み |
池田史子 |
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颯爽と腰から歩く男役 |
佐々木たみ子 |
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ちょい役に保護者六人齧り付き |
奥西勇人 |
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地理案内の役にポストが立って居る |
長野峰明 |
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気の弱い伊達に役立つサングラス |
倉田雄登美 |
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男だろ役目果せと飛んだ檄 |
水田蓉子 |
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娯楽費も役人ならば裏帳簿 |
松本光江 |
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役損も受ける外なし高齢化 |
池田史子 |
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役職がとれて食事がよく進む |
矢野野薫 |
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地で行ける悪役ですと指名され |
黒嶋海童 |
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世話役を仰せ付かって軽いウツ |
田中俊子 |
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ごみ捨ての役が終生付き纏う |
木村稔 |
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主役にはなれぬと知っているパセリ |
平井美智子 |
佳 |
脇役と思っていないプチトマト |
沼尾美智子 |
佳 |
役付にされて表を掃いてます |
中桐徹 |
佳 |
脇役を演じた妻も主役の座 |
岸本博子 |
佳 |
市役所が元の役場に戻る過疎 |
黒田忠昭 |
佳 |
震災を生で伝える重い役 |
荒岡浩志 |
人 |
それなりの役を持ってるパンの耳 |
樋口祐子 |
地 |
脇役に徹した母の割烹着 |
田中俊子 |
天 |
脇役の三葉にもある自己主張 |
辰巳和子 |
軸 |
去年よりもまた役力士国際化 |
田原宏一 |
兼題 「湯」 平井美智子選
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熱湯をかけられる迄生返事 |
木村稔 |
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チンチンと鉄瓶鳴って窓は雪 |
二宮千栄幸 |
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晩婚へさくら湯が出る老母の家 |
南つかさ |
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ぬるま湯に世間知らずが育ちます |
川畑めぐむこ |
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銭湯で無くしてしまう羞恥心 |
田中俊子 |
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散りばめた星座を掬う露天の湯 |
奥西勇人 |
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生姜湯にほっこり笑顔もどる母 |
小山紀乃 |
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紅帛紗さばく茶室に湯が滾る |
水田蓉子 |
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湯けむりの町でカラコロ下駄の音 |
沼尾美智子 |
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スーパーの籤で当たった足湯旅 |
黒田忠昭 |
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湯の街は年金美人天こ盛り |
中桐徹 |
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湯の花を旅の土産に持ち帰る |
赤井花城 |
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露天湯に心の刺を抜きに行く |
辰巳和子 |
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湯どうふばかり食べて待ちます年金日 |
下山田靖子 |
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湯の花を入れて今夜は旅気分 |
斎藤功 |
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お風呂場で見た夢湯気と共に消え |
盛無球 |
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信頼の友に煮え湯を飲まされる |
川人良種 |
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湯煎する心のしこり素に戻す |
井上登美 |
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老夫婦新湯を譲る年の功 |
今野美恵子 |
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湯上りの色香今でも惚れなおす |
池田史子 |
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日溜りのぬるま湯愛す退職後 |
斎藤功 |
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湯加減を聞くしおらしい日もあった |
山内迪 |
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山の湯にたっぷり愛が紛れ込む |
大谷祝星 |
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愛妻を湯たんぽ代り抱いて寝る |
倉田雄登美 |
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方言が飛び交う足湯姦しい |
黒嶋海童 |
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豚まんの湯気をかかえて急ぐ帰路 |
山辺和子 |
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湯につかり今日いち日を振り返る |
沼尾美智子 |
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仕舞湯に今日の出来栄え聞いてみる |
黒嶋海童 |
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仕舞い湯に体溶かして見る明日 |
川人良種 |
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恥じらいをまとうて湯上りの少女 |
山辺和子 |
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オフィーリアになってまどろむ長い風呂 |
野澤淑子 |
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言い過ぎた悔いを湯船に沈ませる |
辰巳和子 |
佳 |
ぬるま湯で埋めております倦怠期 |
松本光江 |
佳 |
ロボットの声で湯加減知らされる |
赤井花城 |
佳 |
お湯割りに慙愧を入れて年暮れる |
荒岡浩志 |
佳 |
湯気に顔突っ込んで食うひとり鍋 |
上野五柳 |
佳 |
ピチピチの命磨いている産湯 |
奥西勇人 |
人 |
柚子風呂に首まで沈む冬構え |
田原宏一 |
地 |
ぬるま湯を出るきっかけがつかめない |
岸本博子 |
天 |
湯のまちの女将と話す雪のこと |
黒田忠昭 |
軸 |
臥す母の手足を洗う柚子のお湯 |
平井美智子 |
兼題 「予定」 赤井花城 選
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横道に逸れていつでも時間切れ |
木村稔 |
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予定通り私百才まで生きる |
青木公輔 |
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予定なく雨音を聞く師走の日 |
荒岡浩志 |
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予定では今ごろパリのシャンゼリゼ |
沼尾美智子 |
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今年また忙しく成る竹を踏む |
牧野和子 |
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スケジュールぎっしり詰まる余生地図 |
川人良種 |
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来年の予定は鬼に話さない |
山辺和子 |
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駄目元の予定も入れるカレンダー |
奥西勇人 |
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カレンダーの△は医者○句会 |
上野五柳 |
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予定では来る筈だった此の句会 |
矢野野薫 |
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三時間待てど来ぬから振りました |
中桐徹 |
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予定ではわたし今頃玉の輿 |
倉周三 |
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予定なし鳩と遊んでいるひと日 |
山辺和子 |
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予定は未定また覆る妻の言 |
盛無球 |
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予定なし今日も明日も明後日も |
中谷光男 |
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嬉しさは予定のあること初暦 |
古橋茂子 |
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予定にない全没食らい苦い酒 |
長野峰明 |
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葬儀代だけが残るという予定 |
黒田忠昭 |
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アバウトな予定意外な伸び見せる |
田原宏一 |
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急な客予定狂った初デート |
川人良種 |
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誘われて予定ないのに見る手帳 |
辰巳和子 |
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じっと待つ予定時刻を過ぎたバス |
佐々木たみ子 |
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積み終えて予定通りに行く不思議 |
山内迪 |
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合コンの予定はないのに化粧する |
森本高明 |
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初暦妻の予定はすぐ埋まる |
奥西勇人 |
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予定ない明日を楽しむ日々増える |
川畑めぐむこ |
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生まれ変わってもあなたと添い遂げる |
河端世起子 |
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初春からカラフルになる予定表 |
南つかさ |
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ドタキャンも許し合ってる老二人 |
中桐徹 |
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目覚めても予定は無くて二度寝する |
久山節子 |
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病気などなれぬびっしり予定表 |
黒嶋海童 |
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喪の知らせ予定ぐらりと崩される |
水田蓉子 |
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予定狂わす天災はもうごめん |
青木公輔 |
佳 |
予定外恋の歯車くるいだす |
前川和朗 |
佳 |
予定変更やっぱり君の側がいい |
平井美智子 |
佳 |
お互いの介護も入れておく予定 |
平井美智子 |
佳 |
十ヶ月先の予定に生かされる |
岸本博子 |
佳 |
花丸の予定で燥ぐカレンダー |
田中俊子 |
人 |
齟齬ばかり老いの予定は不安定 |
黒嶋海童 |
地 |
予定には無かった風に裁かれる |
辰巳和子 |
天 |
予定組む明日の生への点と線 |
田原宏一 |
軸 |
一年の計が三日で挫折する |
赤井花城 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
川人 良種 |
牧野 和子 |
古橋 茂子 |
井上 登美 |
盛 無球 |
岸本 博子 |
今野美恵子 |
荒岡 浩志 |
大谷 祝星 |
長野 峰明 |
田原 宏一 |
斎藤 功 |
上野 五柳 |
黒田 忠昭 |
中谷 光男 |
中桐 徹 |
久山 節子 |
平井美智子 |
山辺 和子 |
山本としや |
水田 蓉子 |
辰巳 和子 |
山内 迪 |
黒嶋 海童 |
沼尾美智子 |
倉田雄登美 |
野澤 淑子 |
下山田靖子 |
前川 和朗 |
松本 光江 |
池田 史子 |
倉 周三 |
樋口 祐子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
今津 隆太 |
森本 高明 |
南 つかさ |
木村 稔 |
矢野 野薫 |
河端世起子 |
田中 俊子 |
奥西 勇人 |
青木 公輔 |
佐々木たみ子 |
小山 紀乃 |
二宮千栄幸 |
川畑めぐむこ |
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