平成20年7月27日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
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特別席題  「暑」  河原野折抗選 
生命の重みこの夏に聞く蝉しぐれ 椙元世津
ああ暑い海に抱かれて眠りたい 吉川千穂
素麺とビールで凌ぐ今日もまた 内藤夢彦
地球に汗かかせ氷山消すヒト科 村上氷筆
蝉だけが元気いっぱい庭に鳴き 内藤夢彦
むき出しの大根二本熱帯夜 水田象介
暑いのに地割れしそうな厚化粧 河合敏夫
風を呼ぶ暑中見舞のうちわの絵 沼尾美智子
この暑さ鍋焼きうどん天邪鬼 前川千津子
朝昼晩と三度飲んでる暑気払い 斎藤功
川床に蛍飛び交う暑気払い 村上氷筆
打水に暑さ忘れた月見草 仲田秀子
暑中見舞い恋風のせてやってくる 倉田雄登美
ポタポタと汗みぎ脳も昼寝する 萩原典呼
炎天の街で無口になる二人 山辺和子
暑いですねが挨拶になる電話口 村上静子
暑中見舞書いても不思議ない立秋 村上氷筆
広告の団扇で煽ぐ道が混み 椙元世津
大声の意見暑くて耳に栓 倉田雄登美
猛暑日も他人事なり無菌室 池田史子
いち日に何度暑いと言うたやら 山辺和子
避暑地まで介護保険の請求書 中桐徹
炎天に打って出るべし蟻動く 長川哲夫
暑い夜ハエも手をする足をする 松本光江
立ち止まりかげろう炎えるゼブラゾーン 山口ヨシヱ
熱狂へ暑さ忘れる甲子園 斎藤功
鬼瓦暑さに耐えるお手本だ 上野五柳
一病をもって格闘暑い夜 田中節子
青田風いっぱい吸うて涼をとり 樋口祐子
エコごめんエアコン強にさせとくれ 村岡義博
ビール抜く暑い暑いを口実に 池田史子
父母へ暑中メールを盆にのせ 長川哲夫
おんなひとり酷暑に耐えて生きている 流郷貞子
敗戦の玉音聞いた日の暑さ 尾畑晴代
六甲おろしビールで暑さ吹き飛ばす 内田秀章
蝉しぐれ降り込んでくる朝の窓 山口ヨシヱ
避暑地には遠い我家の草畑 池田史子
お豆腐の白に忘れている暑さ 山辺和子
暑気払い七味たっぷり振りかける 沼尾美智子
暑中見舞音沙汰なしの友案じ 橋本凉子
ステテコにビール男の暑気払い 内田秀章
暑くとも生きろ生きろと蝉しぐれ 辰巳和子
この猛暑金魚のんびり過ぎないか 長島敏子
夏ばてをしたのに酒だけが旨い 河合敏夫
猛暑日も精出す小商いの汗 内田秀章
風鈴の音を殺して風も死に 河野原折杭

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兼題  「意味」  樋口祐子 選
あの意味を知って後戻り出来るなら 荒垣秋野
生きている意味をさがした日の焦り 仲田秀子
意味不明でもプロポーズだとわかり 上野五柳
意味ないが何かありそに話す友 吉川千穂
意味深な言葉で喋る電話口 神田巳珠
素気なさの意味を知ってる金ボタン 野澤淑子
血液型なんて意味なしがんばるわ 田中節子
生きる意味を禅の和尚に問うてみる 辰巳和子
花束が届いて意味を計りかね 椙元世津
意味のない奇声発する悪い酒 萩原典呼
書き込みがぎっしり生を問うた本 村上氷筆
カタカナ語意味知らぬまま使ってる 室田隆司
まなざしに意味をもたせて別れぎわ 倉田雄登美
呆けたかな何度読んでもわからん句 上野五柳
生きる意味問わずともよし陽を拝む 村上氷筆
わけあってやんわり誘って仲直り 松本光江
いい意味であなた鈍だと褒められる 村岡義博
観音経百ぺん唱え意味を知り 倉田雄登美
ひとり旅意味ない仮面つけたまま 前田久雄
追伸の言葉の意味を考える 村上静子
方言へ通訳のいる日本語 神田巳珠
何ほどの意味があるのか趣味多忙 長島敏子
九条の意味考えるにぎりめし 沼尾美智子
理不尽の意味と限界問う拳 斎藤功
意味なんてないが赤飯炊いている 辰巳和子
医師がもらした言葉の意味が気にかかる 村上静子
意味不明の寝言に夫は起される 橋本凉子
意味深な話を聞かす恋敵 河合敏夫
意味のない寝言わたしは気にしない 田中節子
字も意味も分からぬ額へ立ち尽くす 赤井花城
消しゴムで消せない過去がよくしゃべる 荒垣秋野
ことわざの意味取り違え恥をかく 中村真里子
振り向いて意味問いかけるハトポッポ 豊野光子
老犬の意味あり気な眼胸騒ぎ 蒲池秀美
意味があるからコーヒーを飲んでいる 山本芳男
無意味でも言って置きたい事がある 流郷貞子
子を持って知る拳骨の有難み 竹の内一人
意味のない話へレモン滴らす 山辺和子
変換のミスが名句によみがえる 長川哲夫
第三者無意味な話し提げて来る 山本芳男
赤ちゃんの泣き声小児科へ走る 前川千津子
モナリザの微笑む意味が解けぬまま 濱田英明
深い意味秘めたことばが死語になる 室田隆司
意味のある言葉残されたかロダン 山本ひさゑ
意味深な言葉を残し席を立ち 樋口祐子

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兼題  「呑気」  村岡義博 選
呑気だなあ眠ったままで逝くなんて 野澤淑子
リーダーの呑気尻尾が伸びてくる 長島敏子
呑気ではおれぬお酒が減っている 山本芳男
窓際で軽い時間といる呑気 山本ひさゑ
ちょっと見は呑気に見えるけどいらち 河原野折杭
後期高齢呑気に生きていいですか 内田秀章
落ち込んでもすぐ這い上がる呑気者 流郷貞子
のん気なはず老後資金はあるらしい 上野五柳
ははのんきだね囃し立てたいお人柄 村上氷筆
健康なら一人暮しは呑気です 村上静子
老後など言うと呑気な気が凋み 椙元世津
だいぶ経ってチカンされてること気づき 村上氷筆
きっとだよきっときっとに騙される 竹の内一人
呑気にはなれぬ地球は水びたし 豊野光子
短期と呑気帳尻合うよ終の章 中桐徹
衣食住足りて呑気に育ち過ぎ 山本ひさゑ
呑気そうな嫁で案外気はつかい 村上静子
子育ても終えた夫婦に旅の風 上月智恵子
茹で蛸の呑気な顔を買ってくる 沼尾美智子
外見を暢気に見せて苦労人 濱田英明
呑気過ぎノート言えない日本人 沼尾美智子
寅さんの人生を地でゆくわたし 萩原典呼
役立たずのカーナビ横で眠ってる 室田隆司
頼りない夫で呑気にはしておれぬ 辰巳和子
本当は呑気に生きたい蝉しぐれ 蒲池秀美
脱衣場パンツ忘れた人がいる 河合敏夫
配当で呑気に暮らす夢こわれ 辰巳和子
小金貯めてる友は呑気で旅が好き 村上静子
狂う世にただぽっかりと浮いた雲 宮本喜明
愛されていたと抱かれてから気付く 河原野折杭
鼻唄で何でもござれ夏の陣 松本光江
ともすれば無知と呑気が同居する 樋口祐子
叔母さんの呑気な帽子旅行好き 萩原皐月
忘れ物そろそろ取りに帰るころ 室田隆司
おしゃべりと呑気大好きそりゃ太る 蒲池秀美
盆の月ひとり呑気な古時計 長島敏子
計画は人に任せて従いて行き 椙元世津
呑気です得していますちょっとだけ 安積貴代美
呑気ではおれぬ震災後の瓦 山本芳男
尻に火がつくまで慌てない呑気 河原野折杭
呑気とは俺の辞書では呑む気です 中桐徹
敵の矢をかわす呑気の表張り 山本ひさゑ
尻に火がついても鼻毛抜いている 竹の内一人
震度四だった昨夜と知った今朝 赤井花城
万策尽きて呑気構える他はない 村岡義博

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兼題  「泳ぐ」  室田隆司 選
気がつけば過去を泳いでいた私 宮本喜明
赤い糸泳ぎの下手な人だけど 山本ひさゑ
ゆっくりと背泳ぎ雲と流れてる 荒垣秋野
宴席を泳ぎ挨拶忙しい 椙元世津
五十年泳ぎ老妻にはまだ余力 上野五柳
新調の背広五月を泳ぎ切る 長川哲夫
遠泳で未来目指した海に立つ 橋本凉子
人の世をソロバン抜きで泳いでる 樋口祐子
人脈を泳ぐさもしい保身術 河原野折杭
泳ぎきりいま終章の墨をすり 内藤夢彦
立ち泳ぎして旗色を読んでいる 内田秀章
メタボだがやはり水着はスピード社 水田象介
抜き手きり貴人の岸へまっしぐら 池田史子
愛嬌で世の中泳ぐ処世術 萩原典呼
人間に溺れそうです交差点 長島敏子
泳げないのに誘いの海が光ってる 花田俊枝
後期高齢泳ぎ切れるかこの時世 長島敏子
人生を泳ぐ女の根気よさ 吉川千穂
海峡をひとり泳いで渡る夢 赤井花城
巧妙な手口で詐欺に泳がされ 萩原典呼
着衣水泳子らが器用に抜き手切る 村上氷筆
金槌の姉が荷物の番をする 前川千津子
しがらみを捨てて自由に泳ぐ嫁 仲田秀子
恥じらいを知って人魚になる少女 山辺和子
チンピラを泳がせ本星(ほし)を追う捜査 村上氷筆
交差点泳いで渡るおばあちゃん 倉田雄登美
ニューモード泳ぐためではない水着 河原野折杭
人の口泳ぎまわっているうわさ 濱田英明
立ち泳ぎゆっくり試薬練っている 山口ヨシヱ
鮃になって須磨海水浴場 水田象介
青く澄む海で泳いだ日の追慕 牧野和子
ビルの谷孤独な影の立ち泳ぎ 長島敏子
我が強く会社のプール泳げずに 内藤夢彦
羊水でピチピチ泳ぐ宝物 辰巳和子
ちらちらとまだ様子見の立ち泳ぎ 小山紀乃
犬掻きで逃げるあなたを追っている 内田秀章
とぼけても駄目よ目玉が泳いでる 辰巳和子
溺れてはいません泳いでるのです 河原野折杭
今もまだ実家の辺り泳いでいる 田中節子
飛魚の哀しみ鳥にいつなれる 赤井花城
母さんの手足邪魔して泳げない 田中節子
偏差値の海を泳いだ子がキレる 樋口祐子
服のまま泳げる人を好きになる 室田隆司

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兼題  「空気」  仲田秀子 選
会議中うすい空気が眠気呼ぶ 河合敏夫
ほめられて両手を広げ深呼吸 荒垣秋野
エア抜きと理由つけては今日も飲み 河原野折杭
意地悪な空気に肌が萎縮する 樋口祐子
そのうちに綺麗な空気売りに来る 中桐徹
青い空気は海のサンゴのプレゼント 牧野和子
吸うて吐いて瀕死の猫の生もどる 橋本凉子
さっきまで母がいたのよ空気揺れ 野澤淑子
母という温い空気に包まれる 辰巳和子
何よりの御馳走ふるさとの空気 樋口祐子
清らかな水も空気も宇宙から 牧野和子
受験期の我家抜け出し手酌酒 池田史子
われ老いぬ空気のような人といる 松本光江
待ち合いの空気がかわる手術あと 長川哲夫
空気すみ価値観のある茄子キュウリ 吉川千穂
水を買うやがて空気も買うだろう 沼尾美智子
森林浴犬もみどりの空気吸い 村上静子
トンネルを出たら空気が変ってた 花田俊枝
澄み切った一人っきりの空気だよ 田中節子
空気にもその内掛かる消費税 濱田英明
斜めから淀んだ空気流れ着く 山本芳男
朝一番昨日の空気入れ替える 山本芳男
空気読む処世術には慣らされた 森本高明
空気のような夫婦も時にモノを言う 村上氷筆
故里(くに)はいい空気も酒も人情も 上野五柳
この丘で吹く大好きなローレライ 前川千津子
添い遂げた空気の色が気にかかる 山口ヨシヱ
雰囲気の悪さそろりと席を立ち 椙元世津
路地裏に昭和の空気詰めた店 宮本喜明
家計簿を渡して空気入れ替わる 山本ひさゑ
木漏れ日を浴びて大きく深呼吸 河端世起子
明けそめた空気散歩で一人じめ 村上静子
値上りをしない空気で深呼吸 豊野光子
険悪な空気に猫もすり抜ける 内田秀章
日の昇る丘あり朝の深呼吸 橋本凉子
あの人が入ればいつも良い空気 荒垣秋野
日本中きれいな空気見えてこぬ 牧野和子
空気など読まずに生きて来た処世 赤井花城
都会の空気僕には合わぬ帰農する 村上静子
エベレストへ薄い空気を買いにゆく 竹の内一人
呱々の声元気に大気震わせる 内田秀章
故郷の空気を昔話しする 山本芳男
愛という空気を吸うと狂います 萩原典呼
衣替え頭の空気入れ替える 倉田雄登美
戻り梅雨空気が読めぬ日の焦り 上月智恵子
汚れました森の空気を吸いにゆく 萩原皐月
部屋中の空気和ますつぶらな瞳 小山紀乃
金婚式同じ空気の中にいる 荒垣秋野
この家の空気が好きで巣をつくる 仲田秀子

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【出席者】 (順不同・敬称略)
内田 秀章 花田 俊枝 濱田 英明 河合 敏夫 倉田雄登美 上野 五柳
橋本 凉子 室田 隆司 松本 光江 山辺 和子 神田 巳珠 村岡 義博
牧野 和子 長島 敏子 辰巳 和子 中桐 徹 内藤 夢彦 田中 節子
沼尾美智子 河原野折抗 山口ヨシヱ 仲田 秀子 長川 哲夫 尾畑 晴代
前川千津子 吉川 千穂 野澤 淑子 水田 象介 村上 氷筆 村上 静子
斎藤  功 萩原 典呼 池田 史子 流郷 貞子 樋口 祐子 赤井 花城
椙元 世津

【投 句】
荒垣 秋野 中村真里子 安積貴代美 蒲池 季美 前田 久雄
森本 高明 山本ひさゑ 山本 芳男 小山 紀乃 宮本 喜明 竹の内一人
豊野 光子 山岡 幸一 上月智恵子 萩原 皐月 河端世起子 青木 公輔

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