ラ | いけてると思う湯けむりのわたくし | 沼尾美智子 |
布袋さんと一週間の温泉町 | 樋口祐子 | |
過疎の村温泉客で村興し | 荒垣秋野 | |
手近なとこに温泉村があり平和 | 萩原皐月 | |
冬の景あたためている露天風呂 | 御影静 | |
砂風呂でムシ上げられてアクが消え | 小島知無 | |
日帰りの温泉昼寝して帰り | 福島直球 | |
恋も涙も振り捨て温泉若女将 | 上村さな恵 | |
蟹も良し湯は佳し満ちた旅鞄 | 坂下安伸 | |
生き延びる力を貰う出で湯旅 | 山本芳男 | |
落武者が出で湯の里で仮面脱ぐ | 長野峰明 | |
敬老のパスで有馬の湯へ通い | 福島直球 | |
かき捨ての恥も流している湧き湯 | 黒嶋海童 | |
雪の宿湯気のむこうに浮かぶ顔 | 長島敏子 | |
湯煙りで浄土への道旅半ば | 前田久雄 | |
穴場だと云う温泉のこの人出 | 田中要保 | |
山の湯の湯疲れこんな贅もよし | 田中要保 | |
文豪の出で湯にしばし溶けてみる | 沼尾美智子 | |
温泉が湧いた故郷の便り来る | 泉比呂史 | |
汗染みた札ですませてる勘定 | 増田左代子 | |
露天風呂解き放たれた顔で浮く | 黒嶋海童 | |
王様になる温泉の湯に浸る | 山本芳男 | |
大の字で男冥利の湯に浸かる | 黒嶋海童 | |
温泉へ親孝行が出来ぬまま | 前川千津子 | |
湯けむりにふたりのあの日巻きもどす | 仲田秀子 | |
温泉のパンフレットは積んである | 長島敏子 | |
競い合う温泉掘りの村おこし | 近藤嘉宏 | |
温泉につかりひととき春を抱く | 御影静 | |
湯の旅で心の重荷置いてくる | 前田久雄 | |
温泉に夫婦の首を浮かべる日 | 泉比呂史 | |
人生を二倍楽しむ露天風呂 | 上村さな恵 | |
肩のタオル常連らしい湯に染まり | 中西保子 | |
佳 | 露天風呂で初日迎えている果報 | 村上氷筆 |
佳 | 温泉の香る手拭持ち帰り | 椙元世津 |
佳 | 温泉の中で呼吸を数えてる | 吉川千穂 |
佳 | ストレスが取れたいい顔湯に浮かぶ | 森山勝彦 |
佳 | 捨てきれぬこだわり解けてゆく出で湯 | 御影静 |
人 | 老夫とゆく温泉疲れだけ残る | 萩原皐月 |
地 | 湯の宿で上座の妻へ酌をする | 森山勝彦 |
天 | 温泉で欲の話を聞き流す | 山本芳男 |
軸 | 温泉で比べるものはシワ・たるみ | みぎわはな |
ラ | 太陽を黄色に塗った子に負ける | 坂下安伸 |
手鏡に心のゆれを塗っている | 樋口祐子 | |
壁塗りかえて天井が気にかかり | 水田象介 | |
悔しさを隠すルージュを厚く塗る | 山本ひさゑ | |
やめてくれ女形の様なその化粧 | 水田象介 | |
恋は盲目ペンキ塗り立てとも知らず | 長野峰明 | |
塗りかえた記録死闘の汗がある | 中西保子 | |
塗り方が下手で女装がばれました | 青木公輔 | |
かあさんのほっぺが赤いクレヨン画 | 泉比呂史 | |
塗り籠めた闇から拉致の子ら帰る | 黒嶋海童 | |
塗りましょうかあなたの海は深い青 | 荒垣秋野 | |
妬心なお爪を塗っても剥がしても | 長島敏子 | |
ダークレッドの唇の彩恋かしら | 吉川千穂 | |
子育てに少うしジャムを塗りすぎた | 沼尾美智子 | |
少し派手に塗りかえようか寡婦の壁 | 仲田秀子 | |
塗りまくった割には若く見えなくて | 青木公輔 | |
塗り足りぬ妻を急かせる厚化粧 | 倭玄海 | |
会う迄の口紅なれど矢張塗る | 坂下安伸 | |
塗り替えた壁から見えた虚栄心 | 山本芳男 | |
平均寿命過ぎた顔でも塗っている | 坂本須磨代 | |
縄電車過激な夫婦赤に塗る | 斎藤功 | |
塗り立てとあれば障ってみたくなる | 小西慶子 | |
上塗りを重ねた嘘に縛られる | みぎわはな | |
飼犬も首をかしげる程に塗り | 長野峰明 | |
塗り重ね輪島の黒が深くなる | 黒嶋海童 | |
薄く塗る頬在りし日を偲ぶ通夜 | 前川千津子 | |
蒼天を核戦争で塗らないで | 増田左代子 | |
塗り絵はや子の性格が窺える | 福島直球 | |
いかにも楽しげにトムが塀を塗る | 萩原皐月 | |
ペンキ塗り立ておかまいなしの影法師 | 樋口祐子 | |
嫁のタクト実家の彩を塗りかえる | 仲田秀子 | |
幻想のひとときを塗る海の霧 | 萩原皐月 | |
佳 | ゆっくりと靴墨を塗るいい休み | 椙元世津 |
佳 | 夢を塗る絵筆もうすぐ梅が咲く | 小山紀乃 |
佳 | ばら色を塗って冬から春の絵に | 御影静 |
佳 | 冬枯れの唇にたっぷり紅を塗る | 沼尾美智子 |
佳 | 何の変化も無かった昨日塗りかえる | 上村さな恵 |
人 | ひとりでも平気ほほ紅うすく塗る | 長島敏子 |
知薔薇に負けるな真冬の爪を塗っている | 田中節子 | |
天 | 上薬塗らぬ陶器がもつ光 | 山本芳男 |
軸 | 濃く淡く待ち遠くして春を塗る | 山中忠 |
ラ | 冬の雲三日坊主のダイエット | 田中節子 |
ちょい借りを忘れてしまう僕の癖 | 萩原皐月 | |
捲られる迄しがみつく冬布団 | 大橋克己 | |
荷が着いたぐらいは電話して欲しい | 萩原皐月 | |
片付けはルーズ化粧は入念に | 水上たお子 | |
べったりと地面にすわる鼻ピアス | 長島敏子 | |
手を伸ばしスイッチ探す寒い朝 | 大橋克己 | |
食べ忘れしまい忘れて昏れている | 樋口祐子 | |
ルーズさと別ジーンズの履き心地 | 赤井花城 | |
生命線ルーズな俺と同じ妻 | 山中忠 | |
定刻に一人も来ない会議室 | 福島直球 | |
減量をルーズにさせるチョコレート | 坂下安伸 | |
休日の朝のルーズな枕抱く | 赤井花城 | |
年輪はゆったり結ぶ帯にみせ | 田中要保 | |
エプロンを脱ぐとルーズになる手足 | 上村さな恵 | |
ご高説より社会の窓が開いてます | 森山勝彦 | |
気兼ねなく決まり文句は「また明日」 | 斎藤功 | |
校則へルーズソックスほどの罪 | 黒嶋海童 | |
父母へルーズに過ぎた借用書 | 沼尾美智子 | |
このままでいいさルーズな子の絵筆 | 山中忠 | |
それなりにルーズソックス主張する | 山本ひさゑ | |
日曜の朝のルーズを許されよ | 泉比呂史 | |
ちょっぴりとルーズなとこに母性愛 | 内藤忠彦 | |
羊に似てルーズソックス群れて行く | 森山勝彦 | |
DNAと思えば叱れないルーズ | 村上氷筆 | |
絵は未完ルーズを責める絵筆たち | 上村さな恵 | |
都市砂漠少しルーズに生きてみる | 黒嶋海童 | |
思い切りルーズで居よう今日一人 | 荒垣秋野 | |
一本の捻子はゆるんで無駄づかい | 坂下安伸 | |
ポケットのルーズリーフに踊らされ | 古谷日出夫 | |
根っからのルーズさ部屋に積む月日 | 赤井花城 | |
結び目がルーズになった金婚日 | 小島知無 | |
佳 | にこにこといつも遅れてくる男 | 御影静 |
佳 | 何もかも明日へ明日へとひきのばす | 御影静 |
佳 | ルーズソックス花も実もあるいちページ | 小西慶子 |
佳 | ゴム紐のルーズに愛がつなげない | 長野峰明 |
佳 | ルーズそうだが青テントにも掟 | 増田左代子 |
人 | クローン人間は愛のルーズかも | 増田左代子 |
地 | 年毎にルーズになって生き延びる | みぎわはな |
天 | 正論のルーズリーフが外される | 沼尾美智子 |
軸 | のび切ったゴム正月はもう終り | 小山紀乃 |
ラ | 再会に多く語らず抱き合う | 仲田秀子 |
一摘まみ負けて老婆の売る蜆 | 古谷日出夫 | |
同病が多いと安心する不思議 | 荒垣秋野 | |
報奨金もらえる程の多産系 | 中西保子 | |
肚決めてから多すぎる酒の量 | 山中忠 | |
いそいそと少し多目に焚くご飯 | 田中要保 | |
選択肢増やして想い軽くする | 長島敏子 | |
血圧も体重も皆妻多し | 大橋克己 | |
久し振りいろは歌留多の三世代 | 神田巳珠 | |
八十路越し賀状を止める友多し | 尾畑晴代 | |
薄利多売のビラが知ってる裏おもて | 上村さな恵 | |
携帯の多弁よ今日は淋しいか | 荒垣秋野 | |
雑踏の中の孤独と自問答 | 山本ひさゑ | |
一点の比重がおもい多数決 | 神田巳珠 | |
パソコンの賀状が多くなる今年 | 尾畑晴代 | |
多情多恨の町で溜まった皮下脂肪 | 上村さな恵 | |
兄貴の方が多いと叫ぶちらし寿司 | 福島直球 | |
多事多難これが生きると言うことか | 黒嶋海童 | |
多弁な舌へわさび多目に塗ってやる | 長野峰明 | |
口数が多くて消えていた時間 | 田中節子 | |
無駄口の多い人で茶が冷める | 樋口祐子 | |
多く食べ痩せていたいとあきれるわ | 内藤忠彦 | |
薔薇たくさん買ってひとりのバースデー | 御影静 | |
実南天びっしり正月多事多忙 | 萩原皐月 | |
度忘れの文字が多すぎ辞書だより | 小坂信子 | |
賽銭は多いかいなと神覗く | 小島知無 | |
語り合うこと多く残して夫は逝く | 仲田秀子 | |
口数の多さが尻尾みせいてる | みぎわはな | |
人生の道に石ころ多すぎる | 小坂信子 | |
流転なお起伏に富んだ坂つづく | 赤井花城 | |
五指十指数え尽くせぬ風の友 | 赤井花城 | |
悔多き思い出ばかり訃の向う | 萩原皐月 | |
佳 | 思い出は数えきれない菊の花 | 沼尾美智子 |
佳 | 生きるとは返せないほど恩をうけ | 増田左代子 |
佳 | 注意書多くて小指けがをする | 坂下安伸 |
佳 | 失言の多弁を夫がカバーする | 上村さな恵 |
佳 | 満天の星へうっかりゴミ捨てる | 樋口祐子 |
人 | 多く語らぬ葉書に温い血をもらう | 仲田秀子 |
地 | ぜいたくな予算やっぱり確かめる | 山田蔦路 |
天 | 忘れたい過去多くして蝶の羽化 | 山中忠 |
軸 | 反省する事の多くて眠られぬ | 坂本須磨代 |
和むもの求めて君に逢いに行く | 長野峰明 | |
来る年も平和第九が響く街 | 黒嶋海童 | |
日向ぼこ二羽の雀も平和です | 内藤忠彦 | |
国中を和やかにする愛子さま | みぎわはな | |
境内の朝和やかな焚火の輪 | 赤井花城 | |
願いごと多く賽銭追加して | 内藤忠彦 | |
少しづつ嫁いだ村の和に解ける | 増田左代子 | |
気の利いたジョークで緊張和らげる | 水上たお子 | |
結局は和風に決める暮らし向き | 小山紀乃 | |
戦など知らぬ世代の平和呆け | 倭玄海 | |
和を願い自分は大将でいるつもり | 坂本須磨代 | |
座が和むきっと夫人の気ばたらき | 沼尾美智子 | |
小さな和守りつづけて住む近所 | 上村さな恵 | |
体形をカバー和服が好きな母 | 中西保子 | |
まろやかな味わい和解したお酒 | 御影静 | |
和やかな仮面一生付けておく | みぎわはな | |
耐える日も和む日もあり古希の坂 | 小坂信子 | |
人間の心やさしい言葉選る | 山田蔦路 | |
川柳を愛して人の和に溶ける | 上村さな恵 | |
指揮棒は姑が持つ手いる平和 | 小坂信子 | |
しとやかな和服が似合う京言葉 | 前川千津子 | |
座右の銘聞かれていつも和と答え | 福島直球 | |
三姉妹母をかこんで笑い声 | 森山勝彦 | |
和やかという徳を身につけている | 萩原皐月 | |
和やかな言葉で針を抜いていく | 小山紀乃 | |
ラ | 君がいるだけで和んでくる茶房 | 萩原皐月 |
和やかな言葉を添えて年賀来る | 仲田秀子 | |
和やかな輪の中心にいつも母 | 村上氷筆 | |
鍵のない子供部屋から出る和音 | 山本芳男 | |
手作りの今年も並ぶ和紙の雛 | 荒垣秋野 | |
真っ白な和紙に想いを熱く書く | 山中忠 | |
久し振り祖国で和む初春の酒 | 古谷日出夫 | |
佳 | ポケットの仲でゲンコツ宥めてる | みぎわはな |
佳 | 若水が凛と書かせた和の一字 | 森山勝彦 |
佳 | 和解して箸の動きが軽くなる | 山本ひさゑ |
佳 | 子へ孫に家訓引き継ぐ和の一字 | 古谷日出夫 |
佳 | 控え目に生きて同居の和になじむ | 仲田秀子 |
人 | 思いきり鳴らそう平和へのラッパ | 御影静 |
地 | 誉められてチームワークの良さを云い | 椙元世津 |
天 | だんらんの真ん中にいる母の笑み | 山中忠 |
軸 | 地球儀をまわして平和さがしだす | 泉比呂史 |
【出席者】 (順不同・敬称略) | |||||
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近藤 嘉宏 | 増田左代子 | 坂下 安伸 | 神田 巳珠 | 斎藤 功 | 森山 勝彦 |
長野 峰明 | 大橋 克己 | 坂本須磨代 | 山中 忠 | 沼尾美智子 | 上村さな恵 |
黒嶋 海童 | 長島 敏子 | 前川千津子 | 前田 久雄 | 古谷日出夫 | 中西 保子 |
村上 氷筆 | 御影 静 | 内藤 忠彦 | 仲田 秀子 | 倭 玄海 | 吉川 千穂 |
山本 芳男 | 小西 慶子 | 田中 要保 | 尾畑 晴代 | 椙元 世津 | 荒垣 秋野 |
泉 比呂史 | 小山 紀乃 | 田中 節子 | 福島 直球 | 小島 知無 | みぎわはな |
萩原 皐月 | 山田 蔦路 | 樋口 祐子 | 赤井 花城 |
【投 句】 | |||||
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水田 象介 | 小坂 信子 | 水上たお子 | 山本ひさゑ | 中本 三桂 | 青木 公輔 |