平成18年7月30日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
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特別席題  「蝉」  森山勝彦 選
井戸端会議蝉も寄り鳴く木の葉蔭 尾畑晴代
蝶になるつもりで脱皮したら蝉 杉山ひさゆき
僕は蝉合唱団のコンダクター 水田象介
蝉しぐれタクト振るのがいるらしい 村上静子
明けきらぬ木木乱心の蝉しぐれ 豊野光子
緑蔭にひと息入れる蝉の声 山田信子
陽だまりの杭を震わす蝉の声 森田栄一
夏祭りワッセワッセと蝉唄う 倉田雄登美
公園の夏をゆすぶる蝉しぐれ 松下比ろ志
合唱に負けてなるかと蝉しぐれ 斎藤功
鳴き出せば汗の吹き出るあぶら蝉 中村真里子
耳朶の蝉蹴っ飛ばしてる応援歌 蛯原正弘
炎暑到来蝉猛然と鳴きはじめ 椙元世津
二人には何も聞こえぬ蝉時雨 杉山ひさゆき
いっせいに蝉が鳴き出すいのち炎え 山口ヨシヱ
蜩や限りある世を声限り 辰巳和子
ひぐらしが高野の杜に誘い込む 中村真里子
素麺に大葉たっぷり蝉しぐれ 辰巳和子
不孝者墓参にきたかと蝉は言う 内藤夢彦
蝉の殻まだ夏の夜を引きずって 長島敏子
蝉殻にはかなきものの影がある 松下比ろ志
空蝉に返るはかない蝉しぐれ 松下比ろ志
空蝉にこころ通わす朝の刻 樋口祐子
鳴くたびに蝉が気温を又上げる 水田象介
束の間のいのちを焦がす蝉の声 仲田秀子
ひと夏の逢瀬に蝉の鳴き尽くす 長島敏子
蝉の声遠くきく宿しのび逢う 仲田秀子
にげおくれた蝉が子供の網の中 中西保子
美しい蝉だったのか父の忌よ 山本芳男
慎ましく人目はばかる蝉の羽化 斎藤功
蟻の群その先にある蝉の骸 神田巳珠
深夜便しっとりと聞く蝉しぐれ 椙元世津
浮いている地球に蝉もへばりつき 花田俊枝
蝉しぐれききつつ添寝して了い 村上静子
息子かえり新盆の灯よ蝉しぐれ 増田左代子
噴水のピタリと止んで蝉が啼く 辰巳和子
うんと熱い珈琲ふたりに蝉時雨 花田俊枝
介護の手休め聞き入る蝉の声 内田秀章
笊一杯の蝉殻消える去年の故里 尾畑晴代
亡母の忌のまた巡り来て蝉しぐれ 黒嶋海童
蝉の木になる静かな鼓動終戦日 森田栄一
蝉が鳴くまた終戦の日が迫る 室田隆司
存分に生きたと天空を仰ぐ 増田左代子
魂の叫びがひびく蝉の声 吉川千穂
石仏に蝉は祈りの形して 上村さな恵
蝉籠に一輪いけて口説かれる 森山勝彦

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兼題  「印」  樋口祐子 選
いも判も押すと作品らしくなり 椙元世津
実印を押してしまって揺れている 辰巳和子
印象で母はその気になっている 辰巳和子
お茶がでて保證の印をたのめない 仲田秀子
合印ぴったり浴衣の返し縫い 山田信子
旧家とや婚姻の印重きこと 牧野和子
このしるし何やと妻に詰め寄られ 杉山ひさゆき
風水と印相学に凝る野人 竹内一人
印象を一挙に替えた御挨拶 潮田春雄
億という印税頭の上を越し 椙元世津
印象の強い男に一目惚れ 吉川千穂
消印有効まだ決心がつきかねて 長島敏子
さかさまの印は抵抗かも知れぬ 赤井花城
印刷は本物よりも出来が良い 水田象介
レッテルを剥がす薬が見当らぬ 蛯原正弘
矢印の通り歩いてはまる穴 辰巳和子
洗濯機の若しやが回るキスマーク 長野峰明
矢印の先は何かとついて行く 豊野光子
高い判つくりあちこち押したがり 上野五柳
ふるさとの西瓜待ってるみとめ印 仲田秀子
親展の封印ちょっと透かし見る 山田信子
朝ごはん食べた印をつけておく 中村真里子
三文判で済ませた離婚届 増田左代子
印伝の財布私によく馴染む 赤井花城
無印が運転手つきクラス会 水田象介
封印の恋は一気に燃え上がる 吉川千穂
駅で待つバラ一輪のサスペンス 長野峰明
インクの匂いプンプン事件が刷り上がる 上月智恵子
実印を又変えてみる剣ヶ峰 水田象介
封印をして抽出しで迷ってる 山田信子
矢印を信用しない方向音痴 尾畑晴代
調印式に曖昧な顔並ぶ 萩原皐月
あの街の消印だからきっと彼 長島敏子
幸福の印に窓はひろく開け 斎藤功
いや味かも印かん逆に捺してある 森山勝彦
無印の花も律儀に実をつける 蛯原正弘
訂正印暑さのせいにしておこう 前川千津子
シャチハタが出番待ってるお中元 中村真里子
ひんぱんに使う百均の印鑑 沼尾美智子
仕立物と矢印がある路地の口 花田俊枝
捨印は僕の失敗予言する 尾畑晴代
仏か鬼か矢印の向う側 萩原皐月
一生を脇役父の旗印 大栗智恵子
つくづくと親子の印子も頑固 斎藤功
実印のありか忘れた認知症 樋口祐子

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兼題  「ロッカー」  内田秀章 選
ロッカーへ脱ぎ捨ててある武勇伝 竹内一人
哀歓をコインロッカー語り出す 長川哲夫
ロッカーを開けて働く顔になる 上月智恵子
駅前のロッカー少女蝶になる 潮田春雄
ロッカーに今日のうっぷん脱ぎ捨てる 大栗智恵子
ロッカーが口止料をくれと云う 青木公輔
ロッカーの鍵はあなたに預けとく 山口ヨシヱ
ロッカーをあけると荷物ころげ落ち 村上静子
ロッカーのケイタイベルが呼んでいる 辰巳和子
ロッカーに潜ます五時からの仮面 赤井花城
借金取りが来たらロッカーへ逃げる 佐藤純一
職場ではロッカーだけが味方です 内藤夢彦
旅のロッカー浮気と恥を閉じ込める 黒嶋海童
泥棒は狙わぬ鍵のないロッカー 松下比ろ志
ロッカーに耳があるとは知らなんだ 佐藤純一
コインロッカー鍵渡されて秘密めく 河合敏夫
ロッカーに彼女の写真そっと貼り 倉田雄登美
ロッカーを開けて昨日の風に会う 中村真里子
ロッカーの鍵を手首に露天の湯 沼尾美智子
ロッカーの空気入れかえ海開き 上村さな恵
変装の小道具夜を待っている 室田隆司
ロッカールームに人の匂いが溜ってる 松下比ろ志
ロッカーに夢詰め込んで旅半ば 山本芳男
ロッカーが静かに並ぶ夜の不気味 上野五柳
ロッカーを開けると青春の匂い 水田象介
ロッカールーム恋の噂も転げ出る 長島敏子
ロッカーに入る位の総資産 豊野光子
負けた日のロッカーボコボコに蹴られ 宮本喜明
へそくりを食ってロッカーよく笑う 長野峰明
ロッカーを閉めて人間へと戻る 中村真里子
改札に近いロッカー皆つまり 村上静子
空間と時間を貸しているロッカー 松下比ろ志
撫でながらロッカー磨く退職者 森山勝彦
ロッカーにひとまず置いておく辞表 山田信子
ロッカーでアフターファイブ盛り上がる 山田信子
ロッカーに吊るされていた黒いタイ 上原翔
ロッカーで二月のチョコが溶けだした 沼尾美智子
コインロッカー胸の高さから詰まる 村岡義博
ロッカーがヒーローの汗知っている 上原翔
ロッカーに今日を吊るして呑みに出る 長島敏子
ロッカーは無口秘密を知っている 萩原皐月
銭湯のロッカー今日の匂い消す 潮田春雄
乾涸びた僕を吊るしてあるロッカー 水田象介
これが青春ロッカールーム汗くさい 黒嶋海童
ロッカー室で魔女に変身して退社 内田秀章

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兼題  「恥じる」  佐藤純一 選
恥多く恥を恥とは思わずに 豊野光子
うかと出た欠伸押えた手が遅い 椙元世津
恥じる妻昔はとても可愛くて 吉川千穂
貧しさを恥じることない空の青 萩原皐月
お詫びする最敬礼が恥ずかしい 赤井花城
一円を拾う他人が恥じている 増田左代子
恥じらいはないオバチャンの腰の巾 萩原皐月
大阪のおばちゃん恥の字を忘れ 長島敏子
破廉恥なこころを嗤う玉の輿 神田巳珠
恥じらいを見せる白寿の紙オムツ 山田信子
もったいない見事に食べて恥ずかしい 椙元世津
せっかちを恥じたら俺は俺でない 村岡義博
恥じることないと試食をしてまわる 室田隆司
消しごむで消せる程度の恥ふたつ 青木公輔
翁曰ク老イレバ恥ヲ恥トセズ 上野五柳
できちゃった恥はむかしの物語 長野峰明
起こされて終着駅を引き返す 前川千津子
トップだけ儲けて恥じることがない 上原翔
恥じらいが手鏡の中まだ残り 宮本喜明
今だから笑って話す恥の数 大栗智恵子
ニートの子育てたことを恥じるのみ 小島知無庵
胸とヘソ次はどこまで出すのかな 蛯原正弘
レトルトを料理上手とほめられる 杉山ひさゆき
大腸の検査ナースも見ていたか 室田隆司
腕組んで闊歩したことなかったね 山口ヨシヱ
武士道を読み返しては恥じるだけ 小島知無庵
ママの後にかくれてやっと御挨拶 橋本凉子
机に足やめてください子が真似る 沼尾美智子
鏡の中の恥をきれいに拭いている 森田栄一
耳たぶに恥じらいの色隠せない 赤井花城
失態へ恥じらう暇の無い暑さ 斎藤功
写真集ヌードは嫌と言っておく 河合敏夫
礼節のしつけもう一度見直そう 牧野和子
恥じ入るとコロッケみたいな色になる 松下比ろ志
詭弁吐き心の隅で恥じている 黒嶋海童
詫状の末尾へ滲む血の涙 竹内一人
貧乏も恥も美化する立志伝 内田秀章
恥じろうて紅うすくはく合歓の花 上月智恵子
素のままを見せれば何が恥ずかしい 杉山ひさゆき
恥かいて今日も斜めに歩いてる 山口ヨシヱ
屈辱をばねにした日が懐かしい 前川千津子
恥かいてかいて出来てく人の幅 長島敏子
遠花火過去は恥じ入ることばかり 沼尾美智子
品性を問われて返す言葉なく 室田隆司
肩書きを並べ飛べない竹トンボ 樋口祐子
法螺を吹くラッパ赤恥かくラッパ 佐藤純一

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兼題  「日本」  森田栄一 選
ご馳走さまと言う嬉しい日本語 神田巳珠
縦書きの日本語には味がある 森山勝彦
お隣に来た挑戦がある日本 村岡義博
ヒロシマを熱く語ってゆく未来 牧野和子
産めよ殖やせよ日本の未来地図 上原翔
テポドンの標的になる日本丸 山本芳男
日本酒が下戸の主張を聴いている 上村さな恵
地球儀の小さい日本胸を張る 倉田雄登美
日本沈没そんな予感を振り払う 赤井花城
国防の埒外にある日本海 竹内一人
日本にぜんざいがある母の四季 前川千津子
熱いみそ汁しみじみと日本人 辰巳和子
涼み台日本の夏が懐かしい 椙元世津
日本地図書いてふるさと塗りつぶす 樋口祐子
水なすでもてなす日本の食文化 増田左代子
日本製何故かラベルを見てしまう 椙元世津
よその子を叱る日本に戻したい 山口ヨシヱ
鉄の雨しのぐ日本の借りる傘 長野峰明
風呂敷へ日本のこころ詰めている 樋口祐子
今何処豊葦原の中つ国 赤井花城
こんな筈じゃなかった日本のその後 沼尾美智子
青蛙おまえも日本の子と生まれ 長川哲夫
原点は農耕だったぞ日本人 宮本喜明
靖国を踏み絵にされている日本 内田秀章
日本語のデリカシーは消えてゆく 内藤夢彦
日本も広いと思う旅の窓 辰巳和子
靖国で揺れる情けない日本 長島敏子
未来地図に日本の領土消えていた 内田秀章
君が代を何処の歌だと聞く子供 宮本喜明
日本語の乱れモラルも地に堕ちる 黒嶋海童
撫子を植えて日本を取り戻す 長野峰明
侘びに寂だいじにしたい畳縁 沼尾美智子
日本一の富士山見える土地に住み 村上静子
日本の岬にとゞく火の匂い 萩原皐月
逢うことの喜び忘れゆく日本 杉山ひさゆき
いい顔を見せて星条旗を畳む 潮田春雄
やがて日本は一羽の鶴となって翔ぶ 佐藤純一
故郷の言葉はひとつありがとう 蛯原正弘
産科医の魅力が薄れゆく日本 上原翔
鮎の里小さな日本見いつけた 長川哲夫
愛してる日本わたしの雪月花 前川千津子
日本の夏だかき氷が旨い 青木公輔
日本で生きるしかない日本の蛙 佐藤純一
夏の墓仏の好きな酒を下げ 橋本凉子
白無垢のお嫁さんが来る日本の美 森田栄一

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【出席者】 (順不同・敬称略)
長野 峰明 水田 象介 宮本 喜明 森山 勝彦 上野 五柳 豊野 光子
河合 敏夫 上村さな恵 増田左代子 蛯原 正弘 内田 秀章 小島知無庵
沼尾美智子 神田 巳珠 中井 康弘 室田 隆司 花田 俊枝 尾畑 晴代
萩原 皐月 辰巳 和子 佐藤 純一 村上 静子 中西 保子 斎藤  功
長島 敏子 倉田雄登美 上原  翔 黒嶋 海童 仲田 秀子 前川千津子
内藤 夢彦 橋本 凉子 中村真里子 森田 栄一 山田 信子 山本 芳男
松下比ろ志 吉川 千穂 椙元 世津 山口ヨシヱ 杉山ひさゆき 樋口 祐子
赤井 花城

【投 句】
青木 公輔 村岡 義博 前田 久雄 竹内 一人 潮田 春雄 上月智恵子
大栗智恵子 長川 哲夫 牧野 和子

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