平成17年7月17日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
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特別席題  「港・みなとまつり」  杉山ひさゆき選 
船居らぬ港のんびり糸を垂れ 福島直球
港町夕日に染まる二人連れ 河合敏夫
みなとまつり藍の浴衣で彼に逢う 辰巳和子
陽気です港の風は踊り好き 山中忠
子の船出故郷あとに希望満ち 奥西勇夫
ステンドグラス港のドラを聞いている 中西保子
みなとまつりあの日は妻と花電車 長川哲夫
他所者でみなとまつりをまだ知らず 尾畑晴代
うみ猫も星座も好きな港の灯 大栗智恵子
少年の夢を灯した神戸港 長野峰明
せりの声朝の港が活気づき 福島直球
還らない夫待ちつづけ行く港 仲田秀子
この十年港神戸の奮闘記 村上氷筆
母恋し酒に溺れる港の灯 内田秀章
大漁旗迎える朝の陽が光る 樋口祐子
復興を願い商港夏まつり 奥西勇夫
百万ドルの餌でにんげん釣る港 長野峰明
どの道も港花火へ人が向き 椙元世津
おまつりの裏方さんへおしぼりを 前川千津子
赤い帯みなとまつりの輪の中で 山口ヨシヱ
遊び疲れ妻の港に帰り着く 辰巳和子
進水式錨の山もうれしそう 内藤夢彦
両腕を広げて港待ち受ける 室田隆司
足裏の豆をかばって港まで 田中節子
ときどきは港の風に会いに行く 椙元世津
港にはトロ箱入りの蛸の顔 吉川千穂
海女の港母は誇りを持って生き 中西保子
巻き上げる錨に思慕が絡み付く 古谷日出夫
まつり笛子を待つ母は夜もすがら 上村さな恵
まつり笛六甲山へ谺する 大栗智恵子
再会は港の見えるあのホテル 仲田秀子
みなとまつりサンバのへそが飛び跳ねる 内田秀章
潮時を読んで漁師は船を出す 古谷日出夫
市章山の灯りへほっとするフェリー 中岡千代美
決心をまた鈍らせた港の灯 山本芳男
国籍を問わぬパレード街を練り 福島直球
米をとぐ窓に広がる港町 山中忠
港には面舵にぎる妻がいる 山中忠
廃船の身をふる里へ漕ぎ寄せる 黒嶋海童
エアポート蛸うかうかと眠られず 水田象介
清盛の栄華のあとの兵庫港 水田象介
魚河岸で男勝りの手鈎打つ 古谷日出夫
コップ酒男に港語らせる 山本芳男
父と子は波止場に糸を垂れ無言 水田象介
やっと子が寝たのにドラが又起こす 杉山ひさゆき

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兼題  「歌」  水田象介 選
分校の歌よ岬の灯は消えぬ 黒嶋海童
子が帰郷妻鼻唄で馳走盛る 奥西勇夫
音痴にも歌わせているぬるめの湯 荒垣秋野
着メロは夫婦一緒の歌曲です 尾畑晴代
故郷に四季折々の歌がある 古谷日出夫
嬉しい日鼻歌ひとついかがです 山中忠
平凡な夫婦ドレミの歌が好き 沼尾美智子
盆おどり河内音頭で幕をあけ 大栗智恵子
歩調取る足が覚えていた軍歌 山本芳男
ほろ酔いに鼻歌も出る星月夜 竹下かすみ
さあ起きろ蝉のコーラス梅雨もあけ 内藤夢彦
さんびかをうたう少女のきれいな瞳 吉川千穂
逢いたくて我が恋歌がせきを切る 山中忠
口下手がカラオケマイク離さない 辰巳和子
わらべうた明治がふっとよみがえる 青木公輔
カラオケに今日のストレス置いてくる 上月智恵子
連日の六甲おろし燃えている 小山紀乃
マツケンサンバにベビーカーが踊る 増田左代子
戒名に歌の一字を刻み込む 長川哲夫
遠い恋愛の讃歌に秘めてある 山口ヨシヱ
歌えないが上手か下手は判る耳 辰巳和子
認知症の母は軍歌の中にいる 中西保子
お隣はいつもソプラノうたってる 吉川千穂
バスツアー音痴が人気独りじめ 大栗智恵子
花金のカラオケの顔主婦ばかり 奥西勇夫
替え歌が受けて上司に疎まれる 室田隆司
湯舟から昭和の歌の良いひびき 坂下安伸
ひばり聞きこのうまい人だれと子が 村上氷筆
こんな歌にもついている著作権 室田隆司
歌手の夢消えカラオケで唄う日々 福島直球
深夜便ラジオの歌に聞きほれる 倉田雄登美
ほのぼのと心をほぐす妻の歌 仲田秀子
父の十八番お国訛の祭歌 水上たお子
子守歌似せて歌って亡母といる 椙元世津
勇気あるなああの声で喉自慢 河合敏夫
あっしまったこれは部長の持ち歌だ 中岡千代美
歌がうますぎて体よく嫌われる 山中忠
車椅子押しつつはもる赤とんぼ 内田秀章
あの歌が出たらそろそろお開きだ 長島敏子
思春期は青い山脈胸おどり 倉田雄登美
寮歌とは歌えば哀しパンの耳 長川哲夫
上を向いて歩こうわたしの応援歌 古谷日出夫
その歌を聴くとあの日に逆もどり 長島敏子
鼻唄に妻は嫌疑をかけてきた 水田象介

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兼題  「息」  沼尾美智子選 
NASAの朝飛ぶか飛べるか息詰る 坂下安伸
深い溜息つかれ男はあせる 杉山ひさゆき
息のある内に逢いたかったと通夜の席 尾畑晴代
面接へ息整えてノックする 古谷日出夫
ひと息ついてこぼれ話が盛りあがる 上村さな恵
ごきぶりへ息を殺して逃げられる 椙元世津
息長く続けてプロの片腕に 小山紀乃
息抜けば肩のいかりも丸くなる 大栗智恵子
息遣い聞こえてきます文字のあと 山口ヨシヱ
おどしには乗らない母の太い息 田中節子
息とめてトンボを捕った孫の顔 内藤夢彦
ゆうべ食べたのなあにニラレバよ 河端世起子
肩肘を張って息切れしてしまう 山本ひさゑ
溜息をつく九回の逆転打 小山紀乃
息深く吸って飛び出す初舞台 赤井花城
エンピツの息がただ今無我夢中 増田左代子
息を止めされるがままに歯の治療 室田隆司
冗談も喧嘩も息の合う友よ 椙元世津
知床に息災でいる熊に人 長川哲夫
息吸うて吐いてと云われ緊張し 椙元世津
生きている息をしている児の寝顔 中西保子
北帰行ひとり旅です白い息 山中忠
家計簿に妻の溜息埋めてある 黒嶋海童
静かすぎそっと寝息をたしかめる 豊野光子
息ぬきが下手で胃散と手をつなぐ 上村さな恵
俄か雨仕事のあいま珈琲のむ 吉川千穂
息合わせ棟木を上げる空の青 水上たお子
息がかかる程の距離にいて孤独 辰巳和子
健やかな樹々の息森の団欒 水上たお子
棲みついた鬼一匹の息づかい 宮本喜明
電話口息してるかと尋ねられ 樋口祐子
息殺し蝉の羽化見る夏休み 坂下安伸
大風に挫折はしない樹木の息 田中節子
沈黙が続いて吐息また一つ 宮本喜明
息抜いたその瞬間を攻められる 山本芳男
トンネルの長さを抜けた深呼吸 長野峰明
ひざ小僧息をひそめてかしこまる 山本ひさゑ
死ぬまで息が出来ますよとやさしいカルテ 青木公輔
妥協点さがす男の長い息 長島敏子
息深く吸い真夜中の受話器取る 赤井花城
息ついてついて標を探す坂 長島敏子
いのち快適鼻だけの呼吸法 赤井花城
宵待ちの後の姿にみた吐息 吉川千穂
欲ばりな息病院のひまわり 田中節子
なれそめの息ラーメンの味がした 沼尾美智子

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兼題  「ノート」  山本芳男 選
ノート買いきやびん句会と大書する 倉田雄登美
色褪せたノートが母の智恵袋 大栗智恵子
自由帳小さな自分書き並べ 田中節子
古ノートの中にひそんでいた秘密 上月智恵子
胸底のノートに疼く恋一字 宮本喜明
胸底でゆらゆら思春期のノート 山本ひさゑ
約束をノートの中に忘れられ 竹下かすみ
最初だけ書き込んでいるダイアリー 椙元世津
落第を納得出来た子のノート 水上たお子
人生のノートに今日もハプニング 小山紀乃
泣き笑い闘病綴る古ノート 奥西勇夫
百歳を生きて自分史作成す 吉川千穂
後ろから開けると秘密のあるノート 中岡千代美
晩学のノート四角な文字で書く 内田秀章
ジスイズアペンのノートが色褪せる 長川哲夫
たいへんだ秘密のノート見つからぬ 山口ヨシヱ
句に使えそうな語彙だけ書き留め 水田象介
反戦歌つづる八月のノート 長島敏子
最後迄使えよ森が消えていく 杉山ひさゆき
急用を告げるノートの切れっぱし 福島直球
終章のページ波瀾になる予感 辰巳和子
蒔き時を昨年のノートに聞いてみる 中岡千代美
ノートには秘密の話そっと書く 長川哲夫
花柄のノートにしまう片想い 沼尾美智子
鉄の橋食った旨みのあるノート 長野峰明
ストレスを吐き出すノート持ち歩く 辰巳和子
日本人だろ帳面と言いなさい 杉山ひさゆき
花枯れて少女のノート黒くぬる 中西保子
箸袋に旅の出会いをノートする 花田俊枝
身辺を母はちらしに書き溜める 赤井花城
封をした記憶ノートの中で生き 奥平駿曳
放浪のノートに満載のコラム 増田左代子
我が苦悶写して日記熱くなる 黒嶋海童
四年間他人のノートで単位取る 水田象介
介護ノート母の遠慮が書いてある 中西保子
神様のノートを汚す罪と罰 古谷日出夫
秀才のノート要点だけを書き 福島直球
肩書きが取れて手帳の余白増え 奥西勇夫
ノートに書くから嫁はんに見つかる 杉山ひさゆき
真っ白いページに涙あとがある 吉川千穂
自由帳からはみ出している息づかい 樋口祐子
ごめんねをいっぱい書いてみるノート 小山紀乃
喜怒哀楽がひしめき合っているノート 上村さな恵
特攻のノート泣き言など見えぬ 黒嶋海童
過労死のノートが溜めていたマグマ 内田秀章
筆談のノートほのかな人間味 山本芳男

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兼題  「親」  長野峰明 選
親の無い雀かいつも食べに来る 赤井花城
父の日も電話かからぬままに暮れ 室田隆司
易々と使えぬ子からのお年玉 奥平駿曳
親孝行知らぬ哀しい子が溢れ 山口ヨシヱ
親だから言えないことをまごが言う 森茂也
親鳥は丈夫な雛を贔屓する 杉山ひさゆき
親にした反抗思い当たる今 村上氷筆
嫁ぎゆく娘の挨拶へかしこまる 森山勝彦
玄関に親の躾が揃えられ 古谷日出夫
もう避けてられない親をみる話 中岡千代美
身代わりになれるものなら子の病 沼尾美智子
仏から貰った命と子を許す 奥平駿曳
スパルタの父の拳固が脆くなる 村上氷筆
親子にも車間距離あり披露宴 上村さな恵
損な役親は黙って舞うている 黒嶋海童
道具箱父の律義が詰めてある 大栗智恵子
叱られた親の通りに子を叱り 水上たお子
母親は父の分まで生きている 水田象介
母の日の花の笑顔に感謝する 山田海老助
胎動に親の自覚が芽生え出す 河合敏夫
御立ち酒歌う親父の目が潤む 古谷日出夫
親バカを曝けだしてる子の喧嘩 中西保子
北の大地へ親の叫びが届かない 長島敏子
親不孝墓に詫びてる百合の花 中西保子
日焼した親の背中に風光る 山中忠
子には子の親には親の花時計 沼尾美智子
まだ父母を慕う七十路の夕あかね 黒嶋海童
里帰り親との一夜短すぎ 仲田秀子
メダカの子親より広い海めざす 上村さな恵
親ばなれ子離れ豆の木が繁る 長島敏子
カミナリ親父も殺されなかったむかし 荒垣秋野
俺達の親はほんまに怖かった 杉山ひさゆき
引き際が大事と親の顔になる 小山紀乃
親の年越えて戸惑う別れ道 水上たお子
親離れできぬ男の蒙古斑 神田巳珠
朝の茶を供えて父母に今日の事 豊野光子
風邪引くな転ばないでと親想う 辰巳和子
母の手は魔法にぎりめしが美味い 大栗智恵子
親はまだわたしの傍の風と居る 増田左代子
お人好しを嫌った親の轍を踏む 水上たお子
それからの親子の絆狂いだす 樋口祐子
もう一度殴って欲しい親父殿 水田象介
親と子の落差に揺れるヤジロベエ 内田秀章
不揃いの羽で飛翔の親離れ 山中忠
茄子の花親の意見が届かない 中西保子
親指の正座が呼んでいる怖さ 長野峰明

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【出席者】 (順不同・敬称略)
吉川 千穂 花田 俊枝 内田 秀章 中岡千代美 村上 氷筆 長野 峰明
辰巳 和子 河合 敏夫 中西 保子 神田 巳珠 黒嶋 海童 沼尾美智子
大栗智恵子 水上たお子 仲田 秀子 倉田雄登美 山口ヨシヱ 豊野 光子
増田左代子 田中 節子 山中  忠 長島 敏子 上村さな恵 前川千津子
室田 隆司 椙元 世津 尾畑 晴代 長川 哲夫 奥西 勇夫 内藤 夢彦
古谷日出夫 水田 象介 森  茂也 山本 芳男 奥平 駿曳 坂下 安伸
福島 直球 杉山ひさゆき 樋口 祐子 赤井 花城

【投 句】
山本ひさゑ 上月智恵子 青木 公輔 山岡 幸一 森山 勝彦 河端世起子
宮本 喜明 山田海老助

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