平成14年12月24日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「ワイン」 島田握夢 選
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手土産のワインを語る里帰り |
竹信与志夫 |
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ワイン一本コンビニへ行く二十五時 |
大橋克己 |
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ワイン飲むふと百歳も夢でない |
山中忠 |
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ワインならいけると課長輪にはいる |
村上静子 |
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蔵の中ワインの語り聴きすます |
内藤忠彦 |
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透きとおるワインに混ぜる嘘ひとつ |
御影静 |
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スパイスの効いた会話に赤ワイン |
小山紀乃 |
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語らってワインに少し揺れ心地 |
椙元世津 |
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信じ合うワインは甘い味がする |
吉川千穂 |
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ワイングラス母と一緒に泣いている |
樋口祐子 |
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ちょっと洒落れて今宵ひとくち赤ワイン |
樋口祐子 |
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クラシック胸元深くワイン揺れ |
斎藤功 |
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魚でも肉でも白のワイン飲み |
水田象介 |
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誘われて男の嘘とのむワイン |
吉川千穂 |
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ロゼワインやさしい愛を期待する |
小山紀乃 |
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ひとかどのごたくならべるワイン通 |
上村さな恵 |
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花嫁のワイン明日の彩に酔い |
竹信与志夫 |
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赤ワインうふふと女華やいで |
長島敏子 |
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ワイン買いフランスパンの棚も見る |
福島直球 |
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あやしく揺れる人待ち顔のワイン |
増田左代子 |
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ボージョレーヌーボー燃えたあの夜は夢の中 |
森山勝彦 |
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幸せを静止させたい夜のワイン |
仲田秀子 |
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恋の炎を妖しく燃やすロゼワイン |
村上氷筆 |
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人妻とワイン仮面をかぶる夜 |
内田秀章 |
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最後の晩餐にこの赤取っておき |
水田象介 |
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バンザイをしてコルク栓抜ける |
近藤敦子 |
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赤ワイン愛の答がまだ出ない |
古谷日出夫 |
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いわし雲子ら揃う日のロゼワイン |
沼尾美智子 |
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生きのびてワイン飲む夜の悲しいドラマ |
前川千津子 |
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赤ワイン紅葉と天へとけていく |
萩原皐月 |
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通ぶってワインの名前みな覚え |
内田秀章 |
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ワインの向こうに眞実が見え隠れ |
増田左代子 |
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すぐ眠る男に呑ます赤ブドウ |
杉山清流 |
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もう絵にならぬつま老夫とたまには赤ワイン |
仲田秀子 |
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ワイン飲む意外な私が喋ってる |
荒垣秋野 |
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カタカナの言葉でワイン注ぎまわる |
山中忠 |
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平和ボケ、ワインに右往左往する |
尾畑晴代 |
人 |
ワイン飲む手からこぼれてくる火種 |
御影静 |
地 |
美しい言葉の横に置くワイン |
山本芳男 |
天 |
ロゼワインちびりちびりと冬にい入る |
御影静 |
軸 |
何やこれ抜けてる取って置きのワイン |
島田握夢 |
兼題 「ページ」 吉川千穂 選
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とっておきの頁は雪の夜に読む |
青木公輔 |
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秋夜長積んどく本の飛ばし読み |
大橋克己 |
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隙間にも愛が溢れているページ |
斎藤功 |
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ラストページゆきずりの駅塗り替える |
小西慶子 |
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雨だれを聞きつつページ繰っている |
村上氷筆 |
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ゆっくりと今日のページをしまいこむ |
樋口祐子 |
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紅葉で埋まるページを娘と歩く |
萩原皐月 |
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わが想い落丁となる冬隣 |
坂下安伸 |
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ページ繰る速さでひとが好きになる |
沼尾美智子 |
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遠い日のページに鬼がシャシャりでる |
山中忠 |
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胸を打つ晩秋のこのページ |
前川千津子 |
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日短か詩集のページも早や暗く |
小西慶子 |
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きな臭い帳簿さらりと繰るページ |
古谷日出夫 |
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言い訳のページ句読点が打てぬ |
竹信与志夫 |
ラ |
「ありがとう」最期のページに書くつもり |
小島知無 |
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川柳誌に始めて名前載るページ |
増田左代子 |
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父の吐息余白のページから洩れる |
萩原皐月 |
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輝いて生きたページが愛おしい |
樋口祐子 |
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若き日のポエムと出逢う一ページ |
山中忠 |
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もうすぐ夜明け青いページが離れない |
竹信与志夫 |
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千切られたページに寒い風が吹く |
御影静 |
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絵日記の半ページから雨になる |
長島敏子 |
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あのページ二十歳の風が埋めてある |
山本芳男 |
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青春の恋の火傷の一ページ |
村上氷筆 |
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豚汁をたっぷり冬枯れのページ |
沼尾美智子 |
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人生記えん罪のページ掌をかさね |
前田久雄 |
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心うつ句のあるページ折っておく |
村上静子 |
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立ち読みに栞はさんでまた明日 |
水田象介 |
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半ページに母の心が溢れでる |
井元照夫 |
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落丁がこれからという時にあり |
水田象介 |
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偶然に開けたページに君の記事 |
福島直球 |
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名を書いて消してページが熱くなる |
長島敏子 |
佳 |
空白のページひらくと雪しきり |
山本ひさゑ |
佳 |
思い断つページとばして花鋏 |
小西慶子 |
佳 |
ときめきの魔法のページ繰っている |
小山紀乃 |
佳 |
独りになってから読み返したい栞 |
島田握夢 |
佳 |
押し花のページハイネの詩がのぞく |
橋本涼子 |
人 |
そのページ開くと過去が燃えあがる |
長島敏子 |
地 |
最終のページを書いた蝶の羽 |
田中節子 |
天 |
広辞苑無学を恥じて繰るページ |
倭玄海 |
軸 |
ページ繰る私好みの本の彩 |
吉川千穂 |
兼題 「鳥」 萩原皐月 選
ラ |
週末を鳥になろうとEメール |
沼尾美智子 |
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百舌の声師走追われる様に昏れ |
上月智恵子 |
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犯人逮捕のきっかけくれたのがオーム |
村上静子 |
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過労死かカラスが地下で死んでいる |
増田左代子 |
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冬に入る心に点る雁便り |
赤井花城 |
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句が一句抜けて今夜の千鳥足 |
斎藤功 |
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抜き足差し足巣箱から声がする |
島田握夢 |
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逃げ込んだ小鳥に猫が締め出され |
小坂信子 |
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不器用を庭のカラスにさとられる |
樋口祐子 |
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ブラックコーヒー好きな気取り屋の鴉 |
内田秀章 |
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愚痴袋開けに日暮れの焼鳥屋 |
井元照夫 |
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飛ぶ鳥を落としてからの自己嫌悪 |
山本芳男 |
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バーベキューの真上輪を描く鳶がある |
尾畑晴代 |
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篭の鳥めいて老人ホームに居 |
福島直球 |
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ハトのフン注意思わず上を見る |
椙元世津 |
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暮れの街カラスも明日を考える |
長島敏子 |
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鳥籠の中で見ている北斗星 |
長島敏子 |
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珍客へ地鶏一羽を鍋にする |
大橋克己 |
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朝の森独唱してる鳥がいる |
村上静子 |
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手に乗った鳥がおしゃべりしてくれる |
福島直球 |
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鶏舎より飛び立つ朝の群うごく |
橋本涼子 |
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すぐそばにまさかと思う青い鳥 |
森山勝彦 |
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車椅子庭に小鳥が来てくれる |
山本ひさゑ |
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焼き鳥の匂いに負ける寒の月 |
山本ひさゑ |
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何かむなしい今日小鳥屋の店じまい |
青木公輔 |
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親鳥が巣立ちを急かす崖っぶち |
倭玄海 |
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火の鳥が翔べずに泣いた低い椅子 |
山中忠 |
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減反の噂雀の輪がくずれ |
竹信与志夫 |
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鳥の名を覚えて少女脱皮する |
吉川千穂 |
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巣離れを促す距離に餌を置く |
山本芳男 |
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群雀帰り教室静かなり |
坂下安伸 |
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さえずりにノックされてる朝の耳 |
近藤敦子 |
佳 |
ペンギンの様に歩き始めた孫 |
水田象介 |
佳 |
飛ぶ鳥を落とす男におとし穴 |
井元照夫 |
佳 |
夕焼けを啣えてカラス巣に帰る |
長野峰明 |
佳 |
プチコッコ自閉症かと心配に |
内藤忠彦 |
佳 |
コウノトリの夢に答えた愛子さま |
里嘉矩 |
人 |
重いのは羽毛布団のローンです |
水田象介 |
地 |
鳥になるまっ赤なドレス縫っている |
沼尾美智子 |
天 |
冬鳥よもう淋しさに馴れました |
田中節子 |
軸 |
紅葉して小鳥のように舞うわたし |
萩原皐月 |
兼題 「巷」 古谷日出夫 選
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不況風せめ巷のハンドベル |
沼尾美智子 |
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リストラの愚痴が充満する巷 |
内田秀章 |
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巷物騒女に恐いひったくり |
尾畑晴代 |
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男と女いつも巷は騒がしい |
山本ひさゑ |
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俺は俺だと言いつつ気にしている巷 |
島田握夢 |
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運命の出会い巷を抜け出せず |
竹内一人 |
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雑学の知識をもらう巷から |
上村さな恵 |
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或る日突然修羅の巷となる不安 |
赤井花城 |
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暮れの巷昔の彼とすれちがう |
村上静子 |
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酸欠の巷で揺れる冬帽子 |
竹信与志夫 |
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流行を巷に流すヒット曲 |
仲本三桂 |
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リストラにおびえ巷を飲み歩く |
井元照夫 |
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巷に迷い道祖神に道を聞く |
長野峰明 |
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歳末の巷で出合う赤い羽根 |
上村さな恵 |
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巷の灯揺れて別れが近くなる |
御影静 |
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夢を見て巷は今日もクジが売れ |
森山勝彦 |
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あちこちでお前の浮き名聞いている |
水田象介 |
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バーゲンの巷にサイフがついゆるみ |
荒垣秋野 |
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ジングルベルが鳴ると巷が活気づく |
御影静 |
|
地位名誉捨てた巷の裏住まい |
倭玄海 |
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少年が憩う巷のハンバーガー |
増田左代子 |
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企業みな去った巷に氷雨降る |
福島直球 |
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古いおんなで巷の風に流される |
山本ひさゑ |
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喋らない石が巷を制してる |
山中忠 |
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ノーベル賞もう一人の方もう忘れ |
島田握夢 |
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自称とも巷の詩人珈琲好き |
前川千津子 |
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戦乱の巷ときどき夢に出る |
小山紀乃 |
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巷には不況をあおる宝くじ |
坂下安伸 |
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酒二合ほろり巷は僕のもの |
山中忠 |
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巷には選挙の虫が這い出した |
内藤忠彦 |
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喜怒哀楽世相演じている巷 |
里嘉矩 |
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別れ来て妙に恋しい巷の灯 |
長島敏子 |
佳 |
リストラの風は巷へ吹きだまる |
樋口祐子 |
佳 |
落選のリベンジ巷の声を聞く |
内田秀章 |
佳 |
巷との間に国境がある永田町 |
島田握夢 |
佳 |
横文字の巷に迷い抜く旅路 |
赤井花城 |
佳 |
歓楽の巷へいつも背を向ける |
赤井花城 |
人 |
携帯が歩く巷に馴染めない |
椙元世津 |
地 |
巷から湧く真実の声がある |
萩原皐月 |
天 |
筋通す巷に男唄がある |
山本芳男 |
軸 |
大衆の声から山が動き出す |
古谷日出夫 |
兼題 「料理」 福島直球 選
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ふぐ料理囲んで消えたわだかまり |
中本三桂 |
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板前が家で安らぐ妻の膳 |
みぎわはな |
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だし巻きのしっかり出来て嫁になる |
山本ひさゑ |
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愛情のスパイスきいている料理 |
中本三桂 |
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娘の料理嫁に行けると言うて褒め |
長野峰明 |
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薄味に馴らされ人と争わぬ |
坂下安伸 |
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原価計算しながら食べる京料理 |
内田秀章 |
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スーパーの安売りばかり膳にのり |
水田象介 |
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フルコースあなた任せにするワイン |
赤井花城 |
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千客万来嬉しく追加する料理 |
内田秀章 |
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テールシチューにたっぷり愛を含ませる |
小山紀乃 |
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恋は謎料理手帳を娘が開く |
田中節子 |
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仲直りできそう温いなべ料理 |
山中忠 |
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煮ころがし素朴な母の手を借りる |
山本芳男 |
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古々米で美味しく炒飯作る嫁 |
大橋克己 |
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4人分レシピ通りを一人食べ |
小島知無 |
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料理など出来ぬ女の引くルージュ |
倭玄海 |
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鍋料理カロリーなんてそっちのけ |
森山勝彦 |
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手料理に飼いならされただめ亭主 |
森山勝彦 |
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三者凡退簡単に料理され |
赤井花城 |
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里帰り土鍋に母の味が煮え |
古谷日出夫 |
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舌の肥えた主人で料理苦労する |
村上静子 |
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可愛い男だ旨い旨いとみな食べる |
島田握夢 |
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新妻の料理に弾む夫婦箸 |
里嘉矩 |
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腕に縒り掛け母さんの快気膳 |
大橋克己 |
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田舎料理の芋煮を囲む囲炉裏端 |
尾畑晴代 |
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バスの旅観光よりも郷の味 |
前田久雄 |
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年金の枠で美味しい鍋料理 |
吉川千穂 |
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薬膳料理に舌づつみ老いたかな |
樋口祐子 |
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食べさせて貰う料理は褒めるだけ |
赤井花城 |
ラ |
だまされてみようか魔女の鍋料理 |
山中忠 |
佳 |
目で食べる料理見つめているお箸 |
御影静 |
佳 |
手料理の出来るおとこに従いてゆく |
御影静 |
佳 |
紳士淑女を忘れてしまう蟹料理 |
尾畑晴代 |
佳 |
スキ焼きへ口喧しい鍋奉行 |
神田巳珠 |
佳 |
手料理で僕のハートが盗まれる |
長島敏子 |
人 |
手のこんだ手料理全て隣から |
斎藤功 |
地 |
地震以後旨い物から先に食い |
水田象介 |
天 |
手料理で射とめた愛が煮くずれる |
沼尾美智子 |
軸 |
入魂の料理分かってくれた客 |
福島直球 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
井元 照夫 |
前田 久雄 |
内藤 忠彦 |
上村さな恵 |
小島 知無 |
長野 峰明 |
橋本 涼子 |
杉山 清流 |
増田左代子 |
大橋 克己 |
吉川 千穂 |
神田 巳珠 |
斎藤 功 |
森山 勝彦 |
内田 秀章 |
山本 芳男 |
沼尾美智子 |
倭 玄海 |
竹信与志夫 |
山中 忠 |
尾畑 晴代 |
長島 敏子 |
仲田 秀子 |
椙元 世津 |
村上 静子 |
近藤 敦子 |
村上 氷筆 |
坂下 安伸 |
荒垣 秋野 |
小西 慶子 |
萩原 皐月 |
御影 静 |
田中 節子 |
水田 象介 |
前川千津子 |
福島 直球 |
島田 握夢 |
古谷日出夫 |
小山 紀乃 |
里 嘉矩 |
樋口 祐子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
山本ひさゑ |
みぎわはな |
青木 公輔 |
竹内 一人 |
小坂 信子 |
中本 三桂 |
上月智恵子 |
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