平成21年5月31日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
一つ前へ   一番上へ   ホームへ   次へ
特別席題  「茶」  倉周三 選
お茶ばかり飲んで仕事がはかどらぬ 濱田英明
今日もまたお茶だけでしたあの男 宮本喜明
お茶でもと声かけられただけでした 倉田雄登美
お茶しましょそんな誘いはもう古い 長島敏子
茶つみ唄流れる里で深呼吸 上村さな恵
お茶どうぞ 仏と三時いたします前川千津子
御手前は自慢の着物(べべ)を見てほしい 宮本喜明
畏まりつんと気取った志野茶碗 斎藤功
お茶がわりにとビールの栓を抜いてくる 松下比ろ志
ブレンド茶どんな女になりたいの 田中節子
一服のお茶で落着き取り戻す 山本芳男
お茶ですかビールですかは無粋です 沼尾美智子
喫茶店ビール有るか聞く阿呆 河合敏夫
食い過ぎる中華へフーフ烏龍茶 上原翔
茶の渋さ昨日別れた男(ひと)のこと 宮本喜明
紋太句碑一期一会のお茶の宴 吉川千穂
独り居に茶の香満つ日の満足度 上村さな恵
茶封筒色気隠したバーのママ 河合敏夫
茶摘み唄きっと故郷も夏めいて 長島敏子
試飲茶のうまい源氏の宇治の巻 野澤淑子
歌声喫茶でカチューシャ覚えきる 水田象介
茶柱が立って私の夢かなう 吉川千穂
沙羅愛でて諸行無常の茶をすする 山辺和子
淑やかにお茶など出して妻である 野澤淑子
青空に溶ける乙女の茶摘み歌 松下比ろ志
交渉は妥結お茶から酒になる 河原野折杭
よくやるわ裸踊りのウーロン茶 杉山ひさゆき
カテキンの威力を信じ切る肋 上原翔
老いてゆく速さ新茶の香り今 廣嶋英子
茶番劇重ねて老いを生きて行く 黒嶋海童
馥郁と新茶故郷に抱かれて 沼尾美智子
麦茶ゴクゴクどう治めようこの無念 長島敏子
ふるさとのお茶で気持が洗われる 山本芳男
楠若葉新茶の香るエレガンス 水田蓉子
何も言うまい五月は終わる茶碗割る 田中節子
草庵の茶室で一服春の午後 牧野和子
目覚めから風呂上がりまで妻とお茶 水田象介
禁煙を決めてゆっくり朝のお茶 山辺和子
おちゃしません可愛い声で誘われる 吉川千穂
日本はええね食後のお茶は只 杉山ひさゆき
お茶飲んだだけで終った遠い恋 辰巳和子
ウーロン茶で告白なんて初な人 長野峰明
この世のことこの世で終る新茶汲む 辰巳和子
力にはなれないお茶を入れ替える 山辺和子
ハーブ茶を楽しむ異人坂の午後 小山紀乃
お茶だけでいいから欲しい飲み相手 倉周三

一つ前へ   一番上へ   ホームへ   次へ
兼題  「モノクロ」  斎藤功 選
モノクロの時代に誠置き忘れ 赤井花城
モノクロが似合う身の上話など 青木公輔
うす闇に疲れたからだ横たえる 田中節子
モノクロの心で苦い酒を飲み 濱田英明
モノクロの画面しゃべると彩がつく 小山紀乃
どの風もモノクロになる訣れから 宮本喜明
白と黒その接点にある思想 吉川千穂
モノクロの影が昔を喋りだす 山本芳男
モノクロの雨降る中を阪妻だ 上野五柳
背信のショックすべてがモノクロに 村上氷筆
モノクロに暮れる故郷は過疎の里 黒嶋海童
恋はモノクロ思い出はみな美化されて 長島敏子
自画像は単彩のまま残しおく 室田隆司
悪童のモノクロ写真皆笑い 倉田雄登美
モノクロの時代は知らぬ万華鏡 上村さな恵
大正の意地モノクロなりの物を言う 長野峰明
モノクロの人情ばなし盛りあがる 上村さな恵
モノクロの軍靴の音が今も有る 牧野和子
モノクロの見合い写真に助けられ 中桐徹
モノクロの母が棲んでる春財布 山本ひろ子
モノクロに孫と浸っているオセロ 村岡義博
モノクロの屈託のない深い皺 野澤淑子
モノクロの昭和の中で炎えたもの 牧野和子
床の間の祖父母の写真笑ってる 井上登美
モノクロで写すとはっきりする笑顔 山辺和子
モノクロの被爆写真の雄弁さ 上原翔
恩讐を越えて槌ふるサイレント 長川哲夫
モノクロの父から貰う力水 辰巳和子
モノクロな妻で良かった分かりよい 山本ひさゑ
モノクロで炙り出された過去の傷 山本芳男
モノクロの桜降り敷く一周忌 辰巳和子
ぼたん雪カラスは黒で押し通す 松本光江
モノクロな田舎を変えたアスファルト 山本ひさゑ
モノクロの亡父の拳固をもらう夢 長野峰明
限りない色匂わせる筆と墨 杉山ひさゆき
モノクロで色気写らぬ水鏡 松下比ろ志
モノクロの列に太陽容赦なく 森本佳子
零戦のセピアの兄に詫び数多 村上氷筆
青春はモノクロだったふかし芋 水田象介
街頭の力道山の黒タイツ 上原翔
色彩も声もなくてもチャップリン 中村真里子
モノクロの画面に薔薇だけが真っ赤 杉山ひさゆき
喪の家の色の一つは金魚だけ 田中節子
悔い残る過去だけ色が失せている 宮本喜明
モノクロになった神戸が壊れた日 杉山ひさゆき
一色に幸せ染める卵焼き 斎藤功

一つ前へ   一番上へ   ホームへ   次へ
兼題  「せかせか」  宮本喜明 選
急かんでもきっと迎えの日が来るよ 牧野和子
せかせかの心へ酒を二・三合 山本芳男
せかせかはやっぱり母のゆずりもの 長川哲夫
ケセラセラせかせか暮らすことはない 山辺和子
せかせかとするから地球熱くなる 豊野光子
信号の青を待たずに前のめり 小山紀乃
落日の将軍様は焦ってる 水田象介
せかせかと毎日妻にせっつかれ 内藤夢彦
駆付け三杯せかせか注がれ咽せている 長野峰明
せかせかとするから運がすぐ逃げる 黒嶋海童
やがて逝くのにせかせかとしなさんな 上原翔
気忙しい蟻を横目のかたつむり 長島敏子
せかせかと総理お口も軽すぎる 萩原典呼
早よ採らな竹になるでと土の中 杉山ひさゆき
急かすから諭吉財布を出られない 長野峰明
バーゲンに歌手の追っかけ妻元気 中村真里子
せかせかと前行く靴についつられ 山岡幸一
てきぱきもせかせか母は一人住む 森本高明
バリウムに振り回される胃の検査 村岡義博
魚河岸でせかせか動く指掲げ 濱田英明
せかせかと揺れる振り子は嫌われる 花田俊枝
晴れ曇り雨のあなたに疲れます 田中節子
今朝はスリッパで出勤した夫 水田象介
せかせかもしんどくなった喜寿の午後 内藤夢彦
せっかちが茶筅の先に出てしまう 沼尾美智子
待ちきれぬトイレへ足も目ももつれ 黒嶋海童
せかせかはあとでバテると万歩計 上原翔
せかせかとシャーペンの芯出しすぎる 杉山ひさゆき
せかせかといわくありげに輪を抜ける 松下比ろ志
花嫁の父せかせかと浮いている 村上氷筆
切羽詰まった事情か精神科へ急ぐ 青木公輔
絵は未完せかせか過ぎてゆく月日 山辺和子
義理で来た葬儀そそくさすぐ帰り 倉周三
できませぬのんびりなどとわたしには 内藤夢彦
生い立ちが箸の使いを早くする 黒嶋海童
せかせかとひたすらに食う下戸がいて 室田隆司
せかせかと入籍腹に子がいます 河原野折杭
人生の半ば失せ物さがし物 みぎわはな
せかせかと枝を探しているロープ 長野峰明
大阪人横の信号みて一歩 中桐徹
鈍夫婦せかせか動く世の外で 山本ひさゑ
エスカレーター止まると背中突っつかれ 杉山ひさゆき
皺くちゃの指でせかせかメール打ち 倉周三
せかせかと稼ぎポキンと逝っちゃった 上野五柳
どこまでもせかせか千円で走る 黒田忠昭
ストンと夕陽せかせか今日をしまい込む 山辺和子
ふるさとに帰って外す腕時計 赤井花城
せかせかと直角折れて質屋入る 宮本喜明

一つ前へ   一番上へ   ホームへ   次へ
兼題  「酸っぱい」  山辺和子 選
はなれゆく人影ばかり酸っぱい刻 花田俊枝
靴下の饐(す)えた臭いが枯れました 村岡義博
三分粥梅干しだけの日も終る 上村さな恵
ドライブの眠気覚ましに噛むレモン 河合敏夫
酸いも甘いも噛み分けてこそ苦労人 河原野折杭
巣立ちの日甘く酸っぱい師のことば 沼尾美智子
卯の花や母の強さがわかりかけ 田中節子
ぼそボソと小言の混じる酢味噌あえ 神田巳珠
柚子田楽たっぷり母の思いやり 牧野和子
薫風下酸っぱい恋に目を細め 前川和朗
梅干しが朝の緑茶を引きたてる 上村さな恵
藤ぬれて恋は酸っぱい距離を置く 花田俊枝
酸っぱさあふれる青春の一頁 青木公輔
ふるさとは酸っぱいものだ梅の種 沼尾美智子
見目の良い苺と女甘くない 黒嶋海童
甘酸っぱいほどに熟れてる夏の恋 長川哲夫
明石蛸酢がききすぎている不満 前川千津子
酢味噌和え一品増えて盃重ね 井上登美
その嘘に酸っぱいものを食べて寝る 吉川千穂
すかんぽも大きくなったポチの道 田中節子
裏帳簿は酸っぱくなってからバレる 廣嶋英子
間違えて酢を呑む夜の盗み酒 河原野折杭
もったいない酸っぱく言われマスク捨て 倉田雄登美
三日月は都こんぶの味がする 廣嶋英子
酸っぱさを食べて米寿へ向かう足 山本芳男
甘夏と言うから買ったのにこれは 前川千津子
干し梅をつまみ雀のゆく先など 沼尾美智子
甘酸っぱい吉祥天女の膝あたり 松下比ろ志
酸っぱいかどうかを僕に食べさせる 水田象介
酸っぱさも思い出の中姑の梅 長島敏子
眠け覚ましにガリガリ齧る青レモン 辰巳和子
初恋の酸っぱさを恋う倦怠期 村上氷筆
青春は遥か向こうに青りんご 萩原典呼
スカンポに初恋の想い出がある 水田象介
油断した心へお酢をぶっかける 山本芳男
魔女になるには少し酸味が足りません 廣嶋英子
故里の校舎酸っぱい味がする 黒田忠昭
言い訳が下手で酸っぱくなる葡萄 山本ひろ子
酢の物を食べてジャンプを繰り返す 山本芳男
青梅をかじると飢えた日に戻る 赤井花城
マイレシピ少し酸っぱい胡瓜揉み 黒田忠昭
甘酸っぱい戦知らずの未来像 野澤淑子
甘酸っぱい思い出残し転校生 長島敏子
手文庫の古い恋文甘酸っぱい 井上登美
酸っぱさを舌で転がす梅の種 濱田英明
捨てきれぬ自我にレモンをしたたらす 山辺和子

一つ前へ   一番上へ   ホームへ   次へ
兼題  「今頃」  前川千津子選 
姉さんがなぜかこの頃濃化粧 花田俊枝
バス停で気づく忘れてきたサイフ 沼尾美智子
今頃は逢ってるだろう父母の星 松下比ろ志
季節はずれのさくらと出逢う旅の風 山辺和子
潮干狩今から浅蜊まくところ 河合敏夫
今頃は田植えか故郷遠い絵に 長島敏子
ひと冬を忘れたままのセータ着る 樋口祐子
カップメン卓に揃えて妻は旅 村岡義博
今頃は修学旅行のはずの靴 山本ひろ子
腰痛に今頃わかる母の杖 野澤淑子
雨の日に別れた人よ どうしてる河端世起子
結論へ今頃わかる人の裏 山本芳男
告白は今だ瀬戸に夕陽が沈む頃 倉周三
今頃の野菜は旬が分らない 黒嶋海童
今頃の老いの憧れ森光子 斎藤功
ふるさとは今頃梨の花盛り 辰巳和子
身から出た錆を学んでゆく余生 牧野和子
老いて今こころに恋の灯がともる 上野五柳
今頃と違うわたしを探す旅 山本ひさゑ
今頃に農家を継ぐとフリーター 萩原典呼
耳底に今頃亡父のバカヤロー 杉山ひさゆき
今頃は戦争知らぬ紙兜 長野峰明
今頃になって懐かしガキ大将 松本光江
ひと昔前のドレスで逢いに行く 樋口祐子
今頃はきっと負けてるタイガース 濱田英明
冤罪のもう青春は返らない 上原翔
もう家に着いただろうと届くバラ 山辺和子
一人暮しの母は今頃どうしてる 村上静子
今頃はウツになる友気にかかる 森本佳子
今頃になって離婚を持ち出され 水田象介
今頃は気炎あげてる縄のれん 橋本凉子
今頃に男の嘘が透けてくる 山本ひさゑ
五年後の今頃おもう対茶碗 沼尾美智子
キリギリス今頃になり非常食 前川和朗
駿馬三頭大平原を駆け抜ける 長川哲夫
今頃の男で芯が抜けている 黒嶋海童
今頃の停年離婚驚かぬ 水田蓉子
往時茫々今頃君のことばかり 赤井花城
今頃はきっと棚田に水光る 黒田忠昭
山里の山菜取りに母多忙 中村真里子
来年の今頃咲けと苗を植え 河原野折杭
鯖よんでましたごめんね七つほど 杉山ひさゆき
妻達は山の出で湯に着いた頃 水田象介
三回忌兄貴今頃極楽か 上野五柳
今頃はリラ冷えと言う一行詩 井上登美
秋雄さん浄土に少しなれた頃 前川千津子

一つ前へ   一番上へ   ホームへ   次へ

【出席者】 (順不同・敬称略)
吉川 千穂 長野 峰明 田中 節子 森本 佳子 倉田雄登美 山辺 和子
橋本 凉子 濱田 英明 井上 登美 牧野 和子 花田 俊枝 廣嶋 英子
斎藤  功 河原野折杭 山本 芳男 沼尾美智子 宮本 喜明 村上 静子
水田 蓉子 前川千津子 小山 紀乃 水田 象介 上原  翔 萩原 典呼
上村さな恵 室田 隆司 上野 五柳 長島 敏子 倉  周三 河合 敏夫
内藤 夢彦 黒田 忠昭 神田 巳珠 黒嶋 海童 辰巳 和子 豊野 光子
野澤 淑子 みぎわはな 松下比ろ志 杉山ひさゆき 青木 公輔 樋口 祐子
赤井 花城

【投 句】
森本 高明 山本ひさゑ 山本ひろ子 河端世起子 中村真里子 村岡 義博
中桐  徹 長川 哲夫 村上 氷筆 前川 和朗 山岡 幸一

※作品の著作権は、全てきやびん川柳会に帰属しています。無断転載、無断使用はご遠慮ください。