平成17年3月27日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「春雑感」 島田握夢 選
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花見には行かんと飯に花鰹 |
田中節子 |
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春の香を食べて嬉しいよもぎ餅 |
内藤夢彦 |
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急ぎ立てられしゃべくりまくる春の舌 |
田中節子 |
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啓蟄の虫に一枚脱がされる |
辰巳和子 |
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栄転も左遷も越えた遠い春 |
森山勝彦 |
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サクラサク我が家の春が始動する |
内田秀章 |
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春先の愁い眼を病む日曜日 |
前川千津子 |
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ランドセル春の息吹を詰めている |
夢野原子力 |
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藍染めの深さに春と呼吸する |
吉川千穂 |
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ウエストは春の鼓動を避けている |
平井千秋 |
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桜餅供えて彼岸ほっとする |
前川千津子 |
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花の春来たが誤解がまだ解けぬ |
室田隆司 |
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魂を洗濯に出す春うらら |
辰巳和子 |
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雪どけの水で再起の顔洗う |
山中忠 |
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ほどほどに老いて再会月おぼろ |
仲田秀子 |
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ふくらんだ蕾の下で足を止め |
椙元世津 |
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春近ししあわせしっぽ燻します |
吉川千穂 |
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うたた寝の鼻の頭に蝶が来る |
水田象介 |
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来るひとがまだ来ない駅桜舞う |
仲田秀子 |
ラ |
妻か鬼かダブって見えるさくら闇 |
上村さな恵 |
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雲も春安いワインで笑い合う |
田中節子 |
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裏山に登って春のハーモニカ |
内藤夢彦 |
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遅咲きの恋も素敵な姥桜 |
河端世起子 |
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まだ浅き春に背いて友が逝く |
黒嶋海童 |
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お花見に貴方の愛も添えていく |
河端世起子 |
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逢いたくてそぞろ歩きのおぼろ月 |
山口ヨシヱ |
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薄氷のような逢びきしています |
豊野光子 |
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ゆったりと流れる雲と遊んでる |
山口ヨシヱ |
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春の闇愛の重さのひとつみつ |
吉川千穂 |
佳 |
旅立ちへ母が背中をぽんと押す |
山中忠 |
佳 |
ローカル線ゆっくり春を追って行く |
荒垣秋野 |
佳 |
いかなごを貰ってからに気付く春 |
椙元世津 |
佳 |
旅人のふりして春の町を行く |
樋口祐子 |
佳 |
やがて咲く桜へ便り書きやすい |
前川千津子 |
人 |
春うらら何でこんなに金が出る |
水田象介 |
地 |
情けない男のままで春を待つ |
山中忠 |
天 |
梅林へ母の歩幅で連れて出る |
辰巳和子 |
軸 |
付け乳首やろかとバカが姦しい |
島田握夢 |
兼題 「誰」 森山勝彦 選
ラ |
Aの母Bの父からOの僕 |
水田象介 |
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ライブドアシーラカンスと話し合い |
豊野光子 |
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誰いうとなしに噂が風に乗る |
上月智恵子 |
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含み笑いの中で誰かをかばってる |
青木公輔 |
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ふと思う誰がためにあくせく生きた |
荒垣秋野 |
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あなた誰悲しい言葉はく姑 |
平井千秋 |
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気取らないマドンナ誰にでも好かれ |
内田秀章 |
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誰がために鳴っているのか春の鐘 |
山口ヨシヱ |
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あの話題誰が喋った梅が咲く |
山田蔦路 |
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本心を誰も言わないししおどし |
萩原皐月 |
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合格発表誰かが涙流してる |
里嘉矩 |
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誰かを待ってる一人っ子のブランコ |
増田左代子 |
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たそがれの甘い誘いに乗ってみる |
室田隆司 |
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誰もみな幸せがあり花時計 |
椙元世津 |
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小雪舞う森の時計で誰を待つ |
吉川千穂 |
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誰に会うのかコラーゲンをたんと塗り |
樋口祐子 |
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待つことになれた女のコンパクト |
吉川千穂 |
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私の涙を拭いてくれるのは誰 |
みぎわはな |
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不吉な予感この子誰にも似ていない |
室田隆司 |
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誰かしら花を手向ける事故の跡 |
水上たお子 |
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逆縁の荒野に誰の火か赤い |
宮本喜明 |
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誰からも好かれたいので骨を抜く |
黒嶋海童 |
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誰ひとり欠けず育てたのが自慢 |
上原翔 |
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初日の出きっと誰もが手を合わす |
竹下かすみ |
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名も知らぬ無言のまんま会釈する |
山田蔦路 |
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誰彼と握った手から生まれる和 |
坂下安伸 |
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誰とでも仲良く出来る片えくぼ |
大栗智恵子 |
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路地裏は誰かと解る靴の音 |
斎藤功 |
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誰よりも貴方のそばにいたい夜 |
内田秀章 |
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雪月花いつも誰かが側に居る |
赤井花城 |
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引き金を握っているのは誰だろう |
大栗智恵子 |
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改札で誰を待つのかいい女 |
吉川千穂 |
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芸能誌誰かを斬って生きのびる |
上村さな恵 |
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今聞いておかねば誰も居なくなる |
赤井花城 |
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もう誰も叱ってくれぬ夜の底 |
大栗智恵子 |
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誰彼と云わず老婆のありがとう |
尾畑晴代 |
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あなたはどなた痴呆の老母に見捨てられ |
尾畑晴代 |
佳 |
談合の扉を抉じ開ける誰何 |
竹内一人 |
佳 |
誰にでも微笑みくれる野の仏 |
山中忠 |
佳 |
鳩尾に誰も仏の顔を彫る |
山中忠 |
佳 |
誰がために純白に咲く冬薔薇 |
辰巳和子 |
佳 |
螺旋階段誰も無口なまま登る |
萩原皐月 |
人 |
誰だろう地球を壊す咀嚼音 |
山本芳男 |
地 |
誰にも負けず君を愛した紅椿 |
仲田秀子 |
天 |
火の輪くぐり誰もわたしを止められぬ |
山本ひさゑ |
軸 |
誰だってつまには言えぬ夢を見る |
森山勝彦 |
兼題 「例」 内田秀章 選
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例外にすればわたしの美人論 |
山本ひさゑ |
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例としてあげるとすれば亡父だろう |
宮本喜明 |
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プラス志向の例え話にかがやく瞳 |
増田左代子 |
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例外はイヤよ私を本命に |
みぎわはな |
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例え話にいやな女の名を連ね |
青木公輔 |
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参考になるかあんなフカみたいな男 |
島田握夢 |
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例題のあと難問がまだ解けず |
赤井花城 |
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例題に右脳なかなか点火せず |
吉川千穂 |
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またしても例え話にごまかされ |
内藤夢彦 |
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ワンマンは前例などは気にしない |
山田蔦路 |
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会心の句が同想で裁かれる |
上原翔 |
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前例で判断できぬ新世紀 |
内藤夢彦 |
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例により虫も殺さぬ電話口 |
森山勝彦 |
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なまけると父さんのようになるわよ |
水田象介 |
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例外を知らずに泣いた土踏まず |
樋口祐子 |
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例外をひとつ作って穴を掘る |
萩原皐月 |
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例外はない神に委任する命 |
荒垣秋野 |
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例年の顔ぶれ居酒屋に揃い |
椙元世津 |
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例えばに本音を入れる唐辛子 |
山中忠 |
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例外もあるとなぐさめ云う主治医 |
尾畑晴代 |
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一例を挙げて説得まだ続く |
上月智恵子 |
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例えばが本論よりも長くなる |
倉田雄登美 |
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例外を承知で旗を振ってみる |
大栗智恵子 |
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例あげて説得をする不登校 |
前川千津子 |
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例により子役が喝采あびている |
大栗智恵子 |
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例年の顔がそろった花の宴 |
仲田秀子 |
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例えばの助言にいつも救われる |
辰巳和子 |
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例外を殺し文句で責めてくる |
樋口祐子 |
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例外を許して甘い親でいる |
室田隆司 |
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前例を破る勇気の欲しい春 |
山口ヨシヱ |
ラ |
あの人は例外という変り者 |
椙元世津 |
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待ち合わせ別々に来る例の場所 |
坂下安伸 |
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例えばの話ピントが外れてる |
萩原皐月 |
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前例にこだわりすぎて芽が出ない |
山口ヨシヱ |
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例えばの話の中にあるヒント |
中本三桂 |
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前例を破ると走りやすい道 |
上村さな恵 |
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他人の妻を花に例える癖がある |
上村さな恵 |
佳 |
容赦なく先例捨ててゆく振子 |
山中忠 |
佳 |
ころんでもダルマは例の顔で起き |
森山勝彦 |
佳 |
前例を破る勇気を持たぬ木偶 |
水上たお子 |
佳 |
前例をなぞる遣る気の無い役所 |
竹内一人 |
佳 |
さりげなく例え話で子を諭す |
辰巳和子 |
人 |
例文で打つ義理がらみの電報 |
みぎわはな |
地 |
判例の通りに裁き裁かれる |
赤井花城 |
天 |
前例の無い抜擢を受ける春 |
黒嶋海童 |
軸 |
女性知事へ特例認めない土俵 |
内田秀章 |
兼題 「損」 山中忠 選
ラ |
S席って言うけど一列ちがうだけ |
島田握夢 |
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いい人と云われて損をするばかり |
内藤夢彦 |
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家中を敵に回した決算期 |
竹内一人 |
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ハンサムが口の悪さで損してる |
辰巳和子 |
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パチンコの玉が謀叛を起してる |
上月智恵子 |
|
損ばかりすると動かぬ奴が言う |
室田隆司 |
|
仕損じたあとのフォローで認められ |
みぎわはな |
|
飲めなくて損ねと美女の薄わらい |
森山勝彦 |
|
選りに選って私の横へえらい美女 |
島田握夢 |
|
損してもまた買うパパの宝くじ |
仲田秀子 |
|
母親似だったら得をしてたのに |
平井千秋 |
|
背の高い僕は目立って叱られる |
前川千津子 |
|
割り勘の端数でいつも損をする |
辰巳和子 |
|
父さんも爺さんも又損な顔 |
水田象介 |
|
国宝級の腕は損得考えぬ |
上村さな恵 |
|
バーゲンで損した事はだまってる |
増田左代子 |
|
母さんは兄ちゃんばっかり可愛がる |
平井千秋 |
|
持ってけと損はしてない叩き売り |
上原翔 |
|
損ばかりしているようで徳を積み |
みぎわはな |
|
わたくしに似合う寸法の服がない |
萩原皐月 |
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振り向けば山ほど損を積んで冬 |
黒嶋海童 |
|
早とちりしたかと思う茶が苦い |
大栗智恵子 |
|
損得ににぶい夫婦に茶が旨い |
山本ひさゑ |
|
すりへった印に損得絡んでる |
吉川千穂 |
|
買い過ぎた特価の玉子どうしよう |
豊野光子 |
|
親切で貸したお金に裏切られ |
吉川千穂 |
|
損もまたいいではないか陽は昇る |
宮本喜明 |
|
割り勘のお釣りもらわぬまま別れ |
室田隆司 |
|
口出しをしすぎて損に気付かない |
椙元世津 |
|
早起きをしたのにバスに乗り遅れ |
河端世起子 |
|
損得の器に今日も夢を盛る |
山本芳男 |
|
損な役妻に負わせて母を看る |
黒嶋海童 |
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損ばかりしているわりに肥ってる |
内藤夢彦 |
|
売るまでは損してないと株を抱く |
上原翔 |
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髪型とメガネで少し損してる |
辰巳和子 |
|
夢を買ったと慰める宝くじ |
上原翔 |
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母の愛損得なしに抱きとめる |
倉田雄登美 |
佳 |
苦労性好んで母の損な役 |
赤井花城 |
佳 |
性格の強さへ誤解されたまま |
前川千津子 |
佳 |
縁の下陽の目を見ずに忘れられ |
椙元世津 |
佳 |
掻き分けることは苦手で一歩引く |
山口ヨシヱ |
佳 |
一言が多くて糸がもつれ出す |
大栗智恵子 |
人 |
上出来の色紙へぽとり墨が落ち |
森山勝彦 |
地 |
正直すぎて損ばかりでも父が好き |
平井千秋 |
天 |
買う方が安いくぎ煮を子へ送る |
内田秀章 |
軸 |
損をするくじを黙って引いている |
山中忠 |
兼題 「爪」 黒嶋海童 選
ラ |
爪弾きで粋な昔が偲ばれる |
水上たお子 |
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猫までが朝がえり待ち爪磨く |
豊野光子 |
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抱いた猫爪を隠して瞳を細め |
内田秀章 |
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デートにはネールにハート描いてゆく |
内藤夢彦 |
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達磨さんそろそろ切ろう足の爪 |
斎藤功 |
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トイレに行きたいのにマニキュア乾かない |
島田握夢 |
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手の内を読まれ思案の爪を咬む |
辰巳和子 |
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デート前胸ときめかせ塗るネイル |
河端世起子 |
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百万積まれてもお断りです爪の垢 |
島田握夢 |
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爪を研ぐやさしい顔は崩さずに |
山中忠 |
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のうてんきわたしのつめがよくのびる |
吉川千穂 |
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シャネル五番老いた野獣が爪を研ぐ |
神田巳珠 |
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災害復興すごい爪痕に負けず |
椙元世津 |
|
不愉快なことは忘れろ爪を切る |
山田蔦路 |
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赤ちゃんの爪やわらかく梅匂う |
萩原皐月 |
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マニキュアはせずとも爪は桜色 |
赤井花城 |
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爪あとが深くて森へ迷い込む |
山口ヨシヱ |
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妥協など決してしない足の爪 |
吉川千穂 |
|
爪研いだ妻へ堂々朝帰り |
坂下安伸 |
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生きている手足の爪が苦労する |
中本三桂 |
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蜘蛛のよな爪で料理をまぜている |
荒垣秋野 |
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幸せを踏みしめている足の爪 |
吉川千穂 |
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待ちぼうけきっと角だす爪を出す |
樋口祐子 |
|
ひらがなのポーズで美女が爪を切る |
森山勝彦 |
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爪痕をつけてほしくて恋をする |
森山勝彦 |
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爪立てて忍んでみたい炎の女 |
山口ヨシヱ |
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爪磨く女は強いものと知る |
室田隆司 |
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小抽斗名前を書いて髪と爪 |
神田巳珠 |
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負け犬でいいサたっぷり爪を塗る |
室田隆司 |
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生き過ぎることなんてない爪の色 |
赤井花城 |
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年金の枠も知らずに伸びる爪 |
大栗智恵子 |
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ままごとの爪にびっしり春の土 |
田中節子 |
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欠けた爪けなげに生きた化身です |
山中忠 |
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娘のつめはハートに星に華やかに |
河端世起子 |
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爪は時々情け知らずの武器となる |
上村さな恵 |
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赤ちゃんを抱かせて貰う爪を切る |
辰巳和子 |
佳 |
爪丸く切って二度目の職につく |
大栗智恵子 |
佳 |
病む父の爪を切る手をまず温め |
辰巳和子 |
佳 |
母さんと爪先立ちの背くらべ |
豊野光子 |
佳 |
腹が邪魔して足の爪が切れぬ |
島田握夢 |
佳 |
父さんとよく似た爪を好きになる |
平井千秋 |
人 |
爪に火を点した財を子が潰す |
みぎわはな |
地 |
赤い爪うわさ話は逃さない |
山中忠 |
天 |
あやとりも童話も忘れ爪を塗る |
上村さな恵 |
軸 |
人誹る爪は磨かぬことにする |
黒嶋海童 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
吉川 千穂 |
内田 秀章 |
室田 隆司 |
大栗智恵子 |
水上たお子 |
森山 勝彦 |
神田 巳珠 |
上村さな恵 |
山口ヨシヱ |
尾畑 晴代 |
豊野 光子 |
黒嶋 海童 |
河端世起子 |
山中 忠 |
斎藤 功 |
山田 蔦路 |
水田 象介 |
辰巳 和子 |
椙元 世津 |
内藤 夢彦 |
仲田 秀子 |
荒垣 秋野 |
田中 節子 |
夢野原子力 |
平井 千秋 |
島田 握夢 |
萩原 皐月 |
前川千津子 |
里 嘉矩 |
樋口 祐子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
中本 三桂 |
上原 翔 |
竹下かすみ |
増田左代子 |
山本 芳男 |
山本ひさゑ |
倉田雄登美 |
宮本 喜明 |
みぎわはな |
竹内 一人 |
上月智恵子 |
青木 公輔 |
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