平成19年1月21日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
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特別席題  「寒さ」  中岡千代美選 
唯一の取柄寒さに強い体型だ 島田握夢
知ってますか寒さ越えたらしばれるよ 倉田雄登美
彼岸まで二ヶ月これからが辛い 青木公輔
寒さにもせっかく慣れたのに春か 杉山ひさゆき
スキー場寒さに帳簿にぎられる 杉山ひさゆき
大寒は暦どおりに寒さ連れ 小島知無庵
小児科へ急ぐ寒さを除けながら 中西保子
霜踏んで新聞少年の白い息 辰巳和子
一切れをじっくり食べる寒のブリ 樋口祐子
鰭酒の一ぱい寒さ忘れさせ 内藤夢彦
霜柱墓前に温め酒一献 みぎわはな
雨寒しおんなひとりの宴が果て 花田俊枝
寒さなら耐えられますと庭の木々 濱田英明
寒さにも強い鉢植え聞いて買い 村上静子
裸木の舗道が寒い時雨降る 花田俊枝
北風にかじかんだ手を包み込む 山田信子
温めてくれるひとなくなお寒い 上野五柳
寒さなどあなたの胸にいだかれて 豊野光子
温い手に包まれました心まで 豊野光子
南極の氷が溶けてゆく寒さ 村岡義博
満員車では暑過ぎるウォームビズ 上原翔
定年の椅子に寒さを見抜かれる 山本芳男
大寒の川ひとすじに薄氷 山田信子
夕張の寒さ吹き飛ぶ熱い式 中村真里子
くつ下を二枚重ねてみたものの 青木公輔
冬物のバーゲン寒さ弛むかも 上原翔
おでんことこと秋田は雪ですとニュース 辰巳和子
首筋が寒い少うし言い過ぎた 長島敏子
母の名を呼べばぽとりと寒椿 長川哲夫
ヒト科のこころ読めぬ寒さよ薄氷 長野峰明
寒さなど分からぬポチに引っぱられ 杉山ひさゆき
かじかんだ手に焼きいもの温かさ 水田象介
人を待つ髪に心に寒い部室 花田俊枝
誰が知るや夫婦の隙の寒い風 みぎわはな
御亭主を湯タンポ代りにして凌ぐ 島田握夢
犬までがこたつに入る雪景色 水田象介
底冷えの夜はペットを抱いて寝る 内田秀章
いさかいも疑問ももたぬ寒い部屋 吉川千穂
冬眠のわたしを起こすジャスミン茶 上村さな恵
風の子がめっきり減った焚火の輪 内田秀章
寒い寒いと行き先告げず歩き出し 島田握夢
ひらがなの寒中見舞い風ゆるむ 山口ヨシヱ
横着が傘持ち合わせない氷雨 上原翔
しあわせを数える十指寒くない 吉川千穂
雪しんしん来る人がまだ来ない駅 仲田秀子
こっちへおいでと引き寄せられる寒さ 中岡千代美

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兼題  「割れ物」  杉山ひさゆき選 
この地球割れる日までは生きとらん 上野五柳
ガラス破る中学生にもついじめ 吉川千穂
罅割れたコップを握る聞き上手 竹内一人
名工の技が不出来な壷を割る 山本芳男
震災に備前大皿割れて哭く 倉田雄登美
シャボン玉欲を出したら爆ぜますよ 沼尾美智子
学び舎の窓ガラス割る反抗期 神田巳珠
一生の不覚ガラスの靴だった 樋口祐子
ヒビてるか検べようとしたら割れた 島田握夢
窓ガラスため息ばかり付いている 山田信子
安物かオレの碗だけなぜ割れる 濱田英明
白い皿背中丸めて乗りました 蛯原正弘
大切にしている食器よくわれる 吉川千穂
兄弟の絆も皿も割れやすし 増田左代子
脹らんで弾けて割れる恋心 河端世起子
ぎやまんのような心よ何処行った 中村真里子
心臓はガラス細工のような僕 水田象介
繊細でガラスのような人と識る 小山紀乃
割れ物の一つに僕の恋もある 尾畑晴代
割れ物に話す言葉を選りながら 増田左代子
割れた鉢つなぐ仕草の幼い手 前田久雄
宅配のコップのマーク中は味噌 小島知無庵
急須の口ボンドでつけて又使い 村上静子
割れ物の様に育てた子が背く 豊野光子
ひび割れた壷にも格差付きまとう 内田秀章
割れ鏡隅で歪んだ顔に遇う 宮本喜明
寄集めばかりになった食器棚 水上たお子
割れ物の心がわかる骨董屋 山本芳男
よく喋る茶わんと皿がケンカする 青木公輔
薄ごおり噛んでみたのは何時の日か 沼尾美智子
割れるなら割ってみようか玉手箱 樋口祐子
骨董屋のつぼに用心してふれる 村上静子
ホラ吹きがガラスの顎をもっている 上原翔
保育園割れ物すべてない安堵 仲田秀子
身代りになってくれたと夫婦碗 上原翔
風船が割れるブランコ揺れている 山口ヨシヱ
割れ物のようにいたわる受験生 仲田秀子
割れた皿接ぎそれからの長い日々 みぎわはな
割れ物と書いてあるから手がすべる 豊野光子
割れ物のシールを貼ってお雛様 上原翔
震災をものともしない安い皿 中村真里子
割れ物と書いた箱からラブレター 水上たお子
草野球補欠を窓へ張り付かせ 竹内一人
シャボン玉膨らみすぎた管の先 小島知無庵
営業所へ戻れば割れ物蹴飛ばされ 島田握夢
お手入れをしてね割れものの踵 杉山ひさゆき

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兼題  「感心」  沼尾美智子選 
お母さま独りの冬にさせませぬ 田中節子
定年後炊事洗濯みんな僕 水田象介
妻の介護あるので失礼いたします 村上氷筆
感心はしてもお金は出さぬ主義 上野五柳
億の借金があると普通の顔で言う 島田握夢
どこででも寝る赤ちゃんの肝っ玉 村岡義博
青い目の方の綺麗な箸さばき 杉山ひさゆき
ワンマンへどこか惹かれて附いていく 神田巳珠
黙祷のきっちり一分はすごい 中岡千代美
拉致をゆるした国に感心するばかり 長野峰明
語学力異国力士に感心す 村岡義博
杖を捨て無欲に生きる母の意地 前田久雄
道端のゴミを拾うた鼻ピアス 長島敏子
オレオレにリフォーム次はどんな手で 河合敏夫
まだ白寿お針仕事をしています 豊野光子
ぺらぺらとまくしたてては酒を酌む 樋口祐子
児が生まれきっぱり煙草止めました 内田秀章
話術巧みで人垣がすぐ出来る 赤井花城
ものぐさな子だが愛車はよく磨く 黒嶋海童
見上げればつばめ今年も巣を作る 上村さな恵
感心もびっくりもさせ子が育ち 豊野光子
感心カンシンと軽く二度言う嘘っぽさ 村上氷筆
感心な男だ酒量よう守る 上野五柳
ご主人を散歩させてるポチである 中村真里子
ペコちゃんのシュークリームに負けぬ腹 中村真里子
感心とほめられ寒気する悪だ 尾畑晴代
メール打つだけで感心される歳 前田久雄
一万歩毎日欠かさない散歩 内田秀章
膝伸ばし颯爽と往く喜寿傘寿 杉山ひさゆき
ロボットが即座にお茶を持ってくる 赤井花城
別姓で家事もきっちり半々で 村上氷筆
老いの身で感心するほどよく遊ぶ 黒嶋海童
貧乏神も妻はやさしく飼い馴らす 山本ひさゑ
酒タバコ女遊びも辞めました 水田象介
いつ会うても笑顔ともだちの元気 小山紀乃
母を看て配達すませ学校へ 中西保子
ビリケンの足がえぐれる程願い 中村真里子
復興の神戸あの日が夢のよう 小山紀乃
犬芸猿芸に感心する時代 中西保子
縦列駐車ピタリ感心われながら 村岡義博
感心な子にストレスはないだろか 水上たお子
なるほどと感心してるさかな偏 黒嶋海童
三十品目めざしていると嫁の声 田中節子
感心してる間にライバルが見えなくなった 島田握夢
百歳になっても恋をするつもり 辰巳和子
青いボールと疲れを知らぬ三才児 沼尾美智子

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兼題  「よしみ{誼}」  山本芳男 選
絡まれて息苦しいと言うよしみ 杉山ひさゆき
ハナクソが見えると妻なればこそ言うてくれ 島田握夢
医者より頼りになる同病の誼 島田握夢
渡来の花に蝶はよしみをためらって 村岡義博
兄弟のよしみで判を突けと言う 杉山ひさゆき
同郷の知事へ一票差し上げる 中村真里子
あやとりの橋を渡っていく誼 吉川千穂
一期一会のよしみで増える年賀状 内田秀章
ちょっと手を握れるだけの誼みです 上野五柳
親友の部屋に三年居候 水田象介
泣き笑うほどよい距離に母がいる 前田久雄
ふる里に昔のよしみ置いてきた 杉山ひさゆき
似たような身の上さらけ出す誼 増田左代子
安倍・小沢仲好く日本導いて 小島知無庵
呑兵衛の誼み通じてまた明日 内藤夢彦
時にはうっとしい隣との誼 増田左代子
語り明かしてよしみをもどす旅の宿 橋本凉子
消しゴムの屑に揉まれている誼 神田巳珠
絆というよしみを抱いてぬくい風 吉川千穂
七転び八起きの誼み大切に 上村さな恵
さまざまなよしみ行き交う赤い橋 山口ヨシヱ
とまり木のとなりがくれたピーナッツ 中岡千代美
常連のツケに苛立つ換気扇 竹内一人
誼みでも保証人だけ断られ 中西保子
何の誼みかつけ廻されて迷惑で 青木公輔
同窓の誼みで著書を買いました 尾畑晴代
雪しんし途切れぬ糸の誼かな 長川哲夫
光年の誼彦星に年賀状 豊野光子
通じ合う古いよしみに癒やされる 山口ヨシヱ
竹馬の友お見せしましょう裏日記 田中節子
一同に会し同期の快気炎 上原翔
前世のよしみか妻にきてくれた 上野五柳
賀状一枚誼み細々続く仲 上野五柳
閻魔との誼みはもっと後にする 黒嶋海童
むかし昔の誼み頼って借りにくる 長島敏子
昔のよしみなんて云うとき金ですわ 宮本喜明
飴ひとついかがとお隣りの美人 小山紀乃
誼とは答を問わぬ胡蝶蘭 長川哲夫
取り敢えず褒める近所の聞き合わせ 内田秀章
言いにくい事もメールで済むよしみ 樋口祐子
また一人誼の出来た肛門科 蛯原正弘
友達の誼はっきり意見する 山本ひさゑ
花一枚添えて誼の置手紙 花田俊枝
なあなあで続いています五十年 水田象介
ふるさとの風がぴしっと言い聞かす 田中節子
拒否という誼もあって長い旅 山本芳男

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兼題  「大事」  中西保子 選
純潔を守り通した青春譜 内田秀章
発車ベル大事なことが言い出せぬ 黒嶋海童
ひと言の波紋大事を引き起こす 小山紀乃
母さんを真ん中にして大事な日 長川哲夫
握手した日から大事なひとになる 仲田秀子
連れそった妻と大事をのり越える 花田俊枝
副作用大事な尻尾振っていた 田中節子
あまりにも大事をとって出おくれる 上村さな恵
私より友を大事にする夫 水田象介
わたしにはとても大事なさくら貝 沼尾美智子
死ぬ時の笑顔大事に取ってある 山本ひさゑ
大事な話あります妻があらたまる 村上静子
お大事にと云われあわててハイと云う 樋口祐子
大事がおこるとあなたの背なが道しるべ 花田俊枝
大事ないかと蕗の薹が目をさます 増田左代子
鉛筆を舐めただろうな亡母手紙 宮本喜明
お大事に命の重さ知るナース 吉川千穂
天地無用わたしあなたへ生のまんま 村上氷筆
妻だけはきっと頼りになる老後 樋口祐子
ケセラセラのDNAを慈しむ 中村真里子
大事ない大事ないとは他人さま 山本芳男
ピンクのリボンをかけた思い出抱いている 中岡千代美
蟻の穴から漏れた油断の一大事 長野峰明
一生は一度命のかぎり生き 豊野光子
どっちと言われても母も妻も大事 島田握夢
離婚してと妻がいうたら一大事 上野五柳
変色の手紙の束を捨てきれず 水田象介
国民が大事と政府税を上げ 濱田英明
銀世界大事に過ごす山の宿 山田信子
大事とる度に薬が増えてくる 山本芳男
捨てかけると急に人形を手離さず 島田握夢
捨てられた大事な命連れ帰る 橋本凉子
かけがえの無き人悼む震災忌 内藤夢彦
一大事儂は知らんと犬寝てる 神田巳珠
ド忘れへ手垢のついた電子辞書 上原翔
大事なことメモした紙が見つからぬ 村上静子
お大事にそれが訣れになろうとは 赤井花城
そんな大事な物をどうしてあみ棚へ 青木公輔
大事にと隠した酒が目減りする 濱田英明
大事そうに耳へ近付く下ごころ 長野峰明
漁師まで大事を取って牡蠣食べぬ 濱田英明
握ってた大事な駒も褪せて来る 山口ヨシヱ
子は駆ける十円玉を握り締め 長川哲夫
酒二合飲めば忘れる思いやり 竹内一人
あんたを生んだことを大事に考える 花田俊枝
大事な連絡列車の窓を追いかける 中西保子

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【出席者】 (順不同・敬称略)
吉川 千穂 長野 峰明 中西 保子 花田 俊枝 水上たお子 上村さな恵
長川 哲夫 倉田雄登美 山口ヨシヱ 内田 秀章 黒嶋 海童 小島知無庵
豊野 光子 橋本 凉子 河合 敏夫 長島 敏子 村上 静子 神田 巳珠
辰巳 和子 沼尾美智子 田中 節子 上野 五柳 山田 信子 中村真里子
内藤 夢彦 濱田 英明 中岡千代美 仲田 秀子 みぎわはな 青木 公輔
水田 象介 増田左代子 上原  翔 村岡 義博 山本 芳男 島田 握夢
杉山ひさゆき 樋口 祐子 赤井 花城

【投 句】
前田 久雄 上月智恵子 竹内 一人 尾畑 晴代 山本ひさゑ 小山 紀乃
河端世起子 宮本 喜明 村上 氷筆 蛯原 正弘

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