平成20年5月6日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「裸足」 菅野泰行 選
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須磨の浜裸足で喜喜と子供の日 |
流郷貞子 |
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若い気の裸足輝く砂の上 |
花田俊枝 |
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春風のキス受け弾み出す裸足 |
村上氷筆 |
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砂浜を裸足で駆けた遠い恋 |
辰巳和子 |
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ためらった裸足気持よく歩く |
前川千津子 |
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ソックスを脱ぎ捨て春の野を駆ける |
山辺和子 |
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連休のはだし砂浜駆けぬける |
沼尾美智子 |
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素足が四本足湯に恋の春うらら |
長野峰明 |
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面影は裸足の天使だった頃 |
村岡義博 |
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砂浜の裸足五月の風と居る |
前川千津子 |
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砂場から裸足跳び出す園児たち |
神田巳珠 |
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ふる里の畳裸足に懐かしい |
黒嶋海童 |
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偏平足裸足で歩け治ります |
尾畑晴代 |
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はだしだと言うて利鞘を乗せて売る |
黒嶋海童 |
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本心を裸足になって打ち明ける |
辰巳和子 |
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パート2靴をなくしたシンデレラ |
村岡義博 |
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潮干がりアサリがつつく土踏まず |
水田象介 |
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ヒール手に浜を歩いた夏の恋 |
山口ヨシヱ |
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風呂上がり幼子走る母走る |
水田象介 |
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ふる里の浜は裸足で走りたい |
牧野和子 |
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残照の浜辺裸足で寄り添うて |
山口ヨシヱ |
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許されて許して裸足という夫婦 |
上村さな恵 |
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土踏まず裸足になれと勧めてる |
青木公輔 |
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母さんの踵の皹を見てしまう |
杉山ひさゆき |
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いつも裸足で恋の遍歴してる猫 |
内田秀章 |
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泳ぐ気の裸足が波をそっと逃げ |
黒嶋海童 |
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靴脱いでくつ下脱いで缶ビール |
杉山ひさゆき |
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人間の腹が見たくてなる裸足 |
山本芳男 |
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Uターン土の温みを知る裸足 |
内田秀章 |
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ふる里の昔と語る土踏まず |
長野峰明 |
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ビリケンさんにペディキュアをしてあげる |
村岡義博 |
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風紋を踏んで夢幻へゆく裸足 |
村上氷筆 |
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裸足の子けなげに振った布の白 |
長川哲夫 |
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はぐれ雲母は裸足で田に染まり |
樋口祐子 |
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若い娘の素足が光る風光る |
水田象介 |
佳 |
公園を裸足で跳ねて宇宙(そら)の旅 |
山口ヨシヱ |
佳 |
ぬけぬけと猫泥足で帰り来る |
室田隆司 |
佳 |
夏ひと日裸足で愛を見つめ合う |
長川哲夫 |
佳 |
歩け走れ大地につっ立つ裸足だよ |
花田俊枝 |
佳 |
白足袋を脱いで一つの旅終る |
牧野和子 |
人 |
素っぴんでハダシで歩く余命表 |
みぎわはな |
地 |
しっかりと砂を掴んだ足の指 |
椙元世津 |
天 |
のんびりと裸足になった帰省の日 |
山本芳男 |
軸 |
馬鹿だから裸足で商売しています |
菅野泰行 |
兼題 「内緒」 宮本喜明 選
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内緒だが打出の小槌持っている |
黒嶋海童 |
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鼻の穴見れば内緒がすぐわかる |
菅野泰行 |
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借金の膨らみ伏せてなお借りる |
上原翔 |
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ウソホント内緒に弾む乙女達 |
尾畑晴代 |
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内緒話耳打ちされてかゆい耳 |
倉田雄登美 |
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ふた親がそれぞれ内緒とくれた金 |
村上氷筆 |
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隠し事できない人と住んでいる |
沼尾美智子 |
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価値のある内緒話を持つ不安 |
濱田英明 |
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けしからん血税使い込む輩 |
上原翔 |
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内緒だよその筈なのに洩れた水 |
田中節子 |
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内緒だよ思わせぶりに乗る不覚 |
山口ヨシヱ |
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包まれた秘密の口をつつき出す |
前田久雄 |
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耳打ちをして二人して出ていった |
小山紀乃 |
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しっかりと蓋したけれど蟻が寄る |
杉山ひさゆき |
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内緒ごと漏らさぬ亀の愚痴も聞く |
松本光江 |
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耳許で好きと云われて戸惑うて |
神田巳珠 |
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内緒だと信じていたのはわたしだけ |
内藤夢彦 |
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洩れた内緒が怖い顔して待っていた |
長野峰明 |
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分の悪い方から洩れてくる内緒 |
村岡義博 |
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エコバッグ内緒ばなしに重くなる |
山辺和子 |
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秘め事の甘さに酔った春の風 |
黒嶋海童 |
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春おぼろ影も朧のひそかごと |
みぎわはな |
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夫婦ですだから内緒の二つ三つ |
長川哲夫 |
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いくたびも内緒話を聞き返す |
赤井花城 |
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引っ越しの荷物と運びだす内緒 |
上村さな恵 |
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言わざるを守り通したかくし味 |
山辺和子 |
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不器用で内緒の角は曲れない |
山口ヨシヱ |
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耳打ちをしたな画像が曇りだす |
田中節子 |
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内緒ごと一つを抱いて弾む靴 |
牧野和子 |
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春風が内緒話を播き散らす |
赤井花城 |
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回転椅子くるりと秘密あばかれる |
前田久雄 |
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思い出の内緒みつけた道の駅 |
山本ひさゑ |
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胴まわり内緒で通うフィットネス |
山田信子 |
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むずむずと内緒が胃の腑かけめぐる |
上村さな恵 |
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静電気内緒話を否定する |
山本芳男 |
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欠勤届殺した数にある内緒 |
長野峰明 |
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三日目で内緒話が一めぐり |
濱田英明 |
佳 |
無口になってゆく思春期の内緒 |
内田秀章 |
佳 |
内緒ごと一つもなくて石を蹴る |
村岡義博 |
佳 |
ここだけの話夜行バスに乗る |
沼尾美智子 |
佳 |
オフレコで頼むとマイク入れたまま |
杉山ひさゆき |
佳 |
まだ誰も知らない僕が女だと |
水田象介 |
人 |
バージンロード澄まして腹の児と歩む |
内田秀章 |
地 |
口に指当てて裏から呼んでいる |
長野峰明 |
天 |
喋れません諭吉に口を塞がれて |
村岡義博 |
軸 |
温泉をお断りしている蒙古斑 |
宮本喜明 |
兼題 「落丁」 みぎわはな 選
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落丁のわたしを許すホーホケキョ |
田中節子 |
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落丁へ打つ真っ直ぐな句読点 |
山本芳男 |
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あれこれとあった人生の落丁 |
小山紀乃 |
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落丁のわたし知ってた千切れ雲 |
長野峰明 |
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恋のクライマックス落丁とは |
尾畑晴代 |
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落丁で推理途絶えた金田一 |
濱田英明 |
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子育てのページに落丁ミスがある |
黒嶋海童 |
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落丁のせいにしておく失恋記 |
長島敏子 |
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落丁へ気付く八十路の踊り場で |
神田巳珠 |
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落丁のバッジ寂しく野に下る |
長野峰明 |
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落丁の部分がいやに気にかかる |
流郷貞子 |
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抜け落ちていないか子育てのページ |
沼尾美智子 |
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心配な落丁ねんきん特別便 |
椙元世津 |
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自分史に落丁がありまだ未完 |
椙元世津 |
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落丁も珍本ですと本屋さん |
倉田雄登美 |
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落丁のページ落し物に届け |
橋本凉子 |
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落丁があって人間らしくなる |
濱田英明 |
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落丁があって行く先見失う |
前田久雄 |
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御破算にして落丁を荼毘に付す |
竹の内一人 |
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落丁のページに本音ひそんでる |
樋口祐子 |
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落丁の人生これも良しとせい |
長川哲夫 |
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年金通知弥陀の指から落丁か |
花田俊枝 |
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真実を落丁にして口拭う |
菅野泰行 |
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落丁に僕の推理の犯人像 |
尾畑晴代 |
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落丁の隠滅図る時刻表 |
野澤淑子 |
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作為的落丁昭和史の汚点 |
内田秀章 |
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ついに来た脳が落丁繰り返す |
濱田英明 |
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場が読めぬ落丁のまゝゆく孤独 |
前田久雄 |
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しゅうとめの落丁にある花の櫛 |
山本ひさゑ |
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夫婦史は落丁にさえ愛溢れ |
河端世起子 |
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落丁を気にせず先を読み進む |
小山紀乃 |
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落丁の日々にそなえる護身術 |
上村さな恵 |
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落丁があっていちめん水浸し |
田中節子 |
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年金の落丁糸は切れたまま |
野澤淑子 |
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落丁のページに伏せてある真実 |
長島敏子 |
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落丁にすまいぞ平和第九条 |
長島敏子 |
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落丁のあって恕の字にけつまずく |
倉田雄登美 |
佳 |
ケセラセラ落丁のまま黄昏れる |
山口ヨシヱ |
佳 |
落丁を責めたりしないさくら草 |
山辺和子 |
佳 |
墓場まで持って行かれたあのページ |
室田隆司 |
佳 |
落丁のページに残る父の修羅 |
辰巳和子 |
佳 |
今気づく落丁これは母の闇 |
沼尾美智子 |
人 |
落丁を探し当てればホームレス |
長野峰明 |
地 |
分娩室に落丁はなかったか |
青木公輔 |
天 |
落丁のないお方とはお茶にする |
内藤夢彦 |
軸 |
落丁ですいつでも妻を取り替えます |
みぎわはな |
兼題 「無理」 長島敏子 選
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ガソリンのアップダウンに四苦八苦 |
山岡幸一 |
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見栄すててゆるゆる無理のない暮らし |
沼尾美智子 |
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諳じる無理数役に立ちますか |
中井康弘 |
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十の無理すてて一つの知恵生かす |
吉川千穂 |
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人間の無理難題に困る神 |
尾畑晴代 |
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本物なのにカツラを脱げと無理な事 |
長野峰明 |
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無理したね大きいメロン有難う |
前川千津子 |
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ムリムリとベルトの穴に笑われる |
村岡義博 |
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高望みしたばっかりに行き遅れ |
河端世起子 |
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この渋滞トイレはまだかまだ先か |
室田隆司 |
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無理せずにだましだましの鍬を手に |
内藤夢彦 |
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厚化粧では深い皺隠せない |
上原翔 |
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ギブアップしても牙城を崩さない |
竹の内一人 |
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孫の顔見れば無理する痩せ財布 |
濱田英明 |
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にらめっこ道理が無理に押し出され |
樋口祐子 |
|
スケジュールびっしり過労気にかかる |
青木公輔 |
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整形の無理は子で知れ孫で知れ |
村上氷筆 |
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わざと無理言うて愛情確かめる |
みぎわはな |
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ありのまま時の流れを追うてゆく |
山口ヨシヱ |
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ファスナーが悲鳴あげてる試着室 |
内田秀章 |
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無理に無理かさねて曲る傘の骨 |
山辺和子 |
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お互いの無理ほどほどと両首脳 |
長川哲夫 |
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無理をして胃の腑に穴があきました |
山口ヨシヱ |
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ミニ盆栽無理の美学が競う |
荒垣秋野 |
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腕まくりしても今日中とても無理 |
小山紀乃 |
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古希過ぎて無理難題が目白押し |
赤井花城 |
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重なった無理でわたしは白い髪 |
前川千津子 |
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この齢で四国遍路は無理だろか |
尾畑晴代 |
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コロンブスの無理を立たせた種明し |
長野峰明 |
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聞く耳は持たぬ煙草はやめないぞ |
室田隆司 |
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籠の鳥羽ばたきたいと無理を言う |
辰巳和子 |
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これ以上詰めると箱が破れそう |
山本芳男 |
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弱くなり毎晩は無理休肝日 |
水田象介 |
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どうしてか母の指輪が消えている |
牧野和子 |
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無理しても美人の横にすわりたい |
仲田秀子 |
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小悪魔の無理楽しくて可愛くて |
菅野泰行 |
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二十パーでは夏までも持つまいよ |
上原翔 |
佳 |
無理数のまゝで無常の数珠を繰る |
野澤淑子 |
佳 |
飴と鞭下請は又無理を呑む |
菅野泰行 |
佳 |
無理難題ポツンとひとり残される |
田中節子 |
佳 |
とんがり靴きれいな足が泣いている |
倉田雄登美 |
佳 |
初孫へ少し無理した鯉のぼり |
黒嶋海童 |
人 |
皇室の微笑かなり無理してる |
杉山ひさゆき |
地 |
無理するな柳の下の青蛙 |
長川哲夫 |
天 |
無理矢理に枡目を埋めてゆくいのち |
赤井花城 |
軸 |
あの時の無理が花咲くマイホーム |
長島敏子 |
兼題 「裏」 村上氷筆 選
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親切の裏目にバラの棘ささる |
長野峰明 |
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裏そっと透かすと見えた愛の嵩 |
長島敏子 |
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本当は真実だった裏のうら |
長島敏子 |
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こんな時脳裏の母に問うてみる |
牧野和子 |
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注意無用裏を着るのが流行です |
橋本凉子 |
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裏店で義理人情に蹴つまずき |
濱田英明 |
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藤ぬれて散り裏庭の白い刻 |
花田俊枝 |
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プライドが透けるロゴマークの裏地 |
沼尾美智子 |
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ひょっとこのお面の裏にたまる哀 |
山辺和子 |
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服従のかたちで猫が裏返り |
内田秀章 |
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裏口に疑惑の風の吹き溜まる |
山口ヨシヱ |
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人間の裏をのぞいた鍵の束 |
山辺和子 |
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貧しくもぬくい裏路地出られない |
みぎわはな |
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乗りかけた話コインの裏が出る |
赤井花城 |
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路地裏に住む路地裏のステータス |
竹の内一人 |
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裏口を叩くそれなりの覚悟して |
青木公輔 |
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裏の顔が好きで上司について行く |
室田隆司 |
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匿名ののろし脹らむ裏サイト |
野澤淑子 |
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裏の裏読まれて風が掴めない |
山辺和子 |
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裏方でいいのと妻の割烹着 |
濱田英明 |
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良く出来た裏方会は盛り上がり |
椙元世津 |
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胸襟を開いて裏のない酒宴 |
上村さな恵 |
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裏山へも一度登るこれも夢 |
椙元世津 |
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春うらら裏では焦り転げ出る |
小山紀乃 |
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裏門の見送りはらはらと桜 |
菅野泰行 |
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ハーレムノクターン裏切りの魂揺らぐ |
野澤淑子 |
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透明な裏はドラマになっていく |
神田巳珠 |
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エコライフ地球の裏をふと思う |
沼尾美智子 |
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裏通り本音の顔に会いにゆく |
室田隆司 |
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裏木戸を開けておきます朧月 |
水田象介 |
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挨拶と笑顔行き交う裏どおり |
前川千津子 |
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さつまいも裏漉すその手母の愛 |
河端世起子 |
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ハンカチの裏と表にある絆 |
牧野和子 |
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止め処なく裏のウラ読む苦労人 |
上原翔 |
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強がりの裏を覗けば淋しがり |
山本ひさゑ |
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無い袖を振った男の裏事情 |
長島敏子 |
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裏打ちが出来てしっかり物を言う |
菅野泰行 |
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うす紅の花びらよける靴の底 |
沼尾美智子 |
佳 |
舞台裏見せて仲間に引き入れる |
黒嶋海童 |
佳 |
裏口に諭吉しだいの道もある |
宮本喜明 |
佳 |
その裏に仮面外せぬ訳がある |
松本光江 |
佳 |
完璧な仕上げ隠した楽屋裏 |
小山紀乃 |
佳 |
人間の裏を見て来た目を洗う |
辰巳和子 |
人 |
路地裏のみんな他人でみな仲間 |
赤井花城 |
地 |
裏漉しの真っ赤な嘘のまろやかさ |
長野峰明 |
天 |
情念に炙り出された裏の貌 |
山本芳男 |
軸 |
五時からはリバーシブルで夜叉となる |
村上氷筆 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
上村さな恵 |
花田 俊枝 |
流郷 貞子 |
松本 光江 |
田中 節子 |
内田 秀章 |
牧野 和子 |
菅野 泰行 |
山本 芳男 |
山田 信子 |
橋本 凉子 |
濱田 英明 |
山口ヨシヱ |
黒嶋 海童 |
辰巳 和子 |
長野 峰明 |
中井 康弘 |
神田 巳珠 |
上野 五柳 |
長川 哲夫 |
斎藤 功 |
村上 氷筆 |
沼尾美智子 |
村岡 義博 |
室田 隆司 |
倉田雄登美 |
上原 翔 |
水田 象介 |
宮本 喜明 |
山辺 和子 |
仲田 秀子 |
野澤 淑子 |
内藤 夢彦 |
吉川 千穂 |
前川千津子 |
尾畑 晴代 |
椙元 世津 |
みぎわはな |
長島 敏子 |
青木 公輔 |
杉山ひさゆき |
樋口 祐子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
竹の内一人 |
前田 久雄 |
小山 紀乃 |
河端世起子 |
山岡 幸一 |
山本ひさゑ |
森本 高明 |
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