平成22年3月28日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「花見」 菅野泰行 選
|
花筵新入りひとり夜を待つ |
室田隆司 |
|
花見酒一升びんを一人占め |
倉田雄登美 |
|
爛漫の花を見上げる遍路笠 |
河原野折杭 |
|
メンバーへ都合をつけて花の宴 |
沼尾美智子 |
|
麗らかに人も蝶蝶も花に酔い |
奥西勇人 |
|
花冷えに花見のプランまた延びる |
井上登美 |
|
花見酒想いを倍に散る桜 |
松本光江 |
|
人間の都合は聞かぬ花見頃 |
村岡義博 |
|
恋しても詮無い老いの花見酒 |
黒嶋海童 |
|
婚約者と今年は一緒にする花見 |
村上静子 |
|
ケアハウスの母の背を押し通り抜け |
倉周三 |
|
生き急ぐもの何も無し花を見る |
水田蓉子 |
|
夜桜に一度でいいわ誘ってよ |
長野峰明 |
|
花だけで酔えるわたしの処世術 |
前川千津子 |
|
風は風わたしは女花見酒 |
吉川千穂 |
|
手料理も晴の味する花の下 |
斎藤功 |
|
糖尿で団子も酒も無い花見 |
黒嶋海童 |
|
佛だんにも桜一と枝活けてみる |
村上静子 |
|
三分咲きされど宴の盛りあがる |
前川千津子 |
|
カメラアイ花より美女を追うており |
内藤夢彦 |
|
花見酒ぼくだけ飲んだ顔になり |
上野五柳 |
|
花見唄私が伴奏してあげる |
山内迪 |
|
缶ビール一本足して花見膳 |
沼尾美智子 |
|
花見へと誘う電話が鳴りやまぬ |
山辺和子 |
|
花に酔ったか人に酔ったか紙コップ |
河合敏夫 |
|
即席の花見コンビニ弁当で |
濱田英明 |
|
花見には帰ってこいと里の花 |
野澤淑子 |
|
健やかに生きて今年も花の下 |
奥西勇人 |
|
花見宴友良し花佳し酒も好し |
松下比ろ志 |
|
口説かれてみたくて花の宴に酔う |
黒嶋海童 |
|
ギャル達の恋の決算花の下 |
長川哲夫 |
|
一と時の命を燃やす花吹雪 |
豊野光子 |
|
玉子焼ふわりふたりだけの桜 |
沼尾美智子 |
|
場所取りに走りまわるのも仕事 |
青木公輔 |
|
花びらを浴びマドンナと酒を酌む |
奥西勇人 |
|
赴任地へ花見の席で迎えられ |
野澤淑子 |
|
気象予報士花見の問い合せに迷う |
青木公輔 |
佳 |
後幾度母を誘うて観る桜 |
辰巳和子 |
佳 |
ひとひらを浮かべ花見の紙コップ |
山辺和子 |
佳 |
普天間に揺れて揺れての花見酒 |
樋口祐子 |
佳 |
そしてさくらあなたを今日は花にする |
牧野和子 |
佳 |
リハビリの夫の杖になる花見 |
内田秀章 |
人 |
夫には言えない人と観る桜 |
辰巳和子 |
地 |
落語家は地獄の底で花見酒 |
長川哲夫 |
天 |
ほっこりと花見している父母の墓 |
斎藤功 |
軸 |
散りそめて名残を惜しむ花筏 |
菅野泰行 |
兼題 「庭・(底)」 樋口祐子 選
|
デジカメに皆を並ばす宿の庭 |
大谷祝星 |
|
庭越しにいつまで続く話し好き |
吉安陽子 |
|
箱庭に心の闇を暴かれる |
中村真里子 |
|
目を閉じて言葉の庭で遊んでる |
井上登美 |
|
裏庭の猫の額に四季を盛る |
奥西勇人 |
|
ベランダにプチトマトだけは作りたい |
森本高明 |
|
スケールの大きな庭にいる勇気 |
井上登美 |
|
底の底耐え走り切るトヨタ株 |
長川哲夫 |
|
ひとときを底に沈んでいる男 |
吉川千穂 |
|
潜りもぐって辿りつきたい空の底 |
池田史子 |
|
底入れの見通し笑う二番底 |
村岡義博 |
|
ポケットの底が破けて落ちた運 |
濱田英明 |
|
胸の底しずかに夢を織ってゆく |
豊野光子 |
|
大都会の底がどんどん暗くなる |
室田隆司 |
|
コンクリートに警鐘鳴らす海の底 |
沼尾美智子 |
|
谷の底で山頂思い出してる小石 |
黒田忠昭 |
|
飲み干したグラスの底に透く野心 |
村上氷筆 |
|
底意地は見られたくない厚化粧 |
村岡義博 |
|
蟹股に苦労が絶えぬ靴の底 |
上野五柳 |
|
瞑想の底に月日の走る音 |
中本三桂 |
|
気を揉むな活断層は底の底 |
宮本喜明 |
|
底の底見てきた人の眼が温し |
上村さな恵 |
|
天地無用底から灰汁が浮いて出る |
長島敏子 |
|
三分の妙技を見せて砂落ちる |
野澤淑子 |
|
底抜けの明るさ癒やす友が居る |
赤井花城 |
|
小さな庭四季を咲かせて満ちている |
牧野和子 |
|
殿様の庭の広さに音を上げる |
中村真里子 |
|
気合入れ重荷を背負う底力 |
奥西勇人 |
|
主無き庭に咲き継ぐ桃の花 |
倉周三 |
|
顔のない羅漢とであう春の底 |
山辺和子 |
|
飛躍するバネが心の底にある |
中本三桂 |
佳 |
胸底でまだ生き生きと夢を描く |
山本ひさゑ |
佳 |
予定外バケツの底にいた平目 |
水田蓉子 |
佳 |
句作りへ左脳の原資底をつき |
前川和朗 |
佳 |
春の底叩けば三つ若返り |
水田象介 |
佳 |
底ついて来た通帳をしみじみと |
前川千津子 |
人 |
靴底に見果てぬ夢がこびりつき |
荒垣秋野 |
地 |
二台目の車を買って庭消える |
吉安陽子 |
天 |
千両万両庭に咲かせて火の車 |
倉周三 |
軸 |
春風に庭の石ころ動き出す |
樋口祐子 |
兼題 「都合」 村岡義博 選
|
ご都合いかがです桜咲きました |
長川哲夫 |
|
都合など何とかなるさその程度 |
森本佳子 |
|
その先は妻の財布に問うてくれ |
長島敏子 |
|
人間の都合に地球哭かされる |
村上氷筆 |
|
人間の都合で汚すこの大地 |
奥西勇人 |
|
人類の都合と折合えぬ地球 |
河原野折杭 |
|
ご都合はどうかと尋ねられただけ |
前川和朗 |
|
不都合を詫びる言葉に嘘が透け |
山辺和子 |
|
まあまあと勝手に日取り決められる |
豊野光子 |
|
お受験に親の都合が九分九厘 |
沼尾美智子 |
|
別れたい男の方から出て行った |
倉周三 |
|
開発という名の都合みどり消え |
山辺和子 |
|
不都合な事です八十路生きてます |
山本ひさゑ |
|
アポなしは都合悪いと断る気 |
大谷祝星 |
|
御都合はいかがとイケメンのセールス |
豊野光子 |
|
都合悪く網にかかった鯛の運 |
橋本凉子 |
|
都合でと紙一枚で首切られ |
池田史子 |
|
主義は楽天いつだってつく都合 |
赤井花城 |
|
都合よく使いバッサリ派遣切り |
辰巳和子 |
|
都合など知ったことかと産気づき |
長野峰明 |
|
エンマ様に都合百万準備でき |
上野五柳 |
|
金の都合ついて新茶に湯を注ぐ |
室田隆司 |
|
水道屋が掘ったらガス屋掘りにくる |
倉周三 |
|
都合良い耳で時々とぼけ癖 |
山本ひさゑ |
|
お日さまに都合をきいて事運ぶ |
流郷貞子 |
|
ご都合主義の男にちょっと水を差す |
樋口祐子 |
|
敗者復活戦で結ばれたふたり |
黒田忠昭 |
|
都合などおかまいなしのツバメの巣 |
荒垣秋野 |
|
テルテル坊主に旅の都合をぶら下げる |
松下比ろ志 |
|
一身上の都合地方に根を下ろす |
沼尾美智子 |
|
都合良い話内緒にしておこう |
橋本凉子 |
|
歩で終る暮らしの都合見せぬまま |
上村さな恵 |
|
都合などおかまいなしのお葬式 |
森本佳子 |
|
都合など無視して介護する絆 |
内田秀章 |
|
エリートの妻の都合で転居する |
中村真里子 |
|
ご都合がつけば冥途は道連れに |
濱田英明 |
|
春風の都合か地蔵微笑んだ |
宮本喜明 |
佳 |
蝶々にも都合があって海わたる |
野澤淑子 |
佳 |
私だけの都合で動く銀の櫂 |
橋本凉子 |
佳 |
都合よく頼まれいつも損な役 |
吉川千穂 |
佳 |
断われば惜しい都合に妥協する |
菅野泰行 |
佳 |
花ぽとり都合よかれと首を振る |
樋口祐子 |
人 |
都合よくロープ一本下がってる |
水田象介 |
地 |
都合でね来てくれるのか来ないのか |
井上登美 |
天 |
山門の仁王と春雨のはなし |
黒田忠昭 |
軸 |
グーグルへ国の都合の差し出口 |
村岡義博 |
兼題 「ねだる」 斎藤功 選
|
好きだよと一言だけでいいのです |
豊野光子 |
|
世は無常ねだらなくてもくれる親 |
前川和朗 |
|
猫撫で声で軽くヴィトンを釣り上げる |
倉周三 |
|
ねだるのを覚えた春のまよい猫 |
上村さな恵 |
|
形見分けわたしの好きな総絞り |
前川千津子 |
|
妻や子に大きな背中ねだられる |
松下比ろ志 |
|
おねだりもまぜて水掛けられ不動 |
黒田忠昭 |
|
SLを買えとねだった日もあった |
黒田忠昭 |
|
おねだりが下手でピーピー空財布 |
河合敏夫 |
|
少子化の空へおねだり鯉のぼり |
奥西勇人 |
|
甘噛みでダイヤをねだる膝の三毛 |
長野峰明 |
|
おもちゃ手に駄駄こねている方が兄 |
倉周三 |
|
歩けるうち海外旅行ねだる妻 |
倉田雄登美 |
|
ねだられて買ったゲームにはまり込む |
山辺和子 |
|
蛸焼きを買ってとねだる七五三 |
大谷祝星 |
|
ねだり事重ね重ねて淀の城 |
長川哲夫 |
|
ねだられて聞こえぬふりをするサイフ |
沼尾美智子 |
|
ねだること無く一生を終わりそう |
前川千津子 |
|
ねだりたい男にも吹く不況風 |
長島敏子 |
|
カーテンにねだられ春の風入れる |
荒垣秋野 |
|
先輩を回ってねだるコネづくり |
中本三桂 |
|
小銭ならあるのにねだる子が居ない |
樋口祐子 |
|
春の宵おねだりしたか朧月 |
宮本喜明 |
|
ねだる物多くてあみだくじで決め |
青木公輔 |
|
国にねだり付けた高速ガラ空きだ |
上野五柳 |
|
ねだられもせぬにバラ撒くあぶく銭 |
池田史子 |
|
ダイヤモンド買ってくれずに金婚に |
内藤夢彦 |
|
ねだるのが下手な孤独な春の月 |
上村さな恵 |
|
ねだっても無駄と知ってるわが子の目 |
室田隆司 |
|
来た嫁に和菓子ねだっている位牌 |
村岡義博 |
|
神棚へねだるひとつを載せて待つ |
牧野和子 |
|
ねだられて契る浄土へ春の宵 |
長川哲夫 |
|
それとなく褒めて釘煮をねだってる |
黒嶋海童 |
|
安子ママねだらなくても金をやり |
大谷祝星 |
|
ねだったら千五百円くれた母 |
水田象介 |
|
猫も母も老いたかとんとねだらない |
上野五柳 |
|
肩車ねだり青空近くする |
山辺和子 |
佳 |
名刀でなら斬られてやると老いの駄々 |
村岡義博 |
佳 |
逢いたいと花野の彼に置き手紙 |
橋本凉子 |
佳 |
餌をねだる小鳥に似てるパラサイト |
松下比ろ志 |
佳 |
ねだれない脛でも親と慕われる |
山内迪 |
佳 |
ねだるのは健康のみと阿弥陀さま |
内藤夢彦 |
人 |
ねだるものころころ変る神頼み |
井上登美 |
地 |
まだ子供三時のおやつねだる夫 |
河合敏夫 |
天 |
まだいける鏡にねだり若づくり |
倉田雄登美 |
軸 |
ねだり合い夫婦の味もひとつふえ |
斎藤功 |
兼題 「名」 村上氷筆 選
|
様と書き息子だんだん遠くなる |
沼尾美智子 |
|
ニューハーフ戸籍はちゃんと男の名 |
大谷祝星 |
|
名を呼べばついと出てくる影法師 |
松本光江 |
|
好きな順に名前並んでいる手帳 |
黒田忠昭 |
|
名前など要らぬ私はただの草 |
濱田英明 |
|
名に恥じぬ人になろうと日々励む |
中村真里子 |
|
匿名希望の鳩にゆっくり餌をやる |
青木公輔 |
|
微笑みの人片時も忘れぬ名 |
赤井花城 |
|
名前より声で覚えている仲間 |
赤井花城 |
|
犬猫も姓と名前がいるカルテ |
上野五柳 |
|
名案と思うが誰が鈴つける |
黒嶋海童 |
|
地獄から指名されたら何としよう |
河合敏夫 |
|
名より実狙うさもしい功利主義 |
河原野折杭 |
|
ふる里の風があだ名で呼んで来る |
黒嶋海童 |
|
福耳にみとれ名前を聞き忘れ |
山内迪 |
|
社長の名愛犬につけ呼び捨てる |
内田秀章 |
|
名前だけ部長になって部下はなし |
内藤夢彦 |
|
花の名を知らず見惚れる花時計 |
中本三桂 |
|
生涯を賭けた会社の名が消える |
斎藤功 |
|
名門の生れで喇叭吹きたがる |
黒嶋海童 |
|
名店街今日も一軒灯り消え |
樋口祐子 |
|
死んだ子の名は覚えてる痴呆症 |
山本ひさゑ |
|
姓名をしっかり呼ばれ手術台 |
長川哲夫 |
|
又一つ赤線をひく日の名簿 |
山本ひさゑ |
|
源氏名が浮いてる場末 |
安クラブ中村真里子 |
|
控え目に名を告げ通夜を去る美人 |
内田秀章 |
|
名月と語る人生浮き沈み |
橋本凉子 |
|
犬死には覚悟の名刺置いて行く |
内田秀章 |
|
珍名を武器に売り上げ伸ばしてる |
中村真里子 |
|
レクイエムたった一人の名をなぞる |
長川哲夫 |
|
仲の良い夫婦だ雅号で呼び合って |
倉周三 |
|
名刹の写経の筆に癒される |
奥西勇人 |
|
雑草が埋める無名の兵の骨 |
河原野折杭 |
|
名ばかりの役職ついて不発弾 |
井上登美 |
|
肩書きは夢追い人とする名刺 |
辰巳和子 |
|
名刺一枚人の重さを測り出す |
長島敏子 |
|
匿名が傍若無人に吠えたてる |
室田隆司 |
|
還暦後百名山に魅せられる |
水田象介 |
佳 |
冷一本名刺がわりと置いてゆく |
長島敏子 |
佳 |
にっぽんを恋うて名付けた桐もどき |
野澤淑子 |
佳 |
同窓の名簿寂しい削除キー |
河合敏夫 |
佳 |
子の名さえ忘れた母が待つ介護 |
辰巳和子 |
佳 |
引き潮に別れた女の名を叫ぶ |
宮本喜明 |
人 |
肩書きが取れて名もない輪に和む |
奥西勇人 |
地 |
秘めし名を心の奥に抱き続け |
池田史子 |
天 |
日にひとつ花の名増やす万歩計 |
村岡義博 |
軸 |
ペンネーム持って人生二度生きる |
村上氷筆 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
大谷 祝星 |
水田 象介 |
奥西 勇人 |
濱田 英明 |
吉川 千穂 |
水田 蓉子 |
長野 峰明 |
山内 迪 |
山辺 和子 |
内田 秀章 |
河合 敏夫 |
辰巳 和子 |
豊野 光子 |
森本 佳子 |
長島 敏子 |
橋本 凉子 |
井上 登美 |
長川 哲夫 |
斎藤 功 |
室田 隆司 |
黒嶋 海童 |
河原野折杭 |
野澤 淑子 |
流郷 貞子 |
上野 五柳 |
倉田雄登美 |
沼尾美智子 |
牧野 和子 |
内藤 夢彦 |
菅野 泰行 |
松下比ろ志 |
前川 和朗 |
村上 静子 |
村上 氷筆 |
松本 光江 |
村岡 義博 |
黒田 忠昭 |
前川千津子 |
青木 公輔 |
倉 周三 |
樋口 祐子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
荒垣 秋野 |
池田 史子 |
中村真里子 |
上村さな恵 |
森本 高明 |
吉安 陽子 |
山本ひさゑ |
宮本 喜明 |
※作品の著作権は、全てきやびん川柳会に帰属しています。無断転載、無断使用はご遠慮ください。