平成21年9月23日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
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特別席題  「長い」  沼尾美智子 選
長編小説の途中で政権が交わる 廣嶋英子
今回は長く持つのかしら首相 杉山ひさゆき
野に下るいつまで続くさえぬ顔 水田象介
やっと終る長いトンネルだったけど 前川和朗
秋の夜長に狸が徳利提げて来た 長野峰明
喪服脱ぐやっと気持を整理する 山本芳男
減らず口交わす人亡し曼珠沙華 池田史子
長い足へチョコチョコついて行く私 樋口祐子
蛇の愛、息とまる程抱きしめる みぎわはな
そこからが長いぞ後期高齢者 黒田忠昭
行列のうしろへ付いて小半日 神田巳珠
伸びすぎて隣で生きているゴーヤ 黒田忠昭
百までを遠慮しいしい生きまする 村岡義博
戻れない傘で地獄の長い道 山本ひさゑ
長い影うつして秋の遊動円木 橋本凉子
気の長い天国からのメール待つ 豊野光子
まだ独身開き直った眼の座り 室田隆司
加筆修正するほど恋文長くなる 廣嶋英子
嬉しい鼻のばしハッピーバースデーの象 橋本凉子
長風呂を案じてくれる人がいる 辰巳和子
ほろり秋別ればなしが長くなる 山辺和子
ああ平和この先ずっと守らねば 小山紀乃
愛綴り魔女と暮らして五十年 豊野光子
高速は延々おうちへ帰りたい 室田隆司
長いトイレだ生きてるかノックする 水田象介
長袖のブラウス一枚入れておく 村上静子
長旅の果てにやっぱりわがそま家 池田史子
うつからの長い闇から抜けて春 森本佳子
長い道いいないいなで林住期 井上登美
長い夜見えているのは桃屋のらっきょ 田中節子
長旅を問えば虚しくなる命 長島敏子
しゃにむに生き二人の軌跡長寿国 前川和朗
諂うてネギより長い悔い残す 山本ひさゑ
出直しへ母から長い手紙来る 山本芳男
人間になろうなろうと長い道 吉川千穂
結論はいまだに腕を組み替える 山辺和子
曼陀羅絵の前で長らく過去未来 上村さな恵
光年の切手を張らぬ恋の文 豊野光子
長月の月を掴んだ長い腕 水田象介
長い目で見て下さいと力こぶ 長野峰明
七曲りゆっくり月を愛でる河 黒田忠昭
辞書にない長い単語の現代語 小島知無庵
連休を食む赤い長蛇の列の中 村岡義博
花衣破れて長いいくさの譜 山本ひさゑ
満月がきれい源氏に逢えそうで 牧野和子
長い坂そして私は雲に乗る 沼尾美智子

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兼題  「減る」  小島知無庵 選
日めくりのつるべ落としが減らす罪 荒垣秋野
ふりあおぐ亡父似の雲がとけてゆく 松本光江
友逝って一人沁み入る秋の風 橋本凉子
お参りにくる人減った忠魂碑 上村さな恵
歓喜の歌ウエスト回り減ったとか 前川和朗
少しずつ会話が減って軋む椅子 山辺和子
愛の数値減ってボタンの掛け違い 上村さな恵
減らされて妻の機嫌の悪さ知る 斉藤功
曖昧なリズムで減っていく寿命 廣嶋英子
あちこち病んでなぜか口数だけ減らぬ 花田俊枝
夫婦ふたりなのに減ってるボクの酒 村上氷筆
レシピより半匙減らす塩砂糖 黒田忠昭
冷蔵庫あける度減るサクランボ 村上静子
引き算は嫌い割り算やむを得ぬ 室田隆司
クリームは減るだけ皺は減りません 内藤夢彦
季の速さ命とやらをふと思い 宮本喜明
減反と知らず荒地の草を摘む 長川哲夫
指紋減るそんなに諭吉数えたの 宮本喜明
吹き飛ばすマイナス思考秋の陣 井上登美
少子化の底に忘れた子守唄 赤井花城
盗み酒、酒瓶に水足しておく みぎわはな
贅肉を減らす思案の地球星 黒田忠昭
お中日積荷の減った貨車がゆく 沼尾美智子
黄昏に五官のちびる音を聞く 長野峰明
温暖日本の四季が減って行く 荒垣秋野
愛が減り金が減っても嫁は居る 森本高明
印から目減りしているウイスキー 神田巳珠
水流の減って嬉しい滝の音 寒田巳珠
割り切ればストレス減ると想ったに 斉藤功
子ら巣立ち買う米の量減りました 村上静子
靴底の減り方までが父に似る 山本ひろ子
核兵器減らすとオバマ、キャンと言い 濱田英明
口数が減り少年の恋芽生え 山田信子
減反が休耕田を生んだのよ 斉藤功
減るインク見えて頑張るボールペン 村岡義博
砂落ちる速さで減って行く命 黒嶋海童
三面鏡くるりとまわり痩せ具合 山本芳男
数えたら一羽足りない千羽鶴 水田象介
ポケットの木の実が減って冬に入る 山辺和子
年でんな妻の抱擁減ってきた 倉田雄登美
すり減った骨が音する膝頭 黒嶋海童
オーデコロン減って男に早い秋 山本ひさゑ
回り舞台女に影が減ってゆく 山本ひさゑ天
性欲は食欲よりも少し落ち 水田
習い事少し減らして腰のばす 小島知無庵

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兼題  「峠」  山本芳男 選
夜を徹し峠を越せた日の看護 水田蓉子
峠から秋の気配を肌が知る 橋本凉子
峠から一目散に出る故郷 赤井花城
この峠越えても里は既に無い 森本高明
老人と若者峠ですれ違う 室田隆司
削られて消えてしまったあの峠 神田巳珠
午後三時よっこらしょっと峠越え 沼尾美智子
峠から煙誤断の白虎隊 長野峰明
峠を越えると桃源郷だった 水田象介
むかし戦があった峠のかなかな蝉 田中節子
持ち込み不可の峠の茶屋で握り飯 辰巳和子
峠の茶屋今じゃ自販機花盛り 倉田雄登美
この傘となら喜んでいく峠 田中節子
哀しみに耐えられなくてゆく峠 吉川千穂
峠また峠人間果てるまで 辰巳和子
峠茶屋母がしるこを売っている 中西保子
ライバルに援けられてる下り道 みぎわはな
周平の峠の茶屋でひと休み 沼尾美智子
青春の見果てぬ夢を見た峠 荒垣秋野
山鳩の峠を越えてからの風 長川哲夫
ふるさとを眼に焼き付けて出る峠 赤井花城
ふる里が丸い地球にある峠 前田久雄
幾つもの峠を越えて来た月日 牧野和子
八十路かな峠を七つ越してきた 上野五柳
ひと息をつこう峠にある足湯 長島敏子
この峠越さねばぼくに明日はない 室田隆司
まだ越えていません大菩薩峠 黒田忠昭
峠茶屋団子の側に日章旗 宮本喜明
くしゃみして峠に残すハイヒール 廣嶋英子
峠まで紆余曲折を何度でも 上村さな恵
峠にはカープヤクルトタイガース 不明
来し方と行く末自問する峠 村上氷筆
神さまがやっと振り向く峠道 花田俊枝
二人三脚峠でやっと揃い出す 水田蓉子
ばあちゃんの話峠にでるキツネ 吉川千穂
トンネルは峠と昭和消して去り 内藤夢彦
いやだねえこんな峠で笑う膝 村上氷筆
青雲の夢抱き越えた日の峠 黒嶋海童
峠の茶屋にありました盗まれたペコちゃん 廣嶋英子
峠まで鬼があと押ししてくれる 上村さな恵
峠は越えた足踏みしめる試歩の道 長川哲夫
トンネルが出来て峠は淋しそう 森本佳子
自販機がでんと峠の茶屋にある 村上静子
峠の茶屋でしめなおす靴の紐 山辺和子
ドッコイショの峠を逃げた握りめし 宮本喜明
頂上でヒトは独りと知る峠 みぎわはな
峠から見れば故郷は変わりない 山本芳男

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兼題  「調子」  中西保子 
その線で行けばいいのよ調子づき 松本光江
銀杏が落ちて季節は本調子 長川哲夫
調子ええ男みんなに綺麗やね 杉山ひさゆき
チャンチキおけさ調子はずれが丁度よい 青木公輔
お調子な取巻き消えて首領(ドン)独り みぎわはな
歯車の調子のずれた置手紙 長野峰明
体調は万全恋もまだ可能 河野原折杭
雑巾縫いミシンの調子確かめる 辰巳和子
調子よい旨い話の裏を読む 奥西勇人
咲き残るひまわり今を弾ませる 田中節子
食欲のない子にプリン購ってくる 山辺和子
終章でやっと調子のでた夫婦 上村さな恵
起きてすぐ頭を叩き音を聴く 水田象介
調子よく家事が片付くいい天気 村上静子
暮れなずむ頃にやっと本調子 廣嶋英子
舌だして笑顔可愛い調子者 斉藤功
充電終了ここから調子試される 長島敏子
父の軍歌調子外れのまま暮れる 山本ひさゑ
調子出てきたのか妙に軽い口 長島敏子
エンジンの音が気になる上り坂 赤井花城
ワンコイン老母を案じてする電話 山辺和子
何もないいち日ふいに妻の笛 沼尾美智子
調子いい男時どき裏がえす 山本ひさゑ
身の回りを軽うしてから本調子 廣嶋英子
友達の調子のよさに騙される 吉川千穂
朗報に調子外れの声を出す 水田蓉子
北の将軍とは歯車が噛み合わぬ 上野五柳
調子のよい言葉にのって火傷する 上村さな恵
曾孫抱き虎造唸り祖父達者 村上氷筆
マスゲーム一糸乱れぬ青い空 牧野和子
野次ひとつ調子はずして攻めて来る 黒嶋海童
笑わせる調子外れも芸の内 斉藤功
バカでかい音痴ひとりに乱調子 村上氷筆
ミュンヘンで調子が戻るドイツ旅 黒田忠昭
パン焦がし朝から調子弾まない 辰巳和子
一杯飲むと歯車が動きだす 水田象介
調子よい男の鼻を折る黙示 山本芳男
はいはいと返事はいいがすぐ忘れ 村上静子
立板に水の調子にうかと乗り 不明
褒めちぎる調子に乗せて椅子を引く 井上登美
下糸の調子が狂う祭りあと 沼尾美智子
調子いい話半分だけ聞こう 小山紀乃
ワンカップ人の調子を変えに来る 山本芳男
決戦は今日の調子に掛かってる 水田蓉子
世界の目が調子見守る鳩時計 長野峰明
ただいまに調子合わせている家族 吉川千穂
体調もペタルも調子よく弾む 中西保子

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兼題  「両手」  廣嶋英子 選
こぼれ萩両手に秋を拾い上げ 山田信子
この両手鬼にも蛇にも影絵です 宮本喜明
究極の両手を持ってする介護 吉川千穂
妻の肩さする両手がまた詫びる 濱田英明
両の手に千草百草抱きしめる 樋口祐子
憎めない人だバンザイがうまい 青木公輔
手を合わせ自分勝手な神頼み 荒垣荒野
介護する嫁の両手の甲斐甲斐し 村上氷筆
父と母が両手広げて坂の下 黒田忠昭
両の手にこぼれる土産下げて母 橋本凉子
両手から介護づかれの音が漏れ 濱田英明
君を抱く両手はいつもあけてある 河野原折杭
バンザイの両手に悔いが絡み付く 長島敏子
両手からスルリ抜け出し子は育つ 池田史子
合掌の指から洩れてくる祈り 河野原折杭
抱きしめた手から勇気をまた貰う 小山紀乃
旅リュック秋を存分抱きしめる 沼尾美智子
ラストダンスやっぱり妻の両手取る 花田俊枝
バンザイができる両手がある平和 水田蓉子
妥協した両手ごしごし洗う夜 上村さな恵
赤札を見れば両手で買いあさる 樋口祐子
両の手を合わせてくれた母を拭く 山本ひろ子
左手を添えた握手に牛耳られ 山本芳男
負け戦だったか両手挙げたまま 山本芳男
万歳は白寿の白までとっておく 宮本喜明
両の手に山の命の水掬う 赤井花城
両の手に疲れた風をしまい込む 山辺和子
鶴彬昭和に両手置いてきた 長川哲夫
拍手して見送るライバルの背中 長島敏子
太陽を拝む両手に嘘はない 神田巳珠
バンザイの声山行かば海行かば 赤井花城
野仏に両手合わせて彼岸花 奥西勇人
六歳の子にも数える指がある 黒田忠昭
冬野来て母の両手に迎えられ 上野五柳
合掌のできる両手をよく洗う みぎわはな
言うとくが両手に花は疲れるよ 内藤夢彦
手を出せと言うと必ず両手出す 杉山ひさゆき
両手広げてマジシャンごまかしにかかる 青木公輔
面会の度に両手を合わされる 山本ひろ子
握手してもう片方に油断する 長野峰明
せっせっせ孫とはタッチと大声で 井上登美
両手出せと言われ暫く悩む蛸 杉山ひさゆき
よちよちへはらはら出迎える両手 河野原折杭
草叢の音符両手で掬い上げ 杉山ひさゆき
両腕に虫抱いて蜘蛛静かなり 上野五柳
サウスポー右手も働きたいのです 廣嶋英子

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【出席者】 (順不同・敬称略)
吉川 千穂 長野 峰明 田中 節子 森本 佳子 倉田雄登美 山辺 和子
橋本 凉子 濱田 英明 井上 登美 牧野 和子 花田 俊枝 廣嶋 英子
斎藤  功 河原野折杭 山本 芳男 沼尾美智子 村上 静子 水田 蓉子
山本ひさゑ 前川 和朗 小山 紀乃 水田 象介 池田 史子 村上 氷筆
上村さな恵 室田 隆司 上野 五柳 長島 敏子 内藤 夢彦 黒田 忠昭
田中 節子 流郷 貞子 神田 巳珠 黒嶋 海童 辰巳 和子 豊野 光子
みぎわはな 杉山ひさゆき 小島知無庵 中西 保子 奥西 勇人 みぎわはな
青木 公輔 樋口 祐子 赤井 花城

【投 句】
森本 高明 山本ひろ子 宮本 喜明 佐々木たみ子 長川 哲夫 吉安 陽子
前田 久雄 松本 光江 荒垣 秋野

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