平成15年5月25日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「山菜」 田中節子 選
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山菜を食べたい里で鮪出る |
斎藤功 |
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ご近所に配るつもりの山菜積摘み |
上原翔 |
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里帰り父のわらびがほろ苦い |
沼尾美智子 |
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山菜の原価考えながら買い |
内田秀章 |
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忘れ得ぬあなたの好きなワラビ餅 |
森山勝彦 |
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絵手紙の山菜匂う望の月 |
樋口祐子 |
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行方不明の山菜採りのニュース見る |
椙山世津 |
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実家からタンサン付きの蕨着く |
神田巳珠 |
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山菜のてんぷらどれも同じ味 |
村岡義博 |
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ふる里にはしゃぐ揚げたての山菜 |
沼尾美智子 |
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スーパーの山菜の棚いつも空 |
小島知無 |
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レシピーを添え山菜の香が届く |
仲田秀子 |
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摘みたての山菜も置く道の駅 |
福島直球 |
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熊が出たらしい山菜ほかしてる |
室田隆司 |
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山菜摘み夫唱婦随の解毒剤 |
増田左代子 |
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筍の寝込み襲って銭を得る |
坂下安伸 |
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一本のわらびに三人の手がのびる |
中西保子 |
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わらび狩り律儀な蛇のご挨拶 |
内藤忠彦 |
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水かげん山菜おこわ指が知る |
小西慶子 |
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山菜に飢えを凌いだ借りがある |
長野峰明 |
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スケッチを忘れて山菜に遊ぶ |
水上たお子 |
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客の顔見て山菜を採りに行く |
室田隆司 |
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おぼろ月ゼンマイ少し緩みがち |
山中忠 |
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山菜の亡母をたどりし木霊呼ぶ |
増田左代子 |
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母が病み水煮山菜買っている |
小西慶子 |
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山菜が好きな母です土踏まず |
山中忠 |
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山菜の穴場を知っているリュック |
中西保子 |
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一合炊き山菜御飯の釜を持ち |
水上たお子 |
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早蕨のとびとびに居る雨蛙 |
大橋克己 |
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山菜を干して頑張る冬の陣 |
前川千津子 |
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山菜は小鉢にちょこっと盛るもんだ |
村岡義博 |
ラ |
山菜飯松茸ひとつ入れておく |
御影静 |
佳 |
山菜に侘しさがありやがて梅雨 |
前川千津子 |
佳 |
野にころび山菜の芽と空をみる |
田中加津子 |
佳 |
食べられる草懐かしく見る散歩 |
上原翔 |
佳 |
知らぬ名の山菜うどん食べ終り |
椙山世津 |
佳 |
山菜の小鉢静かに人生を語る |
沼尾美智子 |
人 |
ゼンマイはもう飽きた肉を食べたい |
水田象介 |
地 |
山菜を束ね都会の顔にする |
古谷日出夫 |
天 |
灰汁抜きの技も知らない馬である |
斎藤功 |
軸 |
蕨薇やさしい不安で濡れている |
田中節子 |
兼題 「備える」 斎藤功 選
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置き薬まっさらのまま梅雨に入る |
御影静 |
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おろそかにしているだろう常備薬 |
前川千津子 |
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賞味切れ多分九年の非常食 |
上原翔 |
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墓碑銘の己が名前に朱を入れる |
小島知無 |
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梅雨に備え樋の枯れ葉を追い出して |
田中節子 |
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備えなどないが亭主は一人いる |
山本ひさゑ |
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い目ざめ激務に備え飯を食う |
仲田秀子 |
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結婚準備先ずは借金〇(ゼロ)にする |
山田蔦路 |
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いざSARS引き出しに備えるマスク |
沼尾美智子 |
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傘立てに傘が一本ある安堵 |
山本芳男 |
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帰国する姉に五月の青い花 |
田中節子 |
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髪染めて妻再会に備える |
仲田秀子 |
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買った刃物殺しの備え隠せない |
長野峰明 |
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言の葉の備蓄の底が見えてくる |
樋口祐子 |
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ささやかな備えを孫に吸い取られ |
小坂信子 |
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孫はすぐ病院ボクは常備薬 |
内田秀章 |
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無罪に備え狂った演技しています |
長野峰明 |
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胎教にショパンきいてる麦の秋 |
上月智恵子 |
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紫外線に備え念入り化粧する |
中本三桂 |
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防犯のカメラわざわざ覗いている |
水田象介 |
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全財産リュックに詰めて枕もと |
御影静 |
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曽我さんに配慮備えぬ新聞社 |
内藤忠彦 |
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訂正とお詫び殺意と対峙する |
竹内一人 |
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海峡の賊に備えて水鉄砲 |
坂下安伸 |
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消火器をひとつ我が家に買いました |
前川千津子 |
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出来すぎの帳簿査察の目がひかる |
森山勝彦 |
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もうこんな地震はないと安普請 |
水田象介 |
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突然の指名備えのないままに |
椙元世津 |
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男らしい男は山を語らない |
御影静 |
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ベンチ奥指名遅しとアップ中 |
上原翔 |
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慶弔に備えた服が身に合わず |
水上たお子 |
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お見合いに備ええくぼを見せる業 |
田中節子 |
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ちぎり絵へ埋めるわたしの備忘録 |
古谷日出夫 |
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常日頃津波の恐さ話しておく |
尾畑晴代 |
佳 |
警報を聞くと水汲む癖がつき |
福島直球 |
佳 |
備え付け湯呑みの数の人が寄り |
椙元世津 |
佳 |
泥棒に備え生垣を低く刈る |
尾畑晴代 |
佳 |
そろそろ叙勲だアレとも手を切るか |
森山勝彦 |
佳 |
後継はやはりあいつとあいつとしごいてる |
森山勝彦 |
人 |
護身術試すチャンスがとんと来ぬ |
室田隆司 |
地 |
起き上がり小法師で何もない備え |
赤井花城 |
天 |
鉢巻をするから語尾が高くなる |
山中忠 |
軸 |
もとめてまで備えた寄付がまだ来ない |
斎藤功 |
兼題 「「ツァー」 内田秀章 選
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ツァーでもなさそう不気味白の列 |
村岡義博 |
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咳くしゃみツァーの客に恐れられ |
室田隆司 |
ラ |
最前列ガイドの胸と向かいあう |
室田隆司 |
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コンサートツァー裏方持ち上げる |
竹内一人 |
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梅干と和菓子鞄にパリーツァー |
仲田秀子 |
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食べ放題ツァー胃薬もって行き |
福島直球 |
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ツァーの夜カラオケがある酒がある |
中西保子 |
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安物のツァーで土産物屋に直行 |
みぎわはな |
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ふるさとに近い旅行へ里心 |
椙元世津 |
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にこにことツァー参加の車椅子 |
前川千津子 |
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安すぎる夢のツァーに乗ってみる |
赤井花城 |
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ポッキリのチラシに負けた疲れ旅 |
上原翔 |
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団体旅行呑みたい奴が一人いる |
古谷日出夫 |
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ツァーバス集合時間聞き飽きる |
御影静 |
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ツァーから帰り計算した費用 |
椙元世津 |
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胃袋が達者でツァーの好きな妻 |
倭玄海 |
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バスツァー朝から水氣控えとく |
村上静子 |
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日帰りツァー知らぬ同士のコマーシャル |
田中節子 |
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酔い止めを飲んでルンルンバスツァー |
森山勝彦 |
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ツァー帰路みんな無口になってゆく |
御影静 |
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誘われて最後の朱印捺すツァー |
中西保子 |
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小旅行出湯ひととき癒される |
坂下安伸 |
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菖蒲園ツァーりぼんが練り歩く |
沼尾美智子 |
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旦那様みなおとなしいツァーバス |
内藤忠彦 |
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湯につかるツァーガイドの二十五時 |
森山勝彦 |
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目印の旗にはぐれたバスツァー |
赤井花城 |
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格安のツァーをもっと値切る氣で |
小山紀乃 |
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バスツァー時間とみやげに走らされ |
水上たお子 |
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食べ放題より素朴な宿が好き |
山中忠 |
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二日目はぐっとほぐれるバスの中 |
内藤忠彦 |
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独身に返り浮かれるツァーの夜 |
水上たお子 |
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手のこんだツァーを頼むふたり旅 |
神田己珠 |
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刺激少しミステリーツァーに参加する |
山本ひさゑ |
佳 |
スケッチブック一人でツァー参加する |
前川千津子 |
佳 |
忘却の時間ツァーに積んである |
青木公輔 |
佳 |
氣がつけば他所のツァーに紛れこみ |
水田象介 |
佳 |
母と娘でおもいで作るパスポート |
村上静子 |
佳 |
ツァーコンも客もベテラン寺巡り |
神田巳珠 |
人 |
贅肉が蟹だ河豚だとグルメ旅 |
倭玄海 |
地 |
皆同じ袋ぶら下げツァー客 |
福島直球 |
天 |
パックツァー飽きて札所を妻と行く |
村岡義博 |
軸 |
氣が合うて一会の酒に酔うツァー |
内田秀章 |
兼題 「眠気」 長野峰明 選
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一足す一の話ばかりで眠くなる |
古谷日出夫 |
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眠り猫目を合わせるや又閉じる |
上原翔 |
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片手ハンドルふっと眠気に襲われる |
赤井花城 |
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春うらら亀もやっぱり眠くなる |
みぎわはな |
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眠気さす悟りの顔で聴く法話 |
山中忠 |
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おそわれる眠気にブラックを二杯 |
御影静 |
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大欠伸今日も確かに生きている |
山中忠 |
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新婚が欠伸連発してる午後 |
内田秀章 |
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午後からの会議珈琲飲んでおく |
前川千津子 |
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不思議だな座ると眠くなる机 |
村岡義博 |
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柱時計振りこが眠気誘い出す |
村上静子 |
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乱れ咲く花のまん中眠くなる |
御影静 |
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助手席の睡魔が徐々に乗り移る |
室田隆司 |
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小説に眠気盗られて午前二時 |
坂下安伸 |
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同じ活字ゆきつ戻りつする眠気 |
中西保子 |
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藤棚の下で買い物待たされる |
室田隆司 |
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欲の無い顔だ眠気に負けている |
山本芳男 |
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よく肥えた妻ゆったりと舟を漕ぐ |
上月智恵子 |
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流し目にどこかへ飛んでった眠気 |
赤井花城 |
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コーヒはブラック朝をシャンとする |
赤井花城 |
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植木屋の鋏まぶたが重くなる |
村上静子 |
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コーヒーを二杯飲んだがシャンとせず |
水田象介 |
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キューピットが居眠りしてて失恋す |
みぎわはな |
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テレビを消され眠気から覚めた猫 |
田中節子 |
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眠気さす座禅に喝の技を打つ |
倭玄海 |
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舟漕ぎの名手が揃う終電車 |
内藤忠彦 |
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五行目に辿りつけない本をバタッ |
村岡義博 |
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飛んで来る午後の講師の咳払い |
小西慶子 |
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隣りからあくびを貰う講演会 |
田中節子 |
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起こされて顔の演技を間違える |
山中忠 |
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シンフォニー隣りの席が舟を漕ぐ |
沼尾美智子 |
ラ |
お先にと鼾かかれて夜が白む |
水田象介 |
佳 |
ごう快にイビキをかいて左遷され |
田中加津子 |
佳 |
眠気がおそう膝の帽子がしがみつく |
中西保子 |
佳 |
眠気顔してても飯はちゃっと食べ |
福島直球 |
佳 |
会議中トップのあくびが連動し |
田中加津子 |
佳 |
眠いふりで君の口づけ待って居る |
大橋克己 |
人 |
いるぞいるぞ眠気を覚ますむずみ捕り |
室田隆司 |
地 |
講演で悠々眠気が勝っている |
中西保子 |
天 |
眠気だましちょっと火種を吹いてみる |
樋口祐子 |
軸 |
天井から刺客の眠気降りて来る |
長野峰明 |
兼題 「苗」 山田蔦路 選
ラ |
山肌に家族の苗が育っている |
田中節子 |
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カイワレ大根苗ですか野菜ですか |
尾畑晴代 |
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百年の計で地球へ苗木植え |
森山勝彦 |
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豊作に減らす今年も苗の床 |
倭玄海 |
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やすらぎの色を下さい花の苗 |
沼尾美智子 |
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卒業をめでて名もなき苗を買う |
田中加津子 |
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秋よ来い天指す苗が燃えている |
山中忠 |
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取り違え育てた苗がツキを呼ぶ |
室田隆司 |
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旅に出る水たっぷりと花の苗 |
赤井花城 |
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幸せになろう貰ってきた苗木 |
沼尾美智子 |
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ナスの苗嫁に内緒で可愛がる |
小西慶子 |
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苗床で夢や希望が育ってる |
みぎわはな |
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太陽を食べた苗だな根が太い |
山本芳男 |
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一票を入れて苗木に水をやる |
沼尾美智子 |
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早乙女のお尻妻のはすぐ判る |
みぎわはな |
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百円の苗大輪を期待する |
前川千津子 |
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苗木市十年先の夢を買う |
古谷日出夫 |
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朝の水とくに苗にはそっとやり |
椙元世津 |
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島へ渡った証拠に苗が一つだけ |
大橋克己 |
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花も実も知らぬスーパーかいわれ苗 |
村岡義博 |
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いい風の中で真っ直ぐ育つ苗 |
古谷日出夫 |
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植樹祭陛下と同じ苗植える |
村上静子 |
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百年の計苗箱に水を撒く |
山本芳男 |
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娘は二十歳真っ直ぐ伸びる桐の苗 |
内田秀章 |
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お隣と苗の育ちを眼で比べ |
前川千津子 |
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苗すくっと不況知らずの貌でいる |
山中忠 |
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イメージ苗をならべて見る花壇 |
小山紀乃 |
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一本の苗へ私の夢託す |
樋口祐子 |
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我儘な苗に間引きの手が伸びる |
竹内一人 |
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庭あればあれもこれもと欲しい苗 |
椙元世津 |
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私より寿命の長い苗植える |
仲田秀子 |
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ほどほどの幸せもらう花の苗 |
古谷日出夫 |
佳 |
放ったらかしの庭ひそひそ何ンの苗 |
田中節子 |
佳 |
苗植えて真っ直ぐ伸びる子を思う |
坂下安伸 |
佳 |
名も知らぬ花の苗からお付き合い |
山本ひさゑ |
佳 |
街づくり巡る季節に花の苗 |
椙元世津 |
佳 |
植樹祭陛下も苗へ土をかけ |
森山勝彦 |
人 |
どん底で育てた苗を妻と見る |
山本芳男 |
地 |
間引きした朝顔の苗いとおしい |
水上たお子 |
天 |
花言葉信じて苗が丸くなる |
山中忠 |
軸 |
皇后様手がけた苗に水をやる |
山田蔦路 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
山田 蔦路 |
室田 隆司 |
神田 巳珠 |
森山 勝彦 |
小島 知無 |
増田左代子 |
山中 忠 |
沼尾美智子 |
長野 峰明 |
中西 保子 |
村上 静子 |
内藤 忠彦 |
前川千津子 |
倭 玄海 |
水上たお子 |
古谷日出夫 |
大橋 克己 |
仲田 秀子 |
内田 秀章 |
斎藤 功 |
水田 象介 |
坂下 安伸 |
尾畑 晴代 |
村岡 義博 |
田中 節子 |
田中加津子 |
小西 慶子 |
上原 翔 |
椙元 世津 |
福島 直球 |
御影 静 |
樋口 祐子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
青木 公輔 |
みぎわはな |
山本ひさゑ |
竹内 一人 |
小坂 信子 |
中本 三桂 |
山本 芳男 |
上月智恵子 |
小山 紀乃 |
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