平成22年1月31日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「節分」 萩原典呼 選
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まず歯医者節分まえに行くところ |
井上登美 |
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鯖読んだ年令で今年も豆を食べ |
青木公輔 |
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撒く前に一粒食べる年男 |
斎藤功 |
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リストラの鬼に豆撒き遠慮する |
内田秀章 |
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鬼の面パパよりママが似合いそう |
沼尾美智子 |
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豆を撒くモンゴルの鬼寂しそう |
樋口祐子 |
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心の錆を洗い直して拾う豆 |
上村さな恵 |
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節分はどうあれ酒を所望する |
山本芳男 |
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大江山二月三日は空っぽに |
水田象介 |
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節分に生まれ節子と名付けられ |
前川千津子 |
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現世では鬼ばかりいる鬼ごっこ |
前川和朗 |
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豆まきに僕はつけない鬼の面 |
水田象介 |
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面つけた鬼がポリポリ奥の部屋 |
河合敏夫 |
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撒いた豆もったいないと豆ごはん |
倉田雄登美 |
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節分の豆を数えた遠い春 |
黒嶋海童 |
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柊の新芽いわしに添えて春 |
椙元世津 |
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クレヨン画豆まきの絵が弾んでる |
吉川千穂 |
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豆つぶて効いたか鬼が戻らない |
河合敏夫 |
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面なんかなくても小沢鬼の役 |
杉山ひさゆき |
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節分の豆も仕分けで一握り |
樋口祐子 |
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キムタクが投げた豆やと神棚に |
杉山ひさゆき |
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中華街春節祭は獅子主役 |
村上氷筆 |
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節分の豆持て余す古稀の春 |
河原野折杭 |
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厄除けのいわし一匹食べて春 |
山辺和子 |
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節分の豆噛み切れず差し歯折れ |
奥西勇人 |
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はや節分また春が来て夏が来て |
室田隆司 |
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豆を撒く男に惚れてからの乱 |
山口ヨシヱ |
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大津絵の鬼節分は嫌と言う |
河原野折杭 |
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節分祭豆食べ過ぎて腹下し |
奥西勇人 |
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自爆テロ豆で追いたいオバマさん |
村岡義博 |
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節分の夜は仲よく鬼と酌む |
上村さな恵 |
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節分の鬼が学んだ几帳面 |
山本芳男 |
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やれやれと昭和の鬼の面はずす |
豊野光子 |
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お隣りと大声競う節分会 |
池田史子 |
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適当な距離で豆撒く老夫婦 |
山本芳男 |
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豆を撒く鬼より恐い人が撒く |
菅野泰行 |
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節分のお化けを知らぬ世の移り |
青木公輔 |
佳 |
三粒程撒く大声の福は内 |
上原翔 |
佳 |
節分の主役と鰯胸を張り |
長島敏子 |
佳 |
丸かぶり今年の恵方又忘れ |
上原翔 |
佳 |
喉に棲む酒好きの鬼出てゆかぬ |
内藤夢彦 |
佳 |
海苔屋らの策略らしい恵方寿司 |
黒嶋海童 |
人 |
恵方へとロールケーキを丸かじり |
野澤淑子 |
地 |
躓いてばっかり鬼も老齢化 |
倉周三 |
天 |
角のない鬼と節分酔いつぶれ |
辰巳和子 |
軸 |
政治家の方へ撒きたい鬼は外 |
萩原典呼 |
兼題 「数える」 内田秀章 選
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バンクーバー捕らぬメダルの試算する |
河合敏夫 |
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どうなるか味方数える貴乃花 |
長島敏子 |
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数えたら一枚多い黙っとこ |
菅野泰行 |
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大皿の刺身何切れずつかいな |
杉山ひさゆき |
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一〇〇匹も数えぬうちに寝てしまう |
水田象介 |
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五七五何度折っても進歩せず |
村上氷筆 |
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万札を厭になるほど数えたい |
黒嶋海童 |
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ポケットの小銭数えてバスにする |
山本ひさゑ |
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皿の数つい数えてる回る寿司 |
杉山ひさゆき |
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幸せの花を数えて紡ぐ日々 |
牧野和子 |
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野に伏した数だけ花の名を覚え |
中本三桂 |
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歳の数豆教えたら日が暮れた |
河端世起子 |
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真夜中の銭勘定が僕の趣味 |
河原野折杭 |
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指折れば齢哀しくなるばかり |
赤井花城 |
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当確のあの数え方まだ解せぬ |
中桐徹 |
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錠剤を数えて日々が昏れている |
樋口祐子 |
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夕焼けの道に残した数え唄 |
中本三桂 |
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数えても増えるあてないわが寿命 |
倉田雄登美 |
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四億を数える指がふるえだす |
濱田英明 |
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苦労した数だけ痛みよくわかる |
萩原典呼 |
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また訃報指折り数えわが余齢 |
前川和朗 |
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通帳と私の余命計りかね |
前川千津子 |
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来年は金婚式ね別れましょ |
水田象介 |
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数えたら十指に余る悔いと罪 |
黒嶋海童 |
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数え歳都合によって使い分け |
中桐徹 |
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四世代白寿に集う膳の数 |
池田史子 |
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引き算をする人生もあと少し |
森本佳子 |
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ひとつとせ途切れぬ祖母の数え唄 |
みぎわはな |
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小半日思い出数え日向ぼこ |
長島敏子 |
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雑踏の街に孤独の影あまた |
牧野和子 |
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四以下は他人が省略してくれる |
廣嶋英子 |
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薄桃色の蕾数えて春を待つ |
橋本凉子 |
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ATM信じきってる数えない |
村岡義博 |
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片手まで残っていないこの世です |
宮本喜明 |
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レジ閉めて小銭数える小商い |
奥西勇人 |
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還らない人を数えて陽が沈む |
牧野和子 |
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かずかずの試練を越えて冬の花 |
上村さな恵 |
佳 |
勝ち負けを数えて未だ悟られず |
斎藤功 |
佳 |
余命など数えるよりも今日を生き |
内藤夢彦 |
佳 |
数えると余分に歳が殖えそうで |
中西保子 |
佳 |
死刑ではとても足りない罪の数 |
長野峰明 |
佳 |
流された風のドラマを数えてる |
山口ヨシヱ |
人 |
年よりも日にち数えて生きている |
沼尾美智子 |
地 |
長所だけ数えて嫁と丸く住む |
辰巳和子 |
天 |
挫折した数のり越えてきた笑顔 |
上村さな恵 |
軸 |
戒名の字数かぞえて掌を合わす |
内田秀章 |
兼題 「横」 山辺和子 選
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横道にそれず直角三角形 |
野澤淑子 |
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横糸を縺らせたままベスト編む |
前川和朗 |
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真実がしばし顔出す脇の道 |
池田史子 |
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横丁にぼくの巣がある灯が見えた |
上野五柳 |
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横車押して孤独の酒を飲む |
黒嶋海童 |
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すぐ横を向くから運を取り逃す |
赤井花城 |
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横顔の辺りでノーと出している |
山本ひさゑ |
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横道にそれて泣かした反抗期 |
松本光江 |
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横顔に愁いの滲む風の道 |
山口ヨシヱ |
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横道にそれて懺悔の遍路笠 |
上村さな恵 |
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年金の船は縦揺れ横に揺れ |
奥西勇人 |
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横向いたうなじが艶っぽい喪服 |
内田秀章 |
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真横から娘を攫う手が伸びる |
菅野泰行 |
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スタートにとなりは足の速い奴 |
萩原典呼 |
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負け癖の後ろめたさは横に置く |
斎藤功 |
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両横にストレスを持つロボット2号 |
廣嶋英子 |
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涙拭く父の横顔見ないふり |
みぎわはな |
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横車押しても通す意地がある |
辰巳和子 |
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つまらない話が届く横文字で |
吉川千穂 |
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笑顔より拗ねる横顔たまらない |
室田隆司 |
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横波に話の筋をさらわれる |
上村さな恵 |
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横にいてくれる人あり安堵感 |
倉田雄登美 |
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あの講師横道それるくせがある |
井上登美 |
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横向いて貧乏神と目を外らす |
長島敏子 |
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お喋りに横取りされた持ち時間 |
奥西勇人 |
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青テント横目就活急ぐ靴 |
長島敏子 |
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横顔も幸せそうよ春近し |
牧野和子 |
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触れた手は錯覚横は嫌な奴 |
青木公輔 |
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螺子切れて横になりたい古時計 |
河合敏夫 |
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鰻重を食べてる横でかけうどん |
杉山ひさゆき |
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横文字の竜馬で知った日本国 |
長川哲夫 |
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横顔にひとの甘さが出て困る |
黒嶋海童 |
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人のいたみも解り始めた横の方 |
吉川千穂 |
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横向いた人へはそっとしておこう |
椙元世津 |
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振り仮名のかたちに妻が横にいる |
内田秀章 |
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横笛の哀愁響く一の谷 |
森本佳子 |
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偏差値の横一線から格差 |
沼尾美智子 |
佳 |
わが末路花野の果てに横たえん |
赤井花城 |
佳 |
横道へ少しそれよう陽も高い |
樋口祐子 |
佳 |
横丁のぬくい暮らしに鍵要らぬ |
みぎわはな |
佳 |
同じ花植える横丁笑い声 |
森本佳子 |
佳 |
横書きのメールになじむ絵文字たち |
室田隆司 |
人 |
満月を横目に今日は疲れ気味 |
椙元世津 |
地 |
横書きで草書行書の味が消え |
河原野折杭 |
天 |
釈迦牟尼も旅立つ時は横になる |
村岡義博 |
軸 |
横顔を残しひとつの恋終わる |
山辺和子 |
兼題 「鯛」 室田隆司 選
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内定へ鯛を一匹提げてくる |
萩原典呼 |
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安酒のアテにするなと怒る鯛 |
濱田英明 |
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この歳で海老で鯛つる術しらず |
前川和朗 |
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老いる程値打ちが出ると鯛がいう |
中西保子 |
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横綱の笑顔に鯛は華を添え |
椙元世津 |
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桜鯛嬉しい倅の披露宴 |
大谷祝星 |
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鯛の目が今日の祝を支配する |
水田蓉子 |
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鯛焼君覚えているよ君の歌 |
内藤夢彦 |
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差し入れの鯛やき皆がうばいあい |
村上静子 |
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鯛料理今日の記念日聞きそびれ |
森本高明 |
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養殖の鯛うず潮を泳ぐ夢 |
萩原典呼 |
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誕生日忘れた膳に鯛刺身 |
赤井花城 |
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かぶと煮をつつきほんのり寒地酒 |
山口ヨシヱ |
|
祭り膳鯛真中に威儀正す |
倉田雄登美 |
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小さいがリリースしない鯛だから |
水田象介 |
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鯛焼クン泳げ人魚が待っている |
みぎわはな |
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清貧の暮し鯛には縁がない |
倉周三 |
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鯛焼きをしっかり胸に抱き迷子 |
花田俊枝 |
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鯛あら煮つつき至福の酒を飲む |
黒嶋海童 |
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恵比寿抱く鯛も小振りにこの不況 |
村上氷筆 |
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宙吊りの鯛が睨んでいる力士 |
野澤淑子 |
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夢だけど鯛になりたい金魚です |
井上登美 |
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三枚に下ろし損ねて鯛あら煮 |
河合敏夫 |
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節分の鰯へ鯛は一歩退き |
椙元世津 |
|
腐っても鯛なら僕もまだお・と・こ |
河原野折杭 |
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海峡に揉まれもまれて鯛の鯛 |
沼尾美智子 |
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古稀祝う気取った鯛が反り返る |
奥西勇人 |
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鯛焼きと渋茶思い出話など |
山口ヨシヱ |
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一発芸胸びれたぐる鯛の鯛 |
村岡義博 |
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鯛好きの子の食べっぷり舌をまく |
前田久雄 |
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にらみ鯛食卓ぐっと引きしまる |
小山紀乃 |
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鯛さげて不意の訪れ何かある |
長野峰明 |
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腐っても鯛腐った雑魚は捨てられる |
倉周三 |
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式服を脱いでゆったり鯛茶漬 |
辰巳和子 |
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鯛になる野望を持っている金魚 |
辰巳和子 |
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乙姫を巡り平目を貶す鯛 |
杉山ひさゆき |
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同じ味鯛もヒラメも同じ餌 |
中桐徹 |
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ながながと祝辞聞いてる睨み鯛 |
河合敏夫 |
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タイ焼きをさげて母への見舞客 |
長川哲夫 |
佳 |
活造り鯛の泪を見てしまう |
水田象介 |
佳 |
一家言鯛にうるさい瀬戸育ち |
黒嶋海童 |
佳 |
ぬくぬくの鯛焼抱いて終バスへ |
水田蓉子 |
佳 |
先刻目の合った生簀の鯛らしい |
廣嶋英子 |
佳 |
鯛よりもビフテキがいいサクラサク |
内田秀章 |
人 |
鯛焼きを三つに分けるむずかしさ |
みぎわはな |
地 |
ヒエラルキー鯛は生簀の牢名主 |
村岡義博 |
天 |
許すとは言わずに鯛を買うて来る |
辰巳和子 |
軸 |
龍宮殿鯛一族のお出迎え |
室田隆司 |
兼題 「例外」 前川千津子選
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例外は何処にでもある街の風 |
小山紀乃 |
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例外なく人を不幸にする戦 |
辰巳和子 |
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但し書きつけては蜜へ渡りゆく |
上原翔 |
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馬鹿は風邪引かぬ筈だが僕が引き |
河原野折杭 |
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ご先祖の紋が例外許さない |
上村さな恵 |
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例外もあるさ地球の逆廻り |
濱田英明 |
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百十才例外中の例外よ |
上野五柳 |
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あの人は例外いつも遅刻する |
椙元世津 |
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例外が多くて特例で括る |
赤井花城 |
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嫁さんを愛してるのは例外だ |
森本高明 |
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寅年の妻例外で優しすぎ |
山本ひさゑ |
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女房が猫撫で声で話しかけ |
水田象介 |
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美人薄命神のミスかも妻は古希 |
内田秀章 |
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小遣いに例外はなく妻の乱 |
前川和朗 |
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特別の待合室は宇宙行き |
みぎわはな |
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例外とさけんで世間狭くする |
奥西勇人 |
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兄ちゃんは例外という母である |
野澤淑子 |
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例外は貴方選んだことかしら |
水田象介 |
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亡父の義理十年続く年賀状 |
河合敏夫 |
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民主とて例外でない金のこと |
上野五柳 |
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例外という逃げ道に救われる |
青木公輔 |
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調整がつかぬ時だけ理事選挙 |
上原翔 |
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旧友が来て中止する休肝日 |
河原野折杭 |
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例外もあると信じる神頼み |
斎藤功 |
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女性専用車に男児五才が乗っている |
廣嶋英子 |
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例外も聖域も無い我が財布 |
黒嶋海童 |
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満室でスィートルームへ通される |
森本佳子 |
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例外を認め閻魔も苦笑い |
黒嶋海童 |
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句読点例外という位置に打つ |
山本芳男 |
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例外を認めマンネリから抜ける |
辰巳和子 |
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例外を認めてからの弱り腰 |
野澤淑子 |
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例外をばっさり斬って仕分け人 |
上野五柳 |
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首切りの例外の無い豚の部屋 |
長川哲夫 |
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例外も認めひとつの輪になった |
小山紀乃 |
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世の中はルール通りに行きません |
奥西勇人 |
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皇室の方が大きく手を振った |
杉山ひさゆき |
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例外を認めてほしい寒い夜 |
山口ヨシヱ |
佳 |
前例が無いと役所の石頭 |
みぎわはな |
佳 |
せかせかと信号例外なく渡り |
椙元世津 |
佳 |
生存の命尊くハイチいま |
牧野和子 |
佳 |
例外でひとりぽっちの道辿る |
山口ヨシヱ |
佳 |
しきたりの古さ例外許さない |
赤井花城 |
人 |
はみ出した道を選んで自由人 |
みぎわはな |
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地「照れくさいので柩は覗かないように」 |
廣嶋英子 |
天 |
例外も救ってあげるみな仲間 |
牧野和子 |
軸 |
ズバ抜けた思いと人よ言うでない |
前川千津子 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
山本 芳男 |
長野 峰明 |
倉田雄登美 |
水田 蓉子 |
牧野 和子 |
河原野折杭 |
河合 敏夫 |
中西 保子 |
井上 登美 |
山辺 和子 |
濱田 英明 |
森本 佳子 |
奥西 勇人 |
水田 象介 |
長島 敏子 |
上野 五柳 |
内田 秀章 |
豊野 光子 |
倉 周三 |
上村さな恵 |
室田 隆司 |
前川 和朗 |
花田 俊枝 |
神田 巳珠 |
辰巳 和子 |
村上 静子 |
山口ヨシヱ |
野澤 淑子 |
沼尾美智子 |
上原 翔 |
吉川 千穂 |
中桐 徹 |
黒嶋 海童 |
内藤 夢彦 |
杉山ひさゆき |
村岡 義博 |
斎藤 功 |
流郷 貞子 |
橋本 凉子 |
青木 公輔 |
廣嶋 英子 |
大谷 祝星 |
菅野 泰行 |
みぎわはな |
萩原 典呼 |
椙元 世津 |
前川千津子 |
池田 史子 |
村上 氷筆 |
樋口 祐子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
長川 哲夫 |
森本 高明 |
山本ひさゑ |
小山 紀乃 |
前田 久雄 |
中本 三桂 |
河端世起子 |
松本 光江 |
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