平成17年5月22日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
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特別席題  「五」  松下比ろ志選 
狭い会場だ椅子五ツ程取ってくる 島田握夢
五百円で遊ぶ楽しい句会日 樋口祐子
あいつの片手の話は桁違い 水田象介
何度追うてもやはり五月蠅いハエである 村上氷筆
百億も要らない五千万でいい 水田象介
今産声上げたとこだよ五十歳 増田左代子
夫婦して五黄の寅で運潰す 水上たお子
五臓六腑お酒色して達者です みぎわはな
五月雨の音符を借りて般若経 長川哲夫
ラッキーな連休だった五月晴れ 小山紀乃
いつものように五分遅れて来たあなた 佐藤純一
せっかちな夫は五分しか待たぬ 辰巳和子
五体まだ達者八十路を駆け上がる 山本芳男
五感みなおとろえ神に近くなる 黒嶋海童
うれしげに古希が宣う五十肩 蛯原正弘
もう五年働いてもらうスーツ買う 辰巳和子
温故知新のはざまで五月病になる 上村さな恵
老いてなお五体満足日を拝む 坂下安伸
装うて五月の風に逢いにゆく 大栗智恵子
大佛も散歩がしたい五月晴れ みぎわはな
賽銭は五円と決めている縁起 内田秀章
五稜郭明治の夢が美しい 萩原皐月
五月の空我がもの顔の鯉のぼり 村上静子
五月燦々春大根はからくない 花田俊枝
花びらの五枚目糸トンボが止まり 椙元世津
五つほど拳固やり度い奴が居て 長野峰明
受信料へ四の五の言っただけのこと 上原翔
五月病にかかったらしい子の便り 村上静子
お名前さつき、五月生れでせう 尾畑晴代
五体満足顔のどうぐも揃ってる 中西保子
五線譜を飛び出している一年生 蛯原正弘
じゃんけんぽい紅葉の五指に負けてやる 橋本凉子
四の五のと御託ならべているゴマメ 長野峰明
どちらにも言い分あって四捨五入 山中忠
少しずつ意見の違う指五本 小山紀乃
難関を突破してきたウツだろう 上原翔
五時からが一番好きな時間です 内藤夢彦
ただ一ツ母の自慢は五人の子 豊野光子
五月闇路地に木の芽と風薫る 黒嶋海童
五線紙に踊るあなたと夕焼けと 佐藤純一
ひとりのひとこころに秘めて五十年 仲田秀子
五月雨水子地蔵の背に落ちる 長島敏子
約束の五月の空が澄んでいる 小山紀乃
成す事も無く五枚目のカレンダー 杉山ひさゆき
四捨五入いつかは叛く背中かも 長島敏子
切っても切っても五欲の爪は伸びてくる 松下比ろ志

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兼題  「値段」  室田隆司 選
値段を聞いてなるほど美味いはずの蟹 尾畑晴代
育つほど値引きされてゆくペット 増田左代子
砂時計わたしの値打ち消してゆく 山中忠
閉店の間際狙っている財布 上原翔
祭壇の値踏みをしてる人も居る 増田左代子
渋ちんが化粧代には無頓着 杉山ひさゆき
閉店間際の半額すでに売切れる 佐藤純一
先ず値段それから吟味するのです 萩原皐月
一匹と思もたら何や百グラムの値段 島田握夢
家計簿に内緒の値段たんとある 仲田秀子
ゼロ一つ多くて行けぬ試着室 蛯原正弘
賞味期限をついあらためたくなる値段 島田握夢
作品へ値段がついてどきどきし 椙元世津
ウインドウから見える値札は裏がえり 村上静子
ブランドがわたしを値踏みする様で 豊野光子
お隣りのシャリの上には時価がのり 水田象介
買う気などないが値を聞く雨宿り 辰巳和子
美術展なるほどという値札つき 長川哲夫
値札みてブランドを見て財布みる 村岡義博
値段表ゆっくりながめ人を待つ 樋口祐子
どんな宝石も貴方の愛にかなわない 河端世起子
値段だけ拾って帰るウインドウ 田中節子
こんな僕いくらで買ってくれますか 長川哲夫
借景の富士も値段に入れてある 上村さな恵
あって無い値段ブランドという魔物 みぎわはな
言い値即金成金の買いっ振り 水上たお子
値段などどこ吹く風の茶髪の子 吉川千穂
値を付けぬ妻でありたし花名荷 沼尾美智子
値段などあって無いよな主婦稼業 上村さな恵
事故現場ふっと命の値段など 長島敏子
香水の贅沢だけは許されよ 花田俊枝
かたくなに値は崩さない古のれん 大栗智恵子
値引きする店主の顔に裏がある 松下比ろ志
国宝が焼いた茶碗に値がつかず 小島知無庵
敵に送る塩の値段は言わぬもの 長野峰明
蔵書売るわが足元を値切られる 坂下安伸
命の値段問う戦争の民営化 村岡義博
ご厚意に見合う値段の品選び 村上氷筆
低温注意報値段札がない 田中節子
お手頃と互いに決めた夫婦です みぎわはな
衣更え値段の順に整える 山口ヨシヱ
ハローワーク僕の値段が安すぎる 長川哲夫
食卓へタイムバーゲン間に合わず 竹内一人
べこ一頭値段がついた淋しい日 坂下安伸
チャリティの善意が高値つけている 黒嶋海童
居眠りの背中に値札つけておく 室田隆司

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兼題  「治る」  村上静子 選
治ったら親孝行をまずしよう 前川千津子
新緑の香りにうつも消えました 大栗智恵子
病癒え嬉しい日々が続きます 長川哲夫
五月闇、うつが治らぬ処方箋 萩原皐月
じっくりと治るの待って読む詩集 山口ヨシヱ
父の日に夫の頑固が治ってる 荒垣秋野
たこやきの軽さで治る機嫌です 大栗智恵子
花粉も去って今朝から犬と散歩 水田象介
棺桶に片足入れてから勝負 杉山ひさゆき
老妻がこまめに疵の手当てする 竹下かすみ
試歩の先スミレタンポポ犬ふぐり みぎわはな
神々の熊野古道で治るウツ 尾畑晴代
治らない傷が時々口あける 荒垣秋野
酷使した脳を充電する湯治 内田秀章
退院の日のすがすがし碧い天 橋本凉子
青葉風心の悩み連れ去りぬ 橋本凉子
全快の報せに酔うているグラス 小山紀乃
元気ない金魚に塩を一つまみ 杉山ひさゆき
今剥いた玉子のように治ったよ 田中節子
爪を噛む癖が治った片えくぼ 萩原皐月
床上げに友が一本下げて来る 蛯原正弘
退院の荷造りをして七分粥 水田象介
ストレスを直す二合の美酒がある 山本芳男
たかが盲腸もう大丈夫初夏の街 前川千津子
手応えが少しずつ出るリハビリー 上村さな恵
花粉症やっと治して素顔見せ 倉田雄登美
失恋の痛手消えたかよく食べる 黒嶋海童
効能書どおりに効くのオロナイン 長島敏子
すぐ治るそんなに浅い傷でない 山口ヨシヱ
晴々と出る病院へ振り向かず 椙元世津
夏めいて腰の痛みも治り切り 長川哲夫
仲直りしたが相手の芯さぐる 坂下安伸
おもいっきり買物頭痛吹きとばす 沼尾美智子
寒気なら一杯やって寝りゃ治る 上原翔
気配りの背へ治ったと言うておく 小山紀乃
枯れかけた木に添え木する水をやる 竹下かすみ
実は未だ痛いと看護婦に甘え 島田握夢
治っても退院したくない事情 杉山ひさゆき
治らないカルテ治ると信じてる 室田隆司
治りかけバッグに座薬持ち歩く 室田隆司
治りました早期発見癌に勝つ 内藤夢彦
死にかけた傷をみんなに見せたがる 黒嶋海童
今日の傷茶の間で治す笑い声 山中忠
日にち薬ですねと友をなぐさめる 椙元世津
半分はゆっくり寝ると治る風邪 増田左代子
カサブタが出来て傷口痒くなり 村上静子

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兼題  「らくらく」  村上氷筆 選
楽勝でしたと目標が低過ぎる 島田握夢
ふっきれて気楽トンボのにぎり飯 竹下かすみ
楽々とまだ齧ってる親の脛 佐藤純一
簡単に嘘を見破るコツひとつ 小山紀乃
散らかしてゴロ寝して妻子出かけた日 みぎわはな
楽々と見えるバツ一火の車 小島知無庵
三人掛けへ二人楽々腰かける 村上静子
シナリオのレールを走る御曹司 内田秀章
らくらくと私を超えて娘は翔んだ 宮本喜明
まだいける一段抜かして駆け上がる 河端世起子
パソコンをらくらくいじりそばすすり 樋口祐子
らくらく抜けそうな句をイケズな選者が落す 青木公輔
失恋よチチンプイプイ飛んで行け 竹内一人
ごちそうを前にケロリとなる痛手 上原翔
楽々と着こなせますよアッパッパ 水上たお子
朝昼晩何でもチンして食べてます 河端世起子
ハードルを妻がしっかり下げてくれ 長川哲夫
スロープは楽だと言うけど長い 島田握夢
ハッカーの目に晒される兎小屋 竹内一人
これからは楽々ほんま頑張った 杉山ひさゆき
湯の宿の時計も見ない遅い朝 坂下安伸
仕送りをさせて遊んで貢がせて 室田隆司
楽勝の夢を破った気の緩み 山本芳男
らくらくと男操る白い指 黒嶋海童
楽々と背負った老母に不幸詫び 内田秀章
悠悠自適当面の敵は認知症 荒垣秋野
らくらくとフリーサイズの仲間入り 蛯原正弘
オンブに抱っこしてくれそうな彼探す みぎわはな
楽々と抱き上げていた新婚時 水田象介
ハードルは低めに置いている老後 黒嶋海童
楽々と生きたい賽の角削る 村岡義博
年金に楽ではないと釘の錆 竹下かすみ
目のウロコ楽に落とせぬ自我がある 上村さな恵
呼吸楽々みどりの森に抱かれて 長島敏子
楽々と死なせるもんか天の声 長野峰明
亡母の辞書に楽々などは見えぬまま 山本ひさゑ
楽々の友見て悔し逆上がり 坂下安伸
楽々と修羅場を抜けてゆくウナギ 村岡義博
楽々と十人生んで枯れぬ母 山中忠
楽々と煽てに乗った竹トンボ 大栗智恵子
フリーサイズにしてから男近寄らぬ 辰巳和子
再会に楽々とけたもつれ糸 仲田秀子
ローギヤに落として楽な夫婦坂 赤井花城
楽々の星が瞬く露天風呂 長野峰明
楽々と老母を抱きあげこみあげる 村上静子
天地人楽々取って目が覚めた 村上氷筆

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兼題  「胸」  佐藤純一 選
胸の中割ってみせたいひとがいる 中西保子
あの日から胸に旅人一人住む 長川哲夫
胸のうちたっぷりと聞く酒を酌む 村上氷筆
表札が胸を張ってる子沢山 大栗智恵子
胸割いて見せねば信じない無実 赤井花城
花買って胸のすき間に火を点す 樋口祐子
本物かちょっと触っただけなのに 豊野光子
抵抗をいつも感じている胸囲 前川千津子
胸を張りもうひと花と紅をひく 倉田雄登美
ほっとした胸の隙間の妥協癖 小山紀乃
聞いてから重荷になった胸の内 椙元世津
胸叩き従いてこいよとなぜ言えぬ 山口ヨシヱ
なによりも胸が自慢の私です 内藤夢彦
ペチャパイが膨らみ切って母となる 水上たお子
ストレスの重みで胸が垂れてゆく 村岡義博
胸ひとつ叩いてからの武者震い 山本ひさゑ
火の玉が胸の底から吹き上がる 小島知無庵
一期一会の風と割り切る胸の奥 上村さな恵
叶姉妹の胸のラインに目のやりば 沼尾美智子
鳩胸がボクの背を突く満員車 内田秀章
胸板の厚い男で朴訥で 黒嶋海童
胸きゅんと音がしたので汽車に乗る 中西保子
片思いおんなになれぬ夜はつづく 宮本喜明
五線譜に乗せて贈った胸のうち 長川哲夫
胸焼けへ番茶が似合うふかし芋 上原翔
私の胸のうちでよからぬ物語が芽生え 青木公輔
気を付けろ胸に一物ある素振り 竹内一人
秘めていた小さな拳うずきだす 竹下かすみ
母の胸をピカソのペンで描いてみた 松下比ろ志
時雨きてまた疼きだす双乳房 長島敏子
火種ひとつ胸におさめて日々過ごす 中本三桂
迷い道あなたの胸に辿りつく 辰巳和子
顔よりも胸が主役のニュールック 蛯原正弘
子を産まぬ胸が哀しいほどきれい 内田秀章
蠢くのは妬心か敗北感なのか みぎわはな
ロザリオに胸のすき間をのぞかれる 上村さな恵
ときめいた頃の谷間はもっと上 みぎわはな
胸さわぎだけで終った文化祭 蛯原正弘
与謝野晶子に傾倒してる薄い胸 島田握夢
胸の火を燃やしすぎたか枯ススキ 吉川千穂
日記封印失恋の傷癒えるまで 長島敏子
胸底のマグマ抑えている無口 小山紀乃
言い勝ってむなしい炎胸に抱く 山本芳男
十字組む乙女の胸にすむマリア 村上氷筆
思慕の胸今陽炎の真向いに 長島敏子
傘は一本胸を痛めたことがある 佐藤純一

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【出席者】 (順不同・敬称略)
上村さな恵 内藤 夢彦 村上 氷筆 長野 峰明 坂下 安伸 室田 隆司
大栗智恵子 佐藤 純一 内田 秀章 水上たお子 沼尾美智子 上原  翔
蛯原 正弘 水田 象介 長川 哲夫 黒嶋 海童 倉田雄登美 増田左代子
長島 敏子 山本 芳男 山中  忠 仲田 秀子 神田 巳珠 豊野 光子
花田 俊枝 小山 紀乃 小島知無庵 椙元 世津 橋本 凉子 荒垣 秋野
松下比ろ志 村上 静子 みぎわはな 村岡 義博 萩原 皐月 中西 保子
尾畑 晴代 辰巳 和子 前川千津子 山口ヨシヱ 島田 握夢 杉山ひさゆき
樋口 祐子 赤井 花城

【投 句】
田中 節子 吉川 千穂 竹下かすみ 竹内 一人 山本ひさゑ 宮本 喜明
中本 三桂 青木 公輔

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