平成20年9月21日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
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特別席題  「米」  黒田忠昭 選
米櫃をいっぱいにして満ちている 山口ヨシヱ
米よりもおにぎりにして被災地へ 山田信子
精米機ほんまに全部出てますか 杉山ひさゆき
介護する米粒少しづつ母の口 吉川千穂
親馬鹿が農継がぬ子へ米送り 河原野折杭
一粒の米に拳固を呉れた亡父 長野峰明
汚染米へむしろ旗持ち立ち上がる 樋口祐子
神棚に稲穂を供える懺悔録 長川哲夫
故郷の米が届いて恙無い 山本芳男
商人の誇りを捨てた米問屋 内藤夢彦
幸せはいわしの干もの握りめし 倉田雄登美
日本の稲穂が実り娘が嫁ぐ 長川哲夫
一粒の米に狂った事もある 青木公輔
憧れは昭和ひとけた米のめし 倉田雄登美
地元米信じて妻は農協へ 中井康弘
一汁一菜その精神が消えた世に 宮本喜明
平成にも米騒動がありそうだ 青木公輔
パン屋百年毎朝御飯食べてます 青木公輔
汚染米体に黴が生えてきた 水田象介
敬老の赤飯すなおに喜べぬ 室田隆司
飯つぶも素性探らにゃ食えん世に 宮本喜明
瑞穂国へメタミドホスがメラミンが 村岡義博
休耕田ふやし毒もつ米を買う 黒嶋海童
米作の苦労にうてぬ句読点 斎藤功
先祖の田守る赤字の米作り 内田秀章
バイキングお米のものは目をつむる 前川千津子
輸入米へ田んぼの案山子泣いている 樋口祐子
毒入りの米焼酎がうらめしい 倉田雄登美
銀シャリに恋い焦がれてた戦中派 河原野折杭
新米は故里の味母を恋う 前川千津子
新米になんと優しいこの句会 河原野折杭
天と地に感謝しお辞儀する稲穂 内田秀章
平和っていいね新米炊き上がる 辰巳和子
黄金波天まで響く祭り笛 牧野和子
ふる里は棚田百選黄金色 山口ヨシヱ
新米へ農家の笑顔盛ってある 山辺和子
矍鑠と生きて米寿の粗衣粗食 黒嶋海童
仏さま新米ですよ召しあがれ 上村さな恵
母さんの景色を覗くちらし寿司 田中節子
三食共米のごはんで母米寿 辰巳和子
母さんの声と御飯があたたかい 吉川千穂
一粒の米も残さず老いの膳 黒嶋海童
赤飯で待っておりますタイガース 樋口祐子
発掘の米に歴史を重ね見る 山本芳男
生きてきて新米にまた逢える幸 上野五柳
稲穂いま彼岸花との話し中 黒田忠昭

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兼題  「やっぱり」  長川哲夫 選
老美人やっぱり芦屋駅で降り 上野五柳
誕生日やっぱりバラの花あげる 山田信子
やっぱりねもう天国へ行かはった 小山紀乃
ふる里へ終の住処を建てたがる 黒嶋海童
大事な日やっぱり雨に泣かされる 蒲池季美
長電話やっぱりあなたとウマが合う 上月智恵子
桟橋にやっぱり待っていた父よ 黒田忠昭
海外ツアー和食に飢えて帰る顔 室田隆司
夢で逢う亡母はやっぱり笑っている 山辺和子
なんやかや有ってやっぱり旧の鞘 黒嶋海童
食べ過ぎたツケはやっぱり腹回り 中村真里子
午前様やっぱり角が生えていた 濱田英明
ワンルームやっぱりレタス洗わぬ娘 村岡義博
席ゆずられやっぱり齢だ顎なでる 倉田雄登美
内視鏡どこもかしこも真っ黒け 宮本喜明
玉の輿やっぱりぼくは通過点 室田隆司
参観にやっぱり来てるモンスター 室田隆司
寝てる児へ父は酔っててチューをする 牧野和子
児を叱る夜はやっぱり眠られぬ 牧野和子
あと少し鏡広げて試着室 宮本喜明
妻は留守今夜もやっぱり秋刀魚焼く 山田信子
愛された記憶信じて従いてゆく 牧野和子
へそくりはやっぱりここだ借りておく 内藤夢彦
土壇場ではやっぱり頼り合う夫婦 河原野折杭
ポケットの中にやっぱりあめ一個 山口ヨシヱ
案の定猛虎の尻に火がついた 上原翔
あの人の句だな今年も萩まつり 黒田忠昭
この寺の仁王もやはり無愛想 黒田忠昭
やっぱりの妻の言葉が気にかかる 山本芳男
流し目はやっぱりという顔をして 樋口祐子
やっぱりね倫理の文字にシール貼り 中井康弘
朝からの無言やっぱり解けない 田中節子
呆ければ解る佛は佛鬼は鬼 斎藤功
うちの札やっぱり羽が生えている 沼尾美智子
嫉妬心昨日のことはもう悔いぬ 吉川千穂
やっぱりの次を信じるのは味方 山本芳男
やっぱりを信じた母の安堵感 山本芳男
今日も本屋へつれづれの散歩道 萩原皐月
人跡未踏の筈がやっぱり焚火跡 赤井花城
不用意を誘われてゆく雨の酒 前川千津子
大笑いやっぱり福が寄ってくる 小山紀乃
珈琲館にやはり一人でいた孤独 花田俊枝
頼れるのはやっぱり自分立ち上がる 中村真里子
傘持たず出た悔いもある喫茶店 前川千津子
やっぱりの顔でひそひそ囁かれ 赤井花城
今もまだ好きと書きたい秋の章 前川千津子
新米はやっぱり故郷のコシヒカリ 長川哲夫

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兼題  「まぐれ」  山本芳男 選
結ばれたのはまぐれ今年で五十年 青木公輔
まぐれです謙遜なのにうなずかれ 蒲池季美
この指に止まった妻と共白髪 内田秀章
占師がまぐれ当りを自慢する 上野五柳
気まぐれに拾った恋の狂い咲き 長野峰明
入賞をまぐれと言うて睨まれる 樋口祐子
いいことはみんなまぐれと言っておく 室田隆司
戦地からまぐれで帰り米寿です 中村真里子
故意かまぐれか夫がお茶を入れてくれ 花田俊枝
まぐれだと言う本心にある自信 赤井花城
まぐれだと言って実力否定され 濱田英明
まぐれを掴むマークシートの答案紙 山辺和子
浦島の助けた亀を又助け 水田象介
まぐれじゃない努力のあとが見え隠れ 山口ヨシヱ
まぐれだと言わさぬいつも天を取る 黒嶋海童
名人の隣りで大物釣り上げる 室田隆司
ジンクスになった言葉に嘘はない 小山紀乃
くじ引きの当てずっぽうが大当たり 小山紀乃
ハードルを越えたまぐれを信じよう 前川千津子
これまでがまぐれだったなトラの息 黒田忠昭
まぐれだと慰め合っているザル碁 上原翔
気まぐれに旅に出ました風も秋 上月智恵子
勝負運ないのにまぐれ待つ男 尾畑晴代
まぐれではないやろ年子三人目 杉山ひさゆき
幸運とまぐれ当たりとどう違う 沼尾美智子
気まぐれに覗いて落ちた蟻地獄 長野峰明
まぐれです灰皿のあるレストラン 宮本喜明
うたかたの夢追い人になるまぐれ 牧野和子
百五歳ちょっと祝いの通夜の酒 宮本喜明
気まぐれな風に好きだと言われても 長川哲夫
予感的中まぐれの旗が降ろせない 樋口祐子
天は気まぐれ欲しいところに雨がない 沼尾美智子
夢ばかり追って青空翔べずいる 牧野和子
偶然が重なり知恵の輪がとける 山辺和子
まぐれまぐれまぐれそれはもう実力 沼尾美智子
グローブにボールのほうが飛び込んだ 河原野折杭
気まぐれな神に召される順不同 内田秀章
無事故無違反運がよかっただけのこと 上野五柳
まぐれだと見破ったのは仲間の目 斎藤功
下車出来ぬまぐれに乗った縄でんしゃ 山本ひさゑ
迷い道ふたりしずかにめぐり会う 山田信子
あてずっぽう言った答えが的を射る 黒嶋海童
初恋の人に偶然出会う町 小山紀乃
予期もせぬまぐれで実る夢もある 河原野折杭
気まぐれなカラスが青い柿つつく 山口ヨシヱ
釣り上げた魚がまぐれと言いふらす 山本芳男

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兼題  「現金」  斎藤功 選
ポケットにバラで入れてる伊達男 倉田雄登美
孫ふえて悲鳴をあげるお年玉 山田信子
一円玉を粗末にしない小商い 内田秀章
現金の山でじわじわ試される 山本ひさゑ
現金で叩かれている骨董屋 山本芳男
秋の風タンス貯金も底をつく 上村さな恵
現金で買えないものを磨いてる 山口ヨシヱ
現金にしょう誕生日を買わず 前川千津子
読み掛けの聖書のなかの内緒金 神田巳珠
有金を持ち歩くなよおばあさん 上野五柳
札束は空っぽ金庫番昼寝 内田秀章
割り勘に現金右往左往する 長川哲夫
札束を積まれて揺れるヤジロベー 辰巳和子
現金を見ると笑顔にすぐなれる 水田象介
積み上げた本を売ったらこれっぽち 小山紀乃
現金に出戻り諭す父と母 濱田英明
両替機使えるようになった婆 田中節子
まだ今も現金が良い昭和っ子 黒田忠昭
現金書留う回しないでねと祈る 青木公輔
信用は出来ん現金見せてんか 杉山ひさゆき
現金も貯金もなくてキリギリス 中井康弘
懐に現金招く猫を抱き 安積貴代美
人情の街現金抱いて無料パス 前田久雄
札束を積む今生の大勝負 竹の内一人
特売日現金が舞う妻が跳ぶ 山本芳男
現金なお方英語で言えばリアリスト 内藤夢彦
千円札で投句小為替代けちる 内田秀章
現金で買えぬあなたの心まで 牧野和子
無駄も買わせるキャッシュカードという魔物 河原野折杭
割り勘のお釣りに一円玉混じる 室田隆司
野仏に一円玉がよく似合う 黒田忠昭
福賞は誰でも好きな諭吉です 神田巳珠
人間不信げんなま抱いて寝ています 長野峰明
お賽銭軽い音して気がひける 倉田雄登美
酒でると言えばホイホイ単細胞 内藤夢彦
助っ人はやっと終盤から本気 上原翔
兄弟も七回忌には笑みこぼれ 松本光江
現金は持たない主義と金借りる 中村真里子
駄菓子屋の現金に体温がある 尾畑晴代
いろいろ考えたが結局金にする 萩原皐月
現金を握ると目線高くなる 黒嶋海童
泣いた児がケーキの皿にはや笑う 黒嶋海童
タクシーへチップハンドル軽くなる 黒嶋海童
実入りよいのか影もメダカも太り出す 田中節子
現金は良くも悪くもよく喋る 山本ひさゑ
現金な人だと自分棚に上げ 中井康弘
持ち合わせないのでしょうと母が出す 室田隆司
札束で叩くと八起きするダルマ 長野峰明
仲間とは上司に鈴を付けるまで 斎藤功

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兼題  「触れる」  前川千津子選 
ライバルの尻尾にちょっと触れてみる 宮本喜明
それなりのタイプだそっと触れてみる 青木公輔
増税に触れず総裁戦最中 上原翔
不器用な男の温い手に触れる 辰巳和子
琴線に触れるうれしい秋となる 山口ヨシヱ
真相に触れる度胸は無いままに 斎藤功
黒髪に触れた青春抱いて古希 濱田英明
政局にふれて話が盛り上がる 上月智恵子
菊花展香りに触れる試歩の杖 前田久雄
一桁違う値札にそっと戻す品 赤井花城
手が触れて心の鐘が鳴り渡る 黒嶋海童
人間に触れて便りを読んでます 吉川千穂
情に触れ胸のピアノがポンと鳴る 山辺和子
ギターぼろろん青春の一ページ 山辺和子
恋人よ触れるものみな春に向く 花田俊枝
食べ頃の桃は触れずに買えという 長川哲夫
雑踏の街で触れ合う国訛り 山本芳男
秋風に触れられ錦織る野山 河原野折杭
触れているだけで安心介護の手 山田信子
棒倒し若き息吹に触れました 内藤夢彦
赤ちゃんの指に触れられ母となり 牧野和子
裸婦像に触れるなとある美術館 村岡義博
人情に触れて感謝の一行詩 濱田英明
頂上はすぐ手に触れる岩清水 小山紀乃
体温がまだあるうちに触れさせて 荒垣秋野
泣きやんだ天使の寝顔にそっと触れ 安積貴代美
指先が触れて身ぶるいされました 尾畑晴代
爽やかな風に触れたい午後のウツ 上村さな恵
そっとしておこう気圧の谷のひと 沼尾美智子
主治医から金のことにも触れられる 長川哲夫
故郷のなまりに触れてうちとける 山辺和子
締めに来た真綿に首は油断する 長野峰明
ふくよかな心に触れて世を生きる 山本芳男
初恋の触れれば揺れるおじぎ草 長川哲夫
聴診器当ててダイアル回してる 水田象介
指先を触れ合うだけで胸が鳴る 赤井花城
仏像へ触れて心に虹を抱く 樋口祐子
秋風が頬なでていく坂登る 小山紀乃
触れそうで触れぬ私と君の距離 村岡義博
叶うかなビリケンさんの足の裏 沼尾美智子
恐竜の化石にも触れ夏休み 上野五柳
てのひらで包んでくれるレジの釣り 赤井花城
負けてきたことには触れずほめてやる 花田俊枝
逆鱗に触れたなけいれん起こしてる 室田隆司
国産の松茸ちょっと触れてみる 辰巳和子
右左頬に触れてる異邦人 前川千津子

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【出席者】 (順不同・敬称略)
濱田 英明 上村さな恵 辰巳 和子 村岡 義博 吉川 千穂 河原野折杭
内田 秀章 山田 信子 上野 五柳 山辺 和子 田中 節子 山口ヨシヱ
倉田雄登美 神田 巳珠 室田 隆司 中井 康弘 花田 俊枝 黒嶋 海童
長野 峰明 黒田 忠昭 沼尾美智子 斎藤  功 内藤 夢彦 長川 哲夫
山本 芳男 水田 象介 宮本 喜明 上原  翔 牧野 和子 青木 公輔
杉山ひさゆき 前川千津子 樋口 祐子 赤井 花城

【投 句】
山本ひさゑ 森本 高明 上月智恵子 松本 光江 安積貴代美 蒲池 季美
中村真里子 前田 久雄 竹の内一人 小山 紀乃 荒垣 秋野 萩原 皐月

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