平成18年11月12日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「暦(カレンダー)」 宮本喜明 選
ラ |
決断を静かに迫るのは暦 |
吉川千穂 |
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霜月の暦も冬を抱いて鬱 |
長島敏子 |
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カレンダー温いトイレでニラメッコ |
河合敏夫 |
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カレンダーあと一枚に水を遣る |
沼尾美智子 |
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カレンダーおまえも軽くなったなあ |
長島敏子 |
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バラ色を塗っていきたいカレンダー |
山口ヨシヱ |
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リビングの暦家族の今日を知る |
長島敏子 |
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恋にいくたび虹にいくたび花暦 |
花田俊枝 |
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干し大根ゆれて暦も痩せてくる |
上村さな恵 |
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妻の留守ひめくり三日前のまま |
河合敏夫 |
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命剥ぐようにカレンダー薄くなる |
中西保子 |
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また加齢あと一枚のカレンダー |
上野五柳 |
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カレンダー残り一枚金も要る |
内藤夢彦 |
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お気に入りは部屋に飾れぬカレンダー |
室田隆司 |
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カレンダーどのページにも妻の顔 |
樋口祐子 |
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余命表暦と合わせ息はずむ |
小島知無庵 |
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木枯しに残り一枚寒かろう |
室田隆司 |
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好景気もう株屋からカレンダー |
豊野光子 |
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退院の日に花マルのカレンダー |
村上氷筆 |
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日めくりを捲る命をまた繋ぐ |
豊野光子 |
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運命線照らし合せている暦 |
増田左代子 |
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主婦の目で大きなマスの暦買う |
黒嶋海童 |
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カレンダー余白で足りる日記帳 |
斎藤功 |
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ふたりだけにわかる記号のある暦 |
仲田秀子 |
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土曜日のハートマークがもう見えぬ |
黒嶋海童 |
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にくい石油めカレンダーまで値上げする |
森山勝彦 |
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連休のとこを先ず見るカレンダー |
島田握夢 |
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カラフルに飾るふたりのカレンダー |
吉川千穂 |
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暦はうすく熱燗欲しい夜がくる |
上村さな恵 |
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くるっと変えて私探しのカレンダー |
田中節子 |
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新年を迎えられそうトリが鳴く |
水田象介 |
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日めくりに追いかけられている私 |
水上たお子 |
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終止符を打とう暦を繰っている |
山本芳男 |
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今年こそ嫁に行く気の暦吊る |
村上氷筆 |
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暦より予定はみ出すアマリリス |
田中節子 |
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ゴミの日の赤丸記念日かと夫 |
豊野光子 |
|
カレンダーに伏せた刺客の生欠伸 |
長野峰明 |
佳 |
日捲りは大体五枚ずつ破る |
杉山ひさゆき |
佳 |
何かよく解らん大安友引の順序 |
島田握夢 |
佳 |
カレンダー裏から見れば余命表 |
松下比ろ志 |
佳 |
誤作動か一つ記憶にない印 |
増田左代子 |
佳 |
カレンダー句会と書くと飯は無い |
杉山ひさゆき |
人 |
叶姉妹の侭になってるカレンダー |
島田握夢 |
地 |
赦そうと思う暦をじっと見る |
山本芳男 |
天 |
冬という時間の中でみた暦 |
吉川千穂 |
軸 |
泣く笑う残る暦に任せよう |
宮本喜明 |
兼題 「リズム」 蛯原正弘 選
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エプロンをつけてはずんでくるリズム |
上月智恵子 |
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楽だから妻のリズムにのっている |
上野五柳 |
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白壁に秋のリズムで吊し柿 |
宮本喜明 |
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休肝日作ってリズム狂いだす |
杉山ひさゆき |
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日常にメトロノームを置いてみる |
小山紀乃 |
|
貧乏ゆすり見てもせっかちな人だ |
島田握夢 |
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朝からのリズムを崩す魔の受話器 |
山本ひさゑ |
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情熱のルンバに酔うたあの日から |
上村さな恵 |
|
妥協して狂うリズムに音を上げる |
小山紀乃 |
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大落暉秋のリズムはアレグロに |
松下比ろ志 |
|
カタツムリなりのリズムの自負がある |
山本ひさゑ |
ラ |
冬大根チャチャチャにのって千六本 |
沼尾美智子 |
|
何か歌っていそう鼾のリズム |
尾畑晴代 |
|
私のリズム狂わす嫉妬心 |
長島敏子 |
|
年金のリズムで回る夫婦独楽 |
内田秀章 |
|
職退いて妻のリズムでタップ踏む |
黒嶋海童 |
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たくあんの音に釣られてもう一本 |
池田史子 |
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太陽のリズムに朝の目玉焼 |
中西保子 |
|
いい歳をしてスキップが出てしまう |
みぎわはな |
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盆踊りだけはリズムに乗れている |
水上たお子 |
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音痴でもリズムしっかり歌ってる |
神田巳珠 |
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強烈なサンバ踊って飛ばす鬱 |
村上氷筆 |
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妻のくしゃみでその日一日狂う |
水田象介 |
|
嫁が来て姑(はは)のリズムが若くなる |
仲田秀子 |
|
ときめきのリズムで刻む花時計 |
辰巳和子 |
|
リズムよく死んで年金守ります |
杉山ひさゆき |
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定年まで歩いたリズム邪魔になる |
松下比ろ志 |
|
競歩のつもりかリズムよいヒップ |
河合敏夫 |
|
起床消灯リズムで回るナースたち |
中西保子 |
|
取り敢えず若いリズムにぶら下がる |
田中節子 |
|
ゆったりと母のリズムで家守る |
みぎわはな |
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若さもらうサンバの脚のリズム観て |
内藤夢彦 |
|
点滴のリズムどこまで窓は秋 |
宮本喜明 |
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リズムなら姑には負けぬ葱きざむ |
長川哲夫 |
|
妻の振るタクトで今日が動きだす |
山本芳男 |
|
マスゲーム哀しいまでにリズム合う |
小島知無庵 |
|
人妻とデュエット心地よいリズム |
内田秀章 |
佳 |
明日を読むリズム二合の酒で湧く |
山本芳男 |
佳 |
名人のリズムに合わす向う鎚 |
黒嶋海童 |
佳 |
逆転のリズムはタイム取ってから |
村上氷筆 |
佳 |
木枯らしが冬のリズムを持ってくる |
上村さな恵 |
佳 |
俎板の音乱調子妻の乱 |
みぎわはな |
人 |
風は秋誰のリズムに合わそうか |
長島敏子 |
地 |
一拍を外して妻が攻めて来る |
黒嶋海童 |
天 |
やわらかい風きてリズム歪みだす |
田中節子 |
軸 |
失敗はバイオリズムに背負わせる |
蛯原正弘 |
兼題 「温い」 室田隆司 選
ラ |
絵本から温い言葉を拾ってる |
増田左代子 |
|
大家族苦楽を共に温みあい |
前田久雄 |
|
駆け引きの下手な男の手が温い |
辰巳和子 |
|
カレー皿七枚居間は花ざかり |
牧野和子 |
|
ゆっくりと煮込むおでんが待つ家路 |
小山紀乃 |
|
無人駅温いことばを取り交わす |
山本ひさゑ |
|
太い首調子外れが温かい |
蛯原正弘 |
|
げんこつの温さ知ってるチャンコ鍋 |
上村さな恵 |
|
離婚成立コーヒーはぬるかった |
水田象介 |
|
好きなものあるからふあっと一日 |
田中節子 |
|
変換キー温い言葉に置きかえる |
河合敏夫 |
|
ダンディな顔で腹と背中にドント |
島田握夢 |
|
過疎に骨埋める聴診器が温い |
内田秀章 |
|
かっこよくないけど温い人と添い |
長川哲夫 |
|
三枚目に徹し雰囲気温める |
島田握夢 |
|
過去形の温い話に寄ってくる |
赤井花城 |
|
温い手でも一度ぎゅっと抱きしめて |
村上氷筆 |
|
狭くなる歩幅にそっと温い風 |
山口ヨシヱ |
|
別れぎわの温い笑顔を胸に帰途 |
村上氷筆 |
|
頃合いの温さだきっと誘いの手 |
上野五柳 |
|
温い嘘なにも言わずにだまされる |
森山勝彦 |
|
彼女からホカロン入試頑張って |
村上氷筆 |
|
温室で青い思想が熟れてゆく |
森山勝彦 |
|
肉まんの湯気で寛ぐおちょぼ口 |
竹内一人 |
|
三人席夫婦の温みああいやだ |
水上たお子 |
|
一日がほぐれる仕舞湯の温さ |
杉山ひさゆき |
|
親いない里はそれほど温くない |
上野五柳 |
|
日の当たる方へ方へと猫と僕 |
水田象介 |
|
逝く母のまだ温みある手を握る |
黒嶋海童 |
|
足湯に並ぶ毛むくじゃらの足小さい足 |
橋本凉子 |
|
弱腰の男に買ったほっかろん |
樋口祐子 |
|
ひと言の温もり貰い立ち直る |
山口ヨシヱ |
|
弾みだし心が温くなる仲間 |
斎藤功 |
|
縄暖簾あのざわめきの温かさ |
杉山ひさゆき |
|
我を一つ折れば廻りに温い風 |
蛯原正弘 |
|
フトコロの温い間は風邪引かぬ |
上野五柳 |
|
心地よい寝息の妻の手を握る |
長川哲夫 |
佳 |
吊り革が温い慌てて持ち変える |
杉山ひさゆき |
佳 |
孫と風呂九九のテストを受けさされ |
宮本喜明 |
佳 |
温い手の握手のあとで首を切る |
みぎわはな |
佳 |
生温い風が運んできた噂 |
山本芳男 |
佳 |
ひらがなの温い訛りの雪だより |
増田左代子 |
人 |
過疎の村みかんお持ちと笊に盛り |
みぎわはな |
地 |
日溜りに来し方ばかり温め合う |
赤井花城 |
天 |
布団干す今夜太陽抱いて寝る |
尾畑晴代 |
軸 |
なけなしの金で温もり買いにゆく |
室田隆司 |
兼題 「ルール」 尾畑晴代 選
|
アリは蟻のルール先頭を信じて |
山本ひさゑ |
|
五七五これもルールか苦労する |
倉田雄登美 |
|
札つきの悪ルール守ったことがない |
辰巳和子 |
|
自己流のルールで長く生きてます |
古谷日出夫 |
|
違反する薔薇があんまり綺麗から |
豊野光子 |
|
朝夕に愛していると言うルール |
杉山ひさゆき |
|
ルールなど関係ないぞ古希の恋 |
小島知無庵 |
|
生真面目にルールを守る孤独感 |
山口ヨシヱ |
|
恋人の引力に娘はルール無視 |
村上氷筆 |
|
おはようのルール五人の子を育て |
中西保子 |
|
惚れましたルール守れといわれても |
豊野光子 |
|
お早ようは明るい声で云うものだ |
松下比ろ志 |
|
女房が右向け右と云いました |
水田象介 |
|
節約の妻のルールに安堵する |
仲田秀子 |
|
出世欲ルール違反をしてないか |
山本芳男 |
|
暗黙のルールスープが冷めぬ距離 |
森山勝彦 |
|
ルールなど無くても真直に生きる |
みぎわはな |
|
無理のないルールにしよう重いから |
山口ヨシヱ |
|
饒舌にルールを破るきりん草 |
山口ヨシヱ |
|
朝食は決まって妻のお味噌汁 |
長川哲夫 |
|
ルール無視核持つ国の傲慢さ |
小島知無庵 |
|
第三土曜の電話母と子のルール |
沼尾美智子 |
|
規則では貴方は地獄行きですよ |
水田象介 |
|
呑んで乗るルールはびこる風の街 |
赤井花城 |
|
平凡に生きてルールに隙がない |
吉川千穂 |
|
ルールをまげず静かに並ぶ箸の位置 |
花田俊枝 |
|
ルールにはなかった突然の訃報 |
沼尾美智子 |
|
ルール通り打って走って負け疲れ |
上野五柳 |
|
停年後我が家のルールまた増える |
河合敏夫 |
|
愛なんてルール無視して燃えたがる |
松下比ろ志 |
|
都合よいルール作って勝つ兄貴 |
河合敏夫 |
|
ルールですと仏頂面で切符切る |
室田隆司 |
|
五時からのルールを決めたのはお酒 |
長島敏子 |
|
飼犬のルール違反に手を咬まれ |
長野峰明 |
|
女人禁制そんなルールがまだあった |
杉山ひさゆき |
|
亡き姑(はは)のルールを守るお正月 |
仲田秀子 |
ラ |
配るのを忘れていないコウノトリ |
中西保子 |
佳 |
神さまも知らぬルールの落とし穴 |
上村さな恵 |
佳 |
いつからか妻のルールで歩がそろう |
仲田秀子 |
佳 |
人生にも青赤黄のルールある |
松下比ろ志 |
佳 |
ルールのないルールで世を渡る |
樋口祐子 |
佳 |
初孫が生まれルールが総くずれ |
森山勝彦 |
人 |
人間のルールを守る介助犬 |
内田秀章 |
地 |
ありがとうこれがルールの出発点 |
宮本喜明 |
天 |
ルール違反妻が僕より先に逝く |
内田秀章 |
軸 |
子育てのルール通りに行かぬ愛 |
尾畑晴代 |
兼題 「可笑しい」 長野峰明 選
|
もうばれているのに土産を出す夫 |
古谷日出夫 |
|
ジョークだと後で気付いて笑い出す |
小山紀乃 |
|
つつ抜けと知らず夫の猿芝居 |
山本ひさゑ |
|
おかしいと女の勘がけしかける |
池田史子 |
|
可笑しい筈や電源が抜けている |
辰巳和子 |
|
おかしさを堪えワサビを練っている |
上村さな恵 |
|
私の分が小さく見える真半分 |
花田俊枝 |
|
先生も親も教えぬ子の躾 |
内田秀章 |
|
球場が湧いたへそ捕り珍プレー |
森山勝彦 |
|
そうだった神も遊びに行ったのだ |
田中節子 |
|
つり輪にはノッペラボーの終電車 |
宮本喜明 |
|
夫の声パンが焼けたよ早よ起きよ |
豊野光子 |
|
弁護士さん現行犯でも言う無罪 |
蛯原正弘 |
|
寄席の落ちあとでそうかと笑い出す |
森山勝彦 |
|
チョイ悪が真面目な顔で呑んでいる |
宮本喜明 |
|
顔中で泣いてる孫を見て飽かず |
みぎわはな |
|
母ひとり可笑しい物を探してる |
増田左代子 |
|
本人はいたって真面目でも可笑し |
杉山ひさゆき |
|
顔をみるだけで笑えるA紳士 |
沼尾美智子 |
|
親はハラハラ医者が小首をかしげてる |
村上氷筆 |
|
噛み合わぬ会話へ時報焦れて鳴り |
竹内一人 |
|
可笑しい奴だとすれ違った時気付き |
橋本凉子 |
|
可笑しいと気付かぬ姉の長電話 |
水上たお子 |
|
可笑しみの少しは違うにしひがし |
神田巳珠 |
|
悲しみのあまり可笑しくなってくる |
増田左代子 |
|
やっぱりネー可笑しい仲よ古希の恋 |
小島知無庵 |
|
可笑しいな作り笑いをする自分 |
山本芳男 |
|
可笑しいぞ二つの影が消えたまま |
長島敏子 |
|
可笑しいねすぐに縺れる指の先 |
山口ヨシヱ |
|
躓いた段差わずかに一センチ |
河合敏夫 |
|
日本はおかしい本音はどこいった |
中西保子 |
|
可笑しいの私一人じゃないみたい |
吉川千穂 |
|
おかしい態度デカは見逃さぬ |
中西保子 |
|
割れるのはいつも主人の茶碗だけ |
水田象介 |
|
千三ツが明日は天下を獲ると言う |
黒嶋海童 |
|
おちょぼ口キスして逃げたミニトマト |
河合敏夫 |
|
真剣に妻が六法読んでいる |
内田秀章 |
ラ |
もったいない歳暮のカニをうちで食う |
室田隆司 |
佳 |
千鳥足の影を追ってる千鳥足 |
松下比ろ志 |
佳 |
可笑しい人と言いつつ恋の予感する |
島田握夢 |
佳 |
正月のモチに入歯がついてゆき |
吉川千穂 |
佳 |
可笑しくないのに笑うのはむつかしい |
花田俊枝 |
佳 |
念入れてこのごろ妻が化粧する |
黒嶋海童 |
人 |
欲が出て可笑しくなった遺産分け |
上野五柳 |
地 |
おかしいのかひとりにやけている男 |
吉川千穂 |
天 |
握力を頑張りすぎて腰痛め |
斎藤功 |
軸 |
己が寝言に覚めて何んだと聞いている |
長野峰明 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
長野 峰明 |
橋本 凉子 |
長川 哲夫 |
内田 秀章 |
吉川 千穂 |
上野 五柳 |
豊野 光子 |
上村さな恵 |
田中 節子 |
神田 巳珠 |
尾畑 晴代 |
小島知無庵 |
山口ヨシヱ |
蛯原 正弘 |
河合 敏夫 |
水上たお子 |
室田 隆司 |
森山 勝彦 |
長島 敏子 |
中西 保子 |
花田 俊枝 |
黒嶋 海童 |
仲田 秀子 |
増田左代子 |
斎藤 功 |
内藤 夢彦 |
沼尾美智子 |
水田 象介 |
島田 握夢 |
宮本 喜明 |
山本 芳男 |
松下比ろ志 |
みぎわはな |
村上 氷筆 |
杉山ひさゆき |
樋口 祐子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
倉田雄登美 |
上月智恵子 |
竹内 一人 |
牧野 和子 |
山本ひさゑ |
前田 久雄 |
小山 紀乃 |
古谷日出夫 |
青木 公輔 |
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