平成16年1月18日
神戸市勤労会館


今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)

(ラはラッキー賞)
一つ前へ   一番上へ   ホームへ   次へ
特別席題  「あの日(時)」  奥平駿曵 選
二度目の職やめたあの日の勇み足 森山勝彦
日の丸を振った駅舎で泣いた妻 倭玄海
離婚したあの日のように日本晴れ 小島知無庵
あの時の心の揺れを思い出す 中西保子
あの日から日記にカギの理由がある 長野峰明
蛇の目がさあの日も雨の石畳 水田象介
雪焼けのあの日の顔は地肌かな 前田久雄
あの時を追っているのは影法師 山本芳男
あの日から地域に広がった絆 荒垣秋野
何があったのかあれからアホ程歯を磨き 島田握夢
義兄の癌知らされ酒が弱くなる 神田巳珠
忘れたい疵を覗きに来て困る 山中忠
あの日から軍靴再び響き出す 黒嶋海童
忘れたいあの日わたしをなお責める 御影静
シンプルに暮らす揺れたあの日から 沼尾美智子
忘れずに一・一七日灯を点す 小西慶子
あの日からわたしの胸に鬼が棲む 大栗智恵子
あの日から胸に宿った虹の彩 長野峰明
あの日から私の愚痴が堰をきる 樋口祐子
あの日から十年リハビリをまだ続け 福島直球
握手した日から洗えぬ右手です 長島敏子
復員船本土が見えた日の歓喜 古谷日出夫
あの時の地獄に見えた空の色 長野峰明
あの時はごめんね思い込み過ぎて 小西慶子
とても気軽にあの日を語る揚羽蝶 上村さな恵
玉音にすすり泣く日の熱き午後 倭玄海
さよならの日から夕陽が胸で哭く 長島敏子
あのときのヘマで有名人になり 福島直球
入籍の時から態度でかくなり 大橋克己
吊橋を渡ってしまったのは運命 みぎわはな
あの時が運命変えたダム工事 新里俊郎
あの時の紅蓮の焔いまもなお 内藤夢彦
一一七神の怒りに震えた日 水田象介
あの日から九年経っても骨疼く 内藤夢彦
無言劇あの日と同じあかね雲 前田久雄
あの時の君の瞳を信じよう 黒嶋海童
あの日から少女は大人になりました 上村さな恵
後悔が尽きぬあの日に挙げた素手 長島敏子
あの日から妻は冷たい石となる 黒嶋海童
あの時を叱ってくれた真の友 村上氷筆
あの時はあの時今は今と逃げ 奥平駿曳

一つ前へ   一番上へ   ホームへ   次へ
兼題  「縁」  仲田秀子 選
縁薄い子へ書いている母の絵馬 山本芳男
縁日に誘っただけの縁だった 萩原皐月
笹舟の記憶へ乗せた淡い縁 長野峰明
残高はゼロでも妻はそばにいる 山中忠
他人でも親子のような深い縁 小島知無庵
味な縁私に妻がひとり居る 黒嶋海童
逆縁の痛みでゆれる曼珠沙華 山本ひさゑ
ひと言が災いとなり縁が切れ 内藤夢彦
再婚どうし結び直してくれた神 中西保子
縁側で亡母の白髪を抜いたっけ 長野峰明
句会仲間今年も縁を大切に 奥平駿曳
小吉の縁起を結ぶ梅の枝 赤井花城
愛は錯覚するりと逃げて縁を切る 中本三桂
人生の黄昏で知るめぐり合い 小坂信子
良縁に花咲くドラマ散るドラマ 中本三桂
これが縁同じお墓で眠るとは 尾畑晴代
同郷の縁で話がよく弾む 小山紀乃
血縁を強く感じる顔かたち 小島知無庵
おちからになりましたかね縁の下 増田左代子
すんなりときまって迷う娘の縁談 大栗智恵子
バツ一同士不思議な縁で結ばれる 村上静子
花道に縁なく雑魚の群にいる 内田秀章
糸繰ればまだ繋がっている縁 村上氷筆
相性は多少の気儘許す妻 大橋克己
不発弾抱いて縁がまた続く 斎藤功
濡れ縁へうっすら雪の置き土産 神田巳珠
よそ行きの顔先輩の縁頼ってる 山田蔦路
言い訳を重ねて縁が遠くなる 御影静
今日もまた縁台将棋誘われる 神田巳珠
逆縁の子の歳を繰る影を追う 山本芳男
この縁談纏めてほしい娘も三十路 倭玄海
残り火がほどよく燃える良いご縁 上村さな恵
切れるなら切りたい縁と妻が言う 黒嶋海童
良縁と納得をした銀婚日 森山勝彦
腐れ縁月日重ねて凭れ合う 水上たお子
しみじみと深い縁の寝顔見る 黒嶋海童
水いらずこのままでいい米を研ぐ 山中忠
このお茶が深い縁となる予感 森山勝彦
伸び縮みしても放さぬ紅い紐 古谷日出夫
降る雪が等しく包む無縁墓 斎藤功
良縁を祈る三十路の初詣で 仲田秀子

一つ前へ   一番上へ   ホームへ   次へ
兼題  「電話」  村上静子 選
いい電話らしいトーンが柔らかい 黒嶋海童
クレームの電話は部下に押しつける 黒嶋海童
みぞれ降る電話の欲しい夜もある 上村さな恵
内定の電話トイレへ呼びに来る 森山勝彦
行くよりは安いと妻の長電話 奥平駿曳
それぞれのストレス拾い合う電話 御影静
電話では言葉やさしいお嫁さん 増田左代子
携帯の機能殆んど寝たまんま 上原翔
留守電に入れる電話がぎこちない 水上たお子
まどろみへ電話が連れて来る不安 上原翔
早鐘が胸打つ受話器置いてから 赤井花城
ケイタイが必要になった人が出来 水田象介
独り居の老母に携帯教え込む みぎわはな
せめて声聞きたくなって鳴らすベル 長島敏子
電話口有無を言わせぬ飲む誘い 中西保子
ダイヤルを回しつづける淋しい日 荒垣秋野
受話器取りまた置き思案まとまらず 福島直球
電話口トイレを流す音がする 島田握夢
長電話さらりとそばに砂時計 山田蔦路
耳寄りな話をすぐに電話する 水上たお子
留守電を消すのが惜しいメッセージ 山中忠
電話では言えぬメールを読んでくれ 室田隆司
留守番電話くり返し聞く君の声 小西慶子
こみ入った話に受話器重くなる 黒嶋海童
まだ会社やと飲み屋の前から電話 島田握夢
合否聞く電話動悸が収まらず 福島直球
悪友の知恵借り妻に電話する 内田秀章
挨拶からはじまる女の長電話 萩原皐月
用件だけで終わる電話がもの足りぬ 萩原皐月
雪の日は雪から追伸の電話 沼尾美智子
剣幕の電話へ受話器持ち直す 山本芳男
長電話とどのつまりが死ぬはなし 御影静
娘に電話部屋に男がいるらしい 室田隆司
深々と頭を下げるいい電話 内田秀章
静座して嬉しい電話待っている 山田蔦路
ふたりだけの会話を知っている電話 仲田秀子
電話口互いに声の艶を褒め 古谷日出夫
再会を約す電話にある鼓動 上村さな恵
おくやみの言葉失う電話口 小西慶子
独り住む老母へ毎晩電話かけ 内田秀章
テレビの電話一瞬家のかと思い 村上静子

一つ前へ   一番上へ   ホームへ   次へ
兼題  「甘い」  村上氷筆 選
四季の花甘いジョークに狂い出す 御影静
セレナーデ二人寄り添う帰り道 森山勝彦
末っ子の煽て上手につい踊り みぎわはな
甘いつめ大物にがす法の網 長野峰明
子に甘い親も過保護に育てられ 荒垣秋野
ねじの甘さ子育てどこか狂ってる 中西保子
喉飴の甘さに人をまた許す 長島敏子
甘いネとつぶやき黙す最古参 室田隆司
甘えたれの彼氏を彼女捨て切れず 福島直球
ワンマンも膝の孫には甘くなる 黒嶋海童
甘いなと性善説の君へ言う 福島直球
甘党がひとり話の腰を折る 大栗智恵子
危機管理能力欠いた馬の耳 上原翔
囁きの甘さに揺れるイヤリング 上月智恵子
ずぼらした甘い躾がすねを噛む 長野峰明
渋面は作って見せる鼻の下 上原翔
君へ傾く甘い香りの黄水仙 御影静
五百羅漢のひとつは甘い父の顔 上村さな恵
半生の自己採点はやや甘目 赤井花城
人間が人間を狩る甘い罠 竹内一人
母好み甘さ抑えたくぎ煮便 大橋克己
イケメンの甘い言葉に鬼が棲む 内田秀章
蜜吸いに途中下車する天下り 内田秀章
親の敷く甘いレールが軋みだす 古谷日出夫
ホットケーキで蜜を拭き取るように食べ 島田握夢
気紛れな心を突いた甘い罠 山本芳男
横波に詰めの甘さを攫われる 長島敏子
おじさんに甘え上手な鼻ピアス 長島敏子
甘い物蟻とジゴロは見逃さぬ 黒嶋海童
それまでの甘さが消えた玉手筥 山本ひさゑ
この歳で知ってしまった蜜の味 水田象介
本当の甘さを塩に問うてみる 神田巳珠
甘い水飲んで出られぬ蟻地獄 森山勝彦
甘いこと素直にきけぬ都落ち 坂下安伸
今はもう甘える姑がいとおしい 増田左代子
スープ皿甘い月日が錆びてくる 山本ひさゑ
考えの甘い男を塩もみに 山本ひさゑ
苦労した割には甘いおくれ髪 小山紀乃
玉留めの甘さ噂がすりぬける 沼尾美智子
冬銀河甘いさそいに溶けそうだ 山中忠
山菜花がはらり甘さを抱いたまま 萩原皐月
別腹がワクワクケーキバイキング 村上氷筆

一つ前へ   一番上へ   ホームへ   次へ
兼題  「最高」  福島直球 選
最高だ妻がしばらく留守をする 上野多恵子
露天風呂熱燗泛べ初日の出 村上氷筆
気分最高今日もあなたの傍にいて 長島敏子
風呂場から最高らしい父の唄 長野峰明
君は今最高冬の太陽だ 御影静
有頂天パチンコ玉がよく喋る 大栗智恵子
天地人三才全部一人占め 水田象介
家族みな揃って囲む鍋の湯気 黒嶋海童
最高の死方模索する八十路 尾畑晴代
芥川賞審査酔わせた十九の娘 村岡義博
最高の笑顔輝くやわらちゃん 村上氷筆
最高の旅路シグナルは青ばかり 赤井花城
無罪放免検診結果全部丸 小山紀乃
最高の妻だと逝ってから分かる 御影静
最高の椅子を狙っている野心 上野多恵子
最高に似合うエプロン姿の娘 仲田秀子
最高裁までに寿命が尽き果てる 室田隆司
最高の妻です顔を除いたら 内田秀章
最高の笑顔が囲むもみじの手 水上たお子
最高の引き際マイク置く百恵 萩原皐月
最高の学府出てから学ぶ悪 倭玄海
言葉数、少ない中のほめ言葉 上月智恵子
最高の椅子を掴んでから孤独 山本ひさゑ
最高の友達だった人思う 小坂信子
最高の笑顔に似合う薄化粧 山本芳男
茶柱に最高の出来祈る朝 仲田秀子
ハンサムな彼とふたりっきりになる 小山紀乃
最高が口癖となる差し向かい 斎藤功
最高のアドバイザーと妻をほめ 森山勝彦
体調ベストおかげでうまい飯をたべ 森山勝彦
ふる里は最高空気に味がある 上村さな恵
ひとり居に今最高と言う自由 御影静
働いた今日一日に生ビール みぎわはな
最高の気分がマイク放さない 長野峰明
病んでみてやっぱり妻と身に沁みる 村上氷筆
最高の幸せバラを抱く門出 中本三桂
最高の幸せ今かとも思う 赤井花城
最高の佳き日合格通知来る 仲田秀子
日曜の朝は最高二度寝する 小西慶子
最高の土産元気な顔帰る 黒嶋海童
最高裁あるぞと支援あきらめず 福島直球

一つ前へ   一番上へ   ホームへ   次へ

【出席者】 (順不同・敬称略)
長野 峰明 森山 勝彦 前田 久雄 山中  忠 中本 三桂 神田 巳珠
室田 隆司 沼尾美智子 大栗智恵子 村上 氷筆 内藤 夢彦 上村さな恵
山田 蔦路 中西 保子 仲田 秀子 内田 秀章 小島知無庵 増田左代子
古谷日出夫 黒嶋 海童 斎藤  功 長島 敏子 小西 慶子 田中 節子
大橋 克己 坂下 安伸 水上たお子 村岡 義博 山本 芳男 御影  静
水田 象介 奥平 駿曳 荒垣 秋野 上野多恵子 みぎわはな 村上 静子
福島 直球 島田 握夢 上原  翔 萩原 皐月 倭  玄海 新里 俊郎
樋口 祐子 赤井 花城

【投 句】
青木 公輔 小坂 信子 山本ひさゑ 竹内 一人 小山 紀乃 上月智恵子
尾畑 晴代

※作品の著作権は、全てきやびん川柳会に帰属しています。無断転載、無断使用はご遠慮ください。