平成22年7月11日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
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特別席題  「サイン」  平井美智子選 
長い挨拶もうやめろという拍手 倉周三
もう一本欲しいと銚子振っている 倉周三
新婚やサイン通りにまだいかぬ 上野五柳
目配せの妻のサインは無視をする 大谷祝星
満員電車アイコンタクト待ち合わせ 森本佳子
対角線のサイン二人が消えていた 山本ひさゑ
デートには案山子の向きを変えておく 内藤夢彦
行こか戻ろか貴方のサイン待っている 流郷貞子
ふり向かぬ背中は別れのサインかも みぎわはな
不器用に生き左手でするサイン 山辺和子
見落したサインに喜劇はじまりぬ 山辺和子
不景気にネオンサインの冷えた街 山辺和子
最悪のサイン掠める再検査 大谷祝星
信号が杓子定規に人捌く 長野峰明
口に指不利な発言封じ込む 長野峰明
姑として一筆をしたためる 野澤淑子
お宝になるやもサインしてもらう 沼尾美智子
隅っこに大きなサイン書いてあり 樋口祐子
居酒屋の色紙のサイン自慢顔 倉田雄登美
書道展義理のサインは活字体 河合敏夫
自己流のサインをじっと眺められ 前川千津子
忘れましたサインコサインタンジェント 河合敏夫
この伸びは大器のサイン産まれたて 沼尾美智子
ボク二歳ムーニーマンのVサイン 沼尾美智子
この歳でブロックサイン手に負えぬ 前川和朗
監督のサイン見落し負けゲーム 森本佳子
Vサインも空し次点に甘んじる 室田隆司
トラバーユ決まり娘のVサイン 奥西勇人
サインは○笑みが弾けるプロポーズ 河原野折杭
信頼のミットがノーサインでキャッチ 河原野折杭
拝まれてサインしました借用書 斎藤功
サインしたばかりに連帯保証人 室田隆司
ほだされてサインしてから青テント みぎわはな
サイン入り保証の種が芽吹かない 水田蓉子
ブロックサイン二人楽しむ市場籠 斎藤功
自由へと妻には秘めたサイン持つ 斎藤功
わだかまり消して夕日のVサイン 松本光江
早よ帰れとばかりに水を注ぎにくる 倉周三
この客に酒は出すなと目でサイン 黒嶋海童
Vサインそこから先の茨道 長島敏子
巧妙な落款点が濃いすぎる 野澤淑子
蕗のとう苦味はきっとサインだな 上村さな恵
達筆で離婚届けに署名する 黒嶋海童
母の名が×になる日の署名欄 野澤淑子
火の絵風の絵なだめてサイン帳閉じる 上村さな恵
大丈夫だよと笑顔のゴーサイン 平井美智子

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兼題  「草」  水田蓉子 選
風任せ行く先問わぬ草の種 斎藤功
干し草の主はどこへ飼葉桶 長川哲夫
過疎地でも人待ち顔の多年草 松本光江
丘に寝て人生語る草いきれ 赤井花城
どくだみが美容に良いと美人ママ 上原翔
散歩道そっと草花野仏に 松本光江
河原なでしこ教えてくれた人と今 沼尾美智子
草に寝て夢を語った遠い恋 辰巳和子
好きな子のうなじにそっと猫じゃらし 内藤夢彦
名も知らぬ野草の花に癒される 辰巳和子
てにをはを転がしながら草を抜く 辰巳和子
草むしりSSSと逃げる蛇 河合敏夫
梅花藻の健気流れに逆らえず 宮本喜明
懐で温めた草履出世する 長野峰明
跡継ぎのことには触れず草を引く 倉周三
人知れず雑草小さな花をつけ 上村さな恵
人許すぬくもりがある畦の草 上村さな恵
野に咲いたペンペン草も愛を待つ 長川哲夫
夏草の匂い別れはいつも不意 長島敏子
途中下車ドラマ探して揺れる葦 井上登美
野仏に十指合せて山野草 奥西勇人
草葉の陰で護国の鬼が哭いている 長野峰明
草笛に誰も応えぬ深い闇 上野五柳
草笛を聴かせる友の墓前にて 野澤淑子
草笛の上手いあの子も好好爺 流郷貞子
草食系らしい息子の白い指 平井美智子
良く見れば秋の七草準備中 森本佳子
どくだみを抜いて二日の手の臭み 河合敏夫
草をひく過去がひょっこり顔をだす 山辺和子
ボランティア拭う汗から草いきれ 河合敏夫
千の駒いななき駆ける草千里 村上氷筆
ささやかな遊び心か草に寝る 青木公輔
風邪に伏し草を枕に山頭火 倉周三
草むすも水漬くも命八月忌 赤井花城
手にとって揺らしてみたいネコジャラシ 前川和朗
突然の告白を聞く草いきれ 村上氷筆
雑草と呼ぶな俺にも名が有るぞ 長野峰明
草引く手休めて飲んだお茶の味 流郷貞子
雑草の花が可憐で抜かずおく 山辺和子
都市砂漠路傍のみどり生きてます 斎藤功
一木一草みな我武者羅に生きている 赤井花城
草に寝て抱負語った少年期 内藤夢彦
胸にある亡父の草笛鳴りひびく 松本光江
しかばねの叫びだろうか草いきれ 牧野和子
玉砕の島で草むす兵の墓 河原野折杭
腰据えて一網打尽草を抜く 水田蓉子

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兼題  「記憶」  大谷祝星 選
記憶には御座居ませんとシュレッダー 河合敏夫
記憶とは薄れいくもの千切れ雲 上野五柳
記憶力落ちて夫婦の波立たず 倉田雄登美
記憶力とみに薄れる昨日今日 流郷貞子
サッカーボール兄と遊んだ日の記憶 山辺和子
好きだったひとの顔だけ鮮明に 内藤夢彦
再会に初恋秘めてときめいて 倉田雄登美
古いほどはっきり見えてくる記憶 室田隆司
不意の雨記憶の底で疼く傷 長島敏子
愛された夏を覚えている背中 平井美智子
二軒目の飲み屋で消えていた記憶 河原野折杭
幸せにしますと言った覚えない 前川和朗
美しい記憶二人のシャボン玉 山本ひさゑ
永年の汗の記憶に残る駅 斎藤功
ところどころ記憶の糸がつながらぬ 赤井花城
ある線で記憶がとんだ二日酔 宮本喜明
センセイは記憶にないと証言す 吉安陽子
開き直る遠い記憶を捨てた自負 中本三桂
海鳴りが忘れた記憶つれてくる 上村さな恵
介護する母は私の名を忘れ 橋本凉子
出征の記憶鮮やか旗の波 長野峰明
ごまかしの記憶を暴くポリグラフ 長野峰明
億の金記憶にないとよう言うわ 倉周三
深層水太古の記憶汲み上げる 室田隆司
大戦の悲惨を語り継ぐ命 牧野和子
政治家の記憶のネジはすぐゆるむ 河原野折杭
愛された記憶はみんなセピア色 倉周三
荷が届くふる里の夏溢れ出る 牧野和子
原人の地を呼び戻すW杯 長川哲夫
写真から母の記憶があふれでる 森本佳子
記憶違いでなければ何処かで逢った女 青木公輔
草いきれトンボを追った日の記憶 黒嶋海童
モノクロの飢餓が少年時の記憶 村上氷筆
風化する記憶の中の童歌 奥西勇人
少年期の記憶の底にコッペパン 辰巳和子
抜け落ちた記憶が妙に気にかかる 森本佳子
アルバムを繰って記憶を呼び戻す 辰巳和子
記憶から消してはならぬ八月忌 村上氷筆
ナツメロに記憶回路を巻き戻す 長島敏子
貧しさも不便も懐かしい記憶 上原翔
記憶追う若さと老いが交差する 大谷祝星

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兼題  「経験」  上原翔 選
失敗に怯むなそれも経験や 倉周三
棺桶の寝心地だけは未経験 河原野折杭
経験に裏打ちされた腕の冴え 村上氷筆
経験を積んだスターにあるオーラ 辰巳和子
過去をみんな綺麗に描いて未経験 上村さな恵
屋根崩し棟梁からのメッセージ 野澤淑子
旅先ではじめて蕎麦をうつひと日 山辺和子
経験が売り骨太に生きている 樋口祐子
失敗も経験だよと任される 黒嶋海童
革新の欠けらも見えぬ回顧談 内藤夢彦
経験の見せ場を作る姑の智恵 樋口祐子
待ちぼうけ前にもあった事だけど 松本光江
手術した痕だと腹を見せている 平井美智子
辛酸を嘗めて男に人間味 奥西勇人
経験を重ね度胸が付いて来る 辰巳和子
弾の下くぐりじいさん自慢する 倉田雄登美
経験談聞けば自慢のものがたり 内藤夢彦
経験の重ね着動きがままならぬ 室田隆司
失敗の経験あるから言うんやで 倉周三
一夏の恋をうらやむ蝉しぐれ 長川哲夫
渋い茶をすすり経験話しだす 前川千津子
初めての今日を経験事もなく 村岡義博
経験を生かし影武者に徹す 上村さな恵
若い日の無駄も経験して老いる 松本光江
経験は浅いが太い肝っ玉 橋本凉子
積み上げた業が無名のまま朽ちる 室田隆司
後だしの手で生きてきた平和主義 長川哲夫
体験に誇張も混ざる立志伝 河原野折杭
経験はないが愛ならたんとある 平井美智子
迷ったら老馬の後について行け 長野峰明
ピンチには経験ひとつ顔を出す 斎藤功
経験の有無は問わない恋の道 黒嶋海童
流し目に弱い諭吉を目の当り 長野峰明
兄弟子に勝てぬ経験ものをいう 上野五柳
経験の深さのにじむ玉子焼 みぎわはな
経験を積んでロボット進化する 斎藤功
九十歳の職人芸が言う初心 村岡義博
だまし絵に私の履歴閉じ込める 井上登美
未経験のゲリラ豪雨が襲う街 村岡義博
コンチキチン手慣れたものよ稚児囃子 長川哲夫
夏が逝くためらい傷を撫でながら 長島敏子
経験を積んだね末っ子のカバン 沼尾美智子
お胎の子落ち着き払う三人目 河合敏夫
いい経験したかキャンプの子が帰る 黒嶋海童
おふくろの味ひとつまみひとつかみ みぎわはな
経験はあとからついて来るさかい 上原翔

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兼題  「呼吸」  前川千津子選 
御来光その一瞬の息を止め 赤井花城
大相撲青息吐息今日初日 河合敏夫
流れ星呼吸を堪えて願い事 河端世起子
昨日から腹式呼吸はじめてる 井上登美
石座り体ぽかぽか呼吸する 中本三桂
深呼吸すれば血圧正常値 河合敏夫
深呼吸わたくし色のカンナ咲く 松本光江
深呼吸して次の嘘考える 倉周三
深呼吸してる間彼女去ってゆく みぎわはな
深呼吸して軽やかに坂駆ける 橋本凉子
合格の嬉しい息が弾む声 赤井花城
フウーと溜め息今日も夫が家に居る 倉周三
息してるだけの人にはなりとない 吉安陽子
日が昇る山に向かって深呼吸 中本三桂
無呼吸の長さに妻が鼻つまむ 村上氷筆
さっきまで呼吸していた貝の汁 上野五柳
森林浴胸いっぱいにオゾン吸う 奥西勇人
ルビー婚阿吽の息にまだなれぬ 辰巳和子
許せない気持抑えて深呼吸 斎藤功
僕も乗る竜馬フアンの持つ呼吸 斎藤功
談合を辞し青空へ深呼吸 平井美智子
腹の虫押え大きく深呼吸 奥西勇人
0.5ミクロンの中_呼吸とめる 野澤淑子
エラ呼吸のときに聴いたねポロネーズ 野澤淑子
一呼吸置いても怒り納まらぬ 辰巳和子
一呼吸置いて明日を考える 牧野和子
熟睡へ息してるかと手をかざす 黒嶋海童
善人の群れにはいって深呼吸 上村さな恵
呼吸合う頃にはバテる杵の方 上原翔
軍靴の行進息を詰めて見る 上野五柳
深呼吸出直せそうな朝である 長島敏子
ピッタリと占い蛸と息が合う 樋口祐子
天辺の椅子はタメ息する所 宮本喜明
ひと呼吸おいて非情な返事する 山本ひさゑ
深呼吸してから臨む遺産分け 水田蓉子
深呼吸主治医のメスを信じよう 大谷祝星
青い空見上げて朝の深呼吸 橋本凉子
五十年息が合ってかまだ夫婦 上野五柳
深呼吸七十歳もいいものだ 沼尾美智子
窓を開け大空抱いて深呼吸 倉田雄登美
彼の背にもたれて甘い皮膚呼吸 室田隆司
会者定離女の呼吸背にうけて 上村さな恵
百歳へ蛍の里の息づかい 長川哲夫
ひと呼吸おき必殺の石パチリ 内藤夢彦
風の呼吸今台風の眼に入る 赤井花城
ペナルティキックあの一瞬の息づかい 沼尾美智子
一呼吸おいて反論する男 前川千津子

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【出席者】 (順不同・敬称略)
上村さな恵 山本ひさゑ 大谷 祝星 倉田雄登美 室田 隆司 河合 敏夫
森本 佳子 山辺 和子 河原野折杭 長島 敏子 水田 蓉子 長野 峰明
上野 五柳 黒嶋 海童 辰巳 和子 牧野 和子 奥西 勇人 斎藤  功
倉  周三 野澤 淑子 平井美智子 流郷 貞子 松本 光江 みぎわはな
沼尾美智子 上原  翔 村岡 義博 内藤 夢彦 前川千津子 樋口 祐子
赤井 花城

【投 句】
河端世起子 森本 高明 吉安 陽子 中本 三桂 青木 公輔 橋本 凉子
宮本 喜明 村上 氷筆 長川 哲夫 井上 登美

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