平成19年11月25日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
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特別席題  「火」  松下比ろ志選 
虹の赤抱いてあなたと火の中へ 豊野光子
いつまでも火照った顔が収まらず 椙元世津
火を付けて消してもくれず去った彼 辰巳和子
逢えばすぐ火のつく人に距離を置き 椙元世津
火の傘をたたむなんにも無い顔で 上村さな恵
恋の火種くすぶっている悩んでる 村上静子
埋み火がくすくす燃える未だ女 辰巳和子
触れないで私あなたに発火する 村上氷筆
埋もれ火を不意に煽って罪な人 池田史子
火を抱いた女に近づくのも勇気 青木公輔
意外にもすぐそばにいた火のアナタ 吉川千穂
火を踏んで生きる勇気が欲しくなる 山口ヨシヱ
胸奥で芽ばえ始めた火の吐息 上村さな恵
漁火へ遠く逢えない人を追い 椙元世津
僕の火がゆらゆら揺れて消えかかる 濱田英明
喜寿迎え古希くどく火は燃えさかる 小島知無庵
火遊びは子供の頃から好きだった 内田秀章
もう歳よ火のよう燃える恋なんか 内藤夢彦
赴任地に慣れてガスの炎が青い 山辺和子
秋深む故郷の囲炉裏を恋しがる 牧野和子
温い人いつか集まる火のまわり 池田史子
月冴えてそろりと恋の導火線 長島敏子
火の性でいつも私は片想い 上村さな恵
追憶のときに発火をするページ 前川千津子
貧乏神乗って来たのは火の車 上野五柳
今も尚火傷を隠す負け戦 山本芳男
中途半端に隣の火事でもえる 水田象介
火の言葉もらってからの人が好き 花田俊枝
どこにでも火種撒いてる人がいる 村上静子
最悪の場合に種火残しておく 田中節子
考えた末に火中の栗ひろう 沼尾美智子
酒提げて飛び出して行く火事見舞 神田巳珠
ふるさとに今も飯炊く火吹き竹 仲田秀子
十人の弁当作る火吹き竹 中西保子
父看取る窓に聞こえる遠花火 辰巳和子
だんらんの火を遠ざけて火の怒り 室田隆司
火曜日休館そんな憂き目にあうわたし 沼尾美智子
残り火をおこしに来たか恋風よ 上野五柳
埋もれ火を掻き出し過去の夢見てる 河合敏夫
炎を抱いて少女は父の森をでる 山辺和子
ルミナリエ灯り星から来た祈り 牧野和子
ジェラシーの火矢をキリリと引き絞る 村上氷筆
火を消して女は妻に母になり みぎわはな
漁り火が揺れてふるさとまた恋し 長島敏子
火も水も越えた自信の深い皺 長島敏子
奥の方にまだ情熱の火種あり 松下比ろ志

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兼題  「やれやれ」  辰巳和子 選
祭り終えしみじみと酌む故郷の酒 長島敏子
家のローンやっと終って春の音 山本ひさゑ
新婚旅行見送り夫婦茶を入れる 村上静子
サンタさん腰にペタペタサロンパス みぎわはな
締切りへポスト大きく口をあけ 山辺和子
介護してやれやれ癒やす終い風呂 中本三桂
やれやれと言うな老春いま最中 上野五柳
飛行機嫌い無事着陸を聞き安堵 橋本凉子
大の字に寝て頂上の美味い風 赤井花城
書き上げた色紙を前にうまいお茶 森山勝彦
やれやれと孫をあやした腕をなで 山本芳男
中腹でうまい空気とにぎりめし 山口ヨシヱ
決着の酒にする手が鳴っている 長野峰明
ニートの子やっと就職安堵する 内藤夢彦
再検査何ごともなく空の青 山辺和子
やれやれと伸ばす背中に稲穂垂れ みぎわはな
やれやれと来たので乗れば違うバス 花田俊枝
ふる里に帰ればいつもほっとする 吉川千穂
良縁に三十路やれやれ春が来る 仲田秀子
ひと仕事終えて気づいた肩の凝り 長島敏子
仕送りが終ったあとのお湯かげん 沼尾美智子
一山を越して夜明けの空白む 牧野和子
天の助けと縋って見たら藁だった 長野峰明
ギャル達が降りて静かなバスの中 中村真里子
方べりの靴も一しょにひと休み 豊野光子
一仕事終えてやれやれ祝い酒 牧野和子
寝すごして顔も洗わず滑り込む 池田史子
役員の引き継ぎもすみ旨い酒 室田隆司
大の字に寝てやれやれと鼾かき 内藤夢彦
ローン返済三十年の荷を下ろす 田中節子
秋深む四女も嫁ぎ茶が旨い 山本ひさゑ
またかいなやれやれ偽装特売日 倉田雄登美
夫や子の寝息やれやれ仕舞風呂 みぎわはな
やれやれと帰ったとたん長電話 吉川千穂
今日も無事足腰伸ばしてるベッド 村上静子
やれやれと背広姿の子を見上げ 山口ヨシヱ
バージンロード父の出番はこの辺り 沼尾美智子
明日退院赤い夕日と握手する 山田信子
お開きの幹事屋台で飲み直す 内田秀章
渋滞を抜けてもうすぐ母の家 中村真里子
喪服からジャージー熱い茶をすする 中村真里子
結納にやれやれ父のひとり酒 仲田秀子
留袖を脱いで夫と座りこむ 山本ひさゑ
熱の子がやっと寝息を立ててくれ 長島敏子
やれやれと善女の仮面脱いで行く 豊野光子
柚子風呂でほっと今年の鐘を聞く 長川哲夫
女系三代やっと泳いだ鯉のぼり 辰巳和子

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兼題  「真似」  山田信子 選
髪型を真似ても違う鼻の位置 長島敏子
赤ちゃんが真似をするから気をつけよう みぎわはな
言う事は聞かぬが親の真似はする 辰巳和子
他人真似が過ぎて視線のさむい風 宮本喜明
母さんと同じ形で小言いう 田中節子
親の癖悪いとこだけ子は真似る 小島知無庵
声色が上手くて自分見失う 赤井花城
裏のカラス人間の真似して困る 樋口祐子
テレビゲーム真似て悲劇の幕を開け 長川哲夫
デュエットでしばらく恋の真似をする 辰巳和子
若者の真似は出来ない枯尾花 尾畑晴代
真似っこもやってるうちに本物に 森本高明
真似好きな九官鳥に油断する 山辺和子
泣き真似の指のすき間が開いている 野澤淑子
物真似が器用で便利に使われる 室田隆司
パパの真似いつも言訳ばかりする 河合敏夫
妻が病み見様見真似のおさんどん 内田秀章
健康で長寿の暮し真似てみる 村上静子
師匠の字真似たが心及ばない 村上氷筆
真似ごとでも親孝行がまだできぬ 上村さな恵
馬鹿な真似止めて一から出直そう 赤井花城
声色で勧進帳を読む座敷 神田巳珠
鳥籠がまさかの秘密ふと漏らす 室田隆司
花ばさみ母の口癖真似て切る 野澤淑子
あの人の真似は出来ぬと消極派 椙元世津
真似上手笑いの渦をプロデュース 池田史子
お手本を真似るだけでは追い越せず 森山勝彦
大酒の真似はするなと親子酒 倉田雄登美
真似できぬ師の人格とその努力 みぎわはな
皇后の真似は到底無理でしょう 沼尾美智子
ひと真似をしてから戻れぬ郷里となる 花田俊枝
父さんの真似で和んだ七回忌 前川千津子
真似ているうちに個性の芽を枯らし 内田秀章
口真似をされて先輩照れている 椙元世津
真似をして秋を着てみる試着室 橋本凉子
写経する姉は母の形して 河合敏夫
見よう見真似でパパも替えてる紙おむつ 村上静子
絵筆とりモネの睡蓮真似てみる 山口ヨシヱ
真似なんかしてはいません血の証 池田史子
応挙の絵ルーペは真似を許さない 沼尾美智子
振り出しに戻って真似ごとは止める 小山紀乃
泣き真似はとても出来ないミルクティー 上村さな恵
父の真似母の真似して子が育つ 豊野光子
真似してもまだ絵にならぬ点と線 橋本凉子
人真似は嫌い自分らしく生きる 辰巳和子
真似るうちやがて一つの展開図 牧野和子
真似たりはしない私の道探る 山口ヨシヱ
ままごとの母はいつも私です 山田信子

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兼題  「結局」  上野五柳 選
割り勘の足りずはいつもボクにくる 村上氷筆
反省は三日結局また呑んだ 長島敏子
結局はカレーうどんにする笑顔 前川千津子
結局はまあまあまあと濁り酒 長川哲夫
贅沢にあきて茶漬に香のもの 森山勝彦
結局は押しの一手にほだされて 倉田雄登美
最後にはお尻を濡らす水遊び 中村真里子
可も不可もなくて穏和に無位無官 山口ヨシヱ
背伸びして結局転ぶ水溜り 山本ひさゑ
怒っても泣いても明日はやって来る 松下比ろ志
駄々こねて結局負けるお人好し 水上たお子
長考へまとまり付かぬ千日手 神田巳珠
記者会見結局わびる社長殿 橋本凉子
怒鳴るだけ怒鳴り結局父は折れ 内田秀章
成り手ない役員アミダくじで決め 内田秀章
ああ夫婦擦った揉んだで元の鞘 水田象介
生き抜いた余生結局は介護論 前田久雄
結局はコーヒーだけの仲でした 水田象介
物言わぬ亡夫のやさしさ今に知る みぎわはな
和解して中華料理の湯気の中 中西保子
結局はピエロが踊る自画自賛 中本三桂
片思いもやし続けて逝ったひと 田中節子
乗せられて買ってしまった羽根ぶとん 室田隆司
考えて飲まずに帰る天邪鬼 前川千津子
人は皆たった一人で地に還る 小島知無庵
焼く焚くともめて結局活け作り 橋本凉子
あれこれと迷いドレスは白にする 前川千津子
結局はひとりと思うりんご剥く 辰巳和子
結局の穴にすっぽり呑まれたな 小山紀乃
熱いまま噴火もせずに黄昏る 山口ヨシヱ
結局は告白もせず老いてゆく 仲田秀子
恋文より結局そばにいてほしい 花田俊枝
結局イカがスルメになっただけ 松下比ろ志
結局はなかった縁だ夏の恋 仲田秀子
ひらたく言えば頭が悪いと言うことだ 松下比ろ志
近道を走れば結局工事中 前田久雄
握手して結局重い荷を背負う 山本芳男
勘違いそうだったのか片思い 河合敏夫
Uターン結局くにで農をつぐ 村上静子
物忘れしながらひとり花野ゆく 山口ヨシヱ
辞表出し三日で戻る茶番劇 神田巳珠
言い負けてまた定位置の尻の下 室田隆司
結局はこれが一番チビた靴 池田史子
輪廻転生やっぱり人間がいいな みぎわはな
どうもがいてもとどのつまりは土になる 樋口祐子
生きていく結局地球汚すだけ 上野五柳

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兼題  「振り向く」  長野峰明 選
振り向けば妻にいっぱい借りがある 森山勝彦
振り向けば私を呼んでる影法師 前田久雄
振り向けば不幸ばかりがよく喋る 山本ひさゑ
振り向いてごらん少うし楽になる 小山紀乃
そして冬 風は振り向きざまに刺す竹の内一人
哀しみを抱いた秋などふり向かぬ 宮本喜明
振り向いた私を押したのは明日 山本芳男
我が亡夫に余りに似てる見送りぬ 尾畑晴代
振り向けば冷たい視線みな他人 内田秀章
天の邪鬼ふりむくたびに顔変る みぎわはな
振り向くと故郷の影が立っていた 松下比ろ志
振り向いて命のあかし確める 豊野光子
すすき野にこだまもあって振り返る 中本三桂
振り向いて愛たしかめる曲り角 仲田秀子
振り向けばオコゼのような顔だった 樋口祐子
ふり向けばほほえみ返す野の地蔵 倉田雄登美
足跡が無い揺れながら来た道に みぎわはな
振り向けばゴボウが曲がるエコバッグ 濱田英明
振り向けば影ゆっくりと日向ぼこ 豊野光子
振り向けばほっこり笑う白い雲 濱田英明
振り向けばまだ振っている夏帽子 山田信子
振り向いてよいことだけをポケットに 内藤夢彦
里心つくので振向かずに走る 中西保子
振り向いて一つは母の影だろう 野澤淑子
振り向けばあなたの顔がそこにある 樋口祐子
振り向けば自慢の出来る何もない 辰巳和子
振り向いたとたんに斬った冬の風 山本芳男
振り向いて達者で暮せと秋の風 橋本凉子
泥舟を漕いだ日もある人生譜 山口ヨシヱ
振り向くと影も振り向く十三夜 松下比ろ志
振り向いて欲しくて小石投げている 辰巳和子
冬まじか振り向くことはもうしない 吉川千穂
振り向いてあしたの道を確かめる 池田史子
イケメンの痴漢は振り向いて許す 内田秀章
父の首振り向くことを知らず生き 山本芳男
振り向けば女に戻る影ゆれる 田中節子
振り向けば誰もおらない夕月夜 中西保子
振り向けば枯葉が風に舞うばかり 村上静子
振り向いて一つの未練にしばられる 牧野和子
振り向いて確かめておく影の位置 長島敏子
振り向いたあなたにハート射抜かれる 村上氷筆
振り向けば母の微笑む丸い膳 山口ヨシヱ
振り向けばイエローカード持った妻 河合敏夫
振向かせる勇気の声が欲しかった 中西保子
振り向けば私の脳がおちていた 吉川千穂
振り向くな声を出すなと言われても 長野峰明

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【出席者】 (順不同・敬称略)
吉川 千穂 花田 俊枝 内田 秀章 長島 敏子 神田 巳珠 山本 芳男
上野 五柳 前川千津子 田中 節子 山口ヨシヱ 村上 静子 沼尾美智子
水田 象介 牧野 和子 長野 峰明 尾畑 晴代 橋本 凉子 濱田 英明
小島知無庵 野澤 淑子 田中 節子 仲田 秀子 山辺 和子 松下比ろ志
椙元 世津 倉田雄登美 室田 隆司 池田 史子 豊野 光子 内藤 夢彦
青木 公輔 上村さな恵 村上 氷筆 山田 信子 辰巳 和子 河合 敏夫
みぎわはな 中本 三桂 樋口 祐子 赤井 花城

【投 句】
宮本 喜明 小山 紀乃 長川 哲夫 竹の内一人 前田 久雄 水上たお子
山岡 幸一 森本 高明 山本ひさゑ 森山 勝彦

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