平成18年9月30日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
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特別席題  「秋の草花」   
しとやかな花に何ゆえ女郎花 村上氷筆
文字を見て納得してる女郎花 島田握夢
白菊にふれ陰々として慕情 花田俊枝
鳥よりも一日早くあけび採り 水田象介
野の花のぬれて色めくこともなく 豊野光子
わたくしの恋を語らう白桔梗 村上氷筆
こぼれ萩ほろほろ逢えぬ人を恋う 辰巳和子
吾亦紅あざみこすもすわたしの七草 田中節子
国境になお咲き誇る残り花 長川哲夫
菊は厭また母さんを憶い出す 黒嶋海童
蛍は消えた宮の森なる蛍花 尾畑晴代
鉢植えに言い分のある女郎花 村岡義博
深追いの夢あきらめて萩ききょう 上村さな恵
蕎麦の花さいたさいたと水車小屋 沼尾美智子
ぶつぶつの話に耳を貸す尾花 樋口祐子
疾風吹く心の尾花揺れはげし 中井康弘
女郎花たったひとりの傘になり 増田左代子
気儘だと揺れるコスモス一括り 斎藤功
秋風に私を誘うチガヤの穂 村岡義博
街角のお地蔵様に小菊さす 萩原皐月
相剋の熱き憶いや萩桔梗 佐藤純一
水引草老いを理由に不義理する 上野五柳
いつまでも私を試す曼珠沙華 樋口祐子
可憐という頃も偲ばる秋桜 松下比ろ志
野の花を愛でたお礼かやぶじらみ 室田隆司
死ぬものに生きるものにも彼岸花 豊野光子
七草を煎じ飲んでる祖母ひとり 神田巳珠
こきりこ節秋の草花つられ舞う 倉田雄登美
師の柩惜別の菊埋め尽す 黒嶋海童
ほどほどに老いて再会萩の宿 仲田秀子
減反がコスモス畑に蘇る 増田左代子
満月と戯れている枯尾花 宮本喜明
お化け屋敷で二役買った枯尾花 長野峰明
哭き止んで桔梗にこころ笑われる 山本芳男
曼珠沙華仏さまさえ唇に朱を 花田俊枝
ゆく夏を追うて泡立草が揺れ 長島敏子
すすき捜す故郷の月も丸かろう 山本芳男
撫子の可憐さを知る秋の椅子 吉川千穂
好きな道ひとすじに生く吾亦紅 萩原皐月
自分に帰る満ち満ちて秋の草道 田中節子
シナリオの中ほどに置くふじ袴 佐藤純一
秋草に伏せる刺客の影七つ 長野峰明
良からぬ事を企み草花めでている 島田握夢
すすき原続き私だけの月 橋本凉子
コスモスになって一緒に揺れてみる 種田淑子

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兼題  「ボール」  中本三桂 選
大空へボールと共に投げた夢 奥平駿曳
探してたボールくわえてポチ帰る 橋本凉子
ドラフトへ賭ける球児の輝く瞳 橋本凉子
キャッチボール無言で交す子の悩み 潮田春雄
布まるめ軍手グローブ草野球 倉田雄登美
失ったものの重さやボール蹴る 吉川千穂
戦争は嫌い荒れ野のボール蹴り 河合敏夫
甲子園打球の先の明と暗 河端世起子
キャッチボール赤い大きな陽が沈む 上月智恵子
放任も過保護のまりもよく転げ 池田史子
宇宙から眺めて見たい青い地球(ほし) 山岡幸一
第一球愛の打診はよくはずむ 花田俊枝
腹の立つとき直球と決めている 樋口祐子
弾けそうなボールは空気抜いてやる 松下比ろ志
ボール追う若さ中日も阪神も 青木公輔
温めたボール手から逸れてゆく 大栗智恵子
直球もカーブもまぜて子を諭す 黒嶋海童
第一球まずは相手の出方見る 長島敏子
広い空届いてほしいこのボール 山口ヨシヱ
玉子溶くボールと今朝も睨めっこ 神田巳珠
思い出とキャッチボールをする夜ふけ 種田淑子
玉入れも輪投げも惚けぬ為の試技 竹内一人
日々好日子猫とあそぶ毛糸玉 大栗智恵子
三途を挟み親父とキャッチボール 水田象介
審判の泣き所にも来るチップ 上野五柳
純金のサッカーボール蹴りました 水田象介
サッカーボール負ってる汗の美しい 牧野和子
あがり目さがり目ボールに運を訊いてみる 青木公輔
曲玉の威力怒号を黙らせる 竹内一人
無知あわれフィンガーボールの水を飲み 中西保子
プライドを傷つけぬようキャッチボール 田中節子
ボールころがし父兄の競技にやんやわく 村上静子
親友とキャッチボールのよう会話 小山紀乃
けり返すボールあなたの胸の中 豊野光子
完敗のボールが敵に抱かれている 田中節子
喝采にミラーボールがよく回る 沼尾美智子
普通に投げてんのに癖玉と言われ 島田握夢
ビーチボールぽつんと一つ秋の浜 辰巳和子
球拾いばかりでゲーム済む合図 橋本凉子
愚痴が止み妻の秘策は隠し球 斎藤功
冷凍のミートボールがママの味 中村真里子
ミラーボール回って映すテロの影 室田隆司
イレギュラーラグビーボールも人生も 河合敏夫
つり球に掛ってからの五十年 村岡義博
小半日ボールと遊ぶ低気圧 神田巳珠
マイボールピンを倒した若かった 小島知無庵
サインボール少年時代の宝物 山田信子
プロになりボール投げして飯を食う 中本三桂

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兼題  「減る」  長島敏子 選
秋に甘えて少し口数が減った 青木公輔
自分から空気の漏れる音を聴く 山本芳男
第三へまだましだった発泡酒 中村真里子
乱獲で蟹も減ったと浜の愚痴 黒嶋海童
ゼロひとつ減らしてほしい棚の品 青木公輔
ストレスをためて命をすり減らす 中本三桂
欲の数いくつ減らせばいいですか 吉川千穂
飲む量を減らすと満点の主人 田中節子
豊かさに情けの数が減ってきた 沼尾美智子
片減りの靴が気になる棒グラフ 沼尾美智子
戦争の風化語り部世代減り 中井康弘
激減のされど読みたい本予約 前川千津子
腕相撲児は手加減をしてくれる 長川哲夫
冥王星減る惑星仲間知らぬ顔 尾畑晴代
真心がへって地球が軽くなる 種田淑子
気付かれぬ程度にへそくり抜いてやれ 島田握夢
雷を落とす数減る老父となり 河端世起子
減量の苦労を知った腹の虫 長川哲夫
水少し減らし新米炊きあがる 豊野光子
少子化の鐘はどこかで今日も鳴る 潮田春雄
やせるほど目方減る恋してみたい 村上氷筆
預金帳撫でてみたとて減るばかり 宮本喜明
黒髪が減ってアデランスの色選ぶ 中西保子
子供にキスして減点されるパパ 萩原皐月
目減りした僕を尻目に肥える妻 山本芳男
痩せたがってたのに痩せだしたら不安 島田握夢
秋愁や愛の荷物が減りました 花田俊枝
七十年使えば脳も減ってくる 上野五柳
停年へまず小遣いを削られる 島田握夢
少子化で先行き不安日本国 河端世起子
随分と減ってきました脳の皺 水田象介
減らぬ事故酒と車のある限り 室田隆司
砂時計今日は平均寿命の日 水田象介
黒髪も日毎スダレに近くなる 森山勝彦
ストレスを測るお酒の減り具合 中村真里子
口数が減ったよっぽど懲りたのか 小山紀乃
一人ずつ味方が減ってすすき原 萩原皐月
好奇心減ってはじまる認知症 仲田秀子
減量中片足でのる体重計 豊野光子
齧られた臑スカスカの骨密度 大栗智恵子
トンボも蛙も少なくなってゆく大地 佐藤純一
逃げ込める森がだんだん減ってゆく 花田俊枝
美しい言葉が減ってゆく日本 増田左代子
時計回りに余生と余力減ってゆく 松下比ろ志
返信ご無用君の時間が減る 田中節子
水嵩が減り浮草の遠い岸 長島敏子

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兼題  「童謡」  島田握夢 選
教室の窓から元気な童歌 松下比ろ志
童謡のリズムわたしの一万歩 仲田秀子
ゆりかごの歌森の樹が揺れる 山田信子
オルガンのまわりチューリップが開く 中村真里子
替え歌の童謡ばかり口をつき 村上氷筆
ケアハウスみんなでおゆうぎしてる午後 室田隆司
宝箱一番底に母の歌 種田淑子
赤トンボ亡兄が吹いてたハーモニカ 河合敏夫
軽く背を叩き添い寝のシューベルト 橋本凉子
お開きにやっぱり唄う赤とんぼ 沼尾美智子
童謡詩人宍道湖の蜆つれてくる 中西保子
寺の鐘流れ童謡想い出す 山本ひさゑ
童唄みんな覚えた母の膝 牧野和子
好きだから月の砂漠を越えて行く 豊野光子
夕焼けを丸呑みした七つの子 前田久雄
童謡を上手に唄うセニョリータ 前川千津子
夕焼けと一緒に帰る童歌 潮田春雄
童謡をハミング祖母は機嫌よい 村上静子
童謡の中に隠してある指針 竹内一人
つい赤とんぼ口ずさむ秋の暮 上野五柳
童謡の中へ幼い友の顔 潮田春雄
童謡にしんみりながいことおとな 花田俊枝
ふるさとをしずかに歌う秋ひとり 山田信子
童謡を歌えば澄んでくる心 村上氷筆
みよちゃんの唄と出遭った村はずれ 佐藤純一
遠距離電話童謡二曲聞いてやる 村岡義博
童謡をふと口ずさむとき孤独 上野五柳
童謡が転がる麦畑のあの辺り 青木公輔
夕やけこやけ人間らしく歩きだす 吉川千穂
いい齢になって判った歌詞の意味 中村真里子
里の山そろそろみかん咲く頃か 長川哲夫
税金を払う人だけ通りゃんせ 池田史子
童謡で朝の始まる保育園 神田巳珠
童謡の世界欠伸の出る世界 竹内一人
童謡に屋根から落ちた鬼瓦 長野峰明
童謡を鳴らしてゴミの収集車 辰巳和子
童謡に急かされ渡る交差点 河合敏夫
その昔貝がうたってくれた唄 種田淑子
キラキラ星のメロディ御飯炊き上がる 辰巳和子
童謡は怖くて僕に歌えない 水田象介
童謡の生まれた里で脳洗う 山本ひさゑ
童謡の町で生まれたのが自慢 増田左代子
童謡のテープを聞いて猫と居る 樋口祐子
下駄履きがとっても似合うわらべ歌 山本芳男
子守歌のリズムで動く乳母車 松下比ろ志
詐欺の小道具に童謡を口遊み 島田握夢

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兼題  「近頃」  黒嶋海童 選
近頃のガキで始まるお説教 竹内一人
ついにきた眼鏡はずさなぁ字が読めぬ 河端世起子
脳味噌の音が気になる昨日今日 大栗智恵子
近頃はバイトに孫のお守り役 松下比ろ志
近頃は子供に意見されている 山本芳男
近頃は髪が抜け落ち歯が沁みる 室田隆司
少子化に近く五人目生むつもり 小山紀乃
近頃の老妻のお洒落が気に掛り 中西保子
最近は負けるが勝ちと尻尾振る 河合敏夫
心配だ近頃箸をよく落とす 辰巳和子
僕置いて妻は近頃よく出かけ 辰巳和子
近頃は街は半分宇宙人 豊野光子
近頃の少年母の愛拒む 中本三桂
七人の敵も近ごろ好々爺 上村さな恵
コンビニに恋買いにゆく午前二時 種田淑子
日本語で話してみろよ若者よ 宮本喜明
近頃をブログに記し自己主張 樋口祐子
スーパーに世界が並ぶお惣菜 山口ヨシヱ
煮たり焼いたり韓国産のまつたけ 沼尾美智子
下戸の血筋を喜ぶドライバーよ 尾畑晴代
声変り近頃部屋に鍵かける 仲田秀子
近頃の者はと言うて黄昏れる 斎藤功
近頃の子供の記事に涙ぐむ 吉川千穂
通帳にやっと利息が付くらしい 増田左代子
近頃はボクより歳下(した)の居ぬ句会 村岡義博
チャン付けで近頃呼べぬ友の地位 森山勝彦
潮騒のひびきに地球温暖化 小山紀乃
近頃は相手にされぬオーイお茶 森山勝彦
近頃のニュースに弱く猫といる 橋本凉子
近頃は嫁が無茶苦茶やさしくて 宮本喜明
近頃は人恋しくて熱い日々 中本三桂
近頃は仲裁役が板につき 河合敏夫
近頃は健康一途くすり漬け 長川哲夫
ここ三日口を利いてはくれぬ妻 水田象介
恥を知る文化近頃忘れられ 森山勝彦
母逝って近頃わかる塩かげん 仲田秀子
戦争を知らぬ世代が舵を取る 長島敏子
近頃何故か妻がやさしい声になり 萩原皐月
レバー食べ鰻も食べたけどあかん 島田握夢
近頃は道を聞くさえ逃げられる 長野峰明
同居した事を近頃とみに悔い 村上静子
豊作が喜ばれなくなった米 上野五柳
近頃は席ゆずられて知る齢い 中井康弘
日本語が近頃病んで痩せ細る 村上氷筆
近頃を詰めて母子の里帰り 増田左代子
亡き父に近頃兄は似て短気 黒嶋海童

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【出席者】 (順不同・敬称略)
長野 峰明 水田 象介 宮本 喜明 森山 勝彦 上野 五柳 豊野 光子
河合 敏夫 上村さな恵 増田左代子 小島知無庵 沼尾美智子 神田 巳珠
中井 康弘 室田 隆司 花田 俊枝 尾畑 晴代 萩原 皐月 辰巳 和子
佐藤 純一 村上 静子 中西 保子 斎藤  功 長島 敏子 倉田雄登美
黒嶋 海童 仲田 秀子 前川千津子 橋本 凉子 山田 信子 山本 芳男
松下比ろ志 吉川 千穂 山口ヨシヱ 村上 氷筆 島田 握夢 長川 哲夫
中本 三桂 小山 紀乃 田中 節子 牧野 和子 種田 淑子 奥平 駿曳
村岡 義博 樋口 祐子 赤井 花城

【投 句】
青木 公輔 前田 久雄 竹内 一人 池田 史子 潮田 春雄 上月智恵子
大栗智恵子 山岡 幸一 山本ひさゑ 中村真里子 河端世起子

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