平成21年7月26日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
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特別席題  「雨」  みぎわはな選 
明日も雨湿った夜具を身にまとい 室田隆司
向うから小さな長靴濡れて来る 豊野光子
雨の降る前兆水虫が痒い 内田秀章
日蝕の離島へ憎い雨が降る 長島敏子
酸欠の街を潤す今日の雨 牧野和子
野良猫の親子に雨の降りしきる 流郷貞子
遠い日に二人で濡れた雨の街 豊野光子
雨傘を大判にする老い二人 井上登美
土砂降りの中追いかけた恋実る 奥西勇人
浪花っ子の天神祭り雨あがる 流郷貞子
雨の香の近付いて蛙大合唱 橋本凉子
待ち人は来たらず雨音きく独り 上村さな恵
梅雨晴れに洗濯物が笑ってる 吉安陽子
雨の午後ちょっとおしゃれにハーブティー 佐々木たみ子
物置に雨合羽ある妻の郷 神田巳珠
まだ残るローンの家に雨が漏る 河原野折杭
湿っぽい話も終り雨上がる 奥西勇人
雨降ってぬかるみとなる嫁姑 黒嶋海童
しっとりと雨のデートに吐く本音 水田蓉子
来る来ない小糠雨降る花時計 奥西勇人
男傘女所帯に干してある 上野五柳
仕事さえあればと梅雨の重い足 倉周三
紫陽花の雨に別れた日がよぎる 辰巳和子
雨宿り最後の二人同じ道 森本佳子
今日も降るやっぱり君は雨女 内藤夢彦
雨だれが心の隙間ノックする 豊野光子
清流が濁流となり梅雨明ける 森本佳子
俄か雨二人の距離が近くなる 辰巳和子
梅雨明けの前に告白して振られ 倉周三
テーブルに果物ナイフ雨のうつ 流郷貞子
偏頭痛雨の予感を肌で知る 樋口祐子
人間へしっぺ返しかゲリラ雨 長野峰明
お陰さまにて雨をやさしく聴いている 野澤淑子
小気味よくブランド傘が雨はじく 佐々木たみ子
つつみ切れぬなさけを抱いて長い雨季 花田俊枝
雨やんで男のロマン置き去りに 上村さな恵
花を褒め花を頂く雨宿り 内田秀章
逆立ちしても雨は天から落ちてくる 樋口祐子
雨降っても地が固まらぬ倦怠期 河原野折杭
遣らずの雨昔は雨も粋でした 上野五柳
御機嫌のわるい烏が雨を飛ぶ 橋本凉子
大雨も小雨もみんな自己主張 上村さな恵
雨の夜は女もすなる品定め 井上登美
夕立は三十分を我慢する 森本佳子
人妻にアリバイがある雨の午後 倉周三
わたくしを責めるか雨は横なぐり 濱田英明
老いてなお跳ぶことやめぬ雨蛙 みぎわはな

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兼題  「朗報」  内藤夢彦 選
ラブレター暗記する程読んでいる 倉周三
再婚のニュースに耳をそば立てる 樋口祐子
持っている株が僅かにあがりだし 前川和朗
受話器から朗報らしい弾む声 小山紀乃
きっと朗報足音が翔んでいる 山本ひさゑ
朗報を待っているのに縁遠い 吉安陽子
吉報を墓前に供え海が凪ぐ 長野峰明
日蝕が見えた見えたとメールくる 長島敏子
内定の孫の電話に魂胆も 倉田雄登美
ハイミスの愁眉を開く良い話 村上氷筆
褒賞の喜び妻と分かち合う 村上氷筆
同窓会意中の人の姿あり 倉田雄登美
明日は晴れ大歓声の山の小屋 森本佳子
就活は終りましたとメール来る 松下比ろ志
朗報が来てもやっぱり胸さわぎ 豊野光子
這い這いが歩き出したとメール来る 黒嶋海童
朗報に軽いジョークがすっと出る 上村さな恵
当確に達磨両目を開けたがり 河原野折杭
合格の良報水虫が治る 内田秀章
朗報を聞きつけ財布口を閉じ 濱田英明
朗報をいまだに聞けぬ拉致家族 松下比ろ志
吉報はいつ届くのか拉致の海 長島敏子
退院と聞いて祝いの鯛を買う 倉田雄登美
給付金たしか朗報だった筈 長野峰明
クリスマスカードじっと待ってるキャンプの子 長川哲夫
朗報がトントン叩く朝のドア 牧野和子
朗報が生まれて来ない永田町 流郷貞子
朗報悲報受けて液晶無表情 村岡義博
写メールで届いた孫の表彰状 室田隆司
日食の見えた皆さんおめでとう 沼尾美智子
補聴器をつけて朗報聞き返す 内田秀章
朗報に浮いて足元抄われる 山本ひさゑ
内孫を運んでくれたコウノトリ 井上登美
朗報を鶴の切手が連れて来る 辰巳和子
朗報が袱紗の中に入っている 野澤淑子
一枚のハガキが虹を乗せて来る 黒嶋海童
おめでたが続き家計簿火の車 倉周三
朗報かも知らんが金の要る話 倉周三
朗報を待つ一日は手がお留守 佐々木たみ子
朗報は綿毛がとんだ先にある 宮本喜明
ひまわりよ検査結果は白でした 沼尾美智子
朗報は咀嚼するたび効いてくる 田中加津子
朗報の余韻を花へ語りかけ 斎藤功
どの絵馬もみんな朗報待ち焦れ 山本ひさゑ
サクラサクこんな言葉もありました 水田蓉子
朗報を待っていますよ真弓さん 内藤夢彦

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兼題  「腹」  長川哲夫 選
心音が児のすこやかさ刻んでる 村上氷筆
妊婦なら席を譲ってあげたのに 室田隆司
腹にある一物ポンと世間に出 田中加津子
足音へ来るものが来た腹括る 長野峰明
何分目の腹づもりだろうマニフェスト 黒田忠昭
ジョッキ空け腹芸できる方と知る 内藤夢彦
腹の中で計算出来るお人です 松下比ろ志
腹五分に収めて四海波立たず みぎわはな
本当の顔はお腹にしまい込む 山辺和子
よくぞ生きたと開腹痕を撫でている 村上氷筆
手の内は見せず男の腹を読む 辰巳和子
駈引きの火花で腹を探り合う 河原野折杭
隠し事なんにも無いと痩せた腹 斎藤功
半分はひもじさに泣く世界地図 黒田忠昭
詰め腹を切らせてボスは生き続け 室田隆司
モーツアルトうっとり聞いているお腹 山田信子
胎児蹴るJリーガーを夢みてか 村岡義博
飽食の裏リンゴの歌と空きっ腹 神田巳珠
嘘ついた顔だお腹が笑ってる 前田久雄
母さんの三段腹に孫のぼる 倉田雄登美
腹の中綺麗なものでお見せする 牧野和子
悪いけど腹据えました白寿まで 豊野光子
平凡に生きても腹はのぞかせぬ 上村さな恵
結婚の腹決まったら待ったなし 上野五柳
言いにくい事を云わせる腹話術 神田巳珠
困った男(ひと)外ではいつも太っ腹 前川和朗
だんだんと辛抱のない太鼓腹 水田蓉子
腹の虫宥めてくれた白湯一杯 水田蓉子
腹具合悪いし電車よく揺れる 黒嶋海童
布袋様満腹ですかいいお顔 佐々木たみ子
病院食は腹八分目に出来ている 村上静子
腹の底見えぬからこそ生きられる 吉安陽子
慎重に言葉選んで腹くくる 上村さな恵
帰還待つ腹巻き長くながく編む 野澤淑子
辛うじてメタボリックを出ない腹 赤井花城
腹芸は下手でも子煩悩な父 上村さな恵
腹一パイ食べると夢が消えそうで 花田俊枝
育つ子の腹はペロリと小気味良い 黒嶋海童
断下す鰯の腹を裂きながら 長島敏子
腹ごなし一寸散歩と雨の中 水田蓉子
レギュラーサイズがちょうどいい私のお腹 沼尾美智子
すぐ腹を立ててうっかり鬼になる 小山紀乃
腹割って話す円座に酒を置く 村上氷筆
腹の底からを笑えた友が亡し 赤井花城
腹割って話そう梅雨ももう明ける 長島敏子
腹帯をポンとたたいて母となる 長川哲夫

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兼題  「似る」  村上静子 選
俺の子とひと目でわかる鼻の穴 室田隆司
姑に嫁がだんだん似る不思議 河原野折杭
パパそっくり言われて娘拗ねている 倉周三
金婚の夫婦似てくる何やかや 田中加津子
ちちははに五分五分似ててつつがなく 上村さな恵
鏡拭くそっと亡母似の涙ふく 松本光江
後ろから見れば似合っている帽子 長島敏子
どことなく母似の人に道を問う 辰巳和子
父に似て笑い上戸の酒である 松下比ろ志
すねている孫が娘にそっくりで 松本光江
鬼っ子の目は涼やかに母に似る 黒嶋海童
ふる里に母そっくりの叔母がいる 倉周三
筆跡を似せる芸など出来ませぬ 樋口祐子
酒も好き女も好きはみな親似 倉田雄登美
呼んだ児がどちらか判らない双児 みぎわはな
恋の軌跡が私に似すぎ気にかかる 村上氷筆
DNA変えられません似て来ます 牧野和子
またやった他人の空似でご挨拶 井上登美
似ていても似ていなくても生んだ子だ 花田俊枝
父に似たまあるい鼻にコンパクト 上村さな恵
真似る気はないのに姑の味になり 内田秀章
発想が彼に似てきた惚れている 村岡義博
双子でも似てないねえとじろじろと 森本佳子
どことなく元カレに似た子のしぐさ 室田隆司
妻に似た猫に監視をされている 花田俊枝
ヨン様によく似た人とお付き合い 前田久雄
中年になってやっぱり母に似る 山田信子
似るならばクレオパトラか美智子さま 宮本喜明
低い鼻母親似だと我慢する 前田久雄
寝相まで僕にそっくり抱きしめる 豊野光子
どちら似なの聞かれる迄もない親子 吉川千穂
師匠と弟子時間をかけて見事似る 森本佳子
悪いとこだけはパパ似とママが言う 河原野折杭
父に似て寡黙に本を愛してる 黒嶋海童
子は鏡欠伸の顔まで良く似てる 松下比ろ志
母さんに似て欲しかった器用な手 水田蓉子
一徹な父に癖字も似て困る 黒嶋海童
父に似て頑固一徹押し通す 山田信子
この頃は身体つきまで母に似る 牧野和子
俺に似たお前に似たと孫を抱く 長島敏子
自画像に先生びっくり百点を 森本佳子
値札見て諦めるのは母親似 佐々木たみ子
反抗の息子の眉は父に似て みぎわはな
だんだんと父に似てきた女好き 内田秀章
農を継ぐ長男父に似て無口 内田秀章
若い頃の亡母に似てきたねと言われ 村上静子

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兼題  「本音」  村上氷筆 選
ひめゆりの塔は本音を知り尽す 橋本凉子
ペン先はいつも本音を書きたがる 小山紀乃
ぺんネームで本音さらさら打ちまける 辰巳和子
胸元を見せて本音はのぞかせぬ 室田隆司
本音主義で生きて閻魔に褒められる みぎわはな
吐き出せば谺戻って来ぬ本音 斎藤功
飲ませると本音は吐かず法螺を吹く 内藤夢彦
割り箸の先へ本音がひっかかる 山本ひさゑ
一筋に本音で生きた面構え 豊野光子
ズバズバと本音カワイク無い女 みぎわはな
吟醸酒本音ポロリとこぼれ出る 牧野和子
冗談を言いつつ本音だしている 村上静子
日照り雨本音はどこにあるのだろう 宮本喜明
自信などないと言いつつ待つ呼名 佐々木たみ子
青く澄む海だ野心のない本音 牧野和子
六根清浄今も本音は言えぬまま 上村さな恵
揉み手して本音を捏ねる技覚え 水田蓉子
朱に染まる予感に本音口にせず 斎藤功
酔い醒めの水に昨夜の本音悔い 長川哲夫
本心は豆腐に添える練り辛子 沼尾美智子
ぶっちゃけて言うたらあんた嫌いやねん 倉周三
本音言え言われて言うてから揉める 河原野折杭
大嫌いの言葉の裏にある本音 長野峰明
向日葵の葉っぱの裏にある本音 山田信子
正座して本音を喋る遺言状 神田巳珠
痛いとこ突かれ本音が転げ出る 長島敏子
直ぐ酔って本音連発あかんたれ 奥西勇人
泣きぼくろ女の本音読めなんだ 倉周三
幸せか妻の本音がまだ聞けぬ 黒嶋海童
好きですとぶっきらぼうに本音吐く 倉田雄登美
追伸に少し本音を仄めかす 奥西勇人
月下美人本音言えないまま萎む 内田秀章
徳利増え本音とボロが溢れ出る みぎわはな
うっかりと本音を吐いた旨い酒 黒嶋海童
内視鏡入れて本音を視てみよう 内藤夢彦
どさくさに本音ぽろりと嫁姑 吉川千穂
パスワード忘れ本音が出て来ない 黒田忠昭
一木一草みんな本音を抱き生きる 赤井花城
大言壮語本音はそっと耳打ちし 水田蓉子
孫が来て本音が揺らぐ遺言書 長川哲夫
アンケート年齢以外みな本音 内田秀章
はんなりと本音を包む京ことば 佐々木たみ子
札束で燻され本音ふと漏らす 辰巳和子
本音にも表情がある蝉しぐれ 松下比ろ志
遠花火本音欲しくてひとり言 井上登美
本音知る師匠の耳はごまかせぬ 村上氷筆

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【出席者】 (順不同・敬称略)
橋本 凉子 山田 信子 山辺 和子 牧野 和子 吉川 千穂 長野 峰明
豊野 光子 村上 静子 倉田雄登美 長川 哲夫 室田 隆司 内田 秀章
上村さな恵 森本 佳子 長島 敏子 上野 五柳 黒嶋 海童 濱田 英明
辰巳 和子 松本 光江 流郷 貞子 井上 登美 野澤 淑子 吉安 陽子
花田 俊枝 神田 巳珠 佐々木たみ子 みぎわはな 河原野折杭 内藤 夢彦
奥西 勇人 黒田 忠昭 村岡 義博 斎藤  功 水田 蓉子 松下比ろ志
前川 和朗 村上 氷筆 倉  周三 田中加津子 樋口 祐子 赤井 花城

【投 句】
宮本 喜明 前田 久雄 青木 公輔 小山 紀乃 沼尾美智子 山本ひさゑ
田口 晴美

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