平成20年11月16日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
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特別席題  「酔う」  上野五柳 選
人ごみに酔い泣き出した七五三 村上静子
酔い覚まし柿食べなさい食べなさい 前川千津子
酔い醒めて白白明ける始発駅 奥西勇人
パワーに酔ったふたたびの伊達公子 沼尾美智子
かす汁で一家四人が踊りだす 水田象介
女癖酒癖悪いのは血筋 内田秀章
一目惚れあの人あんなになりはった 橋本凉子
うっとりと酔わせてくれる聞き上手 辰巳和子
舟酔いに釣りの取材も出来ぬまま 室田隆司
鍋底に昨日の酔いがまだ残る 山本芳男
地球の裏がオバマ人気に酔うている 長野峰明
生ビール世の移ろいの泡に酔う 長川哲夫
菊の香に酔うているのか赤とんぼ 池田史子
酔いつぶれ人質となる幹事役 中井康弘
女ひとりグラス重ねた眼のすわり 室田隆司
止り木のカモメ酔えない訳がある 宮本喜明
高ぶりを酔った振りして絡む椅子 吉川千穂
検問の風船パンクさせてやる 杉山ひさゆき
支払いはまかせろ言うてから酔えず 河原野折杭
酔いざめの水が聞いてる妻のグチ 村上氷筆
秋晴れにほどよく酔っている山河 池田史子
酔いましたちょっとホの字になりました 長島敏子
ほろ酔いへ飲み直しへの声かかる 上原翔
酔眼でうっかり妻に惚れなおす 中桐徹
ワイングラスの甘いことばに酔うている 山辺和子
酔いもまわって恋の切れ端いただくわ 田中節子
酒怖い酔うより先に寝てしまう 中桐徹
ほろ酔いの父は小づかい気前よい 村上静子
酔っている間も年は取っている 山本芳男
ライバルの酒に一滴たらしこむ 水田象介
言い寄った偽装の酔いに出た尻尾 長野峰明
甘言にすぐ酔うたちで芯が無い 黒嶋海童
観覧車オーデコロンに咽かえる 杉山ひさゆき
酔い醒めて大風呂敷が畳めない みぎわはな
隅っこに置いても邪魔な酔い潰れ 山本芳男
今年酒酔ってひとりの菊日和 牧野和子
花の一生見てて飽きない酔芙蓉 森本佳子
酔うてない言うてふらふらしてるがな 杉山ひさゆき
酔うた酔うたと腹をさぐりに来た刺客 長島敏子
酔えばまた男と女火がついた 吉川千穂
告白の酔いの涙を信じたい 前川千津子
酔い覚めて本音に気付くカメレオン 斎藤功
花に酔い旨酒に酔い橋渡る 山口ヨシヱ
蜃気楼揺れて遙かな恋に酔う 内田秀章
この次は酒抜けてから逢いましょう 長島敏子
酔うたから言うんじゃないぞ君が好き 上野五柳

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兼題  「越す」  辰巳和子 選
乗り越えた苦労笑いで隠す父 濱田英明
残菊や亡母の齢を越えました 花田俊枝
重篤の峠を越した日の安堵 水田蓉子
亡父の年越しても父の背は越せず 内田秀章
激論も山場を越して茶で和む 奥西勇人
かりがねの恋一筋に山河越ゆ 長川哲夫
山坂のいくつ越えたか夫婦の絵 山本ひさゑ
山ひとつ越える勇気をくれた友 山辺和子
一山を超えた夫婦の一休み 豊野光子
この難所越せば花咲く野に行ける 黒嶋海童
越すか戻るか切り取り線に試される 内田秀章
ベランダに洗濯日和声かける 倉田雄登美
越えてみろ父は大きな背を屈め 長川哲夫
坂一つ越えれば次の坂が見え 中井康弘
下積みに耐えて難関ひとつ越す 室田隆司
六十を越えてまわりが見え始め 長島敏子
こし方の男の数をかぞえ冬 吉川千穂
境界線越えて蔓薔薇咲きみだれ 橋本凉子
致死量を越すほどかけた惚れ薬 杉山ひさゆき
危機越えた夫婦の絆太り出す 水田蓉子
この峠越すと老母住む家がある 村上静子
パトカーを止めて追い越す救急車 内田秀章
六十路きてまだ越えられぬ親の壁 佐々木たみ子
追い越した途端にネズミ捕りに遭い 河原野折杭
乗り越した駅に未練が落ちている 山本芳男
トンネルを越すと待ってるひとがいる 花田俊枝
峠越えまた越え人生九十九坂 みぎわはな
住民税安いと溝ひとつ越える 杉山ひさゆき
一病をさげて今年を越す元気 山本芳男
一線は越さず交際しています 村上氷筆
ライバルを越えた辺りのつむじ風 宮本喜明
今年また荷を負うたまま年を越す みぎわはな
亡母の齢越して手にするパスポート 村上静子
背を越され寡黙になった父の髭 沼尾美智子
長いこと掛けた保険に越す物価 神田巳珠
ガラス越し花屋の花が笑いかけ 山辺和子
幾山河越えてしなやか登山靴 池田史子
峠越す腸にやさしい温野菜 沼尾美智子
あの峠越せば聞こえる国訛り 濱田英明
亡父の歳越したが解脱まだ出来ぬ 黒嶋海童
越えて来し山々遠き雪月花 赤井花城
幾山河越えて織りなす愛の詩 山口ヨシヱ
山坂を越して阿吽の共白髪 奥西勇人
晩学のハードルゆっくり上げて越す 村上氷筆
幾山河越えた男にある温み 辰巳和子

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兼題  「鉛筆」  内田秀章 選
鉛筆の先から溢れ出るロマン 竹の内一人
鉛筆のちびるほどには知恵も出ぬ 内藤夢彦
鉛筆は私のミスを許すかも 安積貴代美
鉛筆も妻も尖ってなぐり書き 山本ひさゑ
僕の鉛筆複雑骨折ばかりする 田中節子
Hな僕に6Bの美人妻 水田象介
鉛筆は主人消しゴム女房役 上野五柳
書いて消し苦労がにじむ答案紙 佐々木たみ子
試験中どこかで芯の折れる音 室田隆司
ふる里を描いて鉛筆トンボ追う 濱田英明
鮮やかに色鉛筆で旅だより 森本佳子
子の歓喜赤鉛筆の二重丸 河原野折杭
母鉛筆で誘ってくれる里だより 花田俊枝
鉛筆をきれいに削りいざ行こう 前川千津子
消しゴムが筆圧嘆きつつこすり 上原翔
失言も鉛筆ならば消せたのに 佐々木たみ子
尖る鉛筆ボクのジョークが通じない 田中節子
鉛筆の自画像若く偽装する 倉田雄登美
鉛筆の先に戸惑う接続詞 斎藤功
ふる里の色鉛筆も褪せてきた 宮本喜明
鉛筆の転がる先で迷い解け 奥西勇人
6Bに託す野菊の乱れ咲き 樋口祐子
鉛筆がいのちのしずくかきまぜる 山口ヨシヱ
ペンシルの芯折れつづけ騒ぐ胸 赤井花城
鉛筆で書いて老母の温い文 黒嶋海童
席題へ焦る鉛筆芯が折れ 奥西勇人
鉛筆のメモが雪崩をおこさせる 田中節子
優しさを書く鉛筆が丸くちび 山本芳男
鉛筆でたっぷり母の紡ぎ詩 牧野和子
鉛筆を削り自分を晒け出す 水田蓉子
鉛筆に昔恋した肥後守 長野峰明
父ちゃん子ゴルフ鉛筆箱いっぱい 中桐徹
棟梁が鉛筆耳に指図する 村上静子
ほとばしる思い鉛筆迷わない 山口ヨシヱ
さあ遣るぞラストスパート芯削る 水田蓉子
鉛筆で書いた決意がすぐ揺らぐ 辰巳和子
或る怒り鉛筆の芯尖らせて 赤井花城
鉛筆を削り明日の策を練る 辰巳和子
鉛筆を削る縄文杉匂う 水田象介
鉛筆にキャップを穿かせ書くもエコ 村上氷筆
鉛筆を削りなおしてまだ迷う 山辺和子
色鉛筆でダイナミックな虹描く 橋本凉子
消しゴムが消す鉛筆の負の記録 河原野折杭
法廷の死角を狙うエンピツ画 竹の内一人
鉛筆の芯に答を迫られる 山本芳男
晩学の鉛筆遅々と進まない 黒嶋海童
ストレスを溜めた鉛筆よく折れる 内田秀章

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兼題  「テレビ」  田中節子 選
成婚パレードあれからテレビ座を保つ 橋本凉子
サザエさんさあ始まるよ始まるよ 前川千津子
バーゲンへ走れ走れというテレビ 山本芳男
2兆円がテレビで滾る麻生鍋 長野峰明
粒選りのビデオを映す日曜日 神田巳珠
世相より優しさ見えるサスペンス 斎藤功
黄門と阪神だけは観る夫婦 上原翔
紅葉の季節をもらうテレビから 上村さな恵
孫の守りテレビにまかせひとやすみ 吉安陽子
アナログのまだ息あるにもったいない 尾畑晴代
黄門の言葉に頷いている老父 河端世起子
美智子妃が我が家にテレビ持って来た 尾畑晴代
皇室ニューステレビでえんどうむきながら 花田俊枝
映像があなたのこころまで写す 牧野和子
お茶の間へ世界のドラマ攻めて来る 牧野和子
ハイビジョン源氏絵巻に釘付けに 村上氷筆
旅先でテレビ知識の確認を 森本佳子
ハイビジョン日本のこころ映し撮る 長川哲夫
一日を世界の天気見て終る 宮本喜明
地デジだと隠し事まで見えてくる 安積貴代美
気分だけテレビですます茶屋あそび 上野五柳
お茶の間に居座るテレビショッピング 竹の内一人
何んとかせねばすぐキレるテレビっ子 樋口祐子
糸ようじリアルに見せるコマーシャル 室田隆司
薄くなったものだテレビも人間も 沼尾美智子
爺々婆々にテレビは電気紙芝居 上野五柳
ミーハーによるミーハーの視聴率 竹の内一人
コマーシャルの間席題考える 沼尾美智子
テレビから僕のアリバイ洩れていた 濱田英明
も一人の私がのめり込むテレビ 山本芳男
テレビ消したあとから櫨の実が爆ぜる 野澤淑子
爪に灯をやっとテレビをうす型に 前川千津子
テレビの功罪みな同じ物を食べ 樋口祐子
テレビニュースを解説してる酔払い 上野五柳
篤姫の行く末如何に早や師走 赤井花城
チャンネルの何処から見てもはまり込む 赤井花城
チャンネルを変えても攻めて来る保険 辰巳和子
叩いても今のテレビはつきません 水田象介
治るとは言わずに効くとゆうテレビ 神田巳珠
隠居部屋テレビだけが起きている 吉安陽子
居ながらに天下国家を俯瞰する 水田蓉子
テレビが教えた裏側の孤独 前田久雄
一台のテレビで妥協つづく仲 赤井花城
テレビ消すまだ残像の中で酔い 山本ひさゑ
テレビをつけたままの孤独死でした 水田象介
テレビには子守代金差し上げる 田中節子

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兼題  「味」  室田隆司 選
隠し味妻がときどき舐めている 山本芳男
味なことやりおったわいと目を細め 長野峰明
あの味はもうまぼろしに母が逝く 村上氷筆
味のある言葉の後に付いて行く 山本芳男
味のあるユーモア吐ける年になり 水田蓉子
味よりも量でもと取るバイキング 濱田英明
平凡な言葉で飾る人間味 樋口祐子
連綿と女系家族の隠し味 村上氷筆
松茸の味も忘れて二十年 中井康弘
お招ばれの味の薄さは口にせぬ 赤井花城
破目を外せぬ薄味に馴れた舌 赤井花城
わたくしを味見だけした憎いひと 河原野折杭
味見してよっしゃひと声鍋奉行 倉田雄登美
皺深い顔で味ある事を言う 黒嶋海童
練味噌に柚子の秋です母の味 花田俊枝
味付けは妻に委せて恙なく 神田巳珠
三杯酢何かがたらんそう何か 前川千津子
包丁のタップ美味いうまいについ乗って 池田史子
ダイエット味覚の秋に負けている 山辺和子
究極の美味だと思う三分粥 黒嶋海童
偽装発覚味に自信をなくす舌 尾畑晴代
味噌汁とスープの味で嫁姑 山本ひさゑ
お先祖にすまぬ美食の味に慣れ 上村さな恵
風は流れて痛みの味は忘れたよ 田中節子
つまみ食いの味に溺れて鉄格子 長野峰明
カニの足家族黙々しゃぶる味 中井康弘
味気なさダム底にあるわが生家 宮本喜明
カラオケの拍手にマイク味をしめ 倉田雄登美
五十年やっとふたりの味になる 長島敏子
欲一つ足して余生の味つける 長川哲夫
三ツ星に着て行く服を吟味する 佐々木たみ子
三度めも恋はやっぱりほろ苦い 宮本喜明
グループサウンズ今では味のあるおやじ 沼尾美智子
大味な夫を南蛮漬けにする 内田秀章
味つけのさしすせそから抜け出せぬ 安積貴代美
初恋の味は前歯がかち合った 水田象介
ふるさとの味はストーンと胃に溶ける 斎藤功
味のある顔と無難に褒めておく 中桐徹
飾らない女に光る人間味 牧野和子
ベランダのトマト都会の味で熟れ 内田秀章
肩書きを外してからの味な人 みぎわはな
口紅の色で味わうパリモード 佐々木たみ子
胡瓜まる噛り十五の味がした 杉山ひさゆき
八十の味が顔にも背中にも 長島敏子
晩秋をモダンに活けて味な恋 田中節子
思い直してあたため直して夫婦の味 花田俊枝
惜しまれる筑紫哲哉の渋い味 室田隆司

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【出席者】 (順不同・敬称略)
奥西 勇人 倉田雄登美 橋本 凉子 神田 巳珠 牧野 和子 村上 氷筆
長川 哲夫 長野 峰明 吉川 千穂 花田 俊枝 水田 蓉子 森本 佳子
濱田 英明 上野 五柳 内田 秀章 河原野折杭 田中 節子 辰巳 和子
村上 静子 山辺 和子 斎藤  功 中井 康弘 山口ヨシヱ 野澤 淑子
水田 象介 沼尾美智子 長島 敏子 前川千津子 池田 史子 上原  翔
室田 隆司 黒嶋 海童 みぎわはな 中桐  徹 佐々木たみ子 佐々木国夫
杉山ひさゆき 宮本 喜明 山本 芳男 吉安 陽子 樋口 祐子 赤井 花城

【投 句】
上村さな恵 山本ひさゑ 前田 久雄 森本 高明 尾畑 晴代 豊野 光子
竹の内一人 山岡 幸一 河端世起子 内藤 夢彦 安積貴代美

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