平成14年1月12日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「餞」 井元照夫 選
ラ |
餞の薔薇選びつつ拭く涙 |
長島敏子 |
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餞に包んであった炎の吐息 |
吉川千穂 |
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好きだった人意地のはなむけ祝い歌 |
森山勝彦 |
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旅立ちへはなむけとするお立ち酒 |
森山勝彦 |
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さよならは云えない餞別だけ送る |
山田蔦路 |
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そう言えば餞だった置手紙 |
山中忠 |
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餞の恩師の言葉夢で聴く |
内藤忠彦 |
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卒業の餞墨の色が冴え |
長島敏子 |
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生き様が餞という父の背 |
長島敏子 |
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重い心餞別もらう管理職 |
小西慶子 |
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餞別へ大好きでしたと添えてくれ |
中岡千代美 |
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春いっぱい詰めとく餞のことば |
御影静 |
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ライバルの左遷へはずむ熨斗袋 |
長野峰明 |
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餞に妻が舞うてる娘の前で |
水田象介 |
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先生の色紙の言葉今も抱く |
近藤敦子 |
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子離れのはなむけを選る丸い背な |
竹信与志夫 |
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肩軽く叩いてくれた餞か |
椙元世津 |
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餞別の額あれこれと思案する |
みぎわはな |
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餞はまっ赤な薔薇でよいと老妻 |
倭玄海 |
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嫁ぐ娘へ父の一言綺麗だよ |
長野峰明 |
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餞の言葉が今も胸にすむ |
吉川千穂 |
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夫逝きて餞もなき子の門出 |
倭玄海 |
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餞をメールで送り悔残り |
内藤忠彦 |
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嫁ぐ娘に送る涙の祝い唄 |
松井恵夢 |
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紋太の色紙何より嬉しいお餞別 |
大橋克己 |
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はなむけの言葉ボストンバッグの底に入れ |
中西保子 |
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言葉よりお金が良いと言えないな |
御影静 |
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餞の言葉に嫁ぐ娘は涙 |
仲田秀子 |
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はなむけの言葉両手で握手する |
前川千津子 |
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はなむけの時計がきざむ遍路坂 |
竹信与志夫 |
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バラ一輪枯れても胸に灯を点す |
みぎわはな |
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ドライだがおはなむけにはやはり金 |
森山勝彦 |
佳 |
とっておきの餞だったあの日の握手 |
青木公輔 |
佳 |
餞別へ滑り込ませた袖の下 |
大橋克己 |
佳 |
餞の言葉につまる嬉し泣き |
瀬島流れ星 |
佳 |
祝い唄贈る親爺の眼がうるみ |
古谷日出夫 |
佳 |
餞のひと言胸に茨道 |
みぎははな |
人 |
餞の花束車窓塞ぐほど |
福島直球 |
地 |
辛口の餞もらう師の情け |
上村さな恵 |
天 |
餞のグラスに満ちてゆく孤独 |
山中忠 |
軸 |
餞の母の温みに懺悔の日 |
井元照夫 |
兼題 「幸運」 山中忠 選
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イチローのサインボールを持っている |
近藤敦子 |
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幸運はゆっくり歩いて来るらしい |
吉野瑛二 |
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強運の男にもある自己管理 |
山田蔦路 |
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貴女までと言う幸運の列にいる |
前川千津子 |
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妻ありて衣食そこそこ運がよい |
斎藤功 |
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平凡な道に幸運待ち受ける |
小山紀乃 |
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幸運にやっと出会った泣きぼくろ |
上村さな恵 |
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幸運の夢さめそうで貝になる |
御影静 |
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いつも途中と答える幸運の女神 |
柿木英一 |
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良い事が有ったか妻がよく喋り |
大橋克己 |
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幸運にも五たび生死をくぐり抜け |
森山勝彦 |
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今泣いたカラスを彼が受けとめた |
田中節子 |
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幸運は手術台から降りる時 |
荒垣秋野 |
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偶然のチャンスガラスの靴を履く |
前川千津子 |
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星占い幸運という汽車に乗る |
沼尾美智子 |
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幸運を祈る遠くに巣立ちの背 |
沼尾美智子 |
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しあわせにふと戸惑いを感じる日 |
吉川千穂 |
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休日出勤だけど彼と二人きり |
中岡千代美 |
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戦乱こえて幸運生きる生命線 |
長野峰明 |
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事故起きたバスにその日は乗り遅れ |
福島直球 |
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私の熱い矢ピタリ命中す |
みぎわはな |
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馬のいななき幸運をひき寄せる |
中西保子 |
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大吉を信じた愛の矢が決まり |
古谷日出夫 |
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白梅にそっと託した今日の幸 |
長島敏子 |
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親切な人に財布を拾われる |
近藤敦子 |
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愛すれば幸せいっぱい見えて来る |
長野峰明 |
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幸運の鈴を頼りに待つ根付け |
増田左代子 |
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宝くじ寄付のつもりで買ったのに |
近藤嘉宏 |
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幸運を信じて赤い靴を買う |
中西保子 |
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一億のひとりが夫有頂天 |
樋口祐子 |
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幸運を招いてくれぬうちの猫 |
井元照夫 |
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幸運が目の前にいても気付かない |
坂本須磨代 |
佳 |
幸運の度合いお米が減っている |
上村さな恵 |
佳 |
人間が好きで幸運掴んでいる |
吉川千穂 |
佳 |
墨を擦るリズム幸運喚び寄せる |
村上氷筆 |
佳 |
幸運が落葉の中に埋もれてる |
中西保子 |
佳 |
紋太句と出逢うて今日のボクがある |
村上氷筆 |
人 |
幸運はお前と一緒になれた事 |
水田象介 |
地 |
おごらずにラッキーと言う笑い顔 |
前川千津子 |
天 |
両隣優しい人が住んでいる |
椙元世津 |
軸 |
幸運を自分サイズに化粧する |
山中忠 |
兼題 「映画」 御影静 選
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ジェルソミーナ遠く昔に見たシネマ |
倭玄海 |
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雨の日のデートコースの映画館 |
小西慶子 |
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遠い日の青春映画から拾う |
吉川千穂 |
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映画通喋り出したら止まらない |
山田蔦路 |
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家路なお映画の余韻惜しむ靴 |
近藤嘉宏 |
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NGを舌打ちしてる水死役 |
山中忠 |
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現代っ子におしんの映画見せてやろ |
井元照夫 |
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映画館でひるねしている映画狂 |
中西保子 |
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もう少し二人でいたい映画館 |
上村さな恵 |
|
青春の欠片を拾う再映画 |
山中忠 |
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映画見て泣けるあなたが好きでした |
荒垣秋野 |
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ラブシーンの余韻で歩く坂の街 |
仲田秀子 |
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プレミヤに唆されるロードショー |
竹内一人 |
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モンローの魅力に酔った青春期 |
古谷日出夫 |
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クロサワとともにモノクロ息をする |
村上氷筆 |
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映画誌よりもっと詳しい友がいる |
小山紀乃 |
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寅さんを追うするめの足をかみながら |
柿木英一 |
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三度目の「生きる」は場末の映画館 |
柿木英一 |
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ヒーローの顔で出て来る映画館 |
長野峰明 |
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映画はね余韻の滲みた手をつなぎ |
内藤忠彦 |
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白黒映画母のおなかに帰れるね |
田中節子 |
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映画観てひととき恋の交差点 |
長島敏子 |
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ガラス越しあのキスシーンもう一度 |
小島知無 |
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せがまれた親を夢中にするアニメ |
竹信与志夫 |
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回想のシーンに酔っているガス灯 |
神田巳珠 |
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映画化が漸く決まる春の雪 |
上月智恵子 |
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三度観て三度涙が出る映画 |
赤井花城 |
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出る時は高倉健になって出る |
水田象介 |
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映画でもこんなシーンを観た訣れ |
赤井花城 |
|
映画ならここで斯うなる差し向かい |
長野峰明 |
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フィルムの未着もあった懐古録 |
瀬島流れ星 |
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観客はまばら私の映画館 |
山中忠 |
佳 |
ハリーポッター探す真冬の塾の窓 |
沼尾美智子 |
佳 |
寅さんの人情といる初笑い |
椙元世津 |
佳 |
映画館出た目に昼の陽がまぶし |
松井恵夢 |
佳 |
すこし焦げ目の青春だったペペルモコ |
柿木英一 |
佳 |
青春を開く太陽がいっぱい |
沼尾美智子 |
人 |
映画音楽静かな恋がながだす |
中西保子 |
地 |
美しい涙をもらう映画館 |
上村さな恵 |
天 |
映画館出て色褪せたシクラメン |
近藤敦子 |
軸 |
喜劇から涙を誘うチャップリン |
御影静 |
兼題 「出来る」 田中節子 選
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出きるとこ見せとこアメリカからの電話 |
中岡千代美 |
|
今日はすきやき逆上がりができたから |
中西保子 |
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お前なら出来る生徒にはっぱかけ |
中本三桂 |
|
お料理の出来る夫で次男です |
近藤敦子 |
|
出来ている二人がいつの間にか消え |
福島直球 |
|
旅なれば主婦にも出来るはしご酒 |
仲田秀子 |
|
出来上がる迄がたのしい毛糸玉 |
吉川千穂 |
|
娘の料理出てくる迄に酒が減り |
みぎわはな |
|
諦めは早いぞ難問が攻めてくる |
中西保子 |
|
誰にでも話の出来る泣き黒子 |
前川千津子 |
|
五角が六角になったレース編 |
坂本須磨代 |
|
赤ちゃんが出来て柔和な顔になる |
近藤敦子 |
|
茶包紙一羽の鶴が折り上がる |
長島敏子 |
|
出来るできない母の叱言をきいている |
中西保子 |
|
赤ちゃんに後押しされた綿帽子 |
中岡千代美 |
|
カップ一つにストロー二本出来てるな |
長野峰明 |
|
出来心でしたで一度は許される |
近藤敦子 |
|
出来ちゃった男真価を試される |
村上氷筆 |
|
逆立ちが出来る馬です自慢です |
青木公輔 |
|
満点の嫁に渡すマスターキー |
樋口祐子 |
|
吊橋が揺れて思いの色が出来 |
山中忠 |
|
出来るかな教師がニヤリ笑ってる |
森山勝彦 |
|
出来不出来多忙のせいにしておこう |
荒垣秋野 |
|
えんりょせず欠伸の出来る母のそば |
仲田秀子 |
|
銀不成なかなか出来るなと思う |
赤井花城 |
|
人として出来た羽織の裏の色 |
増田左代子 |
|
こつこつと出来る範囲で泳いでる |
御影静 |
|
何もかも出来るパーフェクトの噂 |
小山紀乃 |
|
初対面なかなか出来る面構え |
赤井花城 |
|
愛されて器用貧乏しています |
長野峰明 |
|
よく出来た妻がしょっちゅう留守にする |
沼尾美智子 |
|
やま勘が当たり余裕のベルを待つ |
瀬島流れ星 |
|
口八丁手八丁沈めて冬の章 |
樋口祐子 |
|
乗り継ぎにすぐ出来てくるかけうどん |
沼尾美智子 |
|
わたしにも出来るわたしの素焼きなら |
柿木英一 |
|
出来るわけないよといっている人目 |
小島知無 |
ラ |
初恋の鍵を原節子にもらう |
青木公輔 |
人 |
わがままの出来る暮らしで風邪を引く |
御影静 |
地 |
不器用な男に出来る目玉焼 |
赤井花城 |
天 |
白髪をちさく纏めた稲穂かな |
増田左代子 |
軸 |
ちょっとだけ出来る男のお相手 |
田中節子 |
兼題 「朝」 福島直球 選
|
歩調まだ乱れぬ朝の万歩計 |
松井恵夢 |
|
言い過ぎをイの一番に詫びる朝 |
村上氷筆 |
|
バラ色の体調つづく朝の爪 |
赤井花城 |
|
洞窟の中には朝の来ぬゲリラ |
竹内一人 |
|
空模様まず確かめて動く朝 |
近藤敦子 |
|
ハムエッグバターロールの朝の顔 |
前川千津子 |
|
朝が来る広げた夢をたたまねば |
長野峰明 |
|
朝やけの海へ至福の掌を合わす |
吉野瑛二 |
|
目覚めた時の独りがとてもつらい朝 |
中岡千代美 |
|
朝刊のチラシが妻を駆り立てる |
神田巳珠 |
|
朝寝して味噌汁も冷め妻もさめ |
井元照夫 |
|
早出の子朝寝の子いてすぐ昼に |
近藤嘉宏 |
|
ささやかな喜びというこの朝寝 |
椙元世津 |
|
アメリカン朝の体に沁み込ます |
中岡千代美 |
|
朝刊の音で安心二度寝する |
中西保子 |
|
里帰り母娘に夜がすぐ明ける |
仲田秀子 |
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孫の記事朝刊みんなに見せ歩き |
山田蔦路 |
ラ |
三十年妻のイビキで朝が来る |
森山勝彦 |
|
新聞とコーヒー私だけの朝 |
長島敏子 |
|
今朝もまた命の音に掌を合わす |
山中忠 |
|
すっきりと目覚める旅の露天風呂 |
近藤敦子 |
|
ことばなど要らぬ傘寿の朝のお茶 |
みぎわはな |
|
しあわせの鏡を磨く朝夕に |
上村さな恵 |
|
夫と子を送ってからの朝ドラマ |
近藤嘉宏 |
|
朝市へ座る老婆に今朝の冷え |
古谷日出夫 |
|
今朝も亦生きてる鏡ひげを剃る |
長野峰明 |
|
霜の朝気合いを入れてかっぽう着 |
上村さな恵 |
|
朝ドラを鏡に入れて化粧する |
小西慶子 |
|
朝化粧男の嘘も塗りこめる |
倭玄海 |
|
陽が昇るきのうの殻は脱いでおく |
御影静 |
|
新しい朝まっすぐな水の音 |
沼尾美智子 |
佳 |
病人がやや持ち直す朝が明け |
吉野瑛二 |
佳 |
朝刊の記事を待ってる愉快犯 |
長野峰明 |
佳 |
朝の駅働き蜂の立ちうどん |
井元照夫 |
佳 |
朝市の息白くなり丸くなり |
沼尾美智子 |
佳 |
影だけをつれて夜明けの街を出る |
吉川千穂 |
人 |
朝のいろ溢れて街は動き出す |
御影静 |
地 |
朝採りの野菜へ主婦の目が早い |
古谷日出夫 |
天 |
女房のラッパを背なに朝を出る |
瀬島流れ星 |
軸 |
喧嘩した朝の味噌汁辛いこと |
福島直球 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
井元 照夫 |
瀬島流れ星 |
上村さな恵 |
増田左代子 |
沼尾美智子 |
神田 巳珠 |
山中 忠 |
小島 知無 |
斎藤 功 |
松井 恵夢 |
長野 峰明 |
中西 保子 |
内藤 忠彦 |
柿木 英一 |
竹信与志夫 |
前川千津子 |
山田 蔦路 |
古谷日出夫 |
坂本須磨代 |
仲田 秀子 |
樋口 祐子 |
大橋 克己 |
長島 敏子 |
近藤 敦子 |
田中 節子 |
近藤 嘉宏 |
吉川 千穂 |
青木 公輔 |
小西 慶子 |
椙元 世津 |
倭 玄海 |
みぎわはな |
小山 紀乃 |
福島 直球 |
御影 静 |
森山 勝彦 |
中岡千代美 |
水田 象介 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
村上 氷筆 |
竹内 一人 |
中本 三桂 |
上月智恵子 |
吉野 瑛二 |
荒垣 秋野 |
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