平成15年7月26日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「雷」 島田握夢 選
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雷鳴がとどろく少年のニュース |
沼尾美智子 |
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雷がにぎやか梅雨があけたらし |
村上静子 |
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全身の自分を見てる稲光り |
増田左代子 |
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雷の夜が思い出となる日記 |
仲田秀子 |
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野仏の笑みはかわらず雷雨来る |
仲田秀子 |
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遠雷に切り捨てられた長話 |
山本芳男 |
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放電現象でしょとかわいげのない女 |
中岡千代美 |
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雷雲蟻の群れには変らない |
増田左代子 |
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雷に楽しい夢を引き裂かれ |
古谷日出夫 |
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落雷でストレス消えた胸の中 |
橋本凉子 |
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雷に峠で食べたトコロテン |
山田蔦路 |
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落雷に母も黙って子は育ち |
坂下安伸 |
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雷落とすいい先生に違いない |
柿木英一 |
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雷がとても怒っていて光る |
前川千津子 |
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雷に一喝されて梅雨が明け |
福島直球 |
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雷が鳴るので凧を上げてみた |
水田象介 |
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血圧を気にして雷抱いたまま |
村岡義博 |
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稲光り近づき蚊帳の話など |
坂下安伸 |
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送電線へ雷自滅して果てる |
橋本凉子 |
ラ |
汝男今こそ立てと夏の雷 |
柿木英一 |
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雷の窓花火でも見るように |
小山紀乃 |
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雷もわめく赤児もみな味方 |
田中節子 |
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邪心などさらさら雷さんに花を買う |
上村さな恵 |
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遠雷にふたりの愛は加速する |
樋口祐子 |
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雷鳴や阿修羅の髪が逆立つよ |
柿木英一 |
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雷になりたかった少年の夢 |
上村さな恵 |
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雷が鳴りそうだから潜る地下 |
長島敏子 |
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梅雨明けを待つ遠雷にときめいて |
小山紀乃 |
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遠雷にひと散ってゆく花時計 |
仲田秀子 |
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雷鳴の中でおんなになってゆく |
泉比呂史 |
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雷のあとに仲直りのコーヒー |
御影静 |
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雷の落ちた現場を見た恐怖 |
小坂信子 |
佳 |
遠鳴りの雷だから気を許す |
上村さな恵 |
佳 |
遠のいた雷風鈴軽く鳴り |
椙元世津 |
佳 |
逢いにゆく鏡身の内にかみなり |
沼尾美智子 |
佳 |
未練あるらしい雷ゆきかえり |
椙元世津 |
佳 |
雷の音に大人が騒いでる |
吉川千穂 |
人 |
雷を待って棚田が満ちてゆく |
山本芳男 |
地 |
雷の気配に犬はちぢこまり |
村上静子 |
天 |
雷が嘘のようです窓開ける |
泉比呂史 |
軸 |
避雷針一度でいいから落ちてくれ |
島田握夢 |
兼題 「ライト」 長島敏子 選
ラ |
ハイライト世界二冠の平泳ぎ |
大橋克己 |
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スポットライト隣までなら当たるのに |
中岡千代美 |
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後頭部若さはじけたペンライト |
山本ひさゑ |
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ほろ酔いに詩などうそぶく月あかり |
上原翔 |
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女優の顔の皺まで容赦なくライト |
村上静子 |
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合鍵の夫婦に点滅するライト |
柿木英一 |
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スポットの蔭に拍手の波となる |
椙元世津 |
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氷川きよし追っかけようかペンライト |
沼尾美智子 |
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灯台へ今日を限りの灯を入れる |
古谷日出夫 |
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ダウンライト今宵はふたりゴージャスに |
村上氷筆 |
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ライトアップするほど偉い顔ですか |
内藤忠彦 |
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スポットライトの中で孤独になってゆく |
泉比呂史 |
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街路樹がライトアップで不眠症 |
水上たお子 |
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ペンライト左右に揺れてファン湧く |
橋本凉子 |
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もう少し灯りを小さくしてと云う |
水田象介 |
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若者に紛れて振ったペンライト |
水上たお子 |
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サーチライト空襲の夜がよみがえり |
福島直球 |
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浅知恵とも思うが玄関点けて出る |
島田握夢 |
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SOSの点滅母として見逃さぬ |
中岡千代美 |
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十字架のライトにそっと懺悔する |
御影静 |
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トンネルの多さライトを消し忘れ |
赤井花城 |
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ライトは誰か知らず阪神ファンです |
尾畑晴代 |
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ライト線切れた一打が明と暗 |
村岡義博 |
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脚光を浴びて自分を見失う |
みぎははな |
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渋滞のヘッドライトを横切れぬ |
赤井花城 |
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フィナーレのライト主役を浮き立たせ |
福島直球 |
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遠ざかる尾灯へそっとさようなら |
村上静子 |
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はなやかなライトのかげにある努力 |
仲田秀子 |
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パトロールライト照らせば影割れる |
中本三桂 |
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何かある霧点滅の対向車 |
前川千津子 |
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ヘッドライト下向きばかりうつ溜まる |
村岡義博 |
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少し遠廻りだけど街灯の道帰る |
島田握夢 |
佳 |
灯台のライトとどかぬ拉致の海 |
森山勝彦 |
佳 |
点けて消すライト何時からひとりぼち |
赤井花城 |
佳 |
ライトアップすると確かな花時計 |
泉比呂史 |
佳 |
恋は今ライトブルーの海へ出る |
柿木英一 |
佳 |
ライトアップ桜その気にさせられる |
上月智恵子 |
人 |
ライトダウンして考えるいのちとは |
沼尾美智子 |
地 |
夢を見るようにガス灯立っている |
椙元世津 |
天 |
心には大きいライト点してる |
前川千津子 |
軸 |
ハイポーズライトアップでみな美人 |
長島敏子 |
兼題 「無駄」 尾畑晴代 選
ラ |
ドッカーンと花火の無駄がだあい好き |
沼尾美智子 |
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若者の戦死が無駄と知った夏 |
仲田秀子 |
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無駄飯を食ってなかった星野仙 |
村上氷筆 |
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針と糸無駄な時間は母にない |
柿木英一 |
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積ん読へ一部屋占拠されてきた |
中岡千代美 |
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無駄を承知で兄のラッパを聴いている |
田中節子 |
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無駄ばなし聞き手に溜まるストレス禍 |
小島知無 |
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賞味期限結局無駄なものを買う |
泉比呂史 |
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無駄話してたそがれてゆく広場 |
赤井花城 |
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無駄骨をしたなと思いシャワー浴び |
村上静子 |
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レシートに無駄買いひとついつもある |
樋口祐子 |
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元も子も無くしたバブルの付けを抱き |
古谷日出夫 |
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無駄骨に終わらせまいぞ玉の汗 |
長島敏子 |
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セールスは無駄と知りつつ足運ぶ |
中本三桂 |
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バーゲンで上手に買った筈の無駄 |
橋本凉子 |
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一本ずつ百足の足を数えてる |
水田象介 |
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無駄使いいましめ乍ら金送る |
村上静子 |
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無駄骨と知りつつせわをやいている |
上月智恵子 |
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無駄口を叩くと唇が薄くなる |
泉比呂史 |
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いちにち一緒予報のはずれ傘 |
田中節子 |
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抽斗の無駄を捨ててる雨の日に |
増田左代子 |
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お茶入れて姑とひととき無駄話し |
村上静子 |
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夏痩せをするはずだったビキニ |
中岡千代美 |
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無駄ですねぇこの脇腹の皮下脂肪 |
長島敏子 |
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大きな無駄せっせと顔の皺とりに |
山本ひさゑ |
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読まぬまま知らずに買った同じ本 |
宮田隆司 |
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無駄のない生活広告メモにする |
前川千津子 |
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少し無駄のある人生が面白い |
山本芳男 |
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無駄が多かったな温もりがあったな |
宮田隆司 |
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人間の無駄と仲良くして生きる |
前川千津子 |
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一ツずつ無駄を見つけて消している |
山田蔦路 |
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無駄だとは知りつつ帰宅時間問う |
長島敏子 |
佳 |
無駄なことよしなとポケットの拳 |
赤井花城 |
佳 |
無駄話の中でひょっこり出るヒント |
御影静 |
佳 |
無駄なもの一杯買って捨てている |
小坂信子 |
佳 |
句会には電車賃と五百円 |
水田象介 |
佳 |
無駄足と知りつつ運ぶ母である |
樋口祐子 |
人 |
無駄話するのが好きで輪に入る |
赤井花城 |
地 |
無駄遣いしてみて少し男心が解る |
島田握夢 |
天 |
母さんなら知って抱くだろう無精卵 |
村岡義博 |
軸 |
明治、大正、女は無駄毛剃らずして |
尾畑晴代 |
兼題 「器」 柿木英一 選
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器みなほこりためて陶器市 |
中本三桂 |
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大器晩成親ものんびり育ててる |
村上静子 |
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臓器みな劣化生きてるのが不思議 |
福島直球 |
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立派な器へきっちり覚悟をした財布 |
中岡千代美 |
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見込みある未来の大器しごかれる |
中本三桂 |
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涼を盛り器で食べる夏料理 |
小西慶子 |
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それなりの器になって雛帰る |
樋口祐子 |
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明日という器は神の手の内に |
小山紀乃 |
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茶の作法知らぬが真似て茶碗なで |
坂下安伸 |
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夜店で買った有田どれも座りが悪い |
島田握夢 |
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名器だと言われ名器と信じ込む |
山本ひさゑ |
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馬鹿なこと色いろしたと言う器量 |
上原翔 |
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炊飯器さえも使えぬ夫にして |
長島敏子 |
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安物の器でいいからも少し量が欲しい |
島田握夢 |
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どうしても逃げ場の見えぬ金魚鉢 |
神田巳珠 |
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ギャマンの器に沈む王の影 |
橋本凉子 |
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不味いのか器の話ばかりする |
宮田隆司 |
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京料理器の値段入ってる |
村上静子 |
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どの花器にしようか重いあじさい |
田中節子 |
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社長には少し器が小さすぎ |
小坂信子 |
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ただものではない片鱗をのぞかせる |
村上氷筆 |
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食器棚相棒のないかけ茶碗 |
小西慶子 |
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大法螺も器量のうちと今に知り |
内藤忠彦 |
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器ではないと上手に輪を離れ |
長島敏子 |
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恩給はないけど銀盃一つある |
山田蔦路 |
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大器かもとにかく夏の食べっぷり |
前川千津子 |
ラ |
大将の器でおとぼけがうまい |
上村さなゑ |
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社長の器でない社長に仕え |
尾畑晴代 |
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長生きをしなはれ食器小さめに |
山田蔦路 |
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切子ガラスに盛れば涼しい夏になり |
尾畑晴代 |
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ガラスの器様になってる冷奴 |
村上静子 |
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切り取り線男の器測られる |
山本ひさゑ |
佳 |
器みな違うそれぞれ役につき |
椙元世津 |
佳 |
苦労したんだね清濁呑む器 |
小山紀乃 |
佳 |
器には遠いところで傍観者 |
御影静 |
佳 |
満ち足りる器の中で飢えている |
御影静 |
佳 |
七変化女はどんな器にも |
みぎわはな |
人 |
さよならはもう言わせない対茶碗 |
中岡千代美 |
地 |
たっぷりと胸の器で泳がせる |
みぎわはな |
天 |
銀食器しずかに女性史を語る |
沼尾美智子 |
軸 |
生きるとはそして流されゆく器 |
柿木英一 |
兼題 「今」 福島直球 選
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今もまだ信じられない通夜の席 |
前川千津子 |
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今が花ゆめものぞみも未だ捨てぬ |
橋本凉子 |
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今からが私の青春と靴を買う |
水上たお子 |
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たった今別れたひとを恋う涙 |
御影静 |
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昨日より明日より今が好き生きる |
赤井花城 |
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潮干狩今少年になっている |
前川千津子 |
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八月の空今兵役のない安堵 |
仲田秀子 |
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打上げ花火チャンスは今という合図 |
中岡千代美 |
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Yシャツを今風に着て闊歩する |
神田巳珠 |
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大仏殿の柱の今をなでている |
柿木英一 |
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体当たりされても今は放さない |
小山紀乃 |
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おもいやりだったんだなと今思い |
村上静子 |
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健康で生きてる今を感謝する |
村上静子 |
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嬉しいことあって今夜は身銭切る |
上村さなゑ |
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今生の別れといつも友と呑む |
水田象介 |
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今起きた顔だ眉が消えている |
尾畑晴代 |
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書き留めておかねば今がすぐ消える |
室田隆司 |
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親孝行するのは今ぞ余命表 |
尾畑晴代 |
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今は只我慢で凌ぐ月見草 |
古谷日出夫 |
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生きて今この一瞬にもえている |
森山勝彦 |
ラ |
凡夫いま妻のあとから荷物もち |
森山勝彦 |
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今になって遺産分けまえ一人ふえ |
村上静子 |
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謝れば今なら許す情けある |
中本三桂 |
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今し方居たようですと数の外 |
村岡義博 |
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食堂の今が書き入れ時の声 |
増田左代子 |
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遠ざかる影に今ごろ叫んでも |
長島敏子 |
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時よ止まれ輝く今をそのままに |
村上氷筆 |
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明日の夢描いて今の汗に耐え |
古谷日出夫 |
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今日もまた微毒を抱いて生きている |
神田巳珠 |
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今だ今だと恋の呪文が背を押す |
長島敏子 |
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お静かに今赤ちゃんが寝たところ |
御影静 |
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今だから話せる白い歯がこぼれ |
上月智恵子 |
佳 |
幸せな今をホッチキスで止める |
御影静 |
佳 |
八卦見が貴女の今を言い当てる |
大橋克己 |
佳 |
飛ばすのは今ジェット風船浜風に |
尾畑晴代 |
佳 |
明日のことはあしたが決める今日を生き |
小坂信子 |
佳 |
やつと今金と時間はできたのに |
内藤忠彦 |
人 |
桃娘今食べごろの香を放つ |
室田隆司 |
地 |
今もって男の貌をつくり得ぬ |
森山勝彦 |
天 |
母の味今ふっくらと炊き上がる |
沼尾美智子 |
軸 |
今に見ておれと左遷の地で誓い |
福島直球 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
増田左代子 |
上村さな恵 |
室田 隆司 |
柿木 英一 |
神田 巳珠 |
森山 勝彦 |
村上 静子 |
橋本 凉子 |
小坂 信子 |
仲田 秀子 |
山田 蔦路 |
椙元 世津 |
小島 知無 |
樋口 祐子 |
中岡千代美 |
吉川 千穂 |
長島 敏子 |
大橋 克己 |
田中 節子 |
前川千津子 |
みぎわはな |
内藤 忠彦 |
御影 静 |
坂下 安伸 |
尾畑 晴代 |
小西 慶子 |
村岡 義博 |
山本 芳男 |
島田 握夢 |
水田 象介 |
福島 直球 |
小山 紀乃 |
沼尾美智子 |
古谷日出夫 |
泉 比呂史 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
上原 翔 |
水上たお子 |
中本 三桂 |
上月智恵子 |
山本ひさゑ |
村上 氷筆 |
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