平成26年7月27日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「ハプニング」 上野多惠子選
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名も知らぬ人から花を送られる |
平井美智子 |
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自動ドアパッと恋へのハプニング |
長島敏子 |
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期待せぬ人から愛を告げられる |
山辺和子 |
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ハプニング片思いでは無いと知る |
古橋茂子 |
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エイヤーで再婚あれはハプニング |
倉周三 |
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電車の旅三度も席を譲られる |
前川和朗 |
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ほっとして座った席に宿敵が |
井上登美 |
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乗り越えてみれば笑いのハプニング |
山内迪 |
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ひょっこりと噂の主が現われる |
川人良種 |
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冷静な妻が何やら慌ててる |
盛無球 |
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ハプニング浅瀬の石がよく滑る |
大谷祝星 |
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ある日からゲリラに化ける低気圧 |
鱸紅雷 |
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ダメトラが勝つからハプニングニュース |
黒田忠昭 |
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飛んでみろきっと未来は茜いろ |
豊野光子 |
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ハプニングいろいろあってばら色に |
山口ヨシヱ |
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動転の後にゆっくり幸が来る |
岸本博子 |
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ハプニングメロンが四つ届けられ |
井上登美 |
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クラス会妻と彼女がニアーミス |
川人良種 |
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小さな生きものが博士号を盗りにくる |
廣嶋英子 |
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道たずね話が合って食事迄 |
今野美恵子 |
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対向車夫が美人乗せている |
辰巳和子 |
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内緒だが大金当ったハプニング |
瀬島流れ星 |
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カルガモに出逢う都会の真ん中で |
山辺和子 |
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ロボットがお帰りなさいと手をついて |
前川和朗 |
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異常気象もうハプニングとは言えぬ |
村岡義博 |
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読経する坊主が急に逝きはった |
両澤行兵衛 |
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ハプニング葬送曲は安来節 |
倉周三 |
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ハンカチを拾いそれからの悪夢 |
みぎわはな |
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ピンクの研究室にも細胞の謀反が |
廣嶋英子 |
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軍機だと間違えられたマレーシア |
矢野野薫 |
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自販機で釣銭多いハプニング |
瀬島流れ星 |
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鱧たべて顎が落ちたりハプニング |
矢野野薫 |
佳 |
逆光で祝辞が読めぬ主賓席 |
荒岡浩志 |
佳 |
神さまのムチか時々ハプニング |
沼尾美智子 |
佳 |
躓いて小さなアザがふたつみつ |
山口ヨシヱ |
佳 |
難題が偶然解けた旨い酒 |
盛無球 |
佳 |
語部の懺悔のなかのハプニング |
水田蓉子 |
人 |
呑んで食べ翌朝トドになっていた |
みぎわはな |
地 |
ハプニング消すためドラム鳴り止まず |
野澤淑子 |
天 |
亀一匹助けてからのハプニング |
山辺和子 |
軸 |
きのうとは別のわたくし遠花火 |
上野多惠子 |
兼題 「紫」 盛無球 選
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百害の紫煙燻らす懲りぬ父 |
奥西勇人 |
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傷心の私の風はパープルか |
松本光江 |
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秋茄子をパクパク食べるうちの嫁 |
河端世起子 |
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お醤油をむらさきと言う気障な人 |
内藤夢彦 |
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紫が好きで孤独な人にされ |
青木公輔 |
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花菖蒲甘く真昼の人集う |
中本三桂 |
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山紫水明心の黒は変わらない |
斎藤功 |
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都市砂漠くゆらす紫煙居場所無し |
鱸紅雷 |
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紫の蛇目が急ぐ先斗町 |
二宮千栄幸 |
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ジャン・ギャバン紫煙なければ絵にならぬ |
中桐徹 |
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紫を着こなし姿勢崩せない |
瀬島流れ星 |
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弥栄を祈る紫の風呂敷 |
沼尾美智子 |
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熟年に成ると紫着こなして |
牧野和子 |
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甲子園で競う紫紺の優勝旗 |
松下比ろ志 |
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紫陽花の殿御まどわす七変化 |
長野峰明 |
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紫も良いねと彼の褒め上手 |
長島敏子 |
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紫裾濃の義経が征く壇之浦 |
山本としや |
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紫の好きな母からひき継ぐ血 |
森本高明 |
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紫が似合うと私だけ信じ |
樋口祐子 |
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その昔紫煙くゆらす様に惚れ |
古橋茂子 |
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リトマスが紫色になる答え |
黒田忠昭 |
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紫の衣で説いた俗世間 |
岸本博子 |
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紫蘇も梅も自給自足を自画自賛 |
山内迪 |
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紫の雲に抱かれて行く花野 |
辰巳和子 |
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水晶は紫結婚予定なし |
上野多惠子 |
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訣れは不意に母の煙むらさき |
古橋茂子 |
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人生は何時か紫煙になってゆく |
松下比ろ志 |
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紫に染めた自慢の一ツ紋 |
山内迪 |
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往年の紫頭巾も年を取り |
長野峰明 |
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紫の朝顔踊るゆかた柄 |
川畑めぐむこ |
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芸一筋紫綬褒章の晴れの顔 |
森本佳子 |
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深いところで光りだす紫の掟 |
廣嶋英子 |
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残照のうすむらさきや人恋し |
山口ヨシヱ |
佳 |
寂聴さん品も下世話も紫衣の内 |
村岡義博 |
佳 |
紫の袱紗が似合う法善寺 |
矢野野薫 |
佳 |
紫陽花の紫女子会は多弁 |
沼尾美智子 |
佳 |
盂蘭盆会お布施に迷う紫の衣 |
両澤行兵衛 |
佳 |
紫陽花の鬱に気付いた蝸牛 |
鱸紅雷 |
人 |
紫に唇染める海開き |
荒岡浩志 |
地 |
触れないでうすむらさきのままがいい |
野澤淑子 |
天 |
影ふたつ薄紫に溶け朧 |
みぎわはな |
軸 |
紫法衣の言葉身に滲む御説法 |
盛無球 |
兼題 「名作」 村岡義博 選
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我が子みて名作だよと妻をほめ |
矢野野薫 |
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唯一のこれが名作娘のえくぼ |
古橋茂子 |
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片言の名作遺す三才児 |
廣嶋英子 |
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日焼けした名作並ぶ父の書架 |
沼尾美智子 |
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名作が語りかけてる紋太の碑 |
川人良種 |
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暑い夏見事競り合う田のみどり |
山内迪 |
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名作と言える西瓜が又旨い |
山内迪 |
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文学書特に名作すぐ飽きる |
斎藤功 |
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俳聖とて名句ばかりじゃないそうだ |
上野五柳 |
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森繁をしのぶ日曜名作座 |
村上氷筆 |
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君の娘にしては名作だと褒める |
長野峰明 |
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名作を並べ読書は嫌いです |
瀬島流れ星 |
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名作と云われて見てもただの壷 |
今野美恵子 |
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藤村の「破戒」再読外は雨 |
奥西勇人 |
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三十冊亡父の日記にはまり込む |
南つかさ |
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運慶の阿吽の像に叱られた |
松下比ろ志 |
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赤毛のアンその後のアンに逢いに行く |
松本光江 |
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脚本の余白読み込む名女優 |
川畑めぐむこ |
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周平の余韻に浸る蝉しぐれ |
辰巳和子 |
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ハウツー本積み名作はひっそりと |
みぎわはな |
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名作も断捨離される古い文字 |
盛無球 |
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名作の映画化本を読み直す |
森本佳子 |
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漱石より銭形平次が面白い |
松下比ろ志 |
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月清か源氏の君に恋い給う |
牧野和子 |
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名作展人の背中を見て帰る |
倉田雄登美 |
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名作の生まれる美田種を撒く |
池田史子 |
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「それから」の漱石やっと「門」叩く |
田原宏一 |
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名作も睡魔に負けた青春期 |
井上登美 |
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フーテンの寅さんのようなうちの人 |
河端世起子 |
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ベルばらのセリフは全部言えますわ |
上野多惠子 |
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名作を産む陶工の眼に炎 |
山辺和子 |
佳 |
「点と線」乗り鉄となる契機 |
山本としや |
佳 |
おや君はスマホで雁を読んでるネ |
野澤淑子 |
佳 |
吾輩は猫であるけど駅長ぞ |
田原宏一 |
佳 |
八十路きて名句一つもままならず |
前川和朗 |
佳 |
三代が読み継ぐ屋根裏の名作 |
黒田忠昭 |
人 |
ゼロ五つ無ければ買えるフェルメール |
川人良種 |
地 |
写楽の絵時が過ぎても壁の花 |
今野美恵子 |
天 |
名作の中のもめんと藁草履 |
廣嶋英子 |
軸 |
三世代読み継いでいるドラえもん |
村岡義博 |
兼題 「モラル」 黒田忠昭 選
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一献の酒もモラルでより美味い |
川畑めぐむこ |
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ポイ捨ての缶がモラルを問うてくる |
山辺和子 |
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すべり込む電車へモラル総崩れ |
瀬島流れ星 |
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最後にはおのが誇りと言うモラル |
斎藤功 |
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モラリスト少なく成ってゆくヒト科 |
牧野和子 |
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鴛鴦の浮気はしない倫理観 |
両澤行兵衛 |
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弁解のたんびにモラル老化する |
田原宏一 |
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人間のモラルを神様は歎く |
上野多惠子 |
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新しいモラルを生きる子等に負け |
水田蓉子 |
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旧師見舞い背広姿のかしこまる |
倉田雄登美 |
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モラル度外視酔うのは阿修羅の恋 |
古橋茂子 |
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モラル無視車内化粧もフルコース |
倉周三 |
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でしゃばってモラル言う人まだ未熟 |
上野五柳 |
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日本のモラルは何処へ泣き議員 |
長島敏子 |
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脱ぎ捨てたモラル散らばるネオン街 |
みぎわはな |
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会社ぐるみモラル問われる食文化 |
森本佳子 |
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現代のモラルの低下躾から |
森本佳子 |
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孔孟の国のモラルを問うてみる |
村岡義博 |
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独りよがりでモラルハザード越えたがる |
松下比ろ志 |
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イケメンの礼儀作法もちょっと変 |
山口ヨシヱ |
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燃え上がる恋にモラルは通じない |
辰巳和子 |
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モラルとや親の背を見て子は育つ |
豊野光子 |
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夏色の風モラルをも吹き飛ばす |
井上登美 |
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歎くまい親と子にあるモラルの差 |
盛無球 |
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モラル守らぬ国お隣にあり困る |
上野五柳 |
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古き良き昭和へ置いてきたモラル |
平井美智子 |
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モラル落ち日本の未来何処へ行く |
釋翔空 |
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飽食でモラルが欠ける街砂漠 |
長野峰明 |
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ゴミ拾う姿眩しいサポーター |
長島敏子 |
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常識の物差しで生くモラリスト |
樋口祐子 |
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ゴミ拾いモラルで勝った日本人 |
川人良種 |
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負の遺産問われるモラル富士のゴミ |
荒岡浩志 |
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若者の街から痩せていくモラル |
山辺和子 |
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モラル無視したい仮面を隠し持つ |
瀬島流れ星 |
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一票にモラルの重さ問うてみる |
沼尾美智子 |
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町内の美化へ早速溝掃除 |
山内迪 |
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大切にしたいモラリストのこころ |
牧野和子 |
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平成のモラル戸惑うことばかり |
山口ヨシヱ |
佳 |
抱っこされモラルを見てる育ってる |
川畑めぐむこ |
佳 |
雑踏の中で傾いているモラル |
青木公輔 |
佳 |
選手より喝采うけたゴミ袋 |
村岡義博 |
佳 |
いくつものモラルで育つモラルの芽 |
岸本博子 |
佳 |
お宝は輝く星と道徳と |
野澤淑子 |
人 |
穏やかに庶民のモラル根付く路地 |
斎藤功 |
地 |
青春の香りうるわしニューモラル |
倉田雄登美 |
天 |
人生の余白もモラル大切に |
井上登美 |
軸 |
道徳の試験実技で落ちました |
黒田忠昭 |
兼題 「約束」 廣嶋英子 選
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指切りが守られ今年五十年 |
井上登美 |
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初デート口約束で待つ不安 |
川人良種 |
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来世の約束をする中ジョッキ |
沼尾美智子 |
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約束の刻も戻らぬブーメラン |
宮本喜明 |
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黙ってて約束守る人間味 |
牧野和子 |
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逢いたくて約束ばかりする小指 |
倉周三 |
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出世払いも約束は約束よ |
上野五柳 |
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人と会う約束守るカレンダー |
今野美恵子 |
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亡き父の約束果し墓参り |
矢野野薫 |
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金かかる約束直ぐにまとまらぬ |
松下比ろ志 |
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約束の場所は極楽三丁目 |
黒田忠昭 |
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約束の白いベンチは黄泉国 |
野澤淑子 |
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約束の固い握手に騙される |
鱸紅雷 |
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約束のベンチに今も君の影 |
松本光江 |
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共白髪約束遂げた五十年 |
盛無球 |
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水やれば約束どおり花は実に |
池田史子 |
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約束をきっちり果たし打つ句点 |
村上氷筆 |
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約束はお雛祭のプロポーズ |
豊野光子 |
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指切りの日から風船膨れだす |
田原宏一 |
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再会の約束虚し千羽鶴 |
倉周三 |
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指切りのケーキが躍る終電車 |
川人良種 |
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過ぎし日の約束想う遍路道 |
斎藤功 |
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指切りを信じて眠る野球帽 |
奥西勇人 |
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再会の約束がある花の寺 |
辰巳和子 |
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約束へ手を振り友がやってくる |
山辺和子 |
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飲むほどに約束軽くなってゆく |
松下比ろ志 |
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生き抜くと約束をした手術台 |
平井美智子 |
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約束のチャンス酒席の鼻の下 |
瀬島流れ星 |
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約束もわからぬ母になっている |
二宮千栄幸 |
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待ち合わせその数分の長いこと |
長島敏子 |
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約手落ちほっと一息するお酒 |
矢野野薫 |
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約束の日にはたしかにバラが咲く |
中本三桂 |
佳 |
約束をしっかり守るいい歩幅 |
山口ヨシヱ |
佳 |
指切りのあの青空が今もある |
宮本喜明 |
佳 |
約束は約束五円返しとく |
青木公輔 |
佳 |
約束を少し破って黄昏れる |
山口ヨシヱ |
佳 |
約束を果した靴の紐を解く |
大谷祝星 |
人 |
ルーペで探す約款の落とし穴 |
村岡義博 |
地 |
素うどんのネギ約束を破らない |
青木公輔 |
天 |
これという約束もなく梅雨明ける |
沼尾美智子 |
軸 |
おとうふと約束がある湯葉の彩 |
廣嶋英子 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
大谷 祝星 |
牧野 和子 |
古橋 茂子 |
山辺 和子 |
豊野 光子 |
長野 峰明 |
盛 無球 |
瀬島流れ星 |
田原 宏一 |
山内 迪 |
二宮千栄幸 |
中桐 徹 |
廣嶋 英子 |
山本としや |
荒岡 浩志 |
倉田雄登美 |
今野美恵子 |
岸本 博子 |
鱸 紅雷 |
水田 蓉子 |
長島 敏子 |
前川 和朗 |
森本 佳子 |
川人 良種 |
上野 五柳 |
両澤行兵衛 |
みぎわはな |
斎藤 功 |
辰巳 和子 |
沼尾美智子 |
黒田 忠昭 |
松下比ろ志 |
平井美智子 |
山口ヨシヱ |
村岡 義博 |
野澤 淑子 |
矢野 野薫 |
倉 周三 |
上野多惠子 |
井上 登美 |
池田 史子 |
樋口 祐子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
森本 高明 |
河端世起子 |
奥西 勇人 |
中本 三桂 |
釋 翔空 |
松本 光江 |
内藤 夢彦 |
南 つかさ |
宮本 喜明 |
村上 氷筆 |
青木 公輔 |
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