平成15年1月26日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「温泉」 みぎわはな選
ラ |
いけてると思う湯けむりのわたくし |
沼尾美智子 |
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布袋さんと一週間の温泉町 |
樋口祐子 |
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過疎の村温泉客で村興し |
荒垣秋野 |
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手近なとこに温泉村があり平和 |
萩原皐月 |
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冬の景あたためている露天風呂 |
御影静 |
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砂風呂でムシ上げられてアクが消え |
小島知無 |
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日帰りの温泉昼寝して帰り |
福島直球 |
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恋も涙も振り捨て温泉若女将 |
上村さな恵 |
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蟹も良し湯は佳し満ちた旅鞄 |
坂下安伸 |
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生き延びる力を貰う出で湯旅 |
山本芳男 |
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落武者が出で湯の里で仮面脱ぐ |
長野峰明 |
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敬老のパスで有馬の湯へ通い |
福島直球 |
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かき捨ての恥も流している湧き湯 |
黒嶋海童 |
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雪の宿湯気のむこうに浮かぶ顔 |
長島敏子 |
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湯煙りで浄土への道旅半ば |
前田久雄 |
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穴場だと云う温泉のこの人出 |
田中要保 |
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山の湯の湯疲れこんな贅もよし |
田中要保 |
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文豪の出で湯にしばし溶けてみる |
沼尾美智子 |
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温泉が湧いた故郷の便り来る |
泉比呂史 |
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汗染みた札ですませてる勘定 |
増田左代子 |
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露天風呂解き放たれた顔で浮く |
黒嶋海童 |
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王様になる温泉の湯に浸る |
山本芳男 |
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大の字で男冥利の湯に浸かる |
黒嶋海童 |
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温泉へ親孝行が出来ぬまま |
前川千津子 |
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湯けむりにふたりのあの日巻きもどす |
仲田秀子 |
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温泉のパンフレットは積んである |
長島敏子 |
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競い合う温泉掘りの村おこし |
近藤嘉宏 |
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温泉につかりひととき春を抱く |
御影静 |
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湯の旅で心の重荷置いてくる |
前田久雄 |
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温泉に夫婦の首を浮かべる日 |
泉比呂史 |
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人生を二倍楽しむ露天風呂 |
上村さな恵 |
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肩のタオル常連らしい湯に染まり |
中西保子 |
佳 |
露天風呂で初日迎えている果報 |
村上氷筆 |
佳 |
温泉の香る手拭持ち帰り |
椙元世津 |
佳 |
温泉の中で呼吸を数えてる |
吉川千穂 |
佳 |
ストレスが取れたいい顔湯に浮かぶ |
森山勝彦 |
佳 |
捨てきれぬこだわり解けてゆく出で湯 |
御影静 |
人 |
老夫とゆく温泉疲れだけ残る |
萩原皐月 |
地 |
湯の宿で上座の妻へ酌をする |
森山勝彦 |
天 |
温泉で欲の話を聞き流す |
山本芳男 |
軸 |
温泉で比べるものはシワ・たるみ |
みぎわはな |
兼題 「塗る」 山中忠 選
ラ |
太陽を黄色に塗った子に負ける |
坂下安伸 |
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手鏡に心のゆれを塗っている |
樋口祐子 |
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壁塗りかえて天井が気にかかり |
水田象介 |
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悔しさを隠すルージュを厚く塗る |
山本ひさゑ |
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やめてくれ女形の様なその化粧 |
水田象介 |
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恋は盲目ペンキ塗り立てとも知らず |
長野峰明 |
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塗りかえた記録死闘の汗がある |
中西保子 |
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塗り方が下手で女装がばれました |
青木公輔 |
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かあさんのほっぺが赤いクレヨン画 |
泉比呂史 |
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塗り籠めた闇から拉致の子ら帰る |
黒嶋海童 |
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塗りましょうかあなたの海は深い青 |
荒垣秋野 |
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妬心なお爪を塗っても剥がしても |
長島敏子 |
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ダークレッドの唇の彩恋かしら |
吉川千穂 |
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子育てに少うしジャムを塗りすぎた |
沼尾美智子 |
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少し派手に塗りかえようか寡婦の壁 |
仲田秀子 |
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塗りまくった割には若く見えなくて |
青木公輔 |
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塗り足りぬ妻を急かせる厚化粧 |
倭玄海 |
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会う迄の口紅なれど矢張塗る |
坂下安伸 |
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塗り替えた壁から見えた虚栄心 |
山本芳男 |
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平均寿命過ぎた顔でも塗っている |
坂本須磨代 |
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縄電車過激な夫婦赤に塗る |
斎藤功 |
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塗り立てとあれば障ってみたくなる |
小西慶子 |
|
上塗りを重ねた嘘に縛られる |
みぎわはな |
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飼犬も首をかしげる程に塗り |
長野峰明 |
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塗り重ね輪島の黒が深くなる |
黒嶋海童 |
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薄く塗る頬在りし日を偲ぶ通夜 |
前川千津子 |
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蒼天を核戦争で塗らないで |
増田左代子 |
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塗り絵はや子の性格が窺える |
福島直球 |
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いかにも楽しげにトムが塀を塗る |
萩原皐月 |
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ペンキ塗り立ておかまいなしの影法師 |
樋口祐子 |
|
嫁のタクト実家の彩を塗りかえる |
仲田秀子 |
|
幻想のひとときを塗る海の霧 |
萩原皐月 |
佳 |
ゆっくりと靴墨を塗るいい休み |
椙元世津 |
佳 |
夢を塗る絵筆もうすぐ梅が咲く |
小山紀乃 |
佳 |
ばら色を塗って冬から春の絵に |
御影静 |
佳 |
冬枯れの唇にたっぷり紅を塗る |
沼尾美智子 |
佳 |
何の変化も無かった昨日塗りかえる |
上村さな恵 |
人 |
ひとりでも平気ほほ紅うすく塗る |
長島敏子 |
|
知薔薇に負けるな真冬の爪を塗っている |
田中節子 |
天 |
上薬塗らぬ陶器がもつ光 |
山本芳男 |
軸 |
濃く淡く待ち遠くして春を塗る |
山中忠 |
兼題 「ルーズ」 小山紀乃 選
ラ |
冬の雲三日坊主のダイエット |
田中節子 |
|
ちょい借りを忘れてしまう僕の癖 |
萩原皐月 |
|
捲られる迄しがみつく冬布団 |
大橋克己 |
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荷が着いたぐらいは電話して欲しい |
萩原皐月 |
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片付けはルーズ化粧は入念に |
水上たお子 |
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べったりと地面にすわる鼻ピアス |
長島敏子 |
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手を伸ばしスイッチ探す寒い朝 |
大橋克己 |
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食べ忘れしまい忘れて昏れている |
樋口祐子 |
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ルーズさと別ジーンズの履き心地 |
赤井花城 |
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生命線ルーズな俺と同じ妻 |
山中忠 |
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定刻に一人も来ない会議室 |
福島直球 |
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減量をルーズにさせるチョコレート |
坂下安伸 |
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休日の朝のルーズな枕抱く |
赤井花城 |
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年輪はゆったり結ぶ帯にみせ |
田中要保 |
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エプロンを脱ぐとルーズになる手足 |
上村さな恵 |
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ご高説より社会の窓が開いてます |
森山勝彦 |
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気兼ねなく決まり文句は「また明日」 |
斎藤功 |
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校則へルーズソックスほどの罪 |
黒嶋海童 |
|
父母へルーズに過ぎた借用書 |
沼尾美智子 |
|
このままでいいさルーズな子の絵筆 |
山中忠 |
|
それなりにルーズソックス主張する |
山本ひさゑ |
|
日曜の朝のルーズを許されよ |
泉比呂史 |
|
ちょっぴりとルーズなとこに母性愛 |
内藤忠彦 |
|
羊に似てルーズソックス群れて行く |
森山勝彦 |
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DNAと思えば叱れないルーズ |
村上氷筆 |
|
絵は未完ルーズを責める絵筆たち |
上村さな恵 |
|
都市砂漠少しルーズに生きてみる |
黒嶋海童 |
|
思い切りルーズで居よう今日一人 |
荒垣秋野 |
|
一本の捻子はゆるんで無駄づかい |
坂下安伸 |
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ポケットのルーズリーフに踊らされ |
古谷日出夫 |
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根っからのルーズさ部屋に積む月日 |
赤井花城 |
|
結び目がルーズになった金婚日 |
小島知無 |
佳 |
にこにこといつも遅れてくる男 |
御影静 |
佳 |
何もかも明日へ明日へとひきのばす |
御影静 |
佳 |
ルーズソックス花も実もあるいちページ |
小西慶子 |
佳 |
ゴム紐のルーズに愛がつなげない |
長野峰明 |
佳 |
ルーズそうだが青テントにも掟 |
増田左代子 |
人 |
クローン人間は愛のルーズかも |
増田左代子 |
地 |
年毎にルーズになって生き延びる |
みぎわはな |
天 |
正論のルーズリーフが外される |
沼尾美智子 |
軸 |
のび切ったゴム正月はもう終り |
小山紀乃 |
兼題 「多い」 坂本須磨代選
ラ |
再会に多く語らず抱き合う |
仲田秀子 |
|
一摘まみ負けて老婆の売る蜆 |
古谷日出夫 |
|
同病が多いと安心する不思議 |
荒垣秋野 |
|
報奨金もらえる程の多産系 |
中西保子 |
|
肚決めてから多すぎる酒の量 |
山中忠 |
|
いそいそと少し多目に焚くご飯 |
田中要保 |
|
選択肢増やして想い軽くする |
長島敏子 |
|
血圧も体重も皆妻多し |
大橋克己 |
|
久し振りいろは歌留多の三世代 |
神田巳珠 |
|
八十路越し賀状を止める友多し |
尾畑晴代 |
|
薄利多売のビラが知ってる裏おもて |
上村さな恵 |
|
携帯の多弁よ今日は淋しいか |
荒垣秋野 |
|
雑踏の中の孤独と自問答 |
山本ひさゑ |
|
一点の比重がおもい多数決 |
神田巳珠 |
|
パソコンの賀状が多くなる今年 |
尾畑晴代 |
|
多情多恨の町で溜まった皮下脂肪 |
上村さな恵 |
|
兄貴の方が多いと叫ぶちらし寿司 |
福島直球 |
|
多事多難これが生きると言うことか |
黒嶋海童 |
|
多弁な舌へわさび多目に塗ってやる |
長野峰明 |
|
口数が多くて消えていた時間 |
田中節子 |
|
無駄口の多い人で茶が冷める |
樋口祐子 |
|
多く食べ痩せていたいとあきれるわ |
内藤忠彦 |
|
薔薇たくさん買ってひとりのバースデー |
御影静 |
|
実南天びっしり正月多事多忙 |
萩原皐月 |
|
度忘れの文字が多すぎ辞書だより |
小坂信子 |
|
賽銭は多いかいなと神覗く |
小島知無 |
|
語り合うこと多く残して夫は逝く |
仲田秀子 |
|
口数の多さが尻尾みせいてる |
みぎわはな |
|
人生の道に石ころ多すぎる |
小坂信子 |
|
流転なお起伏に富んだ坂つづく |
赤井花城 |
|
五指十指数え尽くせぬ風の友 |
赤井花城 |
|
悔多き思い出ばかり訃の向う |
萩原皐月 |
佳 |
思い出は数えきれない菊の花 |
沼尾美智子 |
佳 |
生きるとは返せないほど恩をうけ |
増田左代子 |
佳 |
注意書多くて小指けがをする |
坂下安伸 |
佳 |
失言の多弁を夫がカバーする |
上村さな恵 |
佳 |
満天の星へうっかりゴミ捨てる |
樋口祐子 |
人 |
多く語らぬ葉書に温い血をもらう |
仲田秀子 |
地 |
ぜいたくな予算やっぱり確かめる |
山田蔦路 |
天 |
忘れたい過去多くして蝶の羽化 |
山中忠 |
軸 |
反省する事の多くて眠られぬ |
坂本須磨代 |
兼題 「和」 泉比呂史 選
|
和むもの求めて君に逢いに行く |
長野峰明 |
|
来る年も平和第九が響く街 |
黒嶋海童 |
|
日向ぼこ二羽の雀も平和です |
内藤忠彦 |
|
国中を和やかにする愛子さま |
みぎわはな |
|
境内の朝和やかな焚火の輪 |
赤井花城 |
|
願いごと多く賽銭追加して |
内藤忠彦 |
|
少しづつ嫁いだ村の和に解ける |
増田左代子 |
|
気の利いたジョークで緊張和らげる |
水上たお子 |
|
結局は和風に決める暮らし向き |
小山紀乃 |
|
戦など知らぬ世代の平和呆け |
倭玄海 |
|
和を願い自分は大将でいるつもり |
坂本須磨代 |
|
座が和むきっと夫人の気ばたらき |
沼尾美智子 |
|
小さな和守りつづけて住む近所 |
上村さな恵 |
|
体形をカバー和服が好きな母 |
中西保子 |
|
まろやかな味わい和解したお酒 |
御影静 |
|
和やかな仮面一生付けておく |
みぎわはな |
|
耐える日も和む日もあり古希の坂 |
小坂信子 |
|
人間の心やさしい言葉選る |
山田蔦路 |
|
川柳を愛して人の和に溶ける |
上村さな恵 |
|
指揮棒は姑が持つ手いる平和 |
小坂信子 |
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しとやかな和服が似合う京言葉 |
前川千津子 |
|
座右の銘聞かれていつも和と答え |
福島直球 |
|
三姉妹母をかこんで笑い声 |
森山勝彦 |
|
和やかという徳を身につけている |
萩原皐月 |
|
和やかな言葉で針を抜いていく |
小山紀乃 |
ラ |
君がいるだけで和んでくる茶房 |
萩原皐月 |
|
和やかな言葉を添えて年賀来る |
仲田秀子 |
|
和やかな輪の中心にいつも母 |
村上氷筆 |
|
鍵のない子供部屋から出る和音 |
山本芳男 |
|
手作りの今年も並ぶ和紙の雛 |
荒垣秋野 |
|
真っ白な和紙に想いを熱く書く |
山中忠 |
|
久し振り祖国で和む初春の酒 |
古谷日出夫 |
佳 |
ポケットの仲でゲンコツ宥めてる |
みぎわはな |
佳 |
若水が凛と書かせた和の一字 |
森山勝彦 |
佳 |
和解して箸の動きが軽くなる |
山本ひさゑ |
佳 |
子へ孫に家訓引き継ぐ和の一字 |
古谷日出夫 |
佳 |
控え目に生きて同居の和になじむ |
仲田秀子 |
人 |
思いきり鳴らそう平和へのラッパ |
御影静 |
地 |
誉められてチームワークの良さを云い |
椙元世津 |
天 |
だんらんの真ん中にいる母の笑み |
山中忠 |
軸 |
地球儀をまわして平和さがしだす |
泉比呂史 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
近藤 嘉宏 |
増田左代子 |
坂下 安伸 |
神田 巳珠 |
斎藤 功 |
森山 勝彦 |
長野 峰明 |
大橋 克己 |
坂本須磨代 |
山中 忠 |
沼尾美智子 |
上村さな恵 |
黒嶋 海童 |
長島 敏子 |
前川千津子 |
前田 久雄 |
古谷日出夫 |
中西 保子 |
村上 氷筆 |
御影 静 |
内藤 忠彦 |
仲田 秀子 |
倭 玄海 |
吉川 千穂 |
山本 芳男 |
小西 慶子 |
田中 要保 |
尾畑 晴代 |
椙元 世津 |
荒垣 秋野 |
泉 比呂史 |
小山 紀乃 |
田中 節子 |
福島 直球 |
小島 知無 |
みぎわはな |
萩原 皐月 |
山田 蔦路 |
樋口 祐子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
水田 象介 |
小坂 信子 |
水上たお子 |
山本ひさゑ |
中本 三桂 |
青木 公輔 |
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