平成25年9月23日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
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特別席題  「秋色」  矢野野薫 選
色紙展秋色の富士描いてみる 前川和朗
秋色の日記に綴る白い罪 長川哲夫
赤とんぼから秋が来る石疊 椙元世津
秋茜空の青さを触れ回る 倉周三
添えぬこと覚悟で恋は秋暮色 平井美智子
小走りのヘルパーいきいき秋の色 樋口祐子
秋だものワインレッドの恋ひとつ 下山田靖子
秋色をまとい降り立つ終着駅 岸本博子
夕映えの彩が秋色呼びよせる みぎわはな
初ものと供えるものが多し秋 野澤淑子
セピア色の映画秋に見えてくる 井上登美
秋を越すことなく落ちる蝉の殻 田原宏一
仏壇の菊一輪に偲ぶ秋 長川哲夫
接待の実りあちこち秋遍路 黒田忠昭
ひとり居へご近所からの栗ご飯 椙元世津
触れ合ってほんわかしてる野の芒 黒田忠昭
彼岸会の仏法にふれ秋の色 前川和朗
クレヨンの色が足りない故郷の山 山本ひさゑ
車窓より実る稲穂の黄金色 久山節子
あたり一面を音符にして鰯雲 廣嶋英子
病窓を額縁にして秋の色 豊野光子
熱中症もいつしか去って秋の風 青木公輔
秋色に心は既に信州へ 山本さとし
北国の郷は全山炎える秋 宮本喜明
まだこれでいいでしょうかと掛布団 野澤淑子
虫の声暫しラジオの音を消す 鱸紅雷
コスモスの海で伸ばしている手足 山辺和子
梨ぶどう秋は私を肥らせる 前川千津子
おビールに睨まれながら燗つける 鱸紅雷
盛夏からもう秋色であった虎 上原翔
秋色に山も我が身も赤く燃え 荒岡浩志
みかん山秋の夕陽と色合わせ 黒田忠昭
おはぎ二個買うて夫婦の秋彼岸 廣嶋英子
秋の野へ行く新米の握り持ち 上野五柳
どんぐりを拾い集めて須磨暮色 久山節子
マツタケが安い外来の秋の色 村岡義博
商魂のビールへ秋には秋のネーミング 瀬島流れ星
田は黄金ふとん太鼓の赤が行く 黒嶋海童
干涸びた絵具で秋を塗っている 盛無球
秋色の畦一直線の曼珠沙華 水田蓉子
七癖は解り合うてる紅葉狩り 廣嶋英子
みちのくへ三たび厳しい早い秋 黒嶋海童
錦秋を連れ赤とんぼ山を下り 河原野折杭
虫の声枕の下で聞いて秋 河原野折杭
竜胆の色深まりて風は秋 みぎわはな
平安の文化に倣う月見酒 矢野野薫

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兼題  「救う」  前川淳 選
思わずも聞き耳立てる救急車 松下比ろ志
中秋の月乗せ急ぐ救急車 山本としや
百回笑えば百回救われる 樋口祐子
殺虫剤かけず退出願うだけ 室田隆司
魂の叫びを救う青い空 森本佳子
スパイスの効いた助言で救われる 川人良種
自尊心の鼻を削っている救い 山本ひさゑ
崖っぷち友の機転に救われる 小山紀乃
寺の鐘山の夕日に癒やされる 松本光江
子が掴む片手はいつも空けておく 前田久雄
観音の笑みに悩みが霧消する 村上氷筆
庇い合う人生もある秋の旅 前川千津子
負けたらいかんそんな助言に立ち直り 椙元世津
火へ水へレスキュー隊も命懸け 倉周三
知らんぷり忘れたふりに救われる 村岡義博
ガレキの山救助隊員目が光る 倉田雄登美
痛みから救ってやれぬ母を抱く 平井美智子
職工の奇抜な案が社を救う 瀬島流れ星
救う気の医者に延命断れず 中桐徹
老境に妻のリリーフ冴えて来る 黒嶋海童
大丈夫治しましょうと医師の笑み 久山節子
ゴッドハンドに危い命救われる 辰巳和子
人命救助国境越えてひびく愛 豊野光子
寒空にスープが熱い救世軍 山本としや
眠れない夜更けを救う虫の声 川畑めぐむこ
俊寛の孤独を救う死の作法 長川哲夫
ワンコイン地球を救う募金箱 沼尾美智子
真よりとっさの嘘に救われる 川人良種
難民を救う気持でワンコイン 松下比ろ志
輸血して三途の川を渡らせぬ 矢野野薫
お茶一杯飲んで無聊を救われる 盛無球
藁一本掴みピンチを救われる 辰巳和子
ライバルが溺れるワラを投げてやる 宮本喜明
黒い瞳で癒やす無言のハムスター 村岡義博
ありがとう言葉ひとつで救われる 井上登美
聞こえない振りしてくれて救われる 倉周三
どん底で母の笑顔が危機救う 瀬島流れ星
成人となる献血で救った児 赤井花城
救助するロープに通う血と命 岸本博子
国境なき医師団が行く紛争地 河原野折杭
孤独感温められてる褒め言葉 前田久雄
神の手と呼ばれるメスに救われる 奥西勇人
一本のペンが弱者を救い出す 中村真里子
折れそうな心に君の思い遣り 山辺和子
正直に詫びて心が救われる 山本ひさゑ
助けるべきか飛び降りようとする女 前川淳

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兼題  「世話」  前川和朗 選
いそいそと孫風呂入れに通う日々 河端世起子
世話好きがお世話されてる敬老日 中村真里子
コンパの世話人だけにはなりたくない 森本高明
少子化は仲人口が減ったから 川畑めぐむこ
世話をした庭の立木を惜しみ切る 中本三桂
たくさんの人のお世話で今がある 中村真里子
好きだから嫉妬もします世話も焼く 辰巳和子
弁当作り一つになった子の巣立ち 南つかさ
車椅子押す妻そっと汗ぬぐう 田原宏一
世話もせず長生きせよと口ばかり 倉周三
年寄りの余計な世話や受けなはれ 村岡義博
川柳が手直しされる世話女房 長川哲夫
世話出来ぬいつか来る日の女郎花 長川哲夫
おばちゃんに「まかしときい!」とむこさがし 下山田靖子
風は世話好き見合い話を提げてくる 山辺和子
婚活は世話好き消えてビジネス化 荒岡浩志
恥じらいも慎みも持ち世話受ける 久山節子
父を看る話茶殻がよく溜まる 平井美智子
嘘秘密過去にいっぱい世話になる 宮本喜明
世話になるけど裏庭はイヤ下水処理 村岡義博
世話になったと今更思う父母の墓 松下比ろ志
少子化で世話行き届き巣立たない 中桐徹
意外です外で他人の世話を焼く 山本さとし
お世話役抜きに語れぬ句会報 沼尾美智子
世話好きなこの娘将来介護士か 山本さとし
菊花展針金巻いて待ってます 野澤淑子
しんどいが待ってくれてる人の世話 久山節子
世話を焼き元気で威張る妻貴重 斎藤功
九十才になっても世話を焼きたがる 廣嶋英子
地獄にも世話好きがいる案じるな 上野五柳
定年後仲人業で身を立てる 矢野野薫
捻子一本外れて世話を受けている 盛無球
世話焼きがマンションという長屋にも 上野五柳
何からでもどうぞお世話いたします 長川哲夫
町内にもう世話好きが誰も居ぬ 赤井花城
ボクガセワスルと野良抱く瞳に負ける みぎわはな
世話になったお礼は倍返しする 樋口祐子
赤い薔薇世話女房にはならぬ君 井上登美
この一句肚の虫にも世話になる 宮本喜明
子離れのできぬ世話焼き婆の貌 上原翔
ボランティア不眠不休で感謝され 矢野野薫
「力になれずごめんなさい」と置手紙 下山田靖子
下の世話ずっと続けて或る悟り 村上氷筆
未来永劫お世話しますと妻に言う 河原野折杭
介護する手を感謝する目が見上げ 河原野折杭
世話かかる男の嫁を亡母ほめ 前川和朗

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兼題  「蕎麦」  平井美智子選 
そば殻の三角錐にある秘密 野澤淑子
蕎麦の花一揆の哀話秘めて咲く 黒嶋海童
馴初めはそばの花咲く信濃路で 井上登美
蕎麦の花ほのかに揺れて惑う恋 松本光江
わたくしの胸底に咲く蕎麦の花 前川淳
蕎麦の花咲いたと母の郷便り 橋本凉子
古里の蕎麦が恋しい都市砂漠 山本ひさゑ
先祖守る血筋は遠い蕎麦の花 中本三桂
大盛の蕎麦で始まる信濃旅 黒田忠昭
一ぱいのかけそばにある物語 下山田靖子
あの蕎麦をまた食べたくて汽車に乗る 河端世起子
駅ソバを食べて駆け込む終電車 奥西勇人
噺家の扇子上手に蕎麦を食う 倉周三
参拝の帰り立ち寄る出雲蕎麦 中本三桂
引越しの蕎麦からずっと仲がいい 小山紀乃
蕎麦掻きを教えてくれた人と住む 沼尾美智子
名に懸けて赤字の蕎麦をうつ暖簾 河原野折杭
ざるそばじゃ気分が出ない初デート 上野五柳
相席でざる蕎麦すする昼の膳 山辺和子
たぬきそばわたし好みと決めている 小山紀乃
まず塩で食べてと蕎麦屋つきっきり 野澤淑子
蕎麦好きのうんちく続く宴の席 中村真里子
通振っているけど蕎麦を噛んでいる 倉周三
薄暗く狭いが蕎麦の旨い店 室田隆司
美味しくて帽子忘れてきた蕎麦屋 黒田忠昭
うどん屋のそばもいけます法善寺 上野五柳
かりんとの蕎麦で話がまた弾み 椙元世津
天ぷらそば好きな夫婦で良く喋る 樋口祐子
皿蕎麦の十枚ほどと秋の酒 黒嶋海童
避けられぬ老いだと気付くとろろそば 廣嶋英子
打ってみて蕎麦一本の価値を知る 盛無球
ざる蕎麦の大盛り啜り夏が逝く 赤井花城
辛酸なめるそば屋の温い息匂う 山本としや
そばの花やがて打ちよせ来る孤独 下山田靖子
蕎麦掻きが恋しくなってやがて冬 斎藤功
痛みには触れぬところで蕎麦すする 廣嶋英子
全身で希望をこねる手打そば 前田久雄
音立てゝ蕎麦啜り合うよい夫婦 黒嶋海童
蕎麦湯飲み旨いお茶だと褒めている 中桐徹
背信の咎流し込むとろろそば 長川哲夫
舌鼓打つ隙もなし椀子蕎麦 奥西勇人
相伝の畑一面に蕎麦の花 内藤夢彦
蕎麦枕かさこそ内緒ばなしする 河合敏夫
長話でしたおいしい蕎麦でした 前川千津子
汁吸うた蕎麦を眺めて長電話 平井美智子

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兼題  「互い」  前川千津子選 
沈黙を破る笑顔が響き合う 川畑めぐむこ
亡夫(あなた)と私遠く離れて愛でる月 下山田靖子
兄妹の譲り合ってるケーキ皿 長川哲夫
月淡く互いの傷をつつみ込む 山辺和子
お互いの親を大事にする極意 久山節子
苦笑い互いに捨てた意地っ張り 盛無球
頼母子講踏んでもみたい富士の雪 長川哲夫
知り合った頃の互いに戻りたし 赤井花城
お互いに好きな同士の天の邪鬼 村上氷筆
松茸の返しはり込み神戸牛 内藤夢彦
お互いに持ちつ持たれつ趣味仲間 山内迪
すれ違う日傘斜めにご挨拶 内藤夢彦
神仏が互いに祈る放生会 野澤淑子
お互いに好きと言えないまま秋に 小山紀乃
お互いに何処かで会った顔になる 黒田忠昭
お互いに挨拶しつつ名を探り 荒岡浩志
お互いに相づち打って盛りあがる 松本光江
愛も悲も受け入れ共に往く月日 牧野和子
お互いにプライドがあり弱みあり 岸本博子
お互いの老いには触れず杖をつく 倉周三
お互いに秘めた思いはオフのまま 田原宏一
頑固です互いそっぽを向いたまま 宮本喜明
お互いに老いが始まる物忘れ 牧野和子
お互いに時間を気遣い電話する 今野美恵子
ボランティアお互い様と出る言葉 今野美恵子
お互いさま半分背負って歩く道 岸本博子
老老介護互いに老いを庇い合い 倉周三
苦瓜とトマトが往き来続く仲 岸本博子
年輪を重ね夫婦の歩が揃う 前田久雄
お互いに空気となって金婚譜 辰巳和子
起きとうか電話時々くれる仲 井上登美
お互いが意識しすぎて近寄れず 水田蓉子
にらみ合い互に引けぬ大相撲 矢野野薫
お互いにハムを送ったお中元 久山節子
目線から知るライバルにある敵意 樋口祐子
老いデート念には念の時間場所 黒田忠昭
たかが島されど譲れぬわが領土 室田隆司
文楽人形操る人の息ひとつ 中村真里子
貧乏はお互い様と秋刀魚焼く 黒嶋海童
倦怠期すぎてお互いさまになる 南つかさ
浮き雲と私互にひとりぽち 宮本喜明
頑固虫互いに育て披露する 斎藤功
お互いの佇む秋の月明かり 長川哲夫
お互いに気をつけようと脇を閉め 前川和朗
庇い合う人へトンボも後さきに 前川千津子

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【出席者】 (順不同・敬称略)
廣嶋 英子 牧野 和子 斎藤  功 森本 佳子 長川 哲夫 豊野 光子
河合 敏夫 中桐  徹 川人 良種 山本としや 黒田 忠昭 矢野 野薫
青木 公輔 久山 節子 河原野折杭 山辺 和子 内藤 夢彦 山内  迪
沼尾美智子 上野 五柳 田原 宏一 下山田靖子 山本さとし 荒岡 浩志
盛  無球 古橋 茂子 村岡 義博 今野美恵子 前川 和朗 松本 光江
野澤 淑子 室田 隆司 小島知無庵 鱸  紅雷 水田 蓉子 前川千津子
倉田雄登美 宮本 喜明 黒嶋 海童 松下比ろ志 山本ひさゑ 平井美智子
橋本 凉子 井上 登美 岸本 博子 前川  淳 瀬島流れ星 椙元 世津
みぎわはな 小山 紀乃 上原  翔 倉  周三 樋口 祐子 赤井 花城

【投 句】
中本 三桂 中村真里子 前田 久雄 河端世起子 村上 氷筆 辰巳 和子
森本 高明 奥西 勇人 川畑めぐむこ 南 つかさ

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