平成15年11月16日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「慌てる」 中本三桂 選
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沈着な母が慌てた娘のお産 |
みぎわはな |
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乗り越して跳び降り足の骨を折る |
神田巳珠 |
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黄信号慌てる足がもつれだす |
御影静 |
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ブレーキとアクセル慌て踏み違え |
福島直球 |
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慌ててる証拠ダイヤル押しちがえ |
村上静子 |
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スピーチが途切れて出ない酒の酔い |
倭玄海 |
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慌ててる人の邪魔して怒鳴られる |
福島直球 |
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時間切れ慌てる癖を笑われる |
椙元世津 |
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即入院慌てて何も手がつかず |
村上静子 |
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慌てるなとの一喝で深呼吸 |
福島直球 |
ラ |
慌てたな身ぐるみはがれ目がさめる |
小島知無庵 |
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つるべ落し慌ててスーパーから戻り |
村上静子 |
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あてにした新米家計簿が慌て |
萩原典呼 |
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訓練と知らず煙と非常ベル |
坂下安伸 |
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震度七夫は私を置き去りに |
水田象介 |
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慌てては思わぬところで笑い取り |
上原翔 |
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悔まれる慌てて一緒になったのを |
内藤忠彦 |
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冷蔵庫へビールほり込む不意の客 |
古谷日出夫 |
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置き去りにされてツアーのバスを追う |
室田隆司 |
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言葉では慌てることはないあわて |
上原翔 |
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慌てたりしませんゴミの日のカラス |
上野多恵子 |
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ばったりと逢うて慌てるひとつ傘 |
長島敏子 |
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慌てて帰る友にひとりで仰ぐ月 |
増田左代子 |
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駆け足に気性の見える慌て者 |
奥平駿曳 |
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小走りのくせが抜けないちびた靴 |
大栗智恵子 |
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朝夕の冷え慌ただし冬支度 |
荒垣秋野 |
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十一月街のサンタは慌てもの |
中西保子 |
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フルームーン少し慌てる終の章 |
小西慶子 |
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生き下手のいつも慌てる年の暮れ |
前川千津子 |
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じか植えの苗が慌てる雪もよい |
上村さな恵 |
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早くはやくと急かされ慌てる楽天家 |
神田巳珠 |
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言い分けの急所を突いて慌てさす |
水上たお子 |
佳 |
天変地異きっと慌てる時がくる |
沼尾美智子 |
佳 |
慌てないで大人の恋は遠回り |
田中加津子 |
佳 |
今日もまたあわてて秋の陽が落ちる |
御影静 |
佳 |
慌てても慌てなくても同じバス |
奥平駿曳 |
佳 |
早霜に慌てて囲う花の苗 |
古谷日出夫 |
人 |
三度目のリストラ慌てなくなった |
上野多恵子 |
地 |
一芸がある世渡りへ慌てない |
山本芳男 |
天 |
慌てるか山河の流れ風が鳴る |
前田久雄 |
軸 |
慌てては魔の踏み切りを突っ走る |
中本三桂 |
兼題 「真似」 山本芳男 選
ラ |
真似をして上だけ叱る母の背な |
上原翔 |
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かわいい靴揃える真似をもうしてる |
増田左代子 |
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遺伝子が母の料理の味を真似 |
内藤忠彦 |
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泣き真似にオジサマたちはみんなうぶ |
萩原典呼 |
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母真似の上手い娘のかくし味 |
倭玄海 |
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咳払いまでもまねてる九官鳥 |
村上氷筆 |
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母の真似出来ても心まで出来ぬ |
山本ひさゑ |
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真似一つできぬを個性と開き直る |
奥平駿曳 |
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あらいやだ鏡が私の真似をする |
中西保子 |
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真似たがる頃が一番成長期 |
奥平駿曳 |
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舐めないでお皿子どもが真似をする |
室田隆司 |
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母さんも半袖タートル着てみよう |
中岡千代美 |
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忍術を真似てあの世へ転げ墜ち |
長野峰明 |
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真似できぬお世辞わたしを振りまわす |
上村さな恵 |
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遊ぶのも寝るのも一緒兄の真似 |
小西慶子 |
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夫婦げんかの真似をしているおままごと |
村上静子 |
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真似できぬあの生真面目さ清貧さ |
みぎわはな |
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説教へ仁王の顔を真似てみる |
斎藤功 |
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どう真似ていても私はわたしなり |
椙元世津 |
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真似られぬ余白の味に書の個性 |
森山勝彦 |
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ひまわりを真似てもゴッホ語れない |
山本ひさゑ |
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ボケの真似しているうちにそのうちに |
尾畑晴代 |
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猿真似の輩と思う許そうか |
坂下安伸 |
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ほめられて真似をしたとは言いそびれ |
荒垣秋野 |
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死んだふり真似て後悔やりすごす |
田中加津子 |
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口調だけ真似て味方のふりをする |
長島敏子 |
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真似ることから始まり真似で終る |
みぎわはな |
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式典は様式通りやればよい |
田中節子 |
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もの真似がうまく宴会もりあげる |
村上静子 |
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猿真似はすまいプライドまだ褪せぬ |
長島敏子 |
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物真似に徹して自分見失う |
御影静 |
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物真似で笑わせいじめ免れる |
室田隆司 |
佳 |
生れ落ちてから真似てまねておとな |
村岡義博 |
佳 |
メトロノーム真似て息切ればかりする |
上村さな恵 |
佳 |
盗作を誉める原作者の余裕 |
竹内一人 |
佳 |
真似ばかり自分の影を見失う |
坂下安伸 |
佳 |
にんげんの模倣は肩が凝りますね |
沼尾美智子 |
人 |
かたちだけ真似て空洞になった |
小山紀乃 |
地 |
模写をする指がだんだん寒くなる |
御影静 |
天 |
泣き真似のぼこぼこ浮いて夜の川 |
山本ひさゑ |
軸 |
真似をしたとたんに椅子が軋みだす |
山本芳男 |
兼題 「消す」 中岡千代美選
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打ち消してみてもやっぱり残る悔い |
小山紀乃 |
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打ち消した顔が笑っていい噂 |
椙元世津 |
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落書の消すのが惜しい程うまい |
長野峰明 |
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消しても消しても心の中のきのこ雲 |
沼尾美智子 |
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男の匂いスプレー一本では足りぬ |
中西保子 |
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忍ぶ恋インターネットの消し忘れ |
上原翔 |
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小さな罪消してとはずむお賽銭 |
みぎわはな |
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消さないでこの屈辱がばねになる |
室田隆司 |
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消去した過去流氷とやってきた |
田中加津子 |
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長電話たまるストレス少し消し |
内藤忠彦 |
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反省のポーズが消えた次郎の死 |
長島敏子 |
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マスコミが肩書消したスキャンダル |
中本三桂 |
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夢のある子の落書が消されない |
古谷日出夫 |
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鉛筆の意地消しゴムのすっとぼけ |
小山紀乃 |
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消しゴムで消したい昨日持ち歩く |
赤井花城 |
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こだわりは消そう天気図晴マーク |
大栗智恵子 |
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恨み事も消えた旅路の菊日和 |
上月智恵子 |
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クリアキー押しても消えぬ思慕を抱く |
古谷日出夫 |
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ナナカマド消えない疵を引きずって |
山本ひさゑ |
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二日酔い消した記憶をたどる朝 |
村上氷筆 |
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消して書き消しては書いた遺書の跡 |
荒垣秋野 |
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取り消せぬひと言青い鳥は去り |
みぎわはな |
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抱いていて下さい虹が消えるから |
内田秀章 |
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消えぬ間にいちど潜って見度い虹 |
長野峰明 |
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わたくしを消したい夜の鏡拭く |
山本芳男 |
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スイッチOFF全てをゼロにして挑む |
竹内一人 |
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わだかまり夜半の雨が消してくれ |
内藤忠彦 |
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埋み火を消さずにそっと風を待つ |
森山勝彦 |
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灯を消せばこんなに燃えるバラの芯 |
長野峰明 |
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追伸の炎を消した痕がある |
赤井花城 |
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灯を消して羊数える夜を重ね |
村上氷筆 |
ラ |
目覚めれば妻も子供も姿消し |
水田象介 |
佳 |
八年の月日消せない心の灯 |
前川千津子 |
佳 |
こだわりをさらさらと消す砂時計 |
御影静 |
佳 |
街が渇いてチンドン屋が消える |
藤本静港子 |
佳 |
やっと来た便り消印までも読み |
仲田秀子 |
佳 |
消火栓無役をじっと堪えている |
奥平駿曳 |
人 |
ぐうたらを持ったばかりに後始末 |
水田象介 |
地 |
どうしてもあなたが残る消去法 |
村上氷筆 |
天 |
風紋を消す音だろう海光る |
山本芳男 |
軸 |
歯ブラシもコップも捨てて彼を消す |
中岡千代美 |
兼題 「舞台」 中西保子 選
ラ |
路上が舞台大道芸の汗が散る |
内田秀章 |
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白塗りの舞台口上よくひびく |
森山勝彦 |
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初舞台老母(はは)は小さく隅の席 |
仲田秀子 |
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少年は広い舞台を持っている |
内藤忠彦 |
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自爆テロの舞台を見たか皆の衆 |
長野峰明 |
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今日もまた彼は舞台で殺される |
御影静 |
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裏方の汗いただいて舞台踏み |
内藤忠彦 |
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浮き世の義理を回り舞台で見せている |
上村さな恵 |
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場所半ば舞台を去った武蔵丸 |
上野多恵子 |
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次郎は太郎を残して舞台去る |
水田象介 |
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女性戦士党首としての幕をひく |
萩原典呼 |
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花道をみごと歩いた汗の馬 |
内藤忠彦 |
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学芸会舞台の前に母が居る |
坂下安伸 |
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裏方に初日が長い舞台裏 |
古谷日出夫 |
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楽屋も舞台もまったく同じ美声です |
青木公輔 |
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馬の脚にもそれなりの初舞台 |
藤本静港子 |
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舞台暗転昨日の敵は今日の友 |
上村さな恵 |
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主人公は私自分史という舞台 |
田中加津子 |
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花束のどちらも照れている舞台 |
前川千津子 |
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舞台俳優と呼ばれ貧に耐えている |
室田隆司 |
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そこはエステ舞台の幕が開けられる |
樋口祐子 |
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舞台裏知り尽しての渡り鳥 |
上原翔 |
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舞台から食み出るようにする稽古 |
山本芳男 |
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幕が降りみんな優しい顔になる |
御影静 |
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気まぐれな神が舞台へ舞い降りる |
中本三桂 |
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初舞台終えてしばらく身の震い |
山本ひさゑ |
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喝采を楽屋の隅で聞く鏡 |
村岡義博 |
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夢見たが黒子のままで幕を閉じ |
水田象介 |
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初舞台拍手は痛いほど送る |
椙元世津 |
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沈黙の舞台演技が光り出す |
小山紀乃 |
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台本にないアドリブで沸く舞台 |
大栗智恵子 |
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暗転の舞台で見せている素顔 |
大栗智恵子 |
佳 |
金メダル噛んだ舞台の青い空 |
長野峰明 |
佳 |
師の芸をせっせと盗む舞台袖 |
村上氷筆 |
佳 |
名優に舞台が狭い三番叟 |
森山勝彦 |
佳 |
まな板にわたくしだけの舞台うら |
沼尾美智子 |
佳 |
舞台化粧おとして二児の待つ家路 |
仲田秀子 |
人 |
道行きの涙を誘う紙吹雪 |
倭玄海 |
地 |
思う壺が舞台の裏に置いてある |
長野峰明 |
天 |
もう笑い取れない老いたピエロの背 |
みぎわはな |
軸 |
晴舞台片肌ぬいで太鼓打つ |
中西保子 |
兼題 「暦」 福島直球 選
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生きている証に今日も暦繰る |
前田久雄 |
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父の部屋日々格言のある暦 |
仲田秀子 |
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素敵な絵だけ残しとくカレンダー |
村上静子 |
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街中に暦あふれて新春が訪る |
田中加津子 |
ラ |
カレンダーに妻が記したなぞのマル |
室田隆司 |
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またどんな私生まれる新暦 |
みぎわはな |
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ハイな気分で来年を待つ暦 |
田中節子 |
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健やかにあと一枚のカレンダー |
内藤忠彦 |
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暦繰り女囚が晴れて子を抱く日 |
倭玄海 |
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連休も心弾まぬ老い暦 |
大橋克己 |
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見なければよかった仏滅と出てる |
室田隆司 |
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先ざきを繰って思案の伊勢暦 |
神田巳珠 |
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来年は何度会えるか暦繰る |
上野多恵子 |
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日めくりを気合で剥いで靴を履く |
内藤忠彦 |
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ストーブを出すにも大安をえらび |
藤本静港子 |
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眺めてるだけでほのぼの花暦 |
村上静子 |
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来年の運を預けるカレンダー |
中西保子 |
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日めくりの薄さへいのち問うてみる |
山本芳男 |
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余命にも似た日めくりが減ってゆく |
赤井花城 |
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半世紀ぶりの再会待つ暦 |
仲田秀子 |
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貸し借りをすっきりさせて去る暦 |
上村さな恵 |
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陰暦に今も教わる農作業 |
斉藤功 |
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教会の鐘も華やぐ大安日 |
内田秀章 |
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歳時記の暦よい日も悪い日も |
中本三桂 |
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歳月の暦をめくる今日の風 |
大栗智恵子 |
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花暦貴方のために取って置く |
小坂信子 |
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吉運の暦不作の秋むかえ |
増田左代子 |
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僕だけの運を探している暦 |
増田左代子 |
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行事表の貌に暦がなって来た |
上月智恵子 |
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狂い咲き気候不順の花暦 |
小島知無庵 |
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生かされて日めくりを剥ぐ点滴後 |
山本芳男 |
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書き出しの言葉を暦から拾う |
上野多恵子 |
佳 |
暗い世はこれで閉じたい古暦 |
坂下安伸 |
佳 |
真っ先に印あなたの誕生日 |
長島敏子 |
佳 |
恙無く年越しゴミになる暦 |
内田秀章 |
佳 |
日めくりの金言きようの知恵もらう |
村上氷筆 |
佳 |
忘れてはならぬ八月の暦 |
長島敏子 |
人 |
大安の日を探してる菊日和 |
上月智恵子 |
地 |
四季の音ゆっくり流す花暦 |
御影静 |
天 |
湯豆腐はアツアツ暦薄くなる |
上村さな恵 |
軸 |
カレンダー貰うためちと貯金する |
福島直球 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
大橋 克己 |
大栗智恵子 |
室田 隆司 |
神田 巳珠 |
前田 久雄 |
増田左代子 |
沼尾美智子 |
斎藤 功 |
長野 峰明 |
上村さな恵 |
尾畑 晴代 |
中西 保子 |
奥平 駿曳 |
内田 秀章 |
中本 三桂 |
仲田 秀子 |
村上 静子 |
小西 慶子 |
倭 玄海 |
古谷日出夫 |
長島 敏子 |
小島知無庵 |
上原 翔 |
水上たお子 |
中岡千代美 |
内藤 忠彦 |
御影 静 |
村岡 義博 |
荒垣 秋野 |
山本 芳男 |
田中加津子 |
福島 直球 |
坂下 安伸 |
椙元 世津 |
水田 象介 |
萩原 典呼 |
藤本静港子 |
前川千津子 |
上野多恵子 |
みぎわはな |
樋口 祐子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
村上 氷筆 |
森山 勝彦 |
小山 紀乃 |
青木 公輔 |
小坂 信子 |
竹内 一人 |
田中 節子 |
山本ひさゑ |
上月智恵子 |
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