平成17年9月23日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
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特別席題  「長いもの」  上原翔 選
死んだかと妻のお風呂に声かける 水田象介
襷には長い夫の知恵を借る 山本芳男
鼻の下少し長いと妻は言う 河合敏夫
あくび出るほど長ながとくされ縁 山本ひさゑ
長いものに巻かれたままで平社員 水上たお子
細長いわが家外から眺められ 椙元世津
ご無沙汰の早彼岸花一列に 前川千津子
欠伸でる下手な落語は長いもの 松下比ろ志
飼犬は鎖の長さだけ吠える 内田秀章
ああ残暑今日もソーメン茹でている 沼尾美智子
立ち話行って帰るにまだ続く 辰巳和子
レールからはみ出し亀は夢を追う 山口ヨシヱ
急がねば縺れてしまう長い訳 増田左代子
長っ尻着地がうまい話しぶり 山中忠
素うどんにいかそうめんの敬老日 倉田雄登美
行列へ首を突っ込む淋しがり 田中節子
千秋楽わたしに長い勝ち名乗り 前川千津子
故郷は目の前渋滞まだ続く 中西保子
夕焼け小焼け独りの影が長くなる 上村さな恵
人間は長いものにもまかれたい 吉川千穂
ロングスカート階段掃除して降りる 橋本凉子
美しい嘘へ女の長い舌 吉川千穂
これだけの土産に前置き長過ぎる 室田隆司
自分史のそこ此処淡い彩があり みぎわはな
長口上欠伸の種が涙ぐむ 長野峰明
ふる里の家は百足も蛇も出る 黒嶋海童
長電話行って話せる距離に居る 山中忠
長々と詫びてはいるが目がそっぽ 杉山ひさゆき
若い頃睫の長かったのが自慢 椙元世津
長い舌チャチュチョパピュピョが縺れてる 河合敏夫
三浪の孫長い目で見てと言う 倉田雄登美
鮎釣りの長い太竿もてあまし 倉田雄登美
長いものに巻かれて角もとれました 内藤夢彦
長い手でモンゴル倒せブルガリヤ 辰巳和子
付き合いは長さじゃないよ深さだよ 長島敏子
長いもの巻かれる前に飛ばされる 奥西勇人
十六夜の影長く引く夫婦づれ 荒垣秋野
不思議だね長いものほど精がつく 内藤夢彦
あんな爪で傷を付けられたいものだ 島田握夢
余生なお衰えみせず食の秋 室田隆司
夢乗せてどこへ行くやら飛行雲 山口ヨシヱ
長いものにすがる朝顔つるのばす 仲田秀子
九年で達磨の足を食う月日 長野峰明
母になる希望へ弾む毛糸玉 内田秀章
いのちとは点滴ビンの管を追う 山本芳男
長い夜両用メガネにはきつい 上原翔

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兼題  「薬」  村岡義博 選
薬殺も辞さぬ馬主の腹の虫 竹の内一人
効きすぎた媚薬で悩む副作用 山中忠
薬漬次にマカロニ漬が待つ 奥平駿曳
大中小白い錠剤時計鳴る 田中節子
窓際の椅子で胃薬のんでいる 宮本喜明
胃薬が今日の無念を知っている 長島敏子
裏がえしてみると火薬庫抱く女 山本ひさゑ
薬包紙明日へ羽ばたく鶴を折り 内田秀章
軽業師のように生きている薬 増田左代子
正露丸の文字とラッパにある明治 松下比ろ志
薬袋抱く長寿の国に住む 松下比ろ志
ヤセグスリヤセスギタノハゲリのセイ 吉川千穂
監督も薬忘れる勝ちつづき 上村さな恵
春憂の日ぐすり効いて秋の天 荒垣秋野
恋病い直す薬はほろ苦い 花田俊枝
解毒剤リフレッシュして生き残る 山口ヨシヱ
失敗のくすりが効いて大人しい 椙元世津
月冴えて恋の媚薬が効いてくる 長島敏子
崖っ縁薬師如来の手に縋る 竹の内一人
百薬を毎晩呑んでまだ枯れぬ 山本芳男
ニトロなら何時も持ってる枯尾花 神田巳珠
いろいろな薬を底に旅鞄 黒嶋海童
友情の薬は苦いものと知る 山本芳男
目薬に指定席あり冷蔵庫 河合敏夫
溜息と錠剤二つ朝の行 宮本喜明
無農薬を声高に言う落し穴 樋口祐子
おしゃべりが止まる薬品棚の前 室田隆司
無農薬米ひしめいているネット 赤井花城
大抵は梅干で済む胃のつかえ 沼尾美智子
百薬の長の目盛りが難しい 辰巳和子
回春剤嘘ばっかしの能書よ 内藤夢彦
医者嫌い薬嫌いで死もこわい 増田左代子
奥様の方が興味を示すバイアグラ 島田握夢
惚れ薬飲ましてみたい女がいる 河合敏夫
紅ひとつ差せなくなった第四指 神田巳珠
すれすれの商売毒と薬をより分ける 中西保子
薬害に遠く一枚サロンパス 橋本凉子
薬漬の副作用で又くすり 荒垣秋野
躓いた石を薬にした男 長野峰明
ヨーチンがじんじん浸みて夏終る 水田象介
治っても貰うた薬は全部飲む 杉山ひさゆき
劇薬の小瓶棚から消えている 村上静子
快方へ薬忘れる日が増える 椙元世津
自主管理くすりはそっと胃に落ちる 中西保子
目薬をなんどさしても見えぬ人 花田俊枝
一番に欲しい薬は不老不死 水田象介
薬にも毒にもならず世を渡る 倉田雄登美
薬屋の娘はくどかない事に 青木公輔
弥勒さまの胸のあたりにある媚薬 柿木英一
能書きを失くした赤い一包み 室田隆司
上薬塗らぬ陶器がもつ光 山本芳男
特効薬両刃の剣を裏返す 村岡義博

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兼題  「宿」  みぎわはな 選
天井から民話が降りるいろり宿 河合敏夫
宿賃を取ろうかニート族がひとり 中西保子
窓の風旅愁つのらす北の宿 内藤夢彦
やどかりのようにコンビニたむろする 増田左代子
逃避行二人に寒い木賃宿 水田象介
改革の痛み寺田屋の刀傷 村岡義博
宿の朝寝不足らしい靴もある 黒嶋海童
夜更けまで身の内ばなしさせる宿 田中節子
宿銭に女将の器量加算され 奥西勇人
あの宿に置いた思いの疼く夏 山田海老助
眠れない宿にあの日の君がいる 荒垣秋野
相部屋の情けをわかつ遍路宿 柿木英一
竹林の宿早朝風に起こされる 田中節子
風呂のついでに陛下の泊った部屋覗く 島田握夢
霧深し男に寒い仮の宿 山本ひさゑ
枕投げしたいもう一度青春 杉山ひさゆき
嬉しさは一夜を明かす友が居る 椙元世津
赤墓標私にあいに行く彼岸 豊野光子
浜までを宿下駄ここちよい素足 前川千津子
宿下駄を借りて踊りの輪に入る 辰巳和子
死ぬ迄に覗いてみたいラブホテル 水田象介
湯の宿に女ばかりが降りてくる 大栗智恵子
上げ膳下げ膳二泊三日の妻の贅 上村さな恵
若やいだ妻が寄り添う宿の下駄 内田秀章
宿はこちらと古風な呼び声が好きで 青木公輔
訛りから教わる品の自炊宿 増田左代子
雨宿りしながらできた飲む話 内藤夢彦
遍路宿お大師さんとざこ寝する 内田秀章
どちら向いても潮の香のする島の宿 松下比ろ志
アルバムに忘れられない宿がある 樋口祐子
隠れ宿いつか傷付く日の距離に 山本ひさゑ
深爪を癒すふたりのかくれ宿 山中忠
古宿に古つわものが居た気配 里嘉矩
台所から開放されて宿浴衣 沼尾美智子
しみじみと湖畔の宿にフルムーン 沼尾美智子
宿六が宿かりになる定年後 倉田雄登美
民宿のあるじおかずを釣りに行く 花田俊枝
宿無しの犬にも広い天がある 山本ひさゑ
ごゆっくり私あなたの仮の宿 小島知無庵
窓開けて先ず外を見る旅の宿 松下比ろ志
宿六の顔で朝刊取りに出る 室田隆司
犇いて温し三畳山の宿 水上たお子
民宿は世間話も盛ってある 山本芳男
北の宿過去をたち切る風の音 山中忠
宿浴衣天下をとった音で着る 山本芳男
新婚の音たてて鳴る宿の下駄 みぎわはな

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兼題  「稀」  柿木英一 選
私の名世を起こす子で世起子です 河端世起子
気が強いそれでも少し泣き笑い 山田蔦路
百年に一度の恋をしてしまう 青木公輔
路地裏のトンビが鷹を産んだとか 大栗智恵子
ひょっとしてひょっとするのが天下取る 竹の内一人
嫁のぐち姑のぐち聞かない日 村上氷筆
珍しく友と波長の合った夜 上月智恵子
稀にみる夫の笑顔が気にかかる 上村さな恵
古希の恋ひとつ拾った曲り角 吉川千穂
帰りたくないときもあるブーメラン 河合敏夫
奇病です難病ですと医師が言う 黒嶋海童
道化役まれに主役が降りてくる 中西保子
好きですと何年ぶりに聞くセリフ 山中忠
海に立つ虹を見ましたいちどだけ 沼尾美智子
まだ脈はありそう稀に見せる笑み 室田隆司
酋長がすごい翡翠をお守りに 村上静子
古希傘寿酒が昔をつれてくる 仲田秀子
老人会古希など今は末席に 内藤夢彦
八人兄弟テレビが取材に来るという 島田握夢
監督の烈しい抗議危険球 倉田雄登美
稀に受ける他人の親切疑って 奥平駿曳
優等生父にもあった朝帰り 河合敏夫
稀にみる自分が死んだ変な夢 倉田雄登美
釣れた日に限っておかずまた魚 河合敏夫
神さまが稀に味方をしてくれる 上村さな恵
稀に来た姑がトイレを磨き上げ 内田秀章
棚ボタを信じ大口開けて待つ 上原翔
落ちこぼれ稀に確かな答出す 山口ヨシヱ
生きようぞギネスブックに載る日まで 長島敏子
稀に見るアルバム亡夫の声がする 仲田秀子
中折帽稀に崩れている本音 山本ひさゑ
膳立てが過ぎて希薄になる意欲 室田隆司
低い腰少なくなったなと思う 椙元世津
観察の孵化に感動した日記 増田左代子
席ゆずり頬染めている女学生 山中忠
たまに来てどっさり孝行して帰る 荒垣秋野
鬼子母神稀にはやさしいお目をして 豊野光子
彗星が降ると言うから網持って 杉山ひさゆき
ラブレター稀に貰うと雨になる 上村さな恵
人差指が稀にぐさっと攻めてくる 田中節子
責任感希薄ニートの青い鼻 長島敏子
稀にしか会わず水魚の友でいる 黒嶋海童
過疎のバス正確に来て乗り遅れ 辰巳和子
一滴の水に教わる希少価値 山本芳男
つまずいた石が涙を溜めてくれ 柿木英一

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兼題  「劇」  里嘉矩 選
歳かいな台詞が喉にひっかかる 杉山ひさゆき
一面を飾る無様な茶番劇 竹の内一人
猿之助の宙吊り亡母と観ていたね 坂本須磨代
喜寿米寿喜劇もあってまだ生きる 山本芳男
茶番劇だったふたりの痴話喧嘩 長島敏子
幕切れは悲劇だったと言わせない 柿木英一
むかし観た桝席芝居なつかしい 坂本須磨代
劇場の切符で御縁結ばれて 豊野光子
喝采の先で踊っていた喜劇 山本芳男
二代目は絶品でした舞台裏 山田蔦路
気にかかる歌舞伎女形ののどぼとけ 倉田雄登美
日に月にドタバタ喜劇繰り返す 赤井花城
改革劇の威勢に乗って流される 山岡幸一
沿線に落としつづけている喜劇 赤井花城
時時は下手な芝居をしています 青木公輔
劇中劇の一人と我が身重ねみる 上村さな恵
戦争の悲劇子孫に書き急ぐ 仲田秀子
初舞台袖で見守る母がいる 上月智恵子
劇的な出会いも今は無言劇 吉川千穂
一人芝居などして元気出す暮らし 椙元世津
奈落から科白聴いてる馬の脚 神田巳珠
あほくさと互いに思う茶番劇 島田握夢
ストレスを飛ばしてくれる時代劇 内藤夢彦
フイナーレの劇場に舞う紙吹雪 内田秀章
あのギャグがどこで出るかと待っている 室田隆司
人生は悲劇喜劇と紙一重 吉川千穂
主義主張あって私の無言劇 河合敏夫
茶番劇欲とふたりで演じてる 黒嶋海童
悲喜劇がはじまる老いの早とちり 黒嶋海童
昼メロの見すぎか猫が家出する 花田俊枝
デジタルな劇解り易いご印籠 上原翔
芝居っ気のない子が劇に味添える 室田隆司
喜劇にしては別れことばが重すぎる 柿木英一
劇場のほとぼりさます星月夜 仲田秀子
午前さま翌朝妻と無言劇 内藤夢彦
彼岸花母のコントは泣けてくる 沼尾美智子
寸劇に若いセンスをちりばめる 村上氷筆
幼気な目に惨劇は酷すぎる 竹の内一人
秋の風渡る湖畔にあるドラマ 橋本凉子
自分史を劇化主役に妻を置く 長島敏子
みんな主役ハッピーエンドで終わりたい 荒垣秋野
劇中劇軍靴の音が蘇る 長野峰明
戦争の悲劇を知った千羽鶴 吉川千穂
友の訃よ筋書きのない冬ドラマ 山中忠
お前とは喜劇のままで終わりたい 水田象介
演劇の下積みにいる芸の虫 里嘉矩

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【出席者】 (順不同・敬称略)
山本ひさゑ 河合 敏夫 辰巳 和子 橋本 凉子 長野 峰明 山中  忠
上村さな恵 豊野 光子 中西 保子 倉田雄登美 神田 巳珠 黒嶋 海童
村上 静子 室田 隆司 田中 節子 増田左代子 水田 象介 前川千津子
椙元 世津 荒垣 秋野 小島知無庵 柿木 英一 長島 敏子 山口ヨシヱ
内田 秀章 沼尾美智子 村岡 義博 奥西 勇人 仲田 秀子 上原  翔
水上たお子 内藤 夢彦 花田 俊枝 山本 芳男 里  嘉矩 松下比ろ志
吉川 千穂 みぎわはな 島田 握夢 新里 俊郎 奥平 駿曳 杉山ひさゆき
樋口 祐子 赤井 花城

【投 句】
大栗智恵子 上月智恵子 宮本 喜明 河端世起子 山田 蔦路 竹の内一人
坂本須磨代 山田海老助 村上 氷筆 青木 公輔 山岡 幸一

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