平成14年7月27日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「冷す」 中岡千代美選
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凍傷にかかってると味も分からず食べる |
島田握夢 |
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デパ地下へ頭冷しにつまみ喰い |
大橋克己 |
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デパートでひと時汗を入れて出る |
古谷日出夫 |
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かき氷二人の愛を加熱する |
吉川千穂 |
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住基ネットあたま冷して考える |
沼尾美智子 |
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何となく頭冷やしに部屋を出る |
椙元世津 |
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おしぼりを先ず真夏日のおもてなし |
萩原皐月 |
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膝掛けがほしい我慢のオペレーター |
前川千津子 |
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一人身の気軽今宵も冷奴 |
大橋克己 |
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井戸水で冷したすいか遠い夏 |
近藤敦子 |
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かき氷がつがつ全身を冷やす |
御影静 |
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ステテコで冷や酒はずむ妻の留守 |
内田秀章 |
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締め括る酒は冷たい方がよい |
山本芳男 |
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突然の訃へ肝冷す電話口 |
神田巳珠 |
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冷や水をかぶせたような訃が届き |
倭玄海 |
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水打って参道冷すけもの道 |
杉山清流 |
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滝壺で登り疲れた足冷やす |
尾畑晴代 |
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冷し賃取られて鍾乳洞を潜る |
中西保子 |
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わたくしを冷凍保存してほしい |
樋口祐子 |
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携帯に伸びてしまった冷しそば |
山中忠 |
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ポタージュも皿も冷やして夫を待つ |
近藤敦子 |
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ケンカ早いオトコ群から引き離す |
近藤敦子 |
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抽象論頭冷やせとヒニクられ |
森山勝彦 |
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ひと言が胃のあたりから冷えてゆく |
沼尾美智子 |
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冷静になって縺れた糸を解く |
古谷日出夫 |
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頭寒足熱すんなり聞いている話 |
増田左代子 |
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冷すまで待てぬビールの氷割り |
倭玄海 |
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冷しすぎた右脳だんだん狂い出す |
吉川千穂 |
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冷え込んだ景色にでかい絆創膏 |
長野峰明 |
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商談もスムーズに済み花氷 |
泉比呂史 |
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冷されて他人と知った昨日今日 |
吉川千穂 |
ラ |
冷奴暑い一日消してくれ |
内藤忠彦 |
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ひとことが過ぎて友情冷えたまま |
萩原皐月 |
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ほどほどの風に世渡り弱冷車 |
小山紀乃 |
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冷やせば冷やしたで歯に沁みると怒り |
島田握夢 |
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冷麦の紅一本に喉の涼 |
内藤忠彦 |
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故里の井戸は西瓜が冷えていた |
前川千津子 |
人 |
クーラーが効き過ぎている閑古鳥 |
水田象介 |
地 |
昨日から冷やしてると母嬉しそう |
島田握夢 |
天 |
喜びを頬ばり切れぬ冷蔵庫 |
古谷日出夫 |
軸 |
夏バテのペットへクーラーかけておく |
中岡千代美 |
兼題 「盛る」 仲田秀子 選
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サンプルに盛った嵩には程遠く |
長野峰明 |
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幸せを一杯盛った喜寿の宴 |
内藤忠彦 |
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盛り土の下に小鳥が眠ってる |
前川千津子 |
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赤飯を大盛りにする誕生日 |
前川千津子 |
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椎の葉に盛った昔の旅の味 |
赤井花城 |
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盛り合わせ買ってすませたのは女 |
吉川千穂 |
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大盛りを値切る女の度胸よさ |
吉川千穂 |
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上役が席を外すと盛り上がる |
小西慶子 |
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こんもりと乳房の女往く夏日 |
藤川芳醇 |
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盛りきりの飯で戦う青い春 |
倭玄海 |
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嘘ひとつ盛ったばかりに追うリスク |
竹内一人 |
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帰省した子に好物をてんこ盛り |
内田秀章 |
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欲を盛る器を野心家が磨く |
山本芳男 |
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盛りすぎる情けに犬が横を向く |
御影静 |
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下心あって話を盛りあげる |
小坂信子 |
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盛り塩も効いてきたのか招き猫 |
神田巳珠 |
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母の愛大きく高く盛る砂場 |
増田左代子 |
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夕餉には麦飯七分碗に盛る |
森山勝彦 |
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罪な夫女盛りを置いて逝き |
古谷日出夫 |
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盛り付けの綺麗な料理目で食べる |
御影静 |
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今日のニュース盛沢山な熱帯夜 |
萩原皐月 |
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母は逝き長女切り盛り頼もしい |
井元照夫 |
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一枚の皿に崩れぬ愛を盛る |
山中忠 |
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盛り塩のぼちぼちでんな客の入り |
中西保子 |
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盛りたくさんのイベント街は暮れてゆく |
伊佐次無成 |
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盛りそばでプロポーズした幸続く |
古谷日出夫 |
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ちらしずし母の形に盛ってある |
尾畑晴代 |
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灰皿に盛られた退屈な時間 |
御影静 |
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仏飯を盛り幸せに包まれる |
泉比呂史 |
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茄子漬けも威厳を見せる柿右衛門 |
みぎわはな |
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苦も楽も涼しげに盛る母の皿 |
樋口祐子 |
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盛花に花言葉まで添えてあり |
水田象介 |
ラ |
キュウリもみ一番乗りの夏を盛る |
斎藤功 |
佳 |
升売りの梅大盛りが転れ落ち |
大橋克己 |
佳 |
連夜サヨナラ盛りあがる甲子園 |
近藤敦子 |
佳 |
貧しくも皿いっぱいに愛を盛る |
みぎわはな |
佳 |
盛りだけの村一軒の手打ちそば |
山田蔦路 |
佳 |
銀シャリを大盛り食った特攻機 |
倭玄海 |
人 |
手料理の端にちょっぴり自我を盛る |
斎藤功 |
地 |
輪の中で母は思いを盛っている |
杉山清流 |
天 |
祈りの鶴を盛る八月の白い皿 |
近藤敦子 |
軸 |
くり返す月日にあきず飯を盛る |
仲田秀子 |
兼題 「折半」 島田握夢 選
ラ |
折半はいやだ全部ほしい遺産 |
増田左代子 |
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折半で痛み分けする免許証 |
古谷日出夫 |
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折半でなく四分六とする夫婦 |
神田巳珠 |
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折半で渡る危ない橋がある |
長野峰明 |
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人間の欲を折半して生きる |
吉川千穂 |
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勝ち負けをいわぬ折半した昨日 |
吉川千穂 |
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折半でどうだ頭の鶴の聲 |
坂下安伸 |
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折半に兄の不満がやや残り |
福島直球 |
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二で割ったら手元には何も残らず |
水田象介 |
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折半の出来ぬ子を連れ家裁出る |
倭玄海 |
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折半にされて繋ぎ目見失う |
山本ひさゑ |
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交替で育児休暇をとる夫婦 |
内田秀章 |
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わたくしを半分にして母介護 |
沼尾美智子 |
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折半の夢みつづける宝くじ |
中岡千代美 |
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半分こしたドラ焼きが笑いだす |
小山紀乃 |
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話合いつかず折半で済ます |
小山紀乃 |
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折半を切り出すまでのまでのまわり道 |
樋口祐子 |
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折半が狂うと揺れる天秤棒 |
山本芳男 |
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顔が広すぎて誰とでも折半 |
青木公輔 |
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まんじゅうも借金も折半にする兄いもと |
中西保子 |
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折半の小さな旅は仲がよい |
田中節子 |
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折半にするまんじゅうが小さくなる |
萩原皐月 |
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折半の二次会いつも地味にやり |
森山勝彦 |
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折半をすまなく思う人も無し |
前川千津子 |
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折半をしてもふっ切れない絆 |
荒垣秋野 |
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折半の話へ風が来て煽る |
古谷日出夫 |
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折半を云い出しかねて礼を云い |
椙元世津 |
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半分出した家だ汽笛を響かせる |
田中節子 |
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折半にしないで幸せが逃げるから |
中西保子 |
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人数の名前が並ぶ祝い熨斗 |
椙元世津 |
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折半のメモが回ってくる宴 |
赤井花城 |
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折半の出費に諸々の思い |
御影静 |
佳 |
折半がとっても好きな母でした |
山中忠 |
佳 |
なにもかも折半にして味気なし |
近藤敦子 |
佳 |
折半を知らぬひとりっ子の肥満 |
内田秀章 |
佳 |
半分は君に残りはキミの子に |
竹内一人 |
佳 |
半分っこしようなどと哀しいことを言う |
田中節子 |
人 |
半分に切ったケーキを子が見つめ |
森山勝彦 |
地 |
折半できょうだいが買う父の墓 |
泉比呂史 |
天 |
お隣と仲良く行き来する私道 |
竹内一人 |
軸 |
折半にしたったとどちらも言うている |
島田握夢 |
兼題 「鈴」 大橋克己 選
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鈴つけて鍵を振りふり子がひとり |
小西慶子 |
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鈴つけた男の首の古い骨 |
水田象介 |
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一つでは足りぬ亭主の首の鈴 |
水田象介 |
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廃屋の風鈴へ侘しさが募る |
島田握夢 |
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猫に鈴つけるプランのまま終わる |
小山紀乃 |
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迷い道励ます母の鈴が鳴る |
御影静 |
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煩悩を抱いて鈴振る遍路杖 |
中本三桂 |
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お遍路の鈴の音運ぶ風と逢う |
上月智恵子 |
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鈴つける者もいないよ山の神 |
井元照夫 |
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ああ旅と幾とせ鈴を振ったやら |
山中忠 |
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合鍵の鈴軽い音重い音 |
中岡千代美 |
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ドアチャイム押さえて開ける午前様 |
中岡千代美 |
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鈴の音の途絶えて遍路道遠し |
御影静 |
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拝殿の鈴打ち鳴らし恋願う |
水田象介 |
|
突然に呼鈴がなる生きのこり |
伊佐次無成 |
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背後から鈴の音がする銀河系 |
伊佐次無成 |
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馬追はここにいるよと風鈴に |
内藤忠彦 |
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鈴を振るような美声に惑わされ |
みぎわはな |
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藁草履同行二人杖の鈴 |
増田左代子 |
|
別れ道闇の彼方に母の鈴 |
みぎわはな |
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風鈴を吊す梅雨明けの出窓 |
近藤敦子 |
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鈴鳴らす大きく鳴らす神だのみ |
坂下安伸 |
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迎え火に風鈴ゆれて亡夫待つ |
仲田秀子 |
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しっかりと鈴を鳴らしてお賽銭 |
近藤嘉宏 |
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鈴鳴らし祈れば神の咳払い |
中本三桂 |
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古ぼけた土鈴のいのち温く鳴る |
斎藤功 |
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衝動買い財布の鈴が鳴り病まぬ |
樋口祐子 |
|
先達の鈴に護られ沢を往く |
神田巳珠 |
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小田原評定誰がつけるか猫の鈴 |
上月智恵子 |
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鈴の鳴る方へ何方も群れたがり |
竹内一人 |
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徒花の姉に残った鳴らぬ鈴 |
山本ひさゑ |
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風鈴がビールの栓を開けにくる |
山本芳男 |
|
明珍の音涼しげな病む窓辺 |
倭玄海 |
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雨三日風鈴がまんの子であった |
田中節子 |
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鍵束の鈴人間の生きる音 |
赤井花城 |
佳 |
風鈴にステテコ父は三枚目 |
沼尾美智子 |
佳 |
寺で買う鈴は仏の声で鳴り |
内田秀章 |
佳 |
菜園のトマト鈴成りおすそわけ |
尾畑晴代 |
佳 |
孫の来てチンと敲いてモミヂの手 |
神田巳珠 |
佳 |
夜間のナース鈴の重さを聞き分ける |
中西保子 |
人 |
遠い日の鈴こだまして分校場 |
井元照夫 |
地 |
風鈴が手招きをする遠花火 |
竹内一人 |
天 |
母の鈴もう鳴りません遠い星 |
井元照夫 |
軸 |
フレンチキス風鈴の音鳴り続け |
大橋克己 |
兼題 「磯」 泉比呂史 選
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磯の香り少ししている貝の汁 |
伊佐次無成 |
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磯釣りの成果を波にさらわれる |
福島直球 |
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老犬も漁夫の顔で磯眺め |
中岡千代美 |
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漁れ漁れを指でさばいて磯料理 |
沼尾美智子 |
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都市開発テトラポッドの磯ばかり |
萩原皐月 |
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さざ波の音符で踊る磯千鳥 |
古谷日出夫 |
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まだ母を男まさりにさせる磯 |
増田左代子 |
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うとうとと釣り糸垂れる磯の春 |
倭玄海 |
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もの言わず二人並んで貝拾う |
小島知無 |
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磯伝い此処にも在った兵の墓 |
大橋克己 |
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磯釣りの醍醐味魚拓とっておく |
前川千津子 |
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折角の磯の香を生姜で消している |
島田握夢 |
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島の磯姉と探した星の砂 |
近藤敦子 |
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満月の磯で溢れる蟹の舞い |
山本ひさゑ |
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古里は磯から三里ちぎれ雲 |
山田蔦路 |
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どの貝も磯の情けを抱いて寝る |
御影静 |
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磯伝うくるぶし童心に還る |
赤井花城 |
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凪の日のテトラポッドが歌ってる |
中西保子 |
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一つずつ島晴れて来し若布干す |
小西慶子 |
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磯づたい歩く女の影法師 |
吉川千穂 |
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釣果より磯の香りが好きで来る |
森山勝彦 |
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子の籠はやどかりばかり磯遊び |
尾畑晴代 |
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磯辺ゆく手に靴さげてうぶな恋 |
森山勝彦 |
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産地直送磯の香りを漂わせ |
福島直球 |
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磯のりは母の香がする朝ご飯 |
前川千津子 |
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磯千鳥海の厳しさ知っている |
山本芳男 |
ラ |
引く波が恋を攫っていって秋 |
みぎわはな |
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泣き砂の磯に埋めて来た涙 |
荒垣秋野 |
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磯凪いで亡母の思い出つれて来る |
小山紀乃 |
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磯の香が母から届くクール便 |
内田秀章 |
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波の引く間に磯のりを摘むくらし |
萩原皐月 |
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台風が逸れてテトラの威張る磯 |
近藤嘉宏 |
佳 |
哀愁のおんなが一人磯に立つ |
井元照夫 |
佳 |
磯の香も連れて帰ってきた家族 |
小山紀乃 |
佳 |
磯の香をひとつ手前の駅で嗅ぐ |
御影静 |
佳 |
磯の香がいっぱい母の荷が届く |
山本芳男 |
佳 |
寝転んで磯の香りを全部吸う |
山本芳男 |
人 |
磯しぶき砕けてさよならが近い |
御影静 |
地 |
磯じまんぶらさげ孫を抱きにくる |
古谷日出夫 |
天 |
磯の秋誰も拾わぬ桜貝 |
仲田秀子 |
軸 |
磯の香よふるさとはもう夏盛ん |
泉比呂史 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
井元 照夫 |
杉山 清流 |
増田左代子 |
山中 忠 |
吉川 千穂 |
神田 巳珠 |
倭 玄海 |
大橋 克己 |
長野 峰明 |
中西 保子 |
斎藤 功 |
内田 秀章 |
森山 勝彦 |
泉 比呂史 |
水田 象介 |
藤川 芳醇 |
古谷日出夫 |
中岡千代美 |
田中 節子 |
仲田 秀子 |
近藤 嘉宏 |
近藤 敦子 |
荒垣 秋野 |
内藤 忠彦 |
萩原 皐月 |
御影 静 |
島田 握夢 |
小山 紀乃 |
尾畑 晴代 |
みぎわはな |
沼尾美智子 |
椙元 世津 |
伊佐次無成 |
小西 慶子 |
山本 芳男 |
福島 直球 |
前川千津子 |
樋口 祐子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
山本ひさゑ |
上月智恵子 |
小島 知無 |
中本 三桂 |
竹内 一人 |
小坂 信子 |
山田 蔦路 |
坂下 安伸 |
青木 公輔 |
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