後期高齢電気使って我慢せず | 水田蓉子 | |
三途の川で電気ショックが呼び戻す | 河原野折杭 | |
節電に茶の間家族の輪が出来る | 豊野光子 | |
電気音痴蛍光灯も妻が替え | 上野五柳 | |
波乗りとエレキギターの青春譜 | 井上登美 | |
電気化に慣れ進ませて今さらよ | 高畑千恵子 | |
老い二人電気はそんなに使わない | 大谷祝星 | |
電気屋を遠くの子より頼ってる | 野澤淑子 | |
届かぬ電気小屋のランプにあるロマン | 山辺和子 | |
心して百万弗の夜景みる | 倉田雄登美 | |
エアコンを売り付けオフにしろと言う | 辰巳和子 | |
節電も困るが停電なお困る | 大谷祝星 | |
静電気溜まると怒りだす男 | 上野五柳 | |
老いて今メルトダウンが止まらない | 黒嶋海童 | |
D51に新幹線の代役を | 水田象介 | |
扇風機も止めて団扇と氷嚢と | 黒田忠昭 | |
オール電化田舎暮らしがなつかしい | 森本佳子 | |
球切れを節電だよと言うておく | 中桐徹 | |
君知るや灯火管制ありし日を | 倉田雄登美 | |
蛍光灯間引きするのが癖になり | 沼尾美智子 | |
節電を理由に今日も帰らない | 前川和朗 | |
節電の街から匂い出す昭和 | 長島敏子 | |
原発へ神が恐れていた手順 | 山本芳男 | |
老母独り住むふる里の燈が暗い | 黒嶋海童 | |
電気クラゲにひょっこり出会う里の海 | 上村さな恵 | |
この時期にオール電化のチラシなど | 長島敏子 | |
節電に涼を求めてクリニック | 奥西勇人 | |
節電の寝押しパンツ複線に | 河合敏夫 | |
赤々と電気をつけて足す余生 | 山内迪 | |
扇風機にこにこ電気屋は忙しい | 橋本凉子 | |
節電を呪文のように聞く炎暑 | 山辺和子 | |
休日のシフトで電気暮らし変え | 水田蓉子 | |
節電で猫に聞いてる風の道 | 中桐徹 | |
天気より電気予報が気に掛かる | 辰巳和子 | |
今日からはボルトを下げて靴を履く | 内藤夢彦 | |
充電中と書いて昼寝をしています | 倉周三 | |
佳 | フライデー東電株は消えたまま | 長川哲夫 |
佳 | 充電をするには酒がまだ不足 | 河原野折杭 |
佳 | 節電の夏に一役買うスダレ | 上村さな恵 |
佳 | 間引かれた電車は暑い操車場 | 黒田忠昭 |
佳 | 良心の呵責に耐えている電気 | 山本芳男 |
人 | 僕のボルテイジ上ると妻のヒューズ飛ぶ | 松下比ろ志 |
地 | 節電でモヒカン刈りにされました | 水田象介 |
天 | 青空の真ん中にあるコンセント | 平井美智子 |
軸 | うんざりしています原発のニュース | 村岡義博 |
もっと大きな声で呼名をしてほしい | 青木公輔 | |
よりもっとたゆまぬ道へさす光 | 池田史子 | |
もっと徳積まねば三途渡れない | 黒嶋海童 | |
首が凝るもっともっとを積み過ぎて | 長島敏子 | |
満々のやる気五欲はまだ達者 | 河原野折杭 | |
もっともっとと女の欲は底が無い | 黒嶋海童 | |
手加減が分らぬ親がもっといる | 井上登美 | |
想定外自然のこわさもっと知る | 森本佳子 | |
欠け茶碗もっとあなたと暮らしたく | 長川哲夫 | |
もっと咲きたい愛振り切って沙羅の花 | 橋本凉子 | |
もっと高くとスカイツリーが背伸びする | 黒田忠昭 | |
花木槿もっと咲きたい朝がくる | 野澤淑子 | |
人が好きされど諭吉はもっと好き | 奥西勇人 | |
もっと腰据えて政治をして欲しい | 黒嶋海童 | |
自分でも怖いほど湧く次の欲 | 村上氷筆 | |
君のこともっと知りたい古希の恋 | 平井美智子 | |
一つ叶えばもっと欲しがる人の欲 | 辰巳和子 | |
もっと生きて欲しかったと通夜の席 | 河合敏夫 | |
雨よ降れ黒い放射を拭うまで | 長川哲夫 | |
もっともっと限界挑むマンパワー | 池田史子 | |
女心もっと分って欲しい妻 | 山本ひさゑ | |
もっと欲しい人ばかり居る遺産分け | 内藤夢彦 | |
地位も名誉ももっと欲しいな鯰の児 | 上村さな恵 | |
おい諭吉もっと私の傍に居ろ | 河原野折杭 | |
もっとまだに欲がからめば運がつく | 山内迪 | |
なでしこを見てたら男子もっとやれる | 森本佳子 | |
父さんはもっと遊べと言うけれど | 豊野光子 | |
子の寝顔もっとやさしくするつもり | 豊野光子 | |
もう少し早く蒔いたら咲いたのに | 沼尾美智子 | |
復興のスピードもっと上がらぬか | 中村真里子 | |
もっと生きもっといい事もっとする | 上野五柳 | |
もっともっと回顧の念にさいなまれ | 井上登美 | |
プロ意識もっとの風を抱いている | 山辺和子 | |
わが子ならもっと叱って抱き締める | 室田隆司 | |
もっともっと土産詰めてる里帰り | 中本三桂 | |
まだ少し祈り足りない手を合わす | 平井美智子 | |
あの頃はもっと地球が青かった | 黒田忠昭 | |
なでしこをもっともっとと八咫烏 | 村上氷筆 | |
華やかな暮しのなかにあるもっと | 山本芳男 | |
アンコールせがむ拍手が鳴り止まず | 赤井花城 | |
名演奏もっと聴きたくアンコール | 奥西勇人 | |
佳 | 打ち水をもっと下さい石畳 | 山辺和子 |
佳 | ねぎ坊主もっと大きな傘になれ | 樋口祐子 |
佳 | 長生きをして欲しかった父の墓 | 山辺和子 |
佳 | もっともっと一緒にいたい丸い月 | 村上静子 |
佳 | 大空へもっと大きな夢描く | 奥西勇人 |
人 | 最先端医療の先にあるもっと | 沼尾美智子 |
地 | 復興のあしたへもっと要る人手 | 赤井花城 |
天 | もっともっと生きていたいと蝉の声 | 平井美智子 |
軸 | 均等法未だまだ女性には遠い | 牧野和子 |
遺産分け今さら山を貰っても | 吉安陽子 | |
言い訳の山ほど並べ百叩き | 山本ひさゑ | |
世界へと挑み続ける富士の山 | 中村真里子 | |
終の山ゆっくり下り花野まで | 宮本喜明 | |
山登り見上げる岩がみな仏 | 中本三桂 | |
図書館に山から猿がやって来た | 水田象介 | |
忌明け前まだ裏山に叔父宿る | 野澤淑子 | |
風評で売れぬ在庫の山に泣く | 河原野折杭 | |
貞淑な妻も今では山の神 | 奥西勇人 | |
砂の山崩れて夏の恋終る | 大谷祝星 | |
傷心をいやしてくれる故郷の山 | 村上静子 | |
山越して三十年も生きている | 水田象介 | |
稜線の夕陽私を抱きにくる | 辰巳和子 | |
富士山頂宇宙吸い取る深呼吸 | 村上氷筆 | |
不二の山世界遺産にまだなれぬ | 赤井花城 | |
頂上の男が邪魔で突き落とす | 水田象介 | |
すぐ噴火妻はわが家の活火山 | 河原野折杭 | |
白内障ねじ山探す小半日 | 樋口祐子 | |
夏バテに効くふる里の山の風 | 黒嶋海童 | |
父訪えば山紫水明深い山 | 沼尾美智子 | |
逆さ富士夢の続きは見ぬことに | 長島敏子 | |
四季おりおりドレスをかえる里の山 | 内藤夢彦 | |
火を吹いた昔を誰も知らぬ山 | 平井美智子 | |
火の山を越えてきたのか瞳が温い | 上村さな恵 | |
猿山に元カレがいる二三匹 | 村岡義博 | |
シリコンで支えているな山二つ | 村岡義博 | |
山頂に登り至福の風に酔う | 奥西勇人 | |
酔うほどに故郷の山が恋しくて | 山本芳男 | |
大丈夫スイッチバックの駅がある | 野澤淑子 | |
梵鐘の余韻背にうけ山降りる | 上村さな恵 | |
山程の微罪を溜める夫婦仲 | 河合敏夫 | |
夏山に分け入るまでの春怒涛 | 長川哲夫 | |
山ガールいうてもみんなおばちゃんや | 上野五柳 | |
阪急に乗ると山並パノラマに | 豊野光子 | |
山男背が美学を語り出す | 河合敏夫 | |
里山のカフェみどりの風の中 | 水田蓉子 | |
法要の最中に山を売る話 | 平井美智子 | |
佳 | 優しさのこころの山へ木を植える | 山本芳男 |
佳 | なぜなぜの山に埋もれて辞書の森 | 池田史子 |
佳 | 走りぬけたグラフの山にある孤独 | 沼尾美智子 |
佳 | 山笑う義理の衣は脱ぎ捨てる | 黒嶋海童 |
佳 | 雨蛙つれなき恋か枯山水 | 長川哲夫 |
人 | 山ほどの資格があって職がない | 辰巳和子 |
地 | 山いくつ越えたか果てしない旅路 | 赤井花城 |
天 | 自分史の山場へちょっと足した嘘 | 長島敏子 |
軸 | 父独り島に残して蜜柑山 | 倉周三 |
仲たがいまあ一杯と許し合い | 倉田雄登美 | |
許される頃だと酒を提げてくる | 平井美智子 | |
許す気で相手のゴメン待つゆとり | 長島敏子 | |
あとはもう自分を許すだけのこと | 黒田忠昭 | |
何もかも許して母の海が凪ぐ | 黒嶋海童 | |
本当は許す気でいる父の背な | 上村さな恵 | |
許すこと出来ず眠れぬ熱帯夜 | 奥西勇人 | |
結婚を許し赤ちゃんだっこする | 村上静子 | |
許されて弥陀の手の平駆け回り | 倉田雄登美 | |
横を向き許す気持の深呼吸 | 斎藤功 | |
許してネ私のウソは作りもの | 砂川信子 | |
許されてチャペルの鐘をつくふたり | 山辺和子 | |
言い分けは許さぬ妻の細い眉 | 斎藤功 | |
何もかも妻の許しを乞うてから | 水田象介 | |
許し乞う妻がウインクしてくれる | 豊野光子 | |
許さねばわたしの秘密暴かれる | 室田隆司 | |
許し許され行く人の世は美しい | 樋口祐子 | |
ごぶさたを許してくれる認知症 | 吉安陽子 | |
許してはいないが無視はしていない | 村岡義博 | |
身も心も金も許してしまう愛 | 上野五柳 | |
ちょっと気を許すと逃げる運と金 | 河原野折杭 | |
出来ちゃったこれが私の許可願い | 中桐徹 | |
ハンストに負けてか我儘を許す | 河合敏夫 | |
運動会涙で見えぬ子の遊戯 | 山内迪 | |
十字きる指にイエスが降りてくる | 山辺和子 | |
地球さん怒りは今日で許してね | 高畑千恵子 | |
許したらアカン骨までしゃぶられる | 河原野折杭 | |
年月を経て恩讐が風化する | 中村真里子 | |
その時が来たなら何も彼も許す | 赤井花城 | |
許す気の父の背中が淋しそう | 黒嶋海童 | |
若作りしても背筋が許さない | 井上登美 | |
許可のない拳銃がある押し入れに | 野澤淑子 | |
許し合い笑顔ポケットから溢れ | 豊野光子 | |
許し乞う想い分らぬ妻でした | 井上登美 | |
許されぬ仲を見ている蝉時雨 | 井上登美 | |
先生オシッコだけは覚えている昔 | 黒田忠昭 | |
そうめん流しの許せぬ程の落差 | 廣嶋英子 | |
佳 | 生き方の許容範囲をまた広げ | 赤井花城 |
佳 | 門限に少し遅れた娘を許す | 室田隆司 |
佳 | 背を向けて許す言葉を考える | 上村さな恵 |
佳 | よく許す神様だけを祀ってる | 黒田忠昭 |
佳 | 穏やかに許そう花がきれいすぎ | 山本芳男 |
人 | 神じゃない母に許され生まれたの | 上野五柳 |
地 | 我儘を許してくれるパパが好き | 河合敏夫 |
天 | ゴメンゴメンいいのよ無事に会えたから | 沼尾美智子 |
軸 | 許すまじ詩の一編をまたなぞる | 長川哲夫 |
髪梳いて余白いっぱいジャンプする | 山本ひさゑ | |
歳時記の余白に埋める花ことば | 中本三桂 | |
北便り余白に匂うラベンダー | 山辺和子 | |
またあした余白は余白のまま風に | 沼尾美智子 | |
追伸の余白にそっと涙あと | 上村さな恵 | |
余白から愛が生れてきたようだ | 山本芳男 | |
深い朱をこぼして余白華になる | 山本ひさゑ | |
以下余白悲しみだけがたち込める | 室田隆司 | |
人生の余白へネジを巻いている | 山本芳男 | |
一行の余白に謎がひしめいて | 青木公輔 | |
長いブランク最後の余白かも知れぬ | 黒田忠昭 | |
余白から汗の匂いのする履歴 | 平井美智子 | |
答えてはくれぬ余白の深い闇 | 樋口祐子 | |
便箋の余白に透けている祈り | 沼尾美智子 | |
たぶん正解余白に印を書いておく | 山岡幸一 | |
過去の人胸の余白に住んでいる | 村上静子 | |
自分史の余白に足した趣味の数 | 水田蓉子 | |
人生の余白へ少し酒を足す | 長島敏子 | |
夢を描く余白は広く空けておく | 辰巳和子 | |
欄外の余白迷ったあとがある | 村上静子 | |
無為に生き余白の多い日記閉ず | 黒嶋海童 | |
秘密めき日記の余白もてあます | 倉田雄登美 | |
一筆箋余白全くありません | 水田蓉子 | |
連綿と追伸余白裏返す | 赤井花城 | |
人生の余白に青い設計図 | 豊野光子 | |
琴線に触れた余白が語りだす | 樋口祐子 | |
言葉より苦衷偲ばす以下余白 | 村上氷筆 | |
人生の余白しみじみ酒を酌む | 中村真里子 | |
満ち足りた一日でした以下余白 | 河原野折杭 | |
逢うた夜は余白のままの日記帳 | 倉周三 | |
B面の余白で花を咲かせている | 山辺和子 | |
水墨画余白の多いのが値打ち | 黒田忠昭 | |
わたくしの恋の遍歴以下余白 | 野澤淑子 | |
住所録余白に入れた美女ランク | 森本高明 | |
文字も絵も少なく余白語らせる | 前川和朗 | |
父さんの日記の余白なんでかな | 上野五柳 | |
余白には頭を下げた保証印 | 中本三桂 | |
佳 | 休止符の余白に名曲の余韻 | 河原野折杭 |
佳 | ありがとう五文字で足りる以下余白 | 長川哲夫 |
佳 | 余白から宇宙が見える水墨画 | 河原野折杭 |
佳 | ありがとうたった一行だけでした | 水田象介 |
佳 | あなたとはお別れします以下余白 | 倉周三 |
人 | 残りは僅か美味いもの食べておかねば | 水田象介 |
地 | 初恋の・・・・・・・雨が消す | 長川哲夫 |
天 | 欄外に謎の数字が残される | 水田象介 |
軸 | 銃声がして一瞬人型の余白 | 廣嶋英子 |
【出席者】 (順不同・敬称略) | |||||
---|---|---|---|---|---|
大谷 祝星 | 奥西 勇人 | 室田 隆司 | 牧野 和子 | 上村さな恵 | 倉田雄登美 |
森本 佳子 | 豊野 光子 | 河合 敏夫 | 井上 登美 | 山辺 和子 | 廣嶋 英子 |
山内 迪 | 長島 敏子 | 河原野折杭 | 長川 哲夫 | 山本 芳男 | 上野 五柳 |
水田 蓉子 | 倉 周三 | 辰巳 和子 | 橋本 凉子 | 野澤 淑子 | 前川 和朗 |
沼尾美智子 | 黒田 忠昭 | 黒嶋 海童 | 高畑千恵子 | 村上 静子 | 平井美智子 |
内藤 夢彦 | 松下比ろ志 | 村岡 義博 | 水田 象介 | 砂川 信子 | 青木 公輔 |
中桐 徹 | 斎藤 功 | 池田 史子 | 樋口 祐子 | 赤井 花城 |
【投 句】 | |||||
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中本 三桂 | 森本 高明 | 山本ひさゑ | 山岡 幸一 | 河端世起子 | 吉安 陽子 |
宮本 喜明 | 村上 氷筆 |