平成18年1月22日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
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特別席題  「自由吟」  赤井花城 選
柳誉毅道天でも句会する主幹 村上氷筆
川柳の比呂史に惚れて今がある 小島知無庵
明哲の詩宗の訃から初春の闇 森山勝彦
頑張れと師の一句からもらう喝 長島敏子
一節を詠みつつ偲ぶ師の笑顔 長島敏子
ご来迎メールで届く床の中 河合敏夫
絵馬堂にもつれ合ってる願いごと 大栗智恵子
初春の縁起松竹座に浸る 中村真里子
大津絵の鬼も待ってる鬼やらい 大栗智恵子
いい話結び昆布が添えてある 大栗智恵子
増税が肩に重たい申告書 坂下安伸
天地無用漬物石の意地である 長野峰明
いろいろな具のおむすびの花咲く時間 田中節子
旅の果どんぐり村に癒される 萩原皐月
耐震偽装靴の上から掻く焦り 長野峰明
通ぶってはみたがサザエのわた残す 島田握夢
掘り炬燵お伽噺が詰めてある 山本芳男
年賀状戌のつもりで画きました 河合敏夫
自己主義のマントが街を闊歩する 樋口祐子
春へ咲く心に土を耕して 辰巳和子
港まで出迎え送る島の人 椙元世津
皇室典範どこか急いでいませんか 村上氷筆
古代の火記憶している埴輪の目 上野五柳
思い出の中で咲く人枯れる人 室田隆司
雪に耐え雪にたのしむのも運命 萩原典呼
風花の舞ってる誰もいない海 山口ヨシヱ
名も告げず去った背中の心意気 みぎわはな
母となり謎々ひとつとけました 種田淑子
いい便り来そうな朝の目玉焼 山口ヨシヱ
花柄のテーブル掛けで春を待つ 上村さな恵
熱つあつの粕汁隣から届き 村上静子
囲炉裏端むかし話が暖かい 内田秀章
浮き沈み出来ぬ浅瀬でまだ迷う 長島敏子
人が好き私を晒す初句会 河合敏夫
酒とろり心許せる人といる 辰巳和子
いつもこの笑顔でいたい初鏡 仲田秀子
返事すぐ来るせっかちな人である 前川千津子
心遣いしないとやせていくこころ 上野五柳
春待たずそれも運命か落椿 みぎわはな
おめでとうがあなたに言える新春の幸 中岡千代美
輪になって歌う仲間はみな主役 斎藤功
花活けて花より好きな人を恋う 内田秀章
たましいの叫び一つと生きている 吉川千穂
一献を酌む親友の輪のなかで 山本芳男
喪の深さ雪の深さを問う勿れ 赤井花城

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兼題  「朝日」  斎藤功 選
日本一目指す男の目に朝日 吉川千穂
朝の日を抱いて小気味のよい啖呵 大栗智恵子
寄り添うた鍬と朝日に手を合わす 増田左代子
朝日背に麦踏む老父の丸い背 みぎわはな
朝の陽に雪融かせよと手を合せ 内藤夢彦
八十路生き朝日見る朝見ない朝 尾畑晴代
幾つもの罪を許して日は昇る 種田淑子
陽が昇る独り舞台の幕あがる 小島知無庵
くたくたに疲れたボクの目に朝日 吉川千穂
朝日背に夜勤が明けた缶ビール 萩原典呼
朝日射す母の部屋にも初暦 大栗智恵子
朝日の恩をゆっくり貰うこぼれ種 上村さな恵
朝の日が仏壇の戸をちょっと開け 長川哲夫
盛り場を白けた街にする日の出 室田隆司
或る日見た朝日が勇気かきたてる 里嘉矩
凍てる手で網繰る後に日は昇る 坂下安伸
クレヨンの朝日画用紙はみ出して 小山紀乃
朝帰り眩しい光胸を刺し 内藤夢彦
居乍らに朝日我が家は十五階 上月智恵子
不況風どうあれ朝の陽がのぼる 上村さな恵
朝日粲々まくら蹴られた二日酔い 長野峰明
御機嫌如何とぐんぐん陽は屋根に 萩原皐月
朝日受け狛犬の尾がぴんと立つ 長川哲夫
朝の陽に母がひかっている茶の間 大栗智恵子
朝の陽にわたしの縄がほどかれる 田中節子
保育器のこぶし朝日をにぎってる 増田左代子
路地裏のノラにも朝の陽の温み 中村真里子
病む人の景色に朝日たんとあげ 田中節子
井の中の蛙にそっけない朝日 竹内一人
新春の朝日窓ぎわ族も射す 山本芳男
底冷えの公園で待つ初日の出 中井康弘
眠らない街で朝日のひとりぼち 山本ひさゑ
朝露と善意が並ぶ無人店 蛯原正弘
夜勤明けナース朝日に伸びをする 村上氷筆
病室に生きる朝日のエネルギー 中村真里子
鳩尾に刺さる朝日に問う別れ 長島敏子
ラッキーと拾ろたらボタンだった朝日 島田握夢
夕日ながめ朝日は拝む年となる 倉田雄登美
豪邸と私の茅舎照る朝日 坂下安伸
合格と家出る背に朝日さし 内藤夢彦
日が昇るタクトがさっと上げられる 種田淑子
朝日残酷孤独の影をあぶり出す 長島敏子
陽が昇る前に伝える事がある 萩原皐月
昇る陽に覚悟の程を諭される 長島敏子
朝日には気後れしきり古い殻 斎藤功

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兼題  「財布」  中岡千代美選 
不思議だな財布が消えたもの忘れ 橋本凉子
へそくりにしようか迷っている財布 里嘉矩
贅沢に慣れた財布が音をあげる 橋本凉子
背後から財布のなかみ覗かれる 神田巳珠
財布ごと彼に預けるメロメロ度 村上氷筆
不景気なサイフさらりと替える春 村上氷筆
ブランドの財布でサラ金に入る 萩原典呼
この景気財布も風邪を引きそうだ 長島敏子
財布だけが僕の寒さを知り尽す 長島敏子
ブランドのサイフに隙間風が吹く 種田淑子
宿酔また風邪引いている財布 蛯原正弘
風水の財布持たされケチになる 水上たお子
診察券を出すブランドの財布 森山勝彦
支離めつれつな言い訳してる皮財布 上村さなえ
生きるため財布と自問自答する 山本芳男
井の中の蛙が振り翳す財布 竹内一人
通販のチラシに緩み出す財布 辰巳和子
進化して財布コインとカードだけ 村岡義博
妥協癖ついた財布を締め直す 山本芳男
使い良い財布で金が滑り出る 水上たお子
お財布の五円が効いたプレゼント 田中節子
一円足りず慌てています小銭入れ 橋本凉子
空財布今日も呂律が回らない 竹内一人
いい顔が集まるグループの財布 田中節子
新札が出ようがズッとこの財布 島田握夢
蓑虫の財布隠居して久しい 沼尾美智子
小分けした財布で旅の往き帰り 椙元世津
留金の少しゆるんだ財布持つ 増田左代子
財布覗いてお誘いにのってみる 萩原典呼
年金の範囲で財布口を開け 水上たお子
着服の財布の紐にしばられる 斎藤功
ポケットでぺらぺら喋る小銭入れ 大栗智恵子
鍵っ子に重い財布が悲しすぎ 長川哲夫
重い財布のひざへ甘える猫である 長野峰明
五欲みな詰めた財布が口を開け 樋口祐子
年金の財布の中に見るいじけ 河合敏夫
ぼそぼそと身の上話する財布 大栗智恵子
ブランドの財布ちらりと見せたがり 豊野光子
古ぼけただけど捨てられない財布 種田淑子
あふれる小銭へ止め金がバカになる 島田握夢
あかぎれの薬を買い行く財布 前川千津子
念のため財布も持って散歩道 小山紀乃
旅なかば財布もぼくもちと疲れ 森山勝彦
母さんの財布をちょっと少年期 田中節子
一斉に財布割勘賑々し 椙元世津
ボーナスをとうに忘れているサイフ 沼尾美智子
今日の財布にならシャネルぐらいはねだれそう 中岡千代美

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兼題  「客」  長島敏子 選
華やかに来て華やかに客が去る 赤井花城
千客万来ポットも聞き耳をたてる 大栗智恵子
ぎりぎりの賞味期限に来ない客 萩原典呼
うちにない客間床の間たたみの間 村岡義博
上得意様限定に騙される 内田秀章
てみやげを忘れ途中の回れ右 神田巳珠
夜桜の宴に月が座している 種田淑子
小気味よい音してタクアン噛むお客 上村さな恵
やわらかい自画像描けずまだお客 斎藤功
遺産分けいびつな客が一人いる 斎藤功
客に来たこの世は夢を見るところ 森山勝彦
手みやげの値踏みしている台所 辰巳和子
顔色を誉めて見舞の客帰る 辰巳和子
珍客ずらり止まり木の二十二時 青木公輔
笑わない客に噺家べそをかく 宮本喜明
乗客は貨物でないぞ人間だ 上野五柳
客を待つドア全開が寒すぎる 小山紀乃
千客万来今も夢見る招き猫 赤井花城
むらさきをくれ居酒屋のキザな客 萩原典呼
客を待つテレビショッピングの布団 沼尾美智子
クエ鍋に客として呼ぶ両隣り 尾畑晴代
先客のお釣貰った缶コーヒー 蛯原正弘
ケーキセットで三時間しゃべる客 萩原皐月
いい客は土産持参ですぐ帰る 室田隆司
パパ客と葉っぱのお札渡される 長川哲夫
正客の異人が対座している「無」 村上氷筆
来客へ圧縮布団ふくらます 山田信子
肉じゃがの注文きっと一人者 河合敏夫
国会に招いた客の言い逃れ 中村真里子
客間へ通し今帰るなと電話する 島田握夢
ハウドユドウ握手上手な子に育つ 長川哲夫
さくらになって嫁の料理をすすめている 田中節子
客ひとり残して店を閉められず 室田隆司
小額の品の万札すかし見る 増田左代子
令状がダンボール連れ不意の客 長野峰明
ピザの出前大した客じゃなさそうだ 島田握夢
キッチンの椅子で間に合う妻の客 沼尾美智子
丁寧な茶托息子の家遠くなる 山本ひさゑ
どうもどうもと中々尻が上らない 萩原皐月
論客の一人舞台という旅路 椙元世津
客ですが何やへこへこしてしまう 中村真里子
ノート型パソコン抱いている刺客 村上氷筆
持病という好まぬ客に居坐られ 斎藤功
観客の拍手の中に母がいた 宮本喜明
見舞客小さい嘘を置いて去る 山本芳男
景観に集客力を頼り過ぎ 長島敏子

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兼題  「雪」  坂下安伸 選
雪もよい明日へ予定を振りかえる 椙元世津
雪国へ嫁ぐ娘へちゃんちゃんこ 仲田秀子
手の平でため息ひとつとける雪 種田淑子
青白き風かもしれぬ雪おんな 宮本喜明
一月の黒き雪積む胸の底 赤井花城
雪月花日本に住んでいる誇り 前川千津子
不条理も覆ってしまい雪が積む 大栗智恵子
過疎の村雪に埋もれて押し黙る 竹内一人
新調のコートへ雪が容赦ない 村上静子
白雪の半紙と遊ぶ筆のあと 森山勝彦
無垢になれるでしょうか雪のあたたかさ 中岡千代美
雪の日は雪と話をして過ごす 山本芳男
雪払い地蔵のべべを替える野辺 村上氷筆
窓の雪放蕩息子にまぶし過ぎ 室田隆司
赤黒黄ランドセル弾ね雪の道 みぎわはな
夜の雪街から音が徐々に消え 中井康弘
団地庭雪掻きもなく春を待つ 倉田雄登美
雪の肌ホンノリ染める屠蘇の膳 小島知無庵
雪が舞う無縁仏にワンカップ 辰巳和子
風花に帰路せかされる妻のこと 河合敏夫
控え目を豹変させた銀世界 島田握夢
絵にならぬ夫婦でもよい雪見酒 仲田秀子
音もなく降る雪返事書き終わる 前川千津子
数数多呼び名はあれど雪は雪 尾畑晴代
俗なもの皆んなかくした雪景色 村上静子
五センチ雪が騒音黙らせる 河合敏夫
雪囲い母がひとりで住んでおり 山田信子
雪に足跡が風呂場まで付いている 島田握夢
豪雪に歳を忘れる雪おろし 里嘉矩
淡雪食べた綿菓子食べた幼な頃 尾畑晴代
みちのくの雪は下から吹き上げる 森山勝彦
片想い溶けて儚い春の雪 辰巳和子
いつ来たか囲炉裏が消えて雪女 上野五柳
雪は静かに篝火を消す恋を消す 長島敏子
鼻歌に雪やこんこん歯を磨く 倉田雄登美
名残り雪逢うてはならぬ人を恋う 内田秀章
微笑んで身籠っている雪だるま 豊野光子
雪が舞う屋台熱燗追加する 内田秀章
雪の夜独居の母と長電話 内田秀章
鱈ちりに想う故郷雪だろう 宮本喜明
雪しんしん絹づれの音かくれ宿 吉川千穂
招待券二枚気になる雪催い 仲田秀子
雪おろしいっぺんさせろと白痴言う 島田握夢
帰らないでといいたいのです外は雪 中岡千代美
故郷は無し五階から雪を見る 青木公輔
絵にすれば絵になる雪に泣かされる 坂下安伸

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【出席者】 (順不同・敬称略)
坂下 安伸 吉川 千穂 河合 敏夫 大栗智恵子 辰巳 和子 水上たお子
室田 隆司 内藤 夢彦 長野 峰明 倉田雄登美 内田 秀章 長川 哲夫
神田 巳珠 山口ヨシヱ 上村さな恵 上野 五柳 中井 康弘 森山 勝彦
沼尾美智子 小島知無庵 椙元 世津 長島 敏子 仲田 秀子 田中 節子
蛯原 正弘 橋本 凉子 尾畑 晴代 村上 静子 萩原 皐月 中岡千代美
前川千津子 村岡 義博 斎藤  功 村上 氷筆 中村真里子 山田 信子
山本 芳男 島田 握夢 種田 淑子 みぎわはな 里  嘉矩 樋口 祐子
赤井 花城

【投 句】
竹内 一人 上月智恵子 山本ひさゑ 増田左代子 宮本 喜明 小山 紀乃
青木 公輔

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