平成16年3月21日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
一つ前へ   一番上へ   ホームへ   次へ
特別席題  「鳥」  萩原典呼 選
焼き鳥にされて幸せだと思う 内田秀章
ひな鳥の涙もろさは父ゆずり 上村さな恵
鳥が舞う静かに眠れ水子塚 斎藤功
埋められた鳥のお化けが出そうなり 前川千津子
カラス啼く丹波の里にきらわれて 水田象介
白鳥の群より白くひとを恋う 泉比呂史
会長を呼びすてにする九官鳥 蛯原正弘
もう氷溶けたか渡り鳥帰る 長島敏子
縺れあう鳥の行方を追うひとり 椙元世津
鳥になり空から下界見てみたい 竹下かすみ
鳥帰る故郷に会いたいひとがいる 仲田秀子
焼き鳥屋が近くに在るような匂い 島田握夢
明日までの命と知らず鶏は生む 古谷日出夫
甘くない世間へ鳥が飛んでゆく 御影静
うぐいすが春を音痴で鳴きはじめ 小西慶子
お日様も土のにおいも知らぬ鳥 増田左代子
放漫な男を刺した鳥の意地 山本芳男
母鳥の餌ひたすらに待つつばめ 仲田秀子
九官鳥言葉の乱れ苦にしない 黒嶋海童
公園の鳩に淋しさ盗まれる 泉比呂史
寝たきりへ小鳥囀り春を告げ 内田秀章
失恋の空虚へ手乗り文鳥を買う 島田握夢
なぜ飛べぬあひる或る日の悩み事 山本ひさゑ
生ごみを狙う鴉と知恵くらべ 小坂信子
春告げる鳥に誘われスニーカー 水上たお子
花ムコがコロコロ変わる庭の鳥 田中節子
椋鳥の大群まるでヒチコック 水田象介
小鳥だと言うから油断してしまう 大栗智恵子
鳥の風邪うちの商い暗い日々 前川千津子
夢の中まで鶏が鳴き叫ぶ 田中節子
灯台守のさみしさ知っているカモメ 泉比呂史
鳥に成る夢ばかりみる妻で母で 山本ひさゑ
よそいきの声で持て成す九官鳥 小西慶子
鳥たちは予防注射を待ち侘びて 奥平駿曳
ひとり暮らしに九官鳥へ愛がある 中本三桂
小鳥飼い始め朝寝がしておれず 福島直球
鳥ウイルスどうせ年だと安く食べ 斎藤功
曼陀羅の海を渡って逝った鳥 上村さな恵
血統書のない鳩も同んなじ顔してる 島田握夢
文鳥も時々空が欲しくなる 長島敏子
あれこれとあっても鳥屋鳥を焼く 黒嶋海童
鴻鵠になれよと祈り子を育て 黒嶋海童
飽食の死角でカラスよく太る 大栗智恵子
新聞をうらめしく讀み鳥を焼く 坂下安伸
渡り鳥ホンマにお前ホシなんか 小島知無庵
皇室へ運んで欲しいコウノトリ 萩原典呼

一つ前へ   一番上へ   ホームへ   次へ
兼題  「期待」  倭玄海 選
お待たせと満中陰に後家ニコリ 小島知無庵
面接日穴の空く程見詰められ 大橋克己
期待され今年も釘煮ドンと炊く 水上たお子
義理チョコを播いて収穫当てにする 室田隆司
武騎乗期待ふくらむハルウララ 内田秀章
期待などするから腹の立つ粗品 黒嶋海童
悉く親の期待を無に帰す 黒嶋海童
ある期待うわさに尻尾つけている 長野峰明
一本の藁にすがっている希み 赤井花城
期待などしない木枯らし吹く道で みぎわはな
期待したとおりに弾むアロハオエ 前川千津子
若しやもし期待へ駆けるハルウララ 坂下安伸
茶柱が立ったささやかなる期待 御影静
かも知れぬ期待に並ぶ長い列 長野峰明
いい旅になりそう美女と隣り合う 黒嶋海童
少し期待夫の美学のオムライス 山本ひさゑ
通販の期待外れの色で来る 山本ひさゑ
露天風呂期待通りの星月夜 椙元世津
就職活動にくたびれた期待 増田左代子
バーチャルな恋があなたに弾けそう 村上氷筆
以下同文にされて凋んだ期待感 村上氷筆
期待せぬ方が失望せずにすみ 福島直球
宣伝へ期待しすぎた養毛剤 中西保子
釘一本打てない婿の肉を買う 増田左代子
勝って欲し負けても欲しいハルウララ 村岡義博
春ですね風の誘いにゆらぐ耳朶 山中忠
期待せなんだ方が情のある子に育ち 島田握夢
子の夢に期待を乗せて島を出す 古谷日出夫
風船が萎む期待されすぎて 長島敏子
期待ばかりされて外せぬ面がある 山本ひさゑ
明日入社星満天の夜明け待つ 奥平駿曳
心付けを先に包んでいる期待 上原翔
すこし期待あってボートにおんな乗る 泉比呂史
王道を孫に歩かせたい祖父母 竹内一人
奥さんが上目使いに注いでくる 水田象介
片意地で期待裏切り仮面ぬぐ 前田久雄
集まると孫はまだかと言う目つき 萩原典呼
息子に期待しない田畑の土おこし 増田左代子
期待した程でなかった箸袋 古谷日出夫
神童がにんげんになり無位無官 みぎわはな
神童もやがて恋する唯の人 長野峰明
四柱推命期待のとおり女難です 森山勝彦
人生に期待は出来ぬ蝸牛 吉川千穂
期待する子には重かろ赤い門 倭玄海

一つ前へ   一番上へ   ホームへ   次へ
兼題  「目立つ」  中西保子 選
目立つのが好きでとことんお人好し 御影静
運動会赤いリボンがうちの孫 仲田秀子
卒園児に付き添っている孔雀ママ 上原翔
春の日差しに窓もわたしも磨かねば 増田左代子
ドレスアップのママが来る参観日 森山勝彦
春帽子大きくおんな演技する 泉比呂史
目立たぬが口説き上手は父譲り 倭玄海
赤いスーツで闘争心をかきたてる 上村さな恵
身を飾るダイヤも嘘もよく目立つ 中本三桂
目立っても目立たなくともマイペース 前川千津子
新人がぐんぐん伸ばす棒グラフ 大栗智恵子
葬式に喪服美人がひとり居る 黒嶋海童
六根清浄みんな目立ってみんな寂 上村さな恵
人目引くほどの貧乏主義として 奥平駿曳
アレルギー帽子にマスクサングラス 小坂信子
ライバルのフリルの傘がよく目立つ 大栗智恵子
その筋と一目で分る黒い服 黒嶋海童
祝日に日の丸揚げる家をみる 竹下かすみ
灯台の光り濃霧の守り神 森山勝彦
百人の席ネクタイの赤い人 山田蔦路
終点の鄙に茶髪の娘が帰る 坂下安伸
参観の父さんへまた手を挙げる 赤井花城
トラキチが目立つ居酒屋今しずか 前田久雄
身を退いてなお目立ちたい奴凧 斎藤功
どこか違うエアロビクスの黒一点 奥平駿曳
顔伏せて視線が通り過ぐを待つ みぎわはな
自己主張ばかりド派手なハイティーン 竹内一人
幸か不幸か日の丸はよく目立つ みぎわはな
関取りが電車に乗ってきたさすが 椙元世津
負け続け人気ナンバーワンの馬 水田象介
けばけばと世相が画く目立つ色 前田久雄
目立ちたくないってその顔では無理だ 島田握夢
宴席の紅一点がよく笑う 小山紀乃
さりげなくブランドマーク見せたがり 内藤夢彦
栄転の引っ越しご近所に会釈 萩原典呼
目立つから地味にゆこうぜ古希の恋 小島知無庵
共犯者のどちらが目立ったかは内証 青木公輔
万感のホームの陰にあるドラマ 長野峰明
佳ラ フランス料理の皿も舐めてるお父さん 村岡義博
目立たないやさしさが好き月見草 前川千津子
目立ち過ぎワルの代表者にされる 福島直球
ランジェリー売場で妻をじっと待ち 内田秀章
張り替えた障子に目立つハエである 長野峰明
宣誓の声堂々と空へ抜け 泉比呂史
大声の人がやっぱりよく目立ち 椙元世津
目立たない存在なのに画がうまい 中西保子

一つ前へ   一番上へ   ホームへ   次へ
兼題  「勇気」  黒嶋海童 選
進むのも引き返すのも勇気だろ 御影静
甲子園でひとり巨人の旗を振り 内田秀章
勇気とは美学にあらず学徒の死 倭玄海
喫ってもよろしいかいいえ困ります 村上氷筆
ノーという勇気がないとポチになる 萩原典呼
ポルノを借りたいのに真面目なのも二本 島田握夢
勇気あるナアと褒められ後は無視される 奥平駿曳
切り取り線に立って勇気がふるへ出す 山本ひさゑ
初産に姑が勇気と無我の愛 小西慶子
飛び降りる勇気は無いが覗き込む 竹内一人
玉手箱開ける勇気は持っている 神田巳珠
世直しへ矢弾を浴びに立つ勇気 古谷日出夫
時々は制限速度守ります 蛯原正弘
盃を伏せて遍路の旅につく 山中忠
いのち綱男の勇気ためされる 御影静
カミソリに喉を預けている勇気 長野峰明
勇気百倍あなたの風に背を押され 樋口祐子
無事帰国イラクに勇気などいらぬ 倭玄海
農業に一生懸けている勇気 前川千津子
喉を突く言葉を噛んでいる勇気 山本芳男
生きてゆく勇気あふれる父の背 仲田秀子
末席で勇気を出して吐く意見 仲田秀子
リハビリのあなたいるから湧く勇気 長島敏子
拳なだめなだめながらに聞く勇気 古谷日出夫
本物の勇気NOという返事 長島敏子
勇気を出して婚約指輪買いにゆく 泉比呂史
勇気などとうに無くした靴の紐 大栗智恵子
怖いもの知らず勇気と誤解され みぎわはな
ゴキブリを平気で妻は素手で捕る 水田象介
好きならばはっきり言えと亡母がいう 中西保子
長談義勇気を出して間を入れる 樋口祐子
生きてゆく芸へたしかにいる勇気 泉比呂史
勇気ある発言勇み足をする 中本三桂
鏡を見てると勇気が萎えてくる 島田握夢
デパートで値切る勇気は僕にない 福島直球
席ゆずる勇気を見事断られ 泉比呂史
金も名誉もそっちのけの正論 樋口祐子
ある勇気妻の髪型ほめてみる 森山勝彦
よその子を叱る勇気をにらまれる 森山勝彦
肚を決め内部告発する勇気 村上氷筆
母さんがスッピンで来た参観日 村岡義博
引き返す勇気は波を知り尽くす 山本芳男
妙な勇気は出すなと妻が袖を引く 島田握夢
視線みな集め化粧をし終える 椙元世津
旗を巻く勇気よ靴の砂はらう 坂下安伸
一円を拾う勇気は秘めている 黒嶋海童

一つ前へ   一番上へ   ホームへ   次へ
兼題  「道」  泉比呂史 選
世の流れ電話も道を歩いてる 小坂信子
梅の道民族衣裳とすれ違う 田中節子
横丁へそれた所にある穴場 水田象介
植樹祭ベンツの通る道が出来 大橋克己
墨壷に亡父の一本道がある 山本ひさゑ
けもの道辿ればそこに泉湧く 福島直球
降るような星と語った里の道 御影静
近道を選んで落ちた蟻地獄 森山勝彦
歩き慣れた道だしばらく手を貸そう 室田隆司
庭に咲く花を持ち寄る道の駅 福島直球
抜け道を錆びたバッジが転げ出る 長野峰明
道ひとつたがえて女神とは会えず 黒嶋海童
片道は歩きましょうかさくらさくら 長島敏子
着ぶくれとさよならしようさくら道 上村さな恵
真っ直ぐな道を信じる白い靴 山中忠
別れ道どうしましょうか地ぞう様 中西保子
近道はこちら矢印歪み出す 長島敏子
承知の上って顔で行き止まりを戻る 島田握夢
ちっぽけな童話を拾う森の道 御影静
近道を行けば踏み絵が置いてある 山本芳男
村はずれ風の別れが積もる道 赤井花城
道草もいいね未来が見えるから 竹内一人
白線のない脇道で落着かず 蛯原正弘
道けわし花野はきっとこの先に 森山勝彦
道草の数人生のかくし味 萩原典呼
踏ん張ってまた踏ん張っておらが道 斎藤功
米を研ぎ女の道を守り抜く 内田秀章
境内の近道左遷地に馴染み 内田秀章
躓いた石に教わる迷い道 長野峰明
婆ァちゃんの足を待ってる別れ道 古谷日出夫
一本の道真っすぐに父の汗 吉川千穂
急がしいので廻り道してみよう 山本ひさゑ
真直ぐな道海へ向き山に向き 椙元世津
がむしゃらの一本道が行き止る 古谷日出夫
頂点へいばらの道にある試練 中本三桂
仕合せはほどほどでよい春の道 山中忠
生きる道教えてくれた挫折の日 仲田秀子
辿り着く枯野に亡父の道しるべ 御影静
人の道父の日記を読み返す 山本芳男
海に出る道です少し狭いけど 長島敏子
この道に青春がある辞書がある 前川千津子
残された一本道をひた走る 大栗智恵子
母今も住む幻の路地の奥 赤井花城
子の好きな道を許して畑を打つ 坂下安伸
抜け道は一本もない父の地図 内田秀章
焼芋のぬくさ両手に帰る道 泉比呂史

一つ前へ   一番上へ   ホームへ   次へ

【出席者】 (順不同・敬称略)
山田 蔦路 蛯原 正弘 上原  翔 森山 勝彦 増田左代子 上村さな恵
長島 敏子 大橋 克己 長野 峰明 坂下 安伸 斎藤  功 小坂 信子
御影  静 内藤 夢彦 竹下かすみ 大栗智恵子 神田 巳珠 奥平 駿曳
内田 秀章 山中  忠 椙元 世津 室田 隆司 仲田 秀子 小西 慶子
田中 節子 古谷日出夫 村上 氷筆 中本 三桂 泉 比呂史 水田 象介
黒嶋 海童 小島知無庵 倭  玄海 山本 芳男 村岡 義博 水上たお子
中西 保子 前川千津子 島田 握夢 福島 直球 萩原 典呼 山本ひさゑ
樋口 祐子 赤井 花城

【投 句】
前田 久雄 竹内 一人 吉川 千穂 小山 紀乃 みぎわはな 青木 公輔

※作品の著作権は、全てきやびん川柳会に帰属しています。無断転載、無断使用はご遠慮ください。