平成16年1月18日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「旬」 宮本喜明 選
ラ |
五輪終えおやあの人もイナバウアー |
長島敏子 |
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くったくもなくて人生いまが旬 |
山口ヨシヱ |
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昨年の残りを旬に合わせ |
出す杉山ひさゆき |
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御免ねといかなご二K鍋に入れ |
豊野光子 |
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雪の下春を燃やした旬がある |
山本芳男 |
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ランドセルだけではすまず娘にスーツ |
水田象介 |
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旬のない野菜売場が呼んでいる |
中西保子 |
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芹なずな次の七草名を忘れ |
長川哲夫 |
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里からの竹の子土をつれてくる |
大栗智恵子 |
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あほ程旬を買い冷凍庫あふれさせ |
島田握夢 |
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華のある女(ひと)歳月を旬にして |
中西保子 |
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盃も桜をほめて旬包む |
倉田雄登美 |
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野菜にもプライドがあり今が旬 |
荒垣秋野 |
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歳はさて恋した時が旬である |
上野五柳 |
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カフェテラス旬の話にことかかぬ |
大栗智恵子 |
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血糖値旬の野菜で凌いでる |
山田信子 |
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ああくぎ煮ため息まじる送り状 |
樋口祐子 |
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筍の旬すぎ愛想ない堅さ |
坂下安伸 |
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土付いたじゃが芋今が旬の味 |
吉川千穂 |
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長生きを願って旬を食べている |
尾畑晴代 |
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春一番旬の帽子で闊歩する |
上村さな恵 |
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朝市に胸ふくらます旬を買う |
花田俊枝 |
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すずしろを刻んで今日の箸やすめ |
神田巳珠 |
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弥生中旬合格通知待つ電話 |
仲田秀子 |
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生姜も粗目も買うたのにいかなごが小まい |
島田握夢 |
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旬の味知らず少子化すすむだけ |
長野峰明 |
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旬はいま朝夕呪文くちずさむ |
森山勝彦 |
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ハイ別れましたと旬を謳歌する |
島田握夢 |
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抱き締めて下さいわたし今が旬 |
内田秀章 |
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今が旬惜しい娘は気が付かぬ |
荒垣秋野 |
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春キャベツいつか主役になれる皿 |
大栗智恵子 |
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いかなごの釘煮でそっと盗み酒 |
山口ヨシヱ |
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旬菜をたっぷり有田焼の皿 |
沼尾美智子 |
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日本語の旬と言う季に春の膳 |
花田俊枝 |
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良い女旬は過ぎても匂う春 |
河合敏夫 |
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婆はやきもき旬はすぎたよ孫娘 |
尾畑晴代 |
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命あるかぎり旬とずうずうしい女 |
中岡千代美 |
佳 |
子育ての最中が旬だったのか |
荒垣秋野 |
佳 |
いつも旬とって下さい熟れてます |
小島知無庵 |
佳 |
花便り私の答まだ見えぬ |
長島敏子 |
佳 |
母の荷が折々の旬詰めて来る |
黒嶋海童 |
佳 |
温室へストレス溜める旬である |
長野峰明 |
人 |
死ぬまでに何回飲める花の下 |
上野五柳 |
地 |
露地物の旬は財布が知り尽くす |
上原翔 |
天 |
約束を誓ったあの日旬だった |
吉川千穂 |
軸 |
こぼれそう熟れた私は春に翔ぶ |
宮本喜明 |
兼題 「メロディー」 山口ヨシヱ選
ラ |
子守唄聞くたび疼く片乳房 |
内田秀章 |
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旋律のどこかに春を運び来て |
青木公輔 |
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二〇〇年経てモーツアルトの栄光 |
みぎわはな |
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音程の狂いいつもの父譲り |
河端世起子 |
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息切れが続いて吹けぬハーモニカ |
長島敏子 |
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オーデコロン朝のメロディー風に乗る |
山本ひさゑ |
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ラブミーテンダー私のしあわせだった頃 |
中岡千代美 |
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好況のメロディーだけを聞く無職 |
上野五柳 |
|
カラオケに祖父の歌える曲が無い |
黒嶋海童 |
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花嫁もメロディーにのる会費制 |
上村さな恵 |
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失恋のあの日の曲に耳塞ぐ |
村上氷筆 |
|
クラシック流れ苺が赤くなる |
萩原皐月 |
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メロディーに乗り百点の孫が来る |
山本芳男 |
|
嫌な人鼻歌までが耳障り |
杉山ひさゆき |
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いとおしくメロディー一つ手づかみに |
長川哲夫 |
|
風呂を出た途端メロディーを又忘れ |
島田握夢 |
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せせらぎのメロディーになる故里よ |
小山紀乃 |
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地下室のメロディーを観た遠い青春 |
宮本喜明 |
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星もひっそりトランペットの孤独感 |
上村さな恵 |
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思い出の青い山脈胸おどる |
倉田雄登美 |
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夕焼けに亡父の懐メロ耳すます |
長野峰明 |
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鼻唄の出る時母は菩薩顔 |
小島知無庵 |
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仏壇を開くと兄のハーモニカ |
河合敏夫 |
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方言でやさしい祖母の子守唄 |
豊野光子 |
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蕗の薹春のメロディー提げてくる |
山本芳男 |
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焼跡で覚えた曲が夢で呼ぶ |
小島知無庵 |
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メロディーに抱かれて燃える春の宴 |
長野峰明 |
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メロディーがロビーを包む新空港 |
中西保子 |
|
ワイングラス甘いメロディー聞きながら |
山田信子 |
|
レモンティーニュートンジョンを聴きながら |
宮本喜明 |
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メロディーに合わす笑顔の小商い |
斎藤功 |
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好きだったメロディー流し野辺送り |
仲田秀子 |
|
ナツメロと昔ばなしがしたくなる |
辰巳和子 |
|
春の窓母のハミング心地よい |
竹下かすみ |
|
メロディーに赤いリンゴが踊り出す |
長野峰明 |
|
メロディーは破調只今失恋中 |
山本ひさゑ |
|
ハモってる酒と桜とそよぐ風 |
杉山ひさゆき |
|
ラストダンスの曲に二人の慕情乗る |
松下比ろ志 |
佳 |
鼻唄にジャガ薯植えてひと仕事 |
内藤夢彦 |
佳 |
メロディーとあなたの瞳のむ珈琲 |
吉川千穂 |
佳 |
懐かしのメロディー歳は隠せない |
上原翔 |
佳 |
着メロが鳴りひびいてる柚子の風呂 |
山田信子 |
佳 |
懐メロで我にかえった認知症 |
中西保子 |
人 |
行進のメロディー球児の夢滾る |
内田秀章 |
地 |
着メロをまだ待っている花時計 |
河合敏夫 |
天 |
妻癒えてハミングを聞く台所 |
坂下安伸 |
軸 |
メロディーは乱れたままで暮れてゆく |
山口ヨシヱ |
兼題 「見事」 長川哲夫 選
ラ |
見事な花咲いたあの日のこぼれ種 |
仲田秀子 |
|
大輪の見事な菊のさびしがり |
増田左代子 |
|
改札機見事に僕をはね除けた |
山本芳男 |
|
見事など言うからマイク離さない |
宮本喜明 |
|
屑籠を巣立って行ったラブレター |
斎藤功 |
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ライバルに皮肉まじりの褒めことば |
吉川千穂 |
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口下手がくれた見事なラブレター |
辰巳和子 |
|
完走のビリにも熱い拍手する |
河合敏夫 |
|
イナバウアー背後に見える辛い道 |
みぎわはな |
|
さくら葉ざくら見事に別れ告げた風 |
長島敏子 |
|
引き際の見事さ故に残る思慕 |
長島敏子 |
|
老いて母今も見事に美しい |
花田俊枝 |
|
二枚舌見事な虹を描いてる |
黒嶋海童 |
|
この色紙きっと高価な筆だろう |
沼尾美智子 |
|
両親の留守を見事に守り抜き |
村上静子 |
|
子と播いた種がぎっしり双葉出し |
村上静子 |
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死ねば野分一坪の地あれば足る |
豊野光子 |
|
お隣りの金の成る木が咲き誇る |
大栗智恵子 |
|
残りもの素材に見事なお献立 |
萩原皐月 |
|
せめて死にざま位美事と言われたし |
赤井花城 |
|
生きてなお見事な花を咲かせたい |
山口ヨシヱ |
|
手間隙をかけて見事に値切られる |
竹内一人 |
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いい嫁を見事演じて姑送る |
内田秀章 |
|
跳箱を見事に跳べた通信簿 |
坂下安伸 |
|
合併の村を見事に虹またぐ |
坂下安伸 |
|
澄みわたる大空旅のリフレッシュ |
小山紀乃 |
|
すっぱりと見事に負けて朧月 |
宮本喜明 |
|
老妻の涙に見事今日は負け |
花田俊枝 |
|
咲いても散っても見事な桜花 |
尾畑晴代 |
|
梅一輪見事に咲いてほめられる |
倉田雄登美 |
|
宿題に見事な絵だと孫ほめる |
倉田雄登美 |
|
梅古木私のつぶやきなど貧し |
みぎわはな |
|
二枚舌ほんね出させたコップ酒 |
河合敏夫 |
|
口書きの絵とは思えず立ち尽くす |
森山勝彦 |
|
一陣のさくらが春を演じきる |
山本芳男 |
|
私とは一味違う天地人 |
河端世起子 |
|
計算通りに日食が始まった |
島田握夢 |
佳 |
自分でカギ開けチンパンジーが家出した |
島田握夢 |
佳 |
褒められてみごと失敗してしまう |
小山紀乃 |
佳 |
土壇場で何んと見事に生きている |
前田久雄 |
佳 |
しっかりと舞った白寿の足さばき |
古谷日出夫 |
佳 |
霊柩車も見事に浴びる花吹雪 |
花田俊枝 |
人 |
こだわりの豆腐器により見事 |
増田左代子 |
地 |
さぞ見事だろうなとつぼみの芦屋川 |
中岡千代美 |
天 |
目の下が五十センチの睨み鯛 |
上原翔 |
軸 |
春の泥見事に父がひょういひょい |
長川哲夫 |
兼題 「芝居」 みぎわはな選
ラ |
花時計こそばい嘘を聞いている |
河合敏夫 |
|
桜満開ひとり芝居はもうよそう |
内田秀章 |
|
うーんおいしい!という芝居が気に入らぬ |
萩原皐月 |
|
見え透いた芝居はよせと苦労人 |
村上氷筆 |
|
勘どころうまく掴んで名子役 |
上村さな恵 |
|
一人芝居上手になった孫むすめ |
斎藤功 |
|
人形に泣かされ心地よい涙 |
増田左代子 |
|
今日も又下手な芝居をしています |
青木公輔 |
|
豊作が村の芝居を引き立てる |
山本芳男 |
|
半畳も花もうれしき村芝居 |
坂下安伸 |
|
持ち寄りの小道具使う村芝居 |
神田巳珠 |
|
芝居だと母は知りつゝ金を出す |
黒嶋海童 |
|
お芝居のような偶然もう一度 |
仲田秀子 |
|
良い人と言われて芝居止められぬ |
辰巳和子 |
|
人は皆主役本番幕間なし |
小島知無庵 |
|
お芝居のようにあなたは手を振って |
豊野光子 |
|
仲の良い夫婦もいつか猿芝居 |
倉田雄登美 |
|
どう芝居打っても妻に見抜かれる |
黒嶋海童 |
|
お芝居と判っていても出る涙 |
赤井花城 |
|
少女もうはらはらうそ泣きもできる |
中岡千代美 |
|
一日中熱演やっと終い風呂 |
内藤夢彦 |
|
火のような拳固だ頭下げておこ |
増田左代子 |
|
慰めの下手な芝居と知るベッド |
内田秀章 |
|
平凡に生きて主役のない舞台 |
沼尾美智子 |
|
いくら何でももう見たくない森光子 |
島田握夢 |
|
初めての子役に無事な幕が下り |
古谷日出夫 |
|
芝居でもいい抱きしめて欲しかった |
中西保子 |
|
病む友に精一ぱいの芝居する |
前田久雄 |
|
村芝居女形の太いのど仏 |
倉田雄登美 |
|
芝居果てピエロは自我を取りもどす |
上村さな恵 |
|
嘘っぽい芝居に降らす花吹雪 |
長島敏子 |
|
花の下幸せ芝居しませんか |
大栗智恵子 |
|
たそがれてひとり芝居をするわたし |
仲田秀子 |
|
舞台裏見せて喜劇にしてしまう |
長島敏子 |
|
醒めないでこのままずっと夢芝居 |
荒垣秋野 |
|
恋の駆引き悲しいけれど慣れました |
中岡千代美 |
佳 |
不器用に生きて黒子に甘んじる |
大栗智恵子 |
佳 |
玄関を出るとおしどり夫婦です |
杉山ひさゆき |
佳 |
芝居ではなかった確か愛だった |
竹下かすみ |
佳 |
だんだんと芝居上手になる夫婦 |
樋口祐子 |
佳 |
終りのないセリフ消しゴムとえんぴつ |
沼尾美智子 |
人 |
食う為の涙は嘘も実もある |
黒嶋海童 |
地 |
尻尾ふる場面が多くくたびれる |
宮本喜明 |
天 |
鏡の前一人芝居の顔を塗る |
中西保子 |
軸 |
人信じ社会を知らず老い哀し |
みぎわはな |
兼題 「笑顔」 黒嶋海童 選
|
不器用をシャイな笑顔が引き立てる |
斎藤功 |
|
荷物にはならぬ笑顔を持ち歩く |
辰巳和子 |
|
こうのとり吾子の笑顔を連れてくる |
河端世起子 |
|
タイ国の貧しさ笑みが満ちている |
上原翔 |
|
芝居心あってオーバー泣き笑い |
尾畑晴代 |
|
児を叱る笑顔のことば用意して |
上村さな恵 |
|
微笑みに疲れの見えたシテの脚 |
河合敏夫 |
|
騙されていいなと思うあの笑顔 |
水田象介 |
|
ライバルが笑顔で僕を刺しにくる |
山本芳男 |
|
母さんの笑顔が僕の胸に棲む |
萩原皐月 |
|
生かされて今日も笑顔を絶やさない |
山本芳男 |
|
無い知恵をしぼってつくるこの笑顔 |
樋口祐子 |
|
ゴウカクとメールの4文字笑顔です |
内藤夢彦 |
|
ほほえみは男の哭いている仮面 |
みぎわはな |
|
ほころびを縫って縫ってのいい笑顔 |
山口ヨシヱ |
|
にっこりとされて思わず引く拳 |
長島敏子 |
|
おじさんと呼ばれ笑顔で振りかえる |
神田巳珠 |
|
終章の文字は笑顔で締め括る |
山本芳男 |
|
三度目の偶然と互いに思いつつ笑顔 |
島田握夢 |
|
哀しさに男は笑うほかに無し |
みぎわはな |
|
この街に馴染んだ笑顔持ち歩く |
山口ヨシヱ |
|
ふるさとはいいなあ笑顔寄って来る |
山田信子 |
|
笑顔には笑顔の谺返る春 |
長島敏子 |
|
泣いた子に野仏そっと笑いかけ |
長川哲夫 |
|
女坂のぼる笑顔をひとつ提げ |
長野峰明 |
|
お見舞のドアへ万全の笑顔 |
中岡千代美 |
|
五百羅漢に母似の笑顔さがし当て |
花田俊枝 |
|
オクターブ上げて合格通知くる |
大栗智恵子 |
|
この子等に貰う笑顔が宝です |
長川哲夫 |
|
鬼でさえ笑えば可愛い顔になる |
杉山ひさゆき |
|
美しい笑顔を胸に棲まわせる |
赤井花城 |
|
ペットさえも人の笑顔は知っている |
長野峰明 |
|
邪心みなハニワの笑みに吸い取られ |
村上氷筆 |
|
病院の見舞いに笑顔持参する |
倉田雄登美 |
|
一枚の葉書がもって来た笑顔 |
仲田秀子 |
|
どなたにも負けぬ笑顔で小金貯め |
樋口祐子 |
|
いつもの所いつもの笑顔やってくる |
中西保子 |
佳 |
ほほえみがまじると弾むかごめの輪 |
沼尾美智子 |
佳 |
天使が舞い降りる赤ちゃんの笑顔 |
萩原皐月 |
佳 |
百歳の笑顔に神が降りてくる |
村上氷筆 |
佳 |
よく見ると怖いモナリザの微笑み |
森山勝彦 |
佳 |
採用へ笑顔良いのも点として |
坂下安伸 |
人 |
千切れ雲忘れはしない師の笑顔 |
沼尾美智子 |
地 |
初孫が笑顔の手から手へ渡り |
内田秀章 |
天 |
入学へ母の笑顔も門入る |
坂下安伸 |
軸 |
生き方が笑顔ひとつに顕れる |
黒嶋海童 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
長野 峰明 |
上野 五柳 |
尾畑 晴代 |
中西 保子 |
倉田雄登美 |
河合 敏夫 |
宮本 喜明 |
村上 静子 |
長川 哲夫 |
上村さな恵 |
森山 勝彦 |
神田 巳珠 |
山田 信子 |
豊野 光子 |
内田 秀章 |
上原 翔 |
長島 敏子 |
黒嶋 海童 |
山口ヨシヱ |
花田 俊枝 |
荒垣 秋野 |
大栗智恵子 |
内藤 夢彦 |
小島知無庵 |
吉川 千穂 |
仲田 秀子 |
坂下 安伸 |
中岡千代美 |
村上 氷筆 |
山本 芳男 |
水田 象介 |
沼尾美智子 |
島田 握夢 |
みぎわはな |
萩原 皐月 |
杉山ひさゆき |
樋口 祐子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
古谷日出夫 |
増田左代子 |
山本ひさゑ |
竹内 一人 |
松下比ろ志 |
前田 久雄 |
小山 紀乃 |
河端世起子 |
斎藤 功 |
辰巳 和子 |
竹下かすみ |
青木 公輔 |
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