平成23年11月27日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
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特別席題  「今年」  田原一兆 選
今年こそいつもの台詞書く賀状 井上登美
カレンダーのあと一枚をしみじみと 室田隆司
悲喜こもごも数多の試練年の暮れ 井上登美
来る年に希望をつなぎ今年暮れ 倉田雄登美
髪染める今年は夫の三回忌 豊野光子
龍へ夢托し兎は昼寝しに みぎわはな
なでしこジャパン女の時代告げている 小山紀乃
忘れぐせ今年はとみに老けはじめ 大谷祝星
今年又弥陀の手のひら駆け廻り 倉田雄登美
この一年生きた親父を越えた年 黒田忠昭
今年限りで終わらせまいぞルミナリエ 村上氷筆
いい年であったと旨い晦日そば 黒嶋海童
今年もバージンロード駄目でした 川人良種
あとすこし生きられそうよ仏さま 前川千津子
古稀になり更にパワーが漲って 久山節子
春の日の哀しみを抱く海の底 平井美智子
今年こそのこそが年々縮こまる 村岡義博
今年こそ言いつつ卯年暮れてゆく 長島敏子
災難の今年を飛ばす風あらた 山内迪
断腸の思いもあるが家も売る 松本光江
いろいろとあったがこれが人の世だ 室田隆司
打ち明ける恋ともならず去年今年 倉周三
今年まだ五欲に悩んだ男です 大谷祝星
出来のいい米も捨てさす放射能 久山節子
今年また女性上位のアスリート 斎藤功
復興の槌音今年も来年も 河原野折杭
ピョンピョンと跳ねることなく終りそう 水田象介
清冽な水辺を卯年過ぎんとす 廣嶋英子
今年もいろいろ有ったなあ妻よ 河合敏夫
今年こそ富士の高嶺に立ちたくて 池田史子
来年に向けて今年の後始末 山内迪
悔いあまた残し今年もあと少し 沼尾美智子
年頭の誓いは未完年の暮れ 辰巳和子
羽化に似た風情で今年嫁にいく 上村さな恵
今年こそと夢を持ったが夢となる 川人良種
原発の賛否問われてきた今年 山辺和子
あれからの兎は昼寝せず走り みぎわはな
がんばれといわれ今年も尻敷かれ 倉田雄登美
今年こそ夫にやさしく添ってゆく 豊野光子
今年こその誓いが残る十二月 山辺和子
千手観音手違いおこすほどの年 上野五柳
踏ん張って生きた今年の足を揉む 平井美智子
父祖の地を今年津波で地図に消え 河原野折杭
みちのくの被災に涙した今年 山辺和子
今年こそ今年こそはと無為に過ぎ 黒嶋海童
苛立ちを鎮めて今年終るかな 田原一兆

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兼題  「役立つ」  辰巳和子 選
人生の岐路を支えた師の一語 長島敏子
財布にあったバンドエイドが役に立ち 村上静子
百均はボクの引き出し打出の小槌 村岡義博
断捨離のゴミから拾うエコな品 みぎわはな
いつか役立つ八十超えて英会話 村岡義博
生きがいを満たして帰るボランティア 内藤夢彦
役立たぬ肩書名刺の裏にまで 倉周三
お早ようが命を継ぐ役目する 田原一兆
まだ少し役に立つらし娘に呼ばれ 倉周三
エプロンの似合う夫に飼育中 平井美智子
食べられる草は抜かずにおいておく 水田象介
私に何が出来るか地震その後 長島敏子
勿体ないまだまだ役に立つ端布 山内迪
叩き売りしようか役に立たぬ夫 河原野折杭
ばあちゃんの躾社会に出て生きる 中村真里子
年賀状住所整理に役に立つ 森本高明
防災訓練役立つ日々が来ぬ事を 水田蓉子
一円玉じっと役立つチャンス待つ 長川哲夫
道草をして雑学が活きてくる 川人良種
鉢植えのネギすくすくとうどんの具 樋口祐子
米寿とて看板娘しています 豊野光子
手の取れた鍋は犬へと払い下げ 久山節子
新聞のコラム話の輪をひろげ 大谷祝星
着ていない冬服被災地へ送る 前川千津子
孫の守り引き受け街の娘と暮らす 室田隆司
豊作の柿を配って顔つなぐ 室田隆司
雨続き防災食の封を切る 久山節子
老骨の身にできるのは義捐金 内藤夢彦
木目込みに亡母の端切れが活きてくる 田原一兆
バッグにあった安全ピンが役に立ち 村上静子
二次会へ雑学問が役に立つ 沼尾美智子
七人の子は遠く住み役立たず 樋口祐子
来るとすぐ肩叩きする三才児 水田象介
もったいないがやがて地球のためになる 中村真里子
幼稚園の送り迎えを引きうける 村上静子
医者嫌いですと富山の置き薬 平井美智子
子はかすがい数度の危機の役に立ち 倉田雄登美
役立つと溜めて断捨離不徹底 村上氷筆
復興に役立ててくれ_ポンと出す 上野五柳
新聞の切抜き博学披露する 大谷祝星
真夜中の熱にごそごそ置き薬 山辺和子
ドナーカード役立つときがきっとある 河合敏夫
役に立つ男をさがす婿ネット 黒田忠昭
復興に少し役立つ募金する 黒嶋海童
役に立つ臓器があれば捧げます 野澤淑子
あなたより余程役立つ諭吉様 辰巳和子

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兼題  「油断」  平井美智子選 
首長く見せて首から風邪をひく 室田隆司
どじょうだと油断してたら増税だ 上野五柳
油断などするな北風南風 長島敏子
寝言でも妻の悪口言えません 森本高明
油断めさるな妻が外した角かくし 松下比ろ志
油断した訳ではないができた溝 倉周三
足の爪切る男の背なにある油断 辰巳和子
出た杭に一寸の油断命取り 水田蓉子
予防注射医院で風邪を移される 河合敏夫
ゆきずりの風に油断をさらわれる 青木公輔
防虫剤忘れ穴空く一張羅 村上氷筆
油断したウエストついにゴム仕様 久山節子
容赦ない鏡に油断攻められる 池田史子
うっかりと心を開く里なまり 豊野光子
物腰がソフトで油断してしまう 山辺和子
耳元で囁く風に油断する 辰巳和子
秘め事もポロリと漏らす丸い胸 室田隆司
赤ワイン甘い言葉に油断する 山辺和子
ほろ酔いに油断唇盗まれる 黒嶋海童
妖怪がうじゃうじゃ油断嗅ぎつける 小山紀乃
順調の時ほど水が洩れ易い 黒嶋海童
盲点を突かれ割り印認め印 沼尾美智子
ライバルに脇の甘さを覗かれる 辰巳和子
蹴飛ばした小石に足をすくわれる 川人良種
街角に潜む悪魔へ油断する 中本三桂
油断などせぬに見事な詐欺師達 斎藤功
油断大敵武士の気骨を口遊む 井上登美
色褪せた「油断」繙く書架の奥 長川哲夫
うたた寝の油断下車駅通り過ぎ 河原野折杭
近頃の風が読めずに風邪をひく 沼尾美智子
船頭の慣れた操舵にある油断 川人良種
大太鼓の音が聞こえぬシンフォニー 黒田忠昭
信号の青が続いている油断 山本ひさゑ
悠々と構えて足をすくわれる 上村さな恵
ふっと気を抜いたばかりに三番手 長島敏子
心地好い椅子に置かれていた油断 山辺和子
退場のうしろ姿に見る油断 久山節子
射程距離程の油断はさせておく 倉周三
すぐそこに交番があり油断する 廣嶋英子
知らぬ間に鬆がはいってた屋台骨 中村真里子
専横の背に忠臣の矢が刺さる みぎわはな
呆けた振り油断をさせる名演技 河合敏夫
偶然が重なる油断なかったか 青木公輔
隙だらけそんな余生と洒落ている 宮本喜明
油断したうさぎは吾が身かも知れぬ 黒嶋海童
必ずや明日があるという油断 平井美智子

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兼題  「陽気」  松下比ろ志選 
借金があるのに陽気な人でんな 倉周三
陽気だし美人なのにまだ独身 森本高明
なぜか皆陽気わたしの送別会 河原野折杭
なにごともプラス思考の妻陽気 大谷祝星
明るくて涙脆くて寂しがり 牧野和子
うきうきと嬉し涙はゼリー状 廣嶋英子
米寿だから陽気な式になりました 森本高明
よく笑う陽気な嫁は福の神 久山節子
苦労にもめげぬ陽気な妻が杖 みぎわはな
堅物に陽気な嫁が来て和む 河合敏夫
美人ではないが陽気な妻がいる 平井美智子
底抜けに陽気愛されすぎて来た 赤井花城
酒二合やっと陽気な父になる 久山節子
帰宅して家中陽気にさせる父 大谷祝星
遠来の友に陽気な父の酒 平井美智子
5時からは酒に陽気な仁王様 みぎわはな
酒は陽気電信柱口説いてる 宮本喜明
うちのママ陽気に元気に家出する 森本高明
小春日の窓辺にエンゼルの羽音 小山紀乃
出囃子も陽気三枝で湧く高座 河原野折杭
寅さんの映画で今日の鬱晴らす 中村真里子
お手本はいつも陽気なサザエさん 辰巳和子
やけに陽気あいつ企みきっとある 宮本喜明
朝風呂で陽気に立てるスケジュール 樋口祐子
紅葉狩陽気な人と道連れに 水田蓉子
独学の火遊び陽気な顔をして 青木公輔
酒を酌む忌明けの喪主に見る陽気 河合敏夫
るんるんと陽気なわたし馬鹿かしら 室田隆司
不自然な陽気な顔を見てしまう 青木公輔
良いことが有ったか口調軽く成る 牧野和子
裏の顔けっして見せぬあの陽気 豊野光子
ボサノバを貧乏神と踊ってる 水田象介
何んか違う妻の陽気にある疑惑 山本ひさゑ
電源を抜いて陽気な声を出す 青木公輔
懐は寒いが外はポカポカだ 水田象介
早送りすると念仏かて陽気 黒田忠昭
文化の日庭に桜が咲きました 水田象介
仲のよい陽気な夫婦の笑いじわ 倉田雄登美
妻は老いても陽気ぼく得をした 上野五柳
赤ちゃんの笑顔陽気な風になる 山辺和子
あの人が入ると笑いの渦ができ 倉周三
どうせなら陽気に締めん年の暮れ 長島敏子
陽気な子すぐ先頭に立ちたがる 黒嶋海童
言い知れぬ苦労あろうにあの陽気 田原一兆
笑い皺苦労の数は語らない 辰巳和子
子も親も陽気にはしゃぐ祭り笛 松下比ろ志

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兼題  「数多」  室田隆司 選
振り向けば恩讐数多抱いて生き 黒嶋海童
傘あまたスクランブルを交差する 野澤淑子
雑踏にしみじみ思う都落ち 山岡幸一
卒塔婆には没句を書いて立てている 水田象介
理由数多離婚もせずに共白髪 上野五柳
降る縁談断り続けた頃が華 倉周三
この先も無駄に埋もれて生きてゆく 宮本喜明
復興へ夢のあまたが加勢する 斎藤功
数多からえらび損ねて今の妻 倉田雄登美
窓側の数多の椅子が待っている 上村さな恵
いつまでを行方知れずの数多の名 赤井花城
豊漁のサンマ被災の港湧く 中村真里子
カタカナ語数多道徳消してゆく 山本ひさゑ
災害死三途の川の舟ラッシュ みぎわはな
趣味あまたあって追われるキリギリス 斎藤功
恥数多せめて散り際美しく 辰巳和子
すぐ惚れる質で振られた恋数多 倉周三
早起きの雀の数多しゃべりすぎ 前川和朗
この世でまだ果たさにゃならん義理数多 上野五柳
妥協する余地は一つに絞っとく 上村さな恵
都心来て監視カメラが多すぎる 山岡幸一
したい事数多ありますまだ逝けぬ 池田史子
万歩計まだ足りませぬ振ってみる 松本光江
舞台からAKBのど迫力 中村真里子
千手観音たましい救う手が足らぬ みぎわはな
ロボットにはじき出された椅子数多 中本三桂
書評読んでみんな読みたいものばかり 村上静子
恥数多掻いて人間出来上る 河原野折杭
捨てもせず数多の無駄と年を越す 沼尾美智子
数多いる中から当る白羽の矢 山内迪
ひと数多紅葉のあわい埋めつくす 黒田忠昭
想い出を数多残して娘が嫁ぐ 黒嶋海童
数多ある服を選ってもこの身なり 山内迪
この先は祈るしかない星の数 長島敏子
玉砕の地で哭く遺骨まだ数多 河原野折杭
幾千の祈りを抱いて紙の鶴 平井美智子
気が付くと生きた証の悔い数多 斎藤功
焼き鳥屋数多の客の煙い愚痴 前川和朗
胸底に溜る数多の自己嫌悪 樋口祐子
誰がために防人の死屍累々と 赤井花城
八百万どの神さまもくれぬ運 内藤夢彦
予震?余震!驚怖が募る数多度 村上氷筆
許し乞う形数多の絵ろうそく 長島敏子
弥勒仏の衆生あまたを救う指 野澤淑子
思惟あまた土に還ってゆく枯れ葉 沼尾美智子
就活に引く手数多の夢を見る 室田隆司

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【出席者】 (順不同・敬称略)
田 象介 野澤 淑子 村上 氷筆 黒嶋 海童 河合 敏夫 室田 隆司
豊野 光子 山内  迪 大谷 祝星 山辺 和子 長川 哲夫 前川 和朗
上村さな恵 河原野折杭 廣嶋 英子 倉田雄登美 久山 節子 上野 五柳
沼尾美智子 黒田 忠昭 田原 一兆 長島 敏子 辰巳 和子 水田 蓉子
平井美智子 川人 良種 牧野 和子 村上 静子 斎藤  功 村岡 義博
前川千津子 小山 紀乃 青木 公輔 松下比ろ志 内藤 夢彦 井上 登美
倉  周三 松本 光江 みぎわはな 池田 史子 樋口 祐子 赤井 花城

【投 句】
森本 高明 山本ひさゑ 中本 三桂 中村真里子 山岡 幸一 田口 春子
宮本 喜明

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