平成15年3月21日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「陽気」 水田象介 選
ラ |
急に温くなられてもと長袖がぼやき |
島田握夢 |
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陽気者単細胞で間がぬけて |
小坂信子 |
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ハミングもラララ陽気な街へ出る |
小山紀乃 |
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脳ミソが春の陽気に狂いだす |
吉川千穂 |
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風向が変り陽気が陰り出す |
小西慶子 |
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シーツ眩しい黄水仙香る庭 |
近藤敦子 |
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陽気さを喪服の中へ閉じ込める |
福島直球 |
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青色の申告終えて春うらら |
樋口祐子 |
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輪に入ると陽気な質ですぐ踊る |
沼尾美智子 |
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猫だけが春の陽気で朝帰り |
山本ひさゑ |
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この頃の陽気逢いたいひとがいる |
仲田秀子 |
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陽だまりの猫に代理であくびさせ |
上原翔 |
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笑い声のめばうきうきする私 |
吉川千穂 |
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うきうきとジッパー笑う花吹雪 |
長野峰明 |
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出不精がレースのショールして出掛け |
田中要保 |
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何んとなく口笛も出る春うらら |
村上静子 |
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少女羽化ふわり陽気な風の中 |
御影静 |
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一浪ときめて陽気に騒ぐ友 |
仲田秀子 |
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春うらら猫も夫も家出した |
内田秀章 |
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春うらら汗が笑っているパッチ |
内田秀章 |
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物忘れ春の陽気のせいにして |
長島敏子 |
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担任が変わり陽気になる少女 |
上野多恵子 |
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ハンドバック盗られ陽気な妻も泣く |
倭玄海 |
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人も又陽気になって散財す |
小坂信子 |
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つらい時期陽気な妻に助けられ |
森山勝彦 |
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始めての孫です陽気な叔母が来る |
山田蔦路 |
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借金はあるさ男の腹おどり |
坂下安伸 |
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はばからず陽気な声のティタイム |
小西慶子 |
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陽気よく明日のプラン練りなおす |
内藤忠彦 |
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退院と聞いて陽気取り戻す |
神田巳珠 |
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ノースリーブへ俺の季節と痴漢言う |
島田握夢 |
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いつだって回り明かるくする貴方 |
小山紀乃 |
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病窓を叩く陽気な風に逢う |
山本芳男 |
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独り居のはは老母も陽気になる花見 |
仲田秀子 |
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口笛吹いて陽気に上る十三段 |
長野峰明 |
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喪が明けて陽気な風を少し入れ |
山本芳男 |
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離婚して陽気ぐらしが身についた |
小島知無 |
人 |
天寿全う少し陽気な通夜の酒 |
内田秀章 |
地 |
根っからの陽気友達たんと持ち |
福島直球 |
天 |
春風を抱いて親子に職がある |
古谷日出夫 |
軸 |
春が来た背伸びをすれば骨が鳴る |
水田象介 |
兼題 「飾る」 御影静 選
ラ |
一面をどかんと飾るイラク記事 |
沼尾美智子 |
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玄関の飾りになった古時計 |
神田巳珠 |
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食卓に二十五本の赤いバラ |
水田象介 |
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大好きです飾りけのない人だから |
樋口祐子 |
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飾る言葉は要らぬシンプルな門出 |
青木公輔 |
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祭り上げられて孤独な革の椅子 |
みぎわはな |
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飾りすぎ一人浮いてるクラス会 |
小坂信子 |
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百均で全部揃えた飾りつけ |
福島直球 |
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着飾ってためらい傷を隠し切る |
長島敏子 |
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冷蔵庫のドアを飾って料理べた |
上野多恵子 |
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星の砂ひとつ飾って救われる |
吉川千穂 |
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黄水仙飾ってつま夫を待つ夕餉 |
仲田秀子 |
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一筋を飾り自分史光らせる |
長島敏子 |
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黄沙降り遺る翡翠の耳飾り |
坂下安伸 |
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山菜で飾る雪解けのもてなし |
増田左代子 |
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終章を飾るページは空けてある |
古谷日出夫 |
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春を飛び夏物飾るショーウインド |
小西慶子 |
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髪飾り揺れておしゃまな千歳飴 |
上月智恵子 |
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想い出がぎっしり並ぶ飾り棚 |
小山紀乃 |
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ボディーピアスだけはさせたくない素肌 |
近藤敦子 |
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マスカラー虚飾で泳ぐ冬の華 |
山本ひさゑ |
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飾り気も気どりも妻にない気楽 |
倭玄海 |
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飾っても隠し切れない悲しい眼 |
水上たお子 |
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神の名で飾る戦さは許せない |
柿木英一 |
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風になびくことも考えイヤリング |
島田握夢 |
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次ぎつぎと花が遺影をとり囲み |
村上静子 |
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着飾って着飾ってなお遠い郷 |
樋口祐子 |
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どの墓もお彼岸だけは花ざかり |
水田象介 |
|
身辺整理まだ飾れない冷凍魚 |
田中節子 |
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一人居のすき間を埋める花ゆれる |
上月智恵子 |
|
飾らねば今日の消化が進まない |
山本芳男 |
|
春の絵を飾り告白待っている |
長島敏子 |
佳 |
寝たきりの母の目線に雛飾る |
山本芳男 |
佳 |
言の葉をふんわり飾る春サラダ |
沼尾美智子 |
佳 |
ひらひらひらフリル夕日落ちるまで |
田中節子 |
佳 |
嘘飾るフリルは深い赤にする |
山本ひさゑ |
佳 |
スリットが春の序曲で街をゆく |
内藤忠彦 |
人 |
着飾った話が一人歩きする |
小山紀乃 |
地 |
飾らぬ手に幸せ掬う花吹雪 |
長野峰明 |
天 |
雛飾り亡き子はいつまでも子供 |
福島直球 |
軸 |
響かないピアノ哀しい飾りもの |
御影静 |
兼題 「余裕」 坂下安伸 選
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聞き役にまわり余裕のハーブティー |
沼尾美智子 |
|
あの人が立てば二人は座れそう |
水田象介 |
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余裕あるポケットには人がいっぱい |
荒垣秋野 |
|
社を一歩出たら首輪を振り解く |
竹内一人 |
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素顔さらして心の余裕取りもどす |
上村さな恵 |
|
受験生なくて余裕の春過ぎる |
仲田秀子 |
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余裕かな私はわたし亀である |
吉川千穂 |
|
どこまでか余裕か人を笑わせて |
青木公輔 |
|
平均へ余裕まだある青写真 |
神田巳珠 |
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弱点を晒してからのある余裕 |
山本ひさゑ |
ラ |
バイキングまだまだ余裕ゴムパンツ |
小西慶子 |
|
時間たっぷり昔にかえる話でも |
田中節子 |
|
受験の子余裕の顔で家を出る |
荒垣秋野 |
|
納期には間がある父の設計図 |
上月智恵子 |
|
絡み付く蛸の余裕を見ましたか |
山本芳男 |
|
携帯に余裕うばわれ疲れます |
内藤忠彦 |
|
反省のゆとり与えて叱る父 |
長野峰明 |
|
余裕綽綽女は爪を切り揃え |
長島敏子 |
|
余裕あり過ぎて遅刻をしてしまい |
福島直球 |
|
ひと電車早く乗ります梅の里 |
小西慶子 |
|
ぼやきさえ底をつくほど余裕なし |
村岡義博 |
|
栄転のカバンに余裕ひそませる |
上村さな恵 |
|
切り札を遊ばす懐手の余裕 |
内田秀章 |
|
ライバルに手の内見せて余裕ある |
中本三桂 |
|
無一物時間の余裕だけは有り |
水上たお子 |
|
風を読む余裕男の太い眉 |
長島敏子 |
|
余裕ない財布巷へ闊歩する |
神田巳珠 |
|
余裕などある筈がないテクニック |
山田蔦路 |
|
やっとローン終りしみじみ門へ佇つ |
島田握夢 |
|
私大合格親の余裕は知るもんか |
中西保子 |
|
憎らしい程の余裕で座ってる |
上野多恵子 |
|
春の異動余裕か飯を大盛りに |
山本ひさゑ |
佳 |
余裕などあるかい年金暮らしには |
倭玄海 |
佳 |
言わせておりてたっぷり注ぐカフェオーレ |
沼尾美智子 |
佳 |
何処までがゆとりかメガネなど拭いて |
長島敏子 |
佳 |
家計簿のゆとりでてのひらほどの旅 |
柿木英一 |
佳 |
しばらくは時計外している余裕 |
田中節子 |
人 |
余裕見て待ってる駅の西東 |
水上たお子 |
地 |
余裕がないから皆んないい子に育つ |
島田握夢 |
天 |
余裕ある笑いでライバルへ拍手 |
上野多恵子 |
軸 |
老妻に任した財布春へ向く |
坂下安伸 |
兼題 「他人」 柿木英一 選
|
ここからは他人ですよと云う会話 |
青木公輔 |
|
夫婦別姓他人のようでないようで |
上村さな恵 |
|
風は他人わたしの心おきざりに |
吉川千穂 |
|
母の灯が他人のように消えてゆく |
前田久雄 |
|
呼び止めて似ても似つかぬ顔が向く |
赤井花城 |
|
他人という枠をはずして看護する |
上村さな恵 |
|
他人から指図は受けぬ梶を取る |
福島直球 |
|
妻なのに妻が他人に見えてきた |
竹内一人 |
|
他人には解らなくてもいいふたり |
小山紀乃 |
|
縺れをうた風は他人の貌で去る |
山本ひさゑ |
|
車中では他人の顔をする息子 |
村上氷筆 |
|
深入りはせずにツアーの客同士 |
近藤敦子 |
|
静電気他人のふりをしてくれぬ |
長島敏子 |
|
紅い紐の延長線に居た他人 |
古谷日出夫 |
|
他人様砥石にしてるドジなぼく |
森山勝彦 |
|
身の内の渦は他人には悟らせぬ |
小坂信子 |
|
ここからは他人と一線を引こう |
小山紀乃 |
|
ここにきて他人同士はないだろう |
村岡義博 |
|
いい嫁と他人さまからうらやまれ |
村上静子 |
|
玄関を出れば他人の貌となり |
樋口祐子 |
ラ |
おじいさんと他人に呼ばれることはない |
上野多恵子 |
|
いかり肩何故か他人を寄せつけず |
荒垣秋野 |
|
他人様がよっぽどよいが老母の口癖 |
村上氷筆 |
|
口先の他人に貰うほめ言葉 |
小西慶子 |
|
姑でなければこんなに親切な私 |
島田握夢 |
|
こんにゃくを裏返すのは他人だろ |
長野峰明 |
|
他人事ですまぬ戦の火があがる |
御影静 |
|
他人事と思えないから口を出す |
田中要保 |
|
いい噂ばかりを持って来る他人 |
山本芳男 |
|
他人ごとが政治の中に有る不幸 |
上原翔 |
|
他人には幸せだけを見せておく |
御影静 |
|
勝ち戦の後ろに付いて来た他人 |
山本芳男 |
佳 |
他人の頃のア・ナ・タはそんな目をしない |
田中節子 |
佳 |
大丈夫などと他人は無責任 |
長島敏子 |
佳 |
雨期乾期元の他人へ判を押す |
山本ひさゑ |
佳 |
道草も入れ他人の距離を詰めてゆく |
島田握夢 |
佳 |
ふるさとのなまりいつしか他人めき |
樋口祐子 |
人 |
他人だと後ろ姿が念を押す |
長島敏子 |
地 |
結果論ばかりを掬う他人の掌 |
山本芳男 |
天 |
もう他人ではない一本のストロー |
坂下安伸 |
軸 |
他人には大らかだった父の斧 |
柿木英一 |
兼題 「例外」 山本ひさゑ選
|
例外はあなただけよと詰めよられ |
森山勝彦 |
|
尼さんもひとりの女恋もする |
上月智恵子 |
|
女だけ弱いのですか専用車 |
坂下安伸 |
|
原則は例外ありと読むんだよ |
村岡義博 |
|
例外が入ると四角になる玉子 |
沼尾美智子 |
|
友引の火葬場例外なく休み |
内田秀章 |
|
妻子から例外された四畳半 |
倭玄海 |
|
例外のたとえにいつも私の名 |
福島直球 |
|
割勘を二倍は欲しい人がいる |
水田象介 |
|
例外を許した事で座が白け |
青木公輔 |
|
アメリカもイラクも同じ陽が昇る |
上月智恵子 |
|
病室で入試試験を受けている |
村上静子 |
|
例外と言えば陣取る古ピアノ |
沼尾美智子 |
|
先生を美男に描いて五重丸 |
上村さな恵 |
|
酒タバコ欠かさず健康体でいる |
近藤敦子 |
|
一人息子を養子にやった親がいる |
中西保子 |
|
駐車違反例外のない婦警さん |
小西慶子 |
|
例外を一つ作って諦らめる |
長島敏子 |
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例外もあり正直者が馬鹿をみる |
小坂信子 |
|
やっぱりやるね名刺がわりのホームラン |
大橋克己 |
|
例外は此処に一人の不肖の子 |
赤井花城 |
|
例外をつくり安心してる群れ |
近藤敦子 |
|
例外は言い訳けするに便利な語 |
樋口祐子 |
|
家系にはない天才が出て大変 |
田中要保 |
|
例外のはなし肴に酌みかわす |
村上静子 |
|
例外はなかった母の躾糸 |
山本芳男 |
|
例外を拒んでからの向い風 |
古谷日出夫 |
|
女性専用車にオカマが一人乗っている |
上野多恵子 |
|
何もかも捨ててもいいの貴方なら |
水田象介 |
|
釣り上げた魚に餌をやる律儀 |
竹内一人 |
ラ |
まちがって生れてきたよな女の子 |
中西保子 |
|
例外が好きで脇道選って行く |
みぎわはな |
佳 |
自分だけ呆けないものと決めている |
小山紀乃 |
佳 |
例外と念押しおまけ二つ呉れ |
福島直球 |
佳 |
例外はなし一人も残さぬ仏の手 |
中西保子 |
佳 |
矢印の反対側へ行く男 |
柿木英一 |
佳 |
例外を三度許して愛になる |
村上氷筆 |
人 |
例外か奇跡か神が舞い降りる |
小山紀乃 |
地 |
人が犬咬んだニュースを未だ聞かぬ |
長野峰明 |
天 |
主義のない男を影武者に名指す |
柿木英一 |
軸 |
例外にされた頑固と地獄まで |
山本ひさゑ |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
近藤 敦子 |
内藤 忠彦 |
柿木 英一 |
沼尾美智子 |
山本 芳男 |
神田 巳珠 |
村上 静子 |
増田左代子 |
上村さな恵 |
坂下 安伸 |
上原 翔 |
小坂 信子 |
長野 峰明 |
小西 慶子 |
中西 保子 |
森山 勝彦 |
大橋 克己 |
田中 要保 |
古谷日出夫 |
長島 敏子 |
水田 象介 |
仲田 秀子 |
内田 秀章 |
村岡 義博 |
福島 直球 |
吉川 千穂 |
山田 蔦路 |
倭 玄海 |
前田 久雄 |
小島 知無 |
荒垣 秋野 |
御影 静 |
島田 握夢 |
上野多恵子 |
村上 氷筆 |
小山 紀乃 |
山本ひさゑ |
樋口 祐子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
田中 節子 |
竹内 一人 |
水上たお子 |
中本 三桂 |
青木 公輔 |
みぎわはな |
上月智恵子 |
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