平成18年5月28日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
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特別席題  「昔」  上野五柳 選
衣更え昔の紬縫い直す 辰巳和子
失恋も宝塚も昔の中に収めとく 中西保子
ピンク赤昔の服を着ています 豊野光子
綿菓子がふわり昔のノスタルジア 大栗智恵子
昔の彩を忘れず紫陽花咲いている 上村さな恵
D51が煙を吐いたこの田んぼ 小島知無庵
五月晴れ昔が恋し竹とんぼ 上村さな恵
源平の昔を偲び須磨寺へ 内藤夢彦
いにしえの甍睨みをきかせてる 沼尾美智子
忘れん坊は年令じゃない昔から 萩原皐月
大正と明治どっちが先やった 杉山ひさゆき
ヒロシマは昔にならぬまたさせぬ 村上氷筆
粉飾で過去を美化する立志伝 内田秀章
子供等へ桜井の歌教えてる 神田巳珠
膝にのせ昔ばなしを語り継ぐ 山田信子
昔のこと子に言うべきかカレー盛る 仲田秀子
墓参り昔ばなしがぽろりでる 吉川千穂
千年のロマンや如何に大賀ハス 森山勝彦
忘却のかなたに昔を置く老女 尾畑晴代
あれが春だった親子のハーモニカ 花田俊枝
昔昔ほんとに桃が流れてた 杉山ひさゆき
からころと橋を渡って来た昔 山本芳男
霧笛鳴るやけに恋しいその昔 長島敏子
無人駅昔のわたしに会いにゆく 山口ヨシヱ
運命線撫でる昔を悔いながら 長島敏子
老い易く昔少年無為の日々 倉田雄登美
武勇伝に尾鰭を付けて老いてゆく 島田握夢
昔のことは許してあげる余命表 沼尾美智子
昔も今も極楽とんぼの夫といる 上村さな恵
月光仮面に拍手送った映画館 杉山ひさゆき
大阪の昔市電と火鉢とへっついさん 中西保子
亡父何処棚田で月を観るかかし 宮本喜明
まわり道土管は僕の秘密基地 長川哲夫
「昔はなあ」とちびっ子どうし話してる 室田隆司
軽々と昔は妻を抱いていた 黒嶋海童
細かったねとアルバム見て云われ 椙元世津
鬼笑いかも昔の恋が発芽する 樋口祐子
ノラクロの顔で昔を振り返る 山本芳男
昔探しに納戸に入り日暮まで 橋本凉子
その昔増やした杉で花粉症 河合敏夫
昔から姉のおさがり夫もおさがり 中西保子
五右衛門へ釣瓶で汲んだ遠い日々 黒嶋海童
偲ぶもへったくれも村はダムの底 島田握夢
アルバムに閉じ込めている遠い思慕 花田俊枝
米櫃を覗いて偲ぶ敗戦忌 山本芳男
心で泣いて昔人間だと思う 上野五柳

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兼題  「久々」  内藤夢彦 選
久々に綱の生まれる気配する 長野峰明
久々に里の香に酔うクラス会 松下比ろ志
久々に逢っても息子喋らない 辰巳和子
久々に老母の背流す里帰り 仲田秀子
ふと会うて十年振りと思う街 赤井花城
久々の孫大人の顔になっている 萩原皐月
久々にショートカットにした晴れ間 前川千津子
寝たきりの母からやっと笑み貰う 長川哲夫
久々の母ほっそりと小さくなり 山田信子
久々に尋ねた街ではぐれてる 山口ヨシヱ
久々に父子の会話する法事 椙元世津
久々に師に悟された夢覚める 橋本凉子
久々に帰郷お墓へ詫をする 村上静子
やっと逢えた傘は一本あればいい 花田俊枝
久々の祖父の説教胸にぐさり 奥平駿曳
久々のワイフ以前(まえ)より美しい 奥平駿曳
手をつなご言うて女房は照れている 杉山ひさゆき
固まった穂先ほぐして字が書けず 椙元世津
久々に会いたいと女出世したらしい 島田握夢
母娘旅久しぶり聴くししおどし 上村さな恵
久々に文書く窓辺梅雨晴れま 仲田秀子
喜寿米寿再会の手を取り合って 室田隆司
恍惚の母久々に紅を差す 前田久雄
勝たせたらはしゃぐ碁敵久しぶり 斎藤功
久々の外出母がよく話す 室田隆司
テレビ見てひさびさ五目ひじき炊く 萩原皐月
錆を落して十年振りに逢いにゆく 青木公輔
久々に夫婦で入り背を流す 村上静子
久々の孫にタバコを隠される 村岡義博
久々に呑んで忘れた終電車 坂下安伸
久々に会う約束の夏帽子 山田信子
三月待ち逢うは一夜の燃える恋 河端世起子
夫に内緒めったに見ない夢をみる 花田俊枝
単身赴任の夫と愛をたしかめる 村上氷筆
久々にヒールを履いて躓いて 沼尾美智子
久々に我が家に咲いた君子蘭 前川千津子
久々に見とれる妻の薄化粧 長川哲夫
久々のカミナリ妻が寄って来た 河合敏夫
久々に会えば見上げる成長期 水上たお子
久々に逢う約束の友が逝く 上野五柳
久々に老父の癇癪みて安堵 村岡義博
久々に早く帰れば妻は留守 黒嶋海童
お久しいどなたはんかと母が言う 杉山ひさゆき
久々に父の日記を読み直す 山本芳男
留袖にお声が掛かる祝いごと 中西保子
久々の銭湯しわしわの父の背な 中西保子
二年振り織女の目には光るもの 上野五柳
久々に子等とおんなじ汗流す 松下比ろ志
長編のドラマ持ち寄る同期会 中村真里子
久々の出会悲しや祭壇に 内藤夢彦

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兼題  「勿体」  橋本凉子 選
勿体をつけてご機嫌胸のバラ 坂下安伸
五体満足持て余してるニート族 中村真里子
半額のトマト大方腐らせる 辰巳和子
家の中勿体ないで埋もれる 中村真里子
取り敢えず勿体ないと仕舞い込み 山田信子
食べ残しを容器に入れて持ちかえり 村上静子
勿体ないが度を過ごすゴミ屋敷 水上たお子
ややもすれば勿体ぶって見せしぶる 樋口祐子
まだ独り重々しくも東大出 中西保子
勿体無いこの一言が風となる 長川哲夫
勿体ぶりを漬物石にしてやるか 長野峰明
母ゆづり勿体ないと溜るゴミ 前田久雄
勿体ない明治の祖母の口ぐせだ 上月智恵子
勿体ないの中に埋もれ暮してる 椙元世津
へいこらと勿体ぶったご返盃 宮本喜明
儲け話勿体ぶらず教えよう 辰巳和子
勿体ない無期懲役の飼い殺し 内田秀章
皿のもの全部頂く掌を合せ 豊野光子
母の手で魔法のようにリサイクル 吉川千穂
もったいない泡をみつめて大ジョッキ 倉田雄登美
ありがたい勿体ないで満ちる日日 山口ヨシヱ
勿体をつけて竹の子籠で来る 豊野光子
家風などともうぜいたくは言えません 花田俊枝
古い家具捨てられなくて狭く住み 萩原皐月
勿体をつけたうえ金出さぬ老妻 上野五柳
勿体ないの日本語を知らない子 水上たお子
勿体ぶった顔はひとりも居ない席 青木公輔
勿体をつけて手渡す旅土産 赤井花城
一年生勿体ぶってテスト見せ 山口ヨシヱ
匂わせるだけへだんだん腹が立ち 椙元世津
物余り「勿体ない」が死語になる 奥平駿曳
風呂敷に包む勿体ない話 赤井花城
拗ねてじらして返事遅らす恋メール 長島敏子
やる気満満やけど勿体つける 杉山ひさゆき
勿体をつけて喋るな議員さん 小島知無庵
無器用に生きて勿体など知らず 森山勝彦
母卆寿勿体ないと朝夕べ 仲田秀子
もったいないナ花満開の無人駅 上村さな恵
勿体ない勿体ないと再生紙 青木公輔
御預けが長く飼犬怒りだす 河合敏夫
勿体ないちらっと掠める体脂肪 山口ヨシヱ
勿体つけた禁煙二日目に崩れ 内田秀章
他所ことわって遣って来ましたきやびん 河合敏夫
勿体で威厳を保つ父である 長島敏子
百薬と勿体つけて酒を呑む 尾畑晴代
勿体ない一日二度の朝は無い 松下比ろ志
体型が変り思案の服増える 橋本凉子

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兼題  「膳」  島田握夢 選
薬味膳何やら効きそうで頼む 赤井花城
全快祝いの膳に一合添えてある 村上氷筆
老いてなおきれいな人と京の膳 長川哲夫
より取りで並んでいますパック膳 山岡幸一
時差ボケに心が和む御御御付 河合敏夫
自画像は膳にひとりのカップめん 村岡義博
この膳の主役はマヨネーズかもしれぬ 青木公輔
不意に来て青葉若葉や旬の膳 田中節子
陰膳に母は返事をしています 松下比ろ志
煮つまったコンニャクだけのお晩菜 大栗智恵子
箸一膳母をよろしく頼みます 室田隆司
食膳に薬と水が欠かせない 水上たお子
二膳目もやっぱりうまい豆ご飯 上野五柳
膳という文字不似合いなホテル食 青木公輔
忌の膳に亡父の好みたんと盛り 仲田秀子
お膳運ぶ仲居の足袋がすべるよう 村上静子
膳二つ温泉宿で恙無い 山本芳男
仲直り出来て一品添えた朝 大栗智恵子
三の膳並ぶと見合い重くなる 斎藤功
一匹の蝿を目で追う父の膳 黒嶋海童
旬の膳今日はわたしを咲かせます 花田俊枝
頭スッキリ体シャッキリ朝の膳 吉川千穂
足付きの膳で食事は遠くなる 小島知無庵
黒塗りの膳しきたりの前に座す 上月智恵子
陰膳のおさがりで足る晝ごはん 豊野光子
雑談が一気に弾む丸い膳 山口ヨシヱ
ひとり膳二日も前の残り物 尾畑晴代
捨てるときちょっとちゃぶ台蹴ってみる 村岡義博
散る花となぐさめ合うてひとり膳 竹下かすみ
三膳目あたりで周囲見渡して 青木公輔
膳立は父が仕切って聟がくる 中西保子
手に二膳足で飯櫃蹴る仲居 村上氷筆
出前だと客も気付いているお膳 内田秀章
飼主の合図待ってる犬の膳 田中節子
新緑も一品として旅の膳 辰巳和子
膳の下たしかに合図おくったな 田中節子
お膳出ているのに父が座らない 杉山ひさゆき
いつもの店いつもの席で膳をとる 前田久雄
悩みごと枝豆青く膳にのせ 豊野光子
出前ずし私は並の客らしい 河合敏夫
駅前に一膳飯屋だけ残る 室田隆司
何となく食欲落ちるひとり膳 小山紀乃
配膳の魚の向きを叱られる 萩原皐月
どうぞ手を付けて下さい一の膳 長川哲夫
懐石膳鰯一匹かしこまる 辰巳和子
運のない膳鯖が尻尾の方だ 島田握夢

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兼題  「凄い」  村上氷筆 選
川柳に賭けた命の句碑三基 赤井花城
当りくじ何ごともなく秋刀魚焼く 豊野光子
若者のスゴイはこんな程度かな 上野五柳
もの凄い回復力で夢語る 田中節子
ゴキブリを素手で殺して笑う妻 吉川千穂
凄いと煽てられギックリ腰になった 島田握夢
時に妻アルトで凄むことがある 尾畑晴代
母ですと呼ばれたくない厚化粧 室田隆司
左手見事リズム狂わぬみじん切り 田中節子
悠悠と母は十人育て上げ 杉山ひさゆき
押売りに凄まれている戻り梅雨 上月智恵子
先祖には怪物もいた鬼もいた 小山紀乃
残り野菜変身させるシェフの腕 中西保子
通学路カラスの群が通せん坊 河合敏夫
惚れぼれと凄い小股の切れ上がり 坂下安伸
凄いのはバスに充満するにおい 吉川千穂
階段の凄さ名所も下で待ち 椙元世津
泣き笑い上手く出来ます凄い人 山本芳男
ハイテクが人の輪切りを写し出す 森山勝彦
粉飾の上げ底凄い立志伝 内田秀章
すごいバストへ視線集まる大浴場 村上静子
どアップで迫るサンバの凄い尻 村岡義博
若者は凄いとだけの感嘆詞 水上たお子
孫が歩いた凄いを連発カメラアイ 中西保子
空中ブランコ凄い奇跡がゆれている 花田俊枝
女王の子で王子と王女ばかり蜂 村岡義博
超満員カバンも足も宙に浮く 長島敏子
黙(だんま)りにだんまり返す凄い妻 斎藤功
凄いのは顔だけですと妻が言う 黒嶋海童
切ってみたい凄い迫力あの啖呵 内藤夢彦
凄艶に見とれてバスを乗り過ごす 神田巳珠
名人は努力の跡を見せぬもの 杉山ひさゆき
感動を表彰台に光らせる 大栗智恵子
土壇場で矢玉を躱す凄い奴 山本芳男
はったりで凄み冷汗かいている 村上静子
維新史の裏で生命の尽きた人 小島知無庵
元取った気分ジャンボ機の夜景 山岡幸一
露天風呂龍彫った背に隣り合う 赤井花城
目ん玉をむくケイタイの請求書 山岡幸一
もの凄い拳骨くれる故郷の山 宮本喜明
目の凄さ嫉妬が溜めたマグマかも 長野峰明
産み終えた妻の額を拭いてやる 長川哲夫
帝王という手術で産んだ普通の子 村岡義博
一代の数寄者が開く美術館 森山勝彦
ワンマンの凄さも哀れ杖頼り 神田巳珠
凄腕が削ぎ落としてる人間味 村上氷筆

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【出席者】 (順不同・敬称略)
吉川 千穂 河合 敏夫 室田 隆司 村上 氷筆 小島知無庵 内田 秀章
長野 峰明 倉田雄登美 上野 五柳 尾畑 晴代 宮本 喜明 辰巳 和子
中西 保子 豊野 光子 上村さな恵 水上たお子 萩原 皐月 長川 哲夫
神田 巳珠 橋本 凉子 仲田 秀子 大栗智恵子 長島 敏子 山口ヨシヱ
黒嶋 海童 花田 俊枝 斎藤  功 内藤 夢彦 森山 勝彦 前川千津子
山田 信子 村上 静子 椙元 世津 山本 芳男 松下比ろ志 沼尾美智子
島田 握夢 奥平 駿曳 杉山ひさゆき 樋口 祐子 赤井 花城

【投 句】
上月智恵子 小山 紀乃 河端世起子 山岡 幸一 竹下かすみ 田中 節子
村岡 義博 坂下 安伸 前田 久雄 青木 公輔

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