平成19年3月25日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
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特別席題  「眠い」  青木公輔 
今日もまた眠たい全没の句会 内田秀章
うつらうつら命のしみを拭いて行く 豊野光子
クラシック聞くと今でも子守唄 斎藤功
われ知らず睡魔がへばりつく介護 村上氷筆
美しい国です眠い春ですが 長川哲夫
春のどか眠い瞳で逢うアナタ 吉川千穂
これも義理眠い演説聴かされる 山本ひさゑ
自慢にもならぬ特技という朝寝 椙元世津
呪文かけたかとろり解れてきたわたし 田中節子
一年中冬眠してるボクの脳 内田秀章
今日も又妻は得意の舟をこぐ 濱田英明
寝不足のクマがさ迷う温い冬 村岡義博
眠りから覚めて小鳥のついばむ芽 橋本凉子
大声で時時返事する眠り 増田左代子
眠い顔見せず背筋を伸ばす母 内田秀章
夕焼けの頃に働く脳細胞 増田左代子
春の朝眠いねむいと恋ごころ 吉川千穂
睡魔には勝てずシンクロ見ずじまい 室田隆司
助手席の居眠り命あずけます 増田左代子
夢うつつ乙姫さまになっていた みぎわはな
眠ってはいるけど狸聴いている 内藤夢彦
波の音眠りの国へ誘いこむ 中西保子
ぐっすりと眠り吉報待っている 山口ヨシヱ
満ちて来る眠気に答せかされる 仲田秀子
赤ちゃんの瞼くすぐるオルゴール 中西保子
角隠し挙式前夜を眠らせぬ 中西保子
春の日にまだ明け初めぬ目をこする 長川哲夫
桜開花眠い目こすりジョギングへ 橋本凉子
絶景も寝惚け眼のハネムーン 村上氷筆
とりとめのない夢をみて眼がさめず 村上静子
眠い目でサイレンの音追う夜更け 水上たお子
眠くても書き残したい記念の日 仲田秀子
金策に目鼻が付いた高鼾 島田握夢
春眠に自問自答を繰り返す 長川哲夫
目覚ましが鳴った別のも鳴っている 上野五柳
眠気ざましにチョークが飛んで来たムカシ 長野峰明
佳ラ半世紀父眠る島はるかなり 中井康弘
孤独には春の眠さがつきまとう 斎藤功
深夜便落語のおちは夢の中 内藤夢彦
桜木もまだ眠そうなもどり寒 松下比ろ志
眠い目を開き介護の手は続く 山本芳男
風を喰べ尽くして眠るベレー帽 山本ひさゑ
歳時記をめくると眠い春でした 松下比ろ志
三月の底で眠っていた新芽 吉川千穂
眠さふっ飛ばした今朝の震度「6」 青木公輔

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兼題  「レシート」  倉田雄登美選 
この愛にレシートなどは要りません 黒嶋海童
釣銭とレシート見ずに財布中 尾畑晴代
空財布レシートばかり入れてある 尾畑晴代
レシートを見て日記を埋めている 萩原皐月
レシートの裏で割り算する幹事 辰巳和子
財布なかカードとレシート入り乱れ 前田久雄
レシートも忘れて春の酔いごこち 上村さな恵
レシートを丸めてすぐに捨てるくせ 尾畑晴代
夫のポケットにレシートのアリバイ 萩原皐月
研修のレジにレシート確かめる 辰巳和子
レシートに財布の中味笑われる 樋口祐子
領収書代りレシートの吐息 小山紀乃
レシートで辿る昨夜の千鳥足 村上氷筆
魔のレシートほんのお遊びだったのに 山本ひさゑ
レシートの吐息あれもこれもと深い欲 斎藤功
レシートに喜怒哀楽の跡がある 山本芳男
レシートの長さ孫への愛だろう 山本芳男
飲み会のレシート下戸が握らされ 水上たお子
レシートのチェック忘れぬケチ家計 水上たお子
レシートの裏へ住所とTELを書き 村上静子
レシートを沢山持って悩む妻 山本芳男
羨ましレシート無しで出る公費 椙元世津
捨てられぬレシートマダムの口紅 上野五柳
ブランドのバッグレシート張っておく 豊野光子
レシートを見せて裏門から入る 松下比ろ志
レシートがなげく衝動買いの癖 仲田秀子
釣り銭は駄賃とレシートだけ渡す 内田秀章
おかしげな敬語でレシートを貰う 内田秀章
コンビニのレシートが知るおでん好き 内田秀章
レシートが過去の私を責めてくる 長川哲夫
レシートの収集旅の想い出に 青木公輔
生き下手をゆるした財布のレシート 前田久雄
レシートをレイにしている名幹事 蛯原正弘
家計簿のため息レシートの長さ 辰巳和子
レシートはあの人の居るあのレジで 水田象介
衝動買いのレシート妻に見せられぬ 中西保子
レシートの裏に一句が書いてあり 中西保子
金額はゼロのままでと天の声 小島知無庵
避妊具のあるレシートを捨て忘れ 水田象介
レシートが衝動買いをまた叱る 赤井花城
妻に内緒のレシート咄嗟に口へ入れ 島田握夢
レシートが昨夜の罪を喋りだす 黒嶋海童
割り勘のレシートレジをさっと出る 潮田春雄
レシートを譲り合ってる初対面 潮田春雄
レシートに命令されている家計簿 蛯原正弘
レシートが尻尾つかんで放さない 長野峰明
レシートを貼って家計簿らしくなる 宮本喜明
レシートを貼ってつんどく新刊書 倉田雄登美

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兼題  「底」  小山選 選
耳底に嬉しい話溜めておく 橋本凉子
底力出せば気になる腹具合 濱田英明
底の方からわざわざ引いたのにハズレ 島田握夢
人生の今が底だと希望持つ 尾畑晴代
胸底にふつふつこころ炎えて来る 牧野和子
学び舎も先祖の墓もダムの底 仲田秀子
胸底に不満を溜めているマグマ 村岡義博
ふるさとの訛りで底のない情け 田中節子
出てこないキーへ鞄をぶちまける 島田握夢
忘れたい今日を飲んでる酒の底 増田左代子
ワイングラスの底にしずんでいたしっと 吉川千穂
曇のち晴れだ靴底まで弾む 上村さな恵
上げ底の女に鍋底の男 みぎわはな
底びき網にかかってしまい逃げ出せぬ 樋口祐子
びっくり箱の底で作戦練り直す 青木公輔
呑み込んだ言葉の底で揺れている 辰巳和子
ダンボールの底に溜めてるひとり言 増田左代子
飲み干したグラスの底に出た答 村上氷筆
逢いたくて逢えぬ人恋う夜の底 辰巳和子
恋焦す私をこがす鍋磨く 吉川千穂
お弁当の底に咲いてる妻の愛 花田俊枝
命も卆寿ぼちぼち底が抜けそうだ 松下比ろ志
春のさざ波誰も知らない池の底 萩原皐月
華やかな言葉の底にある嫉妬 山本ひさゑ
上げ底の男で真意見えて来ぬ 黒嶋海童
どん底を覗いて強くなった男 前田久雄
三月の底であなたに逢いにいく 吉川千穂
川底で流れに耐えた丸い石 長川哲夫
晩餐会地底人から御招待 水田象介
ベトナムでイラクで奈落覗かせる 室田隆司
罪ひとつ鏡の底に睡らせる 宮本喜明
腹の底表に出さず目で語る 松下比ろ志
反戦歌海の底から湧いてくる 沼尾美智子
底抜けの青空底抜けの笑顔 みぎわはな
ケセラセラ上げ底にする胸の中 豊野光子
海の底見て来たような癌検査 長川哲夫
どん底で友の手紙を読み直す 山本芳男
底辺で見る青空の広いこと 山本芳男
天の底もうすぐ抜けそうな気配 赤井花城
たゆとうて生きた火の底水の底 山口ヨシヱ
胸底のブラックホール灯を点す 長川哲夫
地球の底何かが起る予感する 上野五柳
火をつけぬままの花火が胸の底 上村さな恵
気が付けばぼくの心も二重底 上野五柳
どん底はまだいい返すバネがある 室田隆司
期待したのに底辺だけを撫でている 小山紀乃

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兼題  「付き」  村上静子 選
和やかなお付き合いです川柳(うた)の会 濱田英明
顔付きの悪い男と終電車 仲田秀子
果て何の祝いかお頭つきの膳 黒嶋海童
早産に前夫の戸籍付きまとい 中井康弘
飛びついた安値の家は曰く付き 水上たお子
付き合いの悪さも個性というのかな みぎわはな
やっとつき来たよう運が開け出す 小山紀乃
付きものが落ちたか彼奴よく喋る 宮本喜明
付き合いが良すぎて見えぬ人の顔 長川哲夫
整理券私の後で打ち切られ 赤井花城
鋭い目付きにすねの傷奴が落ち着かぬ 長野峰明
振り向かれ変な手付きが泳ぎだす 長野峰明
流し雛涙のあとが少し付き 長川哲夫
昭和を生きいくさの傷が付き纏う 山口ヨシヱ
付いて行くつもりの夫付いてくる 豊野光子
付け足しの言葉で裏が見えてくる 山本ひさゑ
虫付きの有機野菜もパクパクと 吉川千穂
物忘れ付き人ほしい秘書ほしい みぎわはな
土とひげ付けて筍山の春 倉田雄登美
付き添うてくれる貴方に凭れきる 小山紀乃
こめかみに付いてはなれぬ今日の悔い 内藤夢彦
利子付けて子供に返す親の愛 内田秀章
付きっきり疲れている孫の守り 椙元世津
面食いのたたりじゃ付きが逃げてゆく 室田隆司
取っ付きは悪いが味のある男 水上たお子
身に付いた着物白髪が美しい 萩原皐月
春浅く付かず離れず母の試歩 上村さな恵
買い物に付き合わされて忘れられ 濱田英明
付け足した色へ責任とらされる 蛯原正弘
肩書きの付いた名刺を出したがる 山本芳男
羽根よりも藁麦のまくらが寝付きいい 沼尾美智子
明け方の正夢ホンマ付きがくる 小島知無庵
顔付きと味とは別と言う魚 長野峰明
顔付きは優しそうだが勝気なり 椙元世津
定年の一歩手前で役付きに 水田象介
わが妻も仲人さんのお墨付き 上野五柳
親付きの嫁を向かえる破目となる 増田左代子
札付きの悪がお経を唱えてる 辰巳和子
顔付きで心の歪み見透かされ 斎藤功
部長付きつらい左遷の辞令来る 黒嶋海童
くっ付いたボンドの後仕末に困り 橋本凉子
努力積んだ成果を他人は付きと見る 室田隆司
付き添いの妻の介護に目がへこみ 倉田雄登美
土地付きの新居へ渋る老母を呼ぶ 内田秀章
真っ直ぐな妻の歩幅に付いて来た 山本芳男
書き終えた手紙に近況付け加え 村上静子

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兼題  「根っ子」  村上氷筆 選
やり直す根っ子にあった家族の輪 潮田春雄
根っ子から炎えるいのちの音がする 山口ヨシヱ
墓参り命の根っ子ききに行く 豊野光子
海に根をおろし主塔が天を突く 濱田英明
蘗を大地で支え持つ根っこ 神田巳珠
根の深い話コーヒー冷めてくる 辰巳和子
この殺し根っこに深いものがある 長野峰明
鉢の花根っ子ほぐして植え替える 村上静子
テロ止まぬ深い根っ子のある限り 室田隆司
樹が繁る根っ子は過去を語らずに 豊野光子
根っ子から芽吹いた命天を向く 内田秀章
まわれ右、根っ子どこまで意地を張る 田中節子
切り株のこんなところに芽吹く恋 長川哲夫
大正の頑固根っこはゆるがない 萩原皐月
流離いを止めた根っ子は母の愛 斎藤功
ほら顔に根っ子は嘘のつけぬ人 長川哲夫
ひねくれた根っこに今日は鍬を入れ 内藤夢彦
風雪に耐えて根っこの強い母 黒嶋海童
根を煎じ飲んだ苦さに胃が悶え 濱田英明
ほろ苦い百合根のような方でした 内藤夢彦
切り株は人懐っこく座らせる 椙元世津
品性が香る根っこの育ち良さ 沼尾美智子
冬木立根っ子は昼夜眠らない 中村真里子
ご先祖の根っ子すぐにはへこたれぬ 中村真里子
冬を越し根付き野菜が逞しい 沼尾美智子
何時までも根っこに持った恨み事 尾畑晴代
根っ子には聞かせたくない逆療法 田中節子
累々と根っ子が支え合う樹海 赤井花城
この国の根っこは毒にまみれてる 黒嶋海童
大空の根っこを探す春だから 小山紀乃
菩提寺の墓を巡ればルーツ見え 牧野和子
話す気になったか根っ子上を向く 山本芳男
老木の根っ子民話を語り継ぐ 内田秀章
リセットをすれば根っ子が浮いてくる 山本ひさゑ
青春の夢をまだまだ抱く根っ子 山本芳男
纏足の根っこ悲しい緑地帯 蛯原正弘
荒波に母の根っこが太くなる 萩原皐月
打打発止根っこで意見合っている 沼尾美智子
人類の根っこに欲望という恐さ 萩原皐月
根っ子の方にしぶとく残る国訛り 松下比ろ志
氏素性確かな水で繋がれる 牧野和子
根ッ子から抜けばいちゃもん付いて来た 青木公輔
花万朶根っ子黙って支えてる みぎわはな
侘しさが募る茶髪の根が白い 島田握夢
原点へ還れば根っ子透けてくる 山本ひさゑ
薄墨桜若木の根っ子接ぎ蘇生 村上氷筆

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【出席者】 (順不同・敬称略)
吉川 千穂 花田 俊枝 村上 氷筆 内田 秀章 神田 巳珠 山本 芳男
小島知無庵 上野 五柳 黒嶋 海童 田中 節子 山口ヨシヱ 村上 静子
みぎわはな 斎藤  功 水田 象介 中井 康弘 増田左代子 水上たお子
橋本 凉子 濱田 英明 椙元 世津 村岡 義博 仲田 秀子 倉田雄登美
室田 隆司 豊野 光子 内藤 夢彦 長野 峰明 青木 公輔 長川 哲夫
中西 保子 島田 握夢 松下比ろ志 小山 紀乃 山本ひさゑ 樋口 祐子
赤井 花城

【投 句】
宮本 喜明 牧野 和子 辰巳 和子 上村さな恵 萩原 皐月 潮田 春雄
前田 久雄 尾畑 晴代 沼尾美智子 中村真里子 蛯原 正弘

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