平成23年7月31日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
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特別席題  「電気」  村岡義博 選
後期高齢電気使って我慢せず 水田蓉子
三途の川で電気ショックが呼び戻す 河原野折杭
節電に茶の間家族の輪が出来る 豊野光子
電気音痴蛍光灯も妻が替え 上野五柳
波乗りとエレキギターの青春譜 井上登美
電気化に慣れ進ませて今さらよ 高畑千恵子
老い二人電気はそんなに使わない 大谷祝星
電気屋を遠くの子より頼ってる 野澤淑子
届かぬ電気小屋のランプにあるロマン 山辺和子
心して百万弗の夜景みる 倉田雄登美
エアコンを売り付けオフにしろと言う 辰巳和子
節電も困るが停電なお困る 大谷祝星
静電気溜まると怒りだす男 上野五柳
老いて今メルトダウンが止まらない 黒嶋海童
D51に新幹線の代役を 水田象介
扇風機も止めて団扇と氷嚢と 黒田忠昭
オール電化田舎暮らしがなつかしい 森本佳子
球切れを節電だよと言うておく 中桐徹
君知るや灯火管制ありし日を 倉田雄登美
蛍光灯間引きするのが癖になり 沼尾美智子
節電を理由に今日も帰らない 前川和朗
節電の街から匂い出す昭和 長島敏子
原発へ神が恐れていた手順 山本芳男
老母独り住むふる里の燈が暗い 黒嶋海童
電気クラゲにひょっこり出会う里の海 上村さな恵
この時期にオール電化のチラシなど 長島敏子
節電に涼を求めてクリニック 奥西勇人
節電の寝押しパンツ複線に 河合敏夫
赤々と電気をつけて足す余生 山内迪
扇風機にこにこ電気屋は忙しい 橋本凉子
節電を呪文のように聞く炎暑 山辺和子
休日のシフトで電気暮らし変え 水田蓉子
節電で猫に聞いてる風の道 中桐徹
天気より電気予報が気に掛かる 辰巳和子
今日からはボルトを下げて靴を履く 内藤夢彦
充電中と書いて昼寝をしています 倉周三
フライデー東電株は消えたまま 長川哲夫
充電をするには酒がまだ不足 河原野折杭
節電の夏に一役買うスダレ 上村さな恵
間引かれた電車は暑い操車場 黒田忠昭
良心の呵責に耐えている電気 山本芳男
僕のボルテイジ上ると妻のヒューズ飛ぶ 松下比ろ志
節電でモヒカン刈りにされました 水田象介
青空の真ん中にあるコンセント 平井美智子
うんざりしています原発のニュース 村岡義博

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兼題  「もっと」  牧野和子 選
もっと大きな声で呼名をしてほしい 青木公輔
よりもっとたゆまぬ道へさす光 池田史子
もっと徳積まねば三途渡れない 黒嶋海童
首が凝るもっともっとを積み過ぎて 長島敏子
満々のやる気五欲はまだ達者 河原野折杭
もっともっとと女の欲は底が無い 黒嶋海童
手加減が分らぬ親がもっといる 井上登美
想定外自然のこわさもっと知る 森本佳子
欠け茶碗もっとあなたと暮らしたく 長川哲夫
もっと咲きたい愛振り切って沙羅の花 橋本凉子
もっと高くとスカイツリーが背伸びする 黒田忠昭
花木槿もっと咲きたい朝がくる 野澤淑子
人が好きされど諭吉はもっと好き 奥西勇人
もっと腰据えて政治をして欲しい 黒嶋海童
自分でも怖いほど湧く次の欲 村上氷筆
君のこともっと知りたい古希の恋 平井美智子
一つ叶えばもっと欲しがる人の欲 辰巳和子
もっと生きて欲しかったと通夜の席 河合敏夫
雨よ降れ黒い放射を拭うまで 長川哲夫
もっともっと限界挑むマンパワー 池田史子
女心もっと分って欲しい妻 山本ひさゑ
もっと欲しい人ばかり居る遺産分け 内藤夢彦
地位も名誉ももっと欲しいな鯰の児 上村さな恵
おい諭吉もっと私の傍に居ろ 河原野折杭
もっとまだに欲がからめば運がつく 山内迪
なでしこを見てたら男子もっとやれる 森本佳子
父さんはもっと遊べと言うけれど 豊野光子
子の寝顔もっとやさしくするつもり 豊野光子
もう少し早く蒔いたら咲いたのに 沼尾美智子
復興のスピードもっと上がらぬか 中村真里子
もっと生きもっといい事もっとする 上野五柳
もっともっと回顧の念にさいなまれ 井上登美
プロ意識もっとの風を抱いている 山辺和子
わが子ならもっと叱って抱き締める 室田隆司
もっともっと土産詰めてる里帰り 中本三桂
まだ少し祈り足りない手を合わす 平井美智子
あの頃はもっと地球が青かった 黒田忠昭
なでしこをもっともっとと八咫烏 村上氷筆
華やかな暮しのなかにあるもっと 山本芳男
アンコールせがむ拍手が鳴り止まず 赤井花城
名演奏もっと聴きたくアンコール 奥西勇人
打ち水をもっと下さい石畳 山辺和子
ねぎ坊主もっと大きな傘になれ 樋口祐子
長生きをして欲しかった父の墓 山辺和子
もっともっと一緒にいたい丸い月 村上静子
大空へもっと大きな夢描く 奥西勇人
最先端医療の先にあるもっと 沼尾美智子
復興のあしたへもっと要る人手 赤井花城
もっともっと生きていたいと蝉の声 平井美智子
均等法未だまだ女性には遠い 牧野和子

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兼題  「山」  倉周三 選
遺産分け今さら山を貰っても 吉安陽子
言い訳の山ほど並べ百叩き 山本ひさゑ
世界へと挑み続ける富士の山 中村真里子
終の山ゆっくり下り花野まで 宮本喜明
山登り見上げる岩がみな仏 中本三桂
図書館に山から猿がやって来た 水田象介
忌明け前まだ裏山に叔父宿る 野澤淑子
風評で売れぬ在庫の山に泣く 河原野折杭
貞淑な妻も今では山の神 奥西勇人
砂の山崩れて夏の恋終る 大谷祝星
傷心をいやしてくれる故郷の山 村上静子
山越して三十年も生きている 水田象介
稜線の夕陽私を抱きにくる 辰巳和子
富士山頂宇宙吸い取る深呼吸 村上氷筆
不二の山世界遺産にまだなれぬ 赤井花城
頂上の男が邪魔で突き落とす 水田象介
すぐ噴火妻はわが家の活火山 河原野折杭
白内障ねじ山探す小半日 樋口祐子
夏バテに効くふる里の山の風 黒嶋海童
父訪えば山紫水明深い山 沼尾美智子
逆さ富士夢の続きは見ぬことに 長島敏子
四季おりおりドレスをかえる里の山 内藤夢彦
火を吹いた昔を誰も知らぬ山 平井美智子
火の山を越えてきたのか瞳が温い 上村さな恵
猿山に元カレがいる二三匹 村岡義博
シリコンで支えているな山二つ 村岡義博
山頂に登り至福の風に酔う 奥西勇人
酔うほどに故郷の山が恋しくて 山本芳男
大丈夫スイッチバックの駅がある 野澤淑子
梵鐘の余韻背にうけ山降りる 上村さな恵
山程の微罪を溜める夫婦仲 河合敏夫
夏山に分け入るまでの春怒涛 長川哲夫
山ガールいうてもみんなおばちゃんや 上野五柳
阪急に乗ると山並パノラマに 豊野光子
山男背が美学を語り出す 河合敏夫
里山のカフェみどりの風の中 水田蓉子
法要の最中に山を売る話 平井美智子
優しさのこころの山へ木を植える 山本芳男
なぜなぜの山に埋もれて辞書の森 池田史子
走りぬけたグラフの山にある孤独 沼尾美智子
山笑う義理の衣は脱ぎ捨てる 黒嶋海童
雨蛙つれなき恋か枯山水 長川哲夫
山ほどの資格があって職がない 辰巳和子
山いくつ越えたか果てしない旅路 赤井花城
自分史の山場へちょっと足した嘘 長島敏子
父独り島に残して蜜柑山 倉周三

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兼題  「許す」  長川哲夫 選
仲たがいまあ一杯と許し合い 倉田雄登美
許される頃だと酒を提げてくる 平井美智子
許す気で相手のゴメン待つゆとり 長島敏子
あとはもう自分を許すだけのこと 黒田忠昭
何もかも許して母の海が凪ぐ 黒嶋海童
本当は許す気でいる父の背な 上村さな恵
許すこと出来ず眠れぬ熱帯夜 奥西勇人
結婚を許し赤ちゃんだっこする 村上静子
許されて弥陀の手の平駆け回り 倉田雄登美
横を向き許す気持の深呼吸 斎藤功
許してネ私のウソは作りもの 砂川信子
許されてチャペルの鐘をつくふたり 山辺和子
言い分けは許さぬ妻の細い眉 斎藤功
何もかも妻の許しを乞うてから 水田象介
許し乞う妻がウインクしてくれる 豊野光子
許さねばわたしの秘密暴かれる 室田隆司
許し許され行く人の世は美しい 樋口祐子
ごぶさたを許してくれる認知症 吉安陽子
許してはいないが無視はしていない 村岡義博
身も心も金も許してしまう愛 上野五柳
ちょっと気を許すと逃げる運と金 河原野折杭
出来ちゃったこれが私の許可願い 中桐徹
ハンストに負けてか我儘を許す 河合敏夫
運動会涙で見えぬ子の遊戯 山内迪
十字きる指にイエスが降りてくる 山辺和子
地球さん怒りは今日で許してね 高畑千恵子
許したらアカン骨までしゃぶられる 河原野折杭
年月を経て恩讐が風化する 中村真里子
その時が来たなら何も彼も許す 赤井花城
許す気の父の背中が淋しそう 黒嶋海童
若作りしても背筋が許さない 井上登美
許可のない拳銃がある押し入れに 野澤淑子
許し合い笑顔ポケットから溢れ 豊野光子
許し乞う想い分らぬ妻でした 井上登美
許されぬ仲を見ている蝉時雨 井上登美
先生オシッコだけは覚えている昔 黒田忠昭
そうめん流しの許せぬ程の落差 廣嶋英子
生き方の許容範囲をまた広げ 赤井花城
門限に少し遅れた娘を許す 室田隆司
背を向けて許す言葉を考える 上村さな恵
よく許す神様だけを祀ってる 黒田忠昭
穏やかに許そう花がきれいすぎ 山本芳男
神じゃない母に許され生まれたの 上野五柳
我儘を許してくれるパパが好き 河合敏夫
ゴメンゴメンいいのよ無事に会えたから 沼尾美智子
許すまじ詩の一編をまたなぞる 長川哲夫

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兼題  「余白」  廣嶋英子 選
髪梳いて余白いっぱいジャンプする 山本ひさゑ
歳時記の余白に埋める花ことば 中本三桂
北便り余白に匂うラベンダー 山辺和子
またあした余白は余白のまま風に 沼尾美智子
追伸の余白にそっと涙あと 上村さな恵
余白から愛が生れてきたようだ 山本芳男
深い朱をこぼして余白華になる 山本ひさゑ
以下余白悲しみだけがたち込める 室田隆司
人生の余白へネジを巻いている 山本芳男
一行の余白に謎がひしめいて 青木公輔
長いブランク最後の余白かも知れぬ 黒田忠昭
余白から汗の匂いのする履歴 平井美智子
答えてはくれぬ余白の深い闇 樋口祐子
便箋の余白に透けている祈り 沼尾美智子
たぶん正解余白に印を書いておく 山岡幸一
過去の人胸の余白に住んでいる 村上静子
自分史の余白に足した趣味の数 水田蓉子
人生の余白へ少し酒を足す 長島敏子
夢を描く余白は広く空けておく 辰巳和子
欄外の余白迷ったあとがある 村上静子
無為に生き余白の多い日記閉ず 黒嶋海童
秘密めき日記の余白もてあます 倉田雄登美
一筆箋余白全くありません 水田蓉子
連綿と追伸余白裏返す 赤井花城
人生の余白に青い設計図 豊野光子
琴線に触れた余白が語りだす 樋口祐子
言葉より苦衷偲ばす以下余白 村上氷筆
人生の余白しみじみ酒を酌む 中村真里子
満ち足りた一日でした以下余白 河原野折杭
逢うた夜は余白のままの日記帳 倉周三
B面の余白で花を咲かせている 山辺和子
水墨画余白の多いのが値打ち 黒田忠昭
わたくしの恋の遍歴以下余白 野澤淑子
住所録余白に入れた美女ランク 森本高明
文字も絵も少なく余白語らせる 前川和朗
父さんの日記の余白なんでかな 上野五柳
余白には頭を下げた保証印 中本三桂
休止符の余白に名曲の余韻 河原野折杭
ありがとう五文字で足りる以下余白 長川哲夫
余白から宇宙が見える水墨画 河原野折杭
ありがとうたった一行だけでした 水田象介
あなたとはお別れします以下余白 倉周三
残りは僅か美味いもの食べておかねば 水田象介
初恋の・・・・・・・雨が消す 長川哲夫
欄外に謎の数字が残される 水田象介
銃声がして一瞬人型の余白 廣嶋英子

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【出席者】 (順不同・敬称略)
大谷 祝星 奥西 勇人 室田 隆司 牧野 和子 上村さな恵 倉田雄登美
森本 佳子 豊野 光子 河合 敏夫 井上 登美 山辺 和子 廣嶋 英子
山内  迪 長島 敏子 河原野折杭 長川 哲夫 山本 芳男 上野 五柳
水田 蓉子 倉  周三 辰巳 和子 橋本 凉子 野澤 淑子 前川 和朗
沼尾美智子 黒田 忠昭 黒嶋 海童 高畑千恵子 村上 静子 平井美智子
内藤 夢彦 松下比ろ志 村岡 義博 水田 象介 砂川 信子 青木 公輔
中桐  徹 斎藤  功 池田 史子 樋口 祐子 赤井 花城

【投 句】
中本 三桂 森本 高明 山本ひさゑ 山岡 幸一 河端世起子 吉安 陽子
宮本 喜明 村上 氷筆

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