平成14年3月17日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「浮き浮き」 水田象介 選
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浮き浮きとデートの朝は身も軽い |
森山勝彦 |
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栄転の噂浮き浮き社は潰れ |
坂下安伸 |
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春だから十八才の娘です |
山田蔦路 |
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ゴール前握る馬券が浮き浮きと |
内藤忠彦 |
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うきうきと「サクラガサイタ」日のおすし |
沼尾美智子 |
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盲点を見つけ浮き浮きする言葉 |
山中忠 |
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合格に浮き浮き学費考えず |
福島直球 |
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福袋提げて家路へ弾む足 |
神田巳珠 |
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オーデコロン多めに男浮き浮きと |
山本ひさゑ |
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浮き浮きと酔うた女の長電話 |
仲田秀子 |
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百花繚乱浮き浮きせずにおれぬ春 |
村上氷筆 |
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病室も浮き浮き窓の桜咲く |
福島直球 |
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うきうきと跳ねてるうちに追い抜かれ |
みぎわはな |
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歴めくれば明日は浮き浮き出来そうだ |
青木公輔 |
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まな板も春のリズムで唄ってる |
樋口祐子 |
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ひとり来て浮き浮き花のまん中で |
御影静 |
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受話器おき妻が浮き浮きする疑惑 |
山本ひさゑ |
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ブーツ脱いで延々と花のおしゃべり |
田中節子 |
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嬉しさのあまりピンクの服を買う |
前川千津子 |
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心浮き浮き片隅で待つ喫茶店 |
長島敏子 |
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約束が出来ハンモックよく揺れる |
黒嶋海童 |
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母も子も留守で浮き浮きする今夜 |
内田秀章 |
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花だよりうきうきと聞く缶ビール |
沼尾美智子 |
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浮き浮きとクラブを磨く嫌な顔 |
内藤忠彦 |
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浮き浮きと約束の日の花時計 |
近藤敦子 |
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乳房ふっくら少女は毬のように弾む |
増田佐代子 |
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暖冬にうきうき覚める花時計 |
増田佐代子 |
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バーゲンの品浮き浮きと広げてる |
荒垣秋野 |
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浮き浮きと竿いっぱいに布団干す |
荒垣秋野 |
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笑わない人が笑って春ですね |
前川千津子 |
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ラ佳ダイエットやっと主人が抱いてくれ |
大橋克己 |
佳 |
二浪の娘を想い浮き浮きしておれず |
青木公輔 |
佳 |
隠しても駄目ネクタイが派手すぎる |
黒嶋海童 |
佳 |
当てなしに浮き浮きさせる子の便り |
近藤嘉宏 |
佳 |
久々にあなたが帰る日の化粧 |
村上氷筆 |
人 |
手漉き和紙桜したため春便り |
吉川千穂 |
地 |
浮き浮きと膨らみすぎて雲に乗る |
長野峰明 |
天 |
うきうきそわそわあなたの側がいい |
樋口祐子 |
軸 |
朝からタバコにビール妻が居ないから |
水田象介 |
兼題 「再会」 近藤敦子 選
ラ |
再会のドラマを描いた村祭り |
竹信与志夫 |
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路地裏の再会缶蹴りの谺 |
竹信与志夫 |
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再会を喜びながら名が出ない |
真辺幸子 |
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再会や天地の中に君一人 |
森山勝彦 |
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再会へ弾んだ靴の独り言 |
神田巳珠 |
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再会をひっそりはたす赤井帯 |
伊佐次無成 |
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黒枠で再会なんてバカヤロー |
長野峰明 |
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あのときの帯止めをして逢いにゆく |
山本ひさゑ |
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再会の話はつきずレモンティー |
水田象介 |
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再びは会ってはならぬ焼け棒杭 |
坂下安伸 |
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言葉なく幾年振りの肩を抱く |
上月智恵子 |
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民族の血で国境が緩くなる |
竹内一人 |
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思い出の深い笑窪に迎えられ |
黒嶋海童 |
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再びを会うこともなく春たける |
上月智恵子 |
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再会の余韻に浸る桜闇 |
村上氷筆 |
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再会もあの日のような雨になり |
福島直球 |
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再会の神さますっかり色褪せる |
沼尾美智子 |
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再会を信じて握る細い指 |
長島敏子 |
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再会に苺ミルクは覚えられ |
前川千津子 |
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待つ人が居るから急ぐパスポート |
小西慶子 |
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偶然の再会埋み火の騒ぐ |
山本ひさゑ |
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再会は約さぬことにする別れ |
赤井花城 |
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半世紀ぶりのあなたを待つ茶房 |
仲田秀子 |
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再会を約した小指それっきり |
長野峰明 |
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髪染めて会うその日まで凛と待つ |
増田佐代子 |
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五年振り会える時計が進まない |
古谷日出夫 |
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同窓会まだしびれさす声を持つ |
みぎわはな |
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再会の時もニトロが手ばなせず |
森山勝彦 |
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再会の歳月埋めて飲み明かす |
内田秀章 |
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再会の眸に過ぎた日をみな赫す |
小山紀乃 |
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残留の姉妹の影はさくら色 |
田中節子 |
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歯をみがく再会までのプレリュード |
沼尾美智子 |
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逢うたびにアンチロマンの私小説 |
山中忠 |
佳 |
再会のシナリオに狂い出す歩巾 |
荒垣秋野 |
佳 |
かがやいた元妻に逢いどっと冬 |
山本ひさゑ |
佳 |
再会にとびこえようか水たまり |
仲田秀子 |
佳 |
再会の駅に弾んだ里訛り |
竹信与志夫 |
佳 |
再び会う約束赤いジャンプ傘 |
沼尾美智子 |
人 |
あの丘でまた逢える日を待つさくら |
長島敏子 |
地 |
再会に戰さの歳を巻き戻す |
坂下安伸 |
天 |
もう逢えぬかも知れぬ掌が温かすぎる |
赤井花城 |
軸 |
タイムトンネル抜けて再会のふたり |
近藤敦子 |
兼題 「気晴らし」 長野峰明 選
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気晴らしは女ばかりの昼の宴 |
小坂信子 |
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意地悪な上司のお茶にフケを入れ |
村上氷筆 |
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胃カメラも済ませ気軽く呑める酒 |
大橋克己 |
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春うらら老母をドライブに誘う |
近藤敦子 |
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悪口を言い合う妻で気が晴れる |
斎藤功 |
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年金の気晴らし庭の草むしり |
黒嶋海童 |
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気晴らしの旅で買ってるアロハシャツ |
上村さな恵 |
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こんな時食べ放題にすぐ頼る |
小山紀乃 |
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気晴らしにふらりと街へベレー帽 |
吉川千穂 |
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気晴らしに実家の母とデンワする |
中西保子 |
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知恵の輪の解けず気晴らしまだ出来ぬ |
山本ひさゑ |
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気晴らしの小言を探す課長補佐 |
内田秀章 |
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気晴らしにらせん階段かけ昇る |
古谷日出夫 |
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気晴らしにロボット犬と話する |
吉野瑛二 |
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気晴らしに猪口かたむけるふたり酒 |
中西保子 |
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気晴らしに花から花を試着する |
沼尾美智子 |
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気晴らしの三個のぼた餅胃にもたれ |
田中節子 |
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気晴らしのつもりで靴を履きかえる |
伊佐次無成 |
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御用心妻の気晴らし百貨店 |
みぎわはな |
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気晴らしに酒豪の女と酒を酌む |
井元照夫 |
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気晴らしのペットがいつか王様に |
荒垣秋野 |
ラ |
外食をして買物をしてきたらしい |
水田象介 |
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オーイ雲コダマが帰る気も晴れる |
小西慶子 |
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気晴らしの坂で縄電車に押され |
竹信与志夫 |
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客足どうあれ気晴らし亭と命名す |
青木公輔 |
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喋ったらやっと気も晴れ腹も減り |
椙元世津 |
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気晴らしはS席ギャンブルより安い |
青木公輔 |
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気晴らしの肩が並んだ屋台酒 |
古谷日出夫 |
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古セトモノ割って割って晴らすもの |
山本ひさゑ |
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気晴らしの桜の私語がどっと舞う |
増田佐代子 |
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雑踏に紛れて晴らすほどの鬱 |
村上氷筆 |
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人妻の謎に気張らしの顔がある |
杉山清流 |
佳 |
気晴らしに猫の髭つむ雨の午後 |
内田秀章 |
佳 |
人気無い展望台で声枯らす |
斎藤功 |
佳 |
箸袋気晴らしに書くLOVESONG |
山中忠 |
佳 |
一度からはじめたギャンブルの雪崩 |
小山紀乃 |
佳 |
気晴らしにせんじ薬の苦さ聞く |
山中忠 |
人 |
気晴らしが二つ返事でやってくる |
中西保子 |
地 |
気晴らしに揚げた花火が風を抱く |
山中忠 |
天 |
気晴らしに一杯やるのはもうよそう |
水田象介 |
軸 |
気晴らしに上司の綽名つけてやる |
長野峰明 |
兼題 「悠々」 上村さな恵選
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釣糸を垂れ俗世に距離を置く |
上月智恵子 |
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脱稿のペン悠々と横になる |
小山紀乃 |
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連れあいも釣り三昧の暮らしです |
小坂信子 |
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潔く散って桜が野に還る |
竹内一人 |
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パトロンがいるから悠々としてるだけ |
山田蔦路 |
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億ションで悠々ひとり若いひと |
斎藤功 |
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雲悠々せかせか歩くのは止そう |
赤井花城 |
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悠々の風に垂れないかたつむり |
竹信与志夫 |
|
悠々とみなぎり抱いて逢いにゆく |
杉山清流 |
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朝御飯軽く二杯の受験生 |
増田佐代子 |
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悠々と敵が馬腹を見せて行く |
黒嶋海童 |
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悠々に見えるが開き直っただけ |
水田象介 |
|
悠々の生涯でした猫のトラ |
荒垣秋野 |
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日々好日妻も私も五・七・五 |
古谷日出夫 |
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ペイオフがどうあれ悠々めしを喰う |
井元照夫 |
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最後でも悠々完走した笑顔 |
前川千津子 |
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悠々と敵の裏かく昼行灯 |
長島敏子 |
|
司馬遷の史談悠々迫らざる |
村上氷筆 |
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遺伝子ゆうゆう来年は父親になる |
中西保子 |
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悠々と星の流れる露天風呂 |
小島知無 |
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大風呂敷の悠々とした首裁く |
山本ひさゑ |
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目覚まし止め春祝日を二度寝する |
大橋克己 |
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見回して悠々渡る赤信号 |
福島直球 |
|
悠々と回る特大ホームラン |
前川千津子 |
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悠々を装い過ぎて冷えた肩 |
長島敏子 |
|
偽善者の悠々歩く背が寒い |
御影静 |
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趣味ゆうゆう筆記用具と辞書と住む |
中西保子 |
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貧乏性悠々自適落ちつかぬ |
山本ひさゑ |
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悠々と海は夕日を呑んでゆく |
御影静 |
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答辞終え紅顔悠々席に着く |
増田佐代子 |
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悠々と米寿の宴を舞い納め |
古谷日出夫 |
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酒を酌みさらりと今日を過去にする |
山中忠 |
佳 |
悠々と釣り餌無視して泳ぐ鯉 |
村上氷筆 |
佳 |
ゆうゆうと遅刻したのは新社員 |
沼尾美智子 |
佳 |
悠々としてる男の素寒貧 |
山田蔦路 |
佳 |
悠々自適日毎に映える茶器の艶 |
内田秀章 |
佳 |
図書館で悠々昼寝する無職 |
内田秀章 |
人 |
悠々自適じゃないが花の美しさは判る |
青木公輔 |
地 |
悠々と刻を流した埴輪の瞳 |
山本ひさゑ |
天 |
白鳥の美学水掻く脚見せず |
みぎわはな |
軸 |
悠々のしまい風呂です無我の刻 |
上村さな恵 |
兼題 「明暗」 杉山清流 選
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望まれて来たのに嫁の椅子が悪い |
竹内一人 |
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明暗を分けたあの日のあの右折 |
長島敏子 |
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明暗をわける履歴書ポストまで |
仲田秀子 |
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アドバイス受けて明るい道へ向き |
椙元世津 |
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虚無僧の明暗姿夢の中 |
小島知無 |
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この一点で明暗きまる受験生 |
仲田秀子 |
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ペイオフを気にする人としない人 |
水田象介 |
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お隣の退院を聞く鼻の管 |
長島敏子 |
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闊歩する踵うらやむ日陰者 |
長島敏子 |
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陽の当る話だけする同窓会 |
みぎわはな |
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この道を行くかもどるか明と暗 |
小坂信子 |
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明暗を分ける卵を抱いている |
黒嶋海童 |
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一芸を極めた顔に明と暗 |
樋口祐子 |
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写真には明と暗とが交互する |
吉川千穂 |
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明暗を「あっ」と言う間の花である |
沼尾美智子 |
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並んだ列のはい此処までの明と暗 |
長野峰明 |
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明と暗閻魔が記す帳にある |
黒嶋海童 |
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税務署の椅子で拾った明と暗 |
上村さな恵 |
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明暗を分ける女神の匙加減 |
内田秀章 |
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同じ道辿った双子の明と暗 |
内田秀章 |
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明暗は知らぬポストの無表情 |
上村さな恵 |
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明暗を分けたあの日の順不同 |
黒嶋海童 |
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明暗に尾鰭ついてるクラス会 |
斎藤功 |
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地震帯明暗別けた日の悲劇 |
井元照夫 |
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春愁をかき交ぜに来るお嬢さん |
田中節子 |
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舞台暗転女は眉をひき直す |
山本ひさゑ |
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ライバルにばかりくす玉割れている |
山本ひさゑ |
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花の下門くぐる子とくぐらぬ子 |
坂下安伸 |
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明暗を分ける大きな月が出る |
伊佐次無成 |
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どう転ぶ泣くか笑うか夜明け前 |
坂下安伸 |
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明暗をつけてみずみずしいりんご |
近藤敦子 |
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徴兵へ明暗分ける検査官 |
神田巳珠 |
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臓器移植錆びた部品の残日数 |
増田佐代子 |
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曲がり角ひとつ違えば明と暗 |
小坂信子 |
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明暗の隔てに触れぬクラス会 |
村上氷筆 |
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明暗のはざまで揺れる縄梯子 |
御影静 |
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ギブアンドテイク不惑の知恵に負け |
竹内一人 |
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暗の字はポッケに入れて明でゆく |
内藤忠彦 |
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明と暗その接点にある擬音 |
吉川千穂 |
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明暗を分ける切り札待つ動悸 |
御影静 |
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飛び入りで予定が狂う初舞台 |
山田蔦路 |
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明暗の岐路に見えない道標 |
長野峰明 |
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同窓会明暗刻む笑い皺 |
みぎわはな |
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受かったのバンサイを見る悔し泣き |
小山紀乃 |
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明暗をわける遮断機降りはじめ |
青木公輔 |
人 |
明と暗鏡の中にいた私 |
吉川千穂 |
地 |
明暗の過去は語らぬ炊飯器 |
上村さな恵 |
天 |
涙にも笑顔にも弱い男です |
みぎわはな |
軸 |
六法を頼りに明暗ふりわける |
杉山清流 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
山田 蔦路 |
井元 照夫 |
内田 秀章 |
神田 巳珠 |
森山 勝彦 |
中西 保子 |
青木 公輔 |
増田左代子 |
長野 峰明 |
みぎわはな |
竹信与志夫 |
沼尾美智子 |
吉川 千穂 |
杉山 清流 |
樋口 祐子 |
近藤 嘉宏 |
近藤 敦子 |
山中 忠 |
上村さな恵 |
黒嶋 海童 |
斎藤 功 |
大橋 克己 |
小島 知無 |
村上 氷筆 |
長島 敏子 |
山本ひさゑ |
水田 象介 |
仲田 秀子 |
田中 節子 |
椙元 世津 |
古谷日出夫 |
御影 静 |
荒垣 秋野 |
内藤 忠彦 |
伊佐次無成 |
坂下 安伸 |
小西 慶子 |
福島 直球 |
前川千津子 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
上月智恵子 |
吉野 瑛二 |
中本 三桂 |
小山 紀乃 |
竹内 一人 |
真辺 幸子 |
小坂 信子 |
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