平成14年9月29日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「食欲」 村上静子 選
ラ |
呑んで食い痩せてみたいとよう言うわ |
内藤忠彦 |
|
天高くひと休みするダイエット |
小山紀乃 |
|
ご自慢の食欲連れて里帰り |
竹信与志夫 |
|
食べて寝る暮らしが板について秋 |
御影静 |
|
食欲を目指してすする三分粥 |
長島敏子 |
|
秋空やとれとれ鰯食べたいな |
尾畑晴代 |
|
血糖値たまにはいいか食の秋 |
坂下安伸 |
|
芸術に遠くおなかがすぐに空く |
沼尾美智子 |
|
貪欲な食欲知らす体重計 |
尾畑晴代 |
|
秋の皿並べひとり居の食欲 |
増田左代子 |
|
腰据えて食欲満たす秋の月 |
御影静 |
|
つい買い過ぎる空腹時のスーパー |
近藤敦子 |
|
ランチタイム愚痴言い合ってよく食べる |
仲田秀子 |
|
食欲は無いが松茸だけは食う |
黒嶋海童 |
|
何もかもうまし身に付く物ばかり |
前川千津子 |
|
がぜん張り切る松茸のフルコース |
小山紀乃 |
|
カツ丼へ箸付ける度医者の顔 |
神田巳珠 |
|
自慢するひとつ食欲だけはある |
椙元世津 |
|
別腹をたたき最後まで食べる |
山田蔦路 |
|
夏ばてを挽回うんと飲み食べる |
御影静 |
|
食欲が出れば何処でも行きたがり |
小坂信子 |
|
我が家では妻もペットも寝ては喰い |
倭玄海 |
|
嫁の食欲三人目が出来たらしい |
永田秀子 |
|
味覚障害病んでかなしい食欲よ |
尾畑晴代 |
|
鍵っ子に食欲そそるカレーの香 |
仲田秀子 |
|
食欲をそそる松茸焼く香 |
古谷日出夫 |
|
食欲は命をつなぐバロメーター |
小島知無 |
|
食欲と戦っている肚の虫 |
長島敏子 |
|
バイキング他人の視線気にもせず |
吉川千穂 |
|
旺盛な食欲満たすチャンコ鍋 |
近藤敦子 |
|
順調な恋だろう娘よく食べる |
黒嶋海童 |
|
老いてなお食欲のある姑元気 |
小西慶子 |
|
農薬で食欲セーブするつもり |
長野峰明 |
|
美しく痩せるテレビを見て食べる |
山本芳男 |
|
流れ作業のように重ねる寿司の皿 |
沼尾美智子 |
|
食欲半減農薬を透かし見る |
樋口祐子 |
|
食欲が出たな介護の声がする |
中西保子 |
人 |
食欲に病魔ようやく消えてゆき |
小西慶子 |
地 |
病人へ母が苦心の味を盛る |
古谷日出夫 |
天 |
さんま塩焼ほら新米が炊き上がる |
小山紀乃 |
軸 |
病院食に馴れ食欲が湧いてくる |
村上静子 |
兼題 「ロマンス」 黒嶋海童 選
|
温いロマンス母へスカーフを贈る |
中西保子 |
|
ロマンスをいっぱい知っている茶房 |
仲田秀子 |
|
亡父に似たロマンスグレー好きになる |
長野峰明 |
|
あとないラブロマンスをつい急ぎ |
森山勝彦 |
|
ロマンスの蕾膨らむ文化祭 |
神田巳珠 |
|
愛ちゃんのロマンスまでは見届ける |
水田象介 |
|
七ツボタン秘めたロマンを抱く蛍 |
山本ひさゑ |
|
親知らぬ甘いロマンス月が知る |
中本三桂 |
|
糟糠の妻にもロマンスの匂い |
荒垣秋野 |
|
ロマンスと言ってくれるな古希の恋 |
小島知無 |
|
戦前のロマンス孫に笑われる |
上村さな恵 |
|
ロマンスの噂ばかりで縁遠い |
井元照夫 |
|
ふ化の日へ今日のロマンス温める |
樋口祐子 |
|
ロマンスの数だけダイヤせしめてる |
村上氷筆 |
|
ロマンスの途中で大きな波が来た |
田中節子 |
|
ロマンスの欠片を拾う石畳 |
長島敏子 |
|
この頭ロマンスグレー諦める |
森山勝彦 |
|
母にもあったロマンス茶を入れかえる |
中西保子 |
|
ロマンスの花火を派手に揚げてみる |
上村さな恵 |
|
ロマンスの時効になってする懺悔 |
井元照夫 |
|
ロマンスの噂に肌のみずみずし |
村上氷筆 |
|
ロマンスを掴み損こねた律儀者 |
山本芳男 |
|
虫時雨母のロマンス聞いている |
近藤敦子 |
|
ロマンスを同窓会でのろけてる |
新里俊郎 |
|
実らないロマンスも見た野の地蔵 |
赤井花城 |
|
青春のロマンスにまた彩を足す |
斎藤功 |
|
セピア色ロマンスの舟少し揺れ |
中西保子 |
|
ロマンスも別れも吹き抜ける峠 |
赤井花城 |
|
女です火ですロマンス煮ています |
山中忠 |
|
ロマンスの花を咲かせる種を蒔く |
御影静 |
|
アルバムに友のロマンス垣間見る |
椙元世津 |
ラ |
たった一つのロマンス胸に八十路坂 |
仲田秀子 |
佳 |
おぼろ月愛の告白待っている |
村上氷筆 |
佳 |
ロマンスを浮かべふたりのレモンティー |
御影静 |
佳 |
ロマンスへ昭和一桁遠く居る |
山本芳男 |
佳 |
想い出のロマンスを裁つ三面鏡 |
近藤嘉宏 |
佳 |
鬼のロマンス大きな秋になりそうだ |
田中節子 |
人 |
我がロマンス褪せて故郷で風化する |
倭玄海 |
地 |
ロマンスの極みに火の粉舞っている |
佐藤純一 |
天 |
ロマンを聞いておけばと墓洗う |
小西慶子 |
軸 |
ロマンスは実らぬ方が美しい |
黒嶋海童 |
兼題 「反対」 中西保子 選
|
反抗期わざと左と言って見る |
森山勝彦 |
|
賛成反対さんせいはんたい僕は中立 |
佐藤純一 |
|
反対と呑気な声の外野席 |
斎藤功 |
|
婿入りか否かで反対されたこともあり |
小坂信子 |
|
反対はしている父の瞳は許す |
井元照夫 |
|
好きだから敢えて逆から見てあげる |
沼尾美智子 |
|
反対をじっと見ていた亀の足 |
山本芳男 |
|
反対をするためだけに手を挙げる |
赤井花城 |
|
反対の空気ピコピコ鳴っている |
萩原皐月 |
|
反対をしそうな顔を読んでいる |
吉野瑛二 |
|
一抜けた華やかすぎる予定表 |
田中節子 |
|
既成事実反対出来ぬ膝の孫 |
倭玄海 |
|
声高に隅から起るブーイング |
大橋克己 |
|
父母の反対覚悟で茶髪つれてゆく |
仲田秀子 |
|
反対意見こらえて守る同居の灯 |
仲田秀子 |
|
代表に協力すると言ったはず |
水田象介 |
|
正反対の答えも出てるアンケート |
村上静子 |
|
反対はしませんと母釘を刺す |
増田左代子 |
|
無記名にすると反対票が減り |
村上氷筆 |
|
反対のホームまで来て見送られ |
内藤忠彦 |
|
反対の笛に踊ったのも若さ |
山本芳男 |
|
反対の口を諭吉に押さえられ |
長野峰明 |
|
反対も出来ぬデキたと言うふたり |
黒嶋海童 |
|
すいすいと渋滞車線横に見て |
近藤敦子 |
ラ |
飢えている地球の裏は天使の瞳 |
樋口祐子 |
|
閉め切ったドアーこじ開けてみたくなる |
小山紀乃 |
|
反対の風に固まる二人仲 |
長野峰明 |
|
反対をしてからうずき出す小指 |
吉野瑛二 |
|
姉妹の縁談何時も反対した父だ |
尾畑晴代 |
|
反対をするから余計炎える恋 |
村上静子 |
|
反対のホームに佇ってアカンベー |
神田巳珠 |
|
反対の角笛響きすぎないか |
青木公輔 |
佳 |
重ねない前に反対いう積木 |
山中忠 |
佳 |
餌まかれ反対派の旗かつぐ |
長野峰明 |
佳 |
逆噴射沈む覚悟は出来ている |
古谷日出夫 |
佳 |
反対が仕事になった元議員 |
新里俊朗 |
佳 |
反対の父も歌った娘の門出 |
竹信与志夫 |
人 |
反対の位置に黒子がある鏡 |
赤井花城 |
地 |
目を伏せたきっと反対なんだろう |
長島敏子 |
天 |
反対の後で大きい握り飯 |
前川千津子 |
軸 |
歌手になる相談母ちゃんは反対だ |
中西保子 |
兼題 「にこにこ」 尾畑晴代 選
ラ |
愛子さまお手手振られてにこやかに |
荒垣秋野 |
|
にこやかな握手の中にある野心 |
山本芳男 |
|
受付のきれいな人のにこやかさ |
赤井花城 |
|
他人にはにこやか妻の無言劇 |
吉川千穂 |
|
にこやかに笑うて父は淋しがり |
御影静 |
|
にこやかに医者がポリープ切ると言う |
黒嶋海童 |
|
にこやかな一日だったサンマ焼く |
佐藤純一 |
|
にこやかに本音かくしてビールつぐ |
森山勝彦 |
|
にこやかに訪ねてくれるボランティア |
古谷日出夫 |
|
にこやかに退院の日の車椅子 |
長島敏子 |
|
にこやかな母の岬の灯は消えず |
山中忠 |
|
にこやかに薔薇とたわむれる母遺影 |
小西慶子 |
|
にこやかな顔に浮んだ苦労皺 |
山本芳男 |
|
片えくぼ貴女が好きです素敵です |
吉野瑛二 |
|
営業用のにこやか捨てて逢いにゆく |
村上氷筆 |
|
ゆきずりのにこやかな目に会釈する |
萩原皐月 |
|
旬を盛る食卓にこやかに囲む |
小山紀乃 |
|
にこやかな仮面を脱いで出る疲れ |
赤井花城 |
|
にこやかな顔する母も苦労性 |
吉川千穂 |
|
にこやかな視線に会って髪直す |
近藤嘉宏 |
|
にこやかに過ぎて女の勘にぶる |
上村さな恵 |
|
買う気ないそんな写真のハイチーズ |
坂下安伸 |
|
にこやかに話せば丸い絵が描ける |
山本芳男 |
|
にこやかに笑ってみたい般若面 |
森山勝彦 |
|
にっこりと黙礼少女を脱皮す |
井元照夫 |
|
孫たちと居てにこやかに母米寿 |
近藤敦子 |
|
かあちゃんのにこにこ顔が恐ろしい |
水田象介 |
|
にこやかな最期だろうかコンパクト |
沼尾美智子 |
|
いつもにこやか貧乏神に嫌われる |
中西保子 |
|
にこやかな怒ることなど知らぬ人 |
前川千津子 |
|
にこやかを買われて苦情処理係 |
沼尾美智子 |
|
にこやかな仮面が重い夜の蝶 |
仲田秀子 |
佳 |
にこやかな顔で主役を占める母 |
山中忠 |
佳 |
にこやかに言いたいことを言うている |
萩原皐月 |
佳 |
役者だなにこやかに突くこの急所 |
樋口祐子 |
佳 |
他人には目尻が下がっているらしい |
水田象介 |
佳 |
にこやかな仮面の下に何かある |
小山紀乃 |
人 |
にこやかな言葉の底に棘がある |
山本ひさゑ |
地 |
にこやかな歯科医の痛い荒療治 |
倭玄海 |
天 |
にこやかな顔とぬるめの燗がいい |
山中忠 |
軸 |
デスマスクにこやかですと云われたい |
尾畑晴代 |
兼題 「本物」 佐藤純一 選
|
本物も偽物もあり古物商 |
井元照夫 |
|
本物のおとこを見せた貴乃花 |
長野峰明 |
|
本物の涙に耐えているピエロ |
上村さな恵 |
|
本物の愛を捜してまだひとり |
村上氷筆 |
|
本物は貸金庫なのおほほほほ |
沼尾美智子 |
|
横一線本物だけが生き残る |
山田蔦路 |
|
さすが本物壷のヒビにもある誇り |
長島敏子 |
ラ |
本物の恋は切ないものですね |
長野峰明 |
|
自由席で観た本物の村芝居 |
青木公輔 |
|
本物かどうか分からぬ二阡円 |
黒嶋海童 |
|
本ものと判ってからのその値段 |
吉野瑛二 |
|
ちちんぷいぷい本物に目を見張る |
小山紀乃 |
|
痛いがな本物でっせこの頭 |
森山勝彦 |
|
名人と呼ばれる迄の雨期乾季 |
古谷日出夫 |
|
本物の味だと旬のものを食べ |
村上静子 |
|
メッキがはがれ本物を買わされる |
水田象介 |
|
貞淑で注目浴びる胸飾り |
斎藤功 |
|
本物の糠床亡母が見えてくる |
竹信与志夫 |
|
本物のピカソだ鼻が曲ってる |
黒嶋海童 |
|
本物に目覚め少年森を出る |
御影静 |
|
お婆ちゃんの本物蒟蒻が旨い |
山本ひさゑ |
|
本物の顔だ苦労の皺の数 |
山本芳男 |
|
本物の乳房が惜しい哺乳瓶 |
井元照夫 |
|
変身の息子が流す玉の汗 |
古谷日出夫 |
|
本物の愛をげんこで呉れた亡父 |
長野峰明 |
|
これほどの本物はない妻の指 |
山中忠 |
|
本物の男で愚痴はこぼさない |
黒嶋海童 |
|
本物と呼ばれるまでは修業中 |
小島知無 |
|
本物の愛を信じて半世紀 |
小坂信子 |
|
棟梁の物差しに無い付け焼き刃 |
竹内一人 |
|
本物の風に迷える群に入る |
近藤嘉宏 |
|
いぶし銀の喉が聞かせる木遣節 |
大橋克己 |
佳 |
本物の松茸の値が吠えている |
吉川千穂 |
佳 |
本物の愛かサンマが焦げてきた |
樋口祐子 |
佳 |
すべて捨て本物だけを掌に残す |
吉川千穂 |
佳 |
本物は黙って風の中にいる |
萩原皐月 |
佳 |
本物を知ってる指が妥協せず |
村上氷筆 |
人 |
厳しさに触れず修行の座りだこ |
山中忠 |
地 |
ほんものは目立たぬ位置に正座する |
小山紀乃 |
天 |
マザーテレサの献身忘れてはいない |
沼尾美智子 |
軸 |
スパイスを利かせ本物らしくなる |
佐藤純一 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
井元 照夫 |
青木 公輔 |
沼尾美智子 |
古谷日出夫 |
神田 巳珠 |
吉川 千穂 |
長野 峰明 |
黒嶋 海童 |
斎藤 功 |
森山 勝彦 |
山中 忠 |
上村さな恵 |
増田佐代子 |
中西 保子 |
小坂 信子 |
内藤 忠彦 |
山田 蔦路 |
田中 節子 |
尾畑 晴代 |
大橋 克己 |
竹信与志夫 |
水田 象介 |
仲田 秀子 |
小島 知無 |
椙元 世津 |
小西 慶子 |
長島 敏子 |
倭 玄海 |
近藤 嘉宏 |
近藤 敦子 |
村上 静子 |
荒垣 秋野 |
山本 芳男 |
坂下 安伸 |
小山 紀乃 |
新里 俊郎 |
前川千津子 |
御影 静 |
杉山 清流 |
佐藤 純一 |
樋口 祐子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
竹内 一人 |
上月智恵子 |
山本 三桂 |
吉野 瑛二 |
福島 直球 |
山本ひさゑ |
萩原 皐月 |
村上 氷筆 |
※作品の著作権は、全てきやびん川柳会に帰属しています。無断転載、無断使用はご遠慮ください。