平成13年11月25日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「暮れる」 みぎわはな 選
ラ |
日が暮れて急に翔びたくなるわたし |
沼尾美智子 |
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柿の木の小鳥も去って里の暮 |
斉藤功 |
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なんとなく日が暮れてゆく徒食の身 |
中西保子 |
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シーソーにひとり残して夕暮れる |
伊佐次無成 |
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開けても暮れても川柳バカが治らない |
長野峰明 |
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人生の暮れにかかって古希の恋 |
小島知無 |
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暮れてゆく夕陽に明日の夢がある |
森山勝彦 |
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急ぎ足暮れの寒さを背にためて |
上村さな恵 |
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テロの不安かかえて今年も暮れました |
尾畑晴代 |
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傷心のわたしをくるむ夜の帳 |
村上氷筆 |
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公園にとっぷり暮れる三輪車 |
御影静 |
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胸の内語らず暮らす夫婦仲 |
小島知無 |
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暮れの街ジングルベルが煽りたて |
井元照夫 |
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ブランコに遊び足りない秋の暮れ |
増田左代子 |
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黄昏は参萬会の飯のあと |
森山勝彦 |
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年の暮れ人の財布が気にかかり |
伊佐次無成 |
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夕陽抱くもみじおもいはさまざまに |
萩原皐月 |
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夕暮れて子を呼ぶ聲の絶えた路地 |
坂下安伸 |
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行き暮れた旅人のごと風寒し |
荒垣秋野 |
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弁当に明け暮れた日々はモノクロ |
沼尾美智子 |
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暮れなずむ麹蔵から父が呼ぶ |
橋本衛門七 |
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悔いばかり重ね今年も暮れていく |
近藤敦子 |
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空爆の明け暮れ罪のなき人も |
福島直球 |
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夢抱いて今年も暮れる設計図 |
山中忠 |
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日暮れ待つ鬼の酒盛雑魚の詩 |
竹信与志夫 |
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暮色蒼然もう怨みなど捨てている |
黒嶋海童 |
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つとめにんにまだまだ暮れぬケータイよ |
泉比呂史 |
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逆境をバネに今年も暮れてゆく |
前川千津子 |
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一年の早さを書いて来る手紙 |
前川千津子 |
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夕焼けを信じて明日へ鎌を研ぐ |
古谷日出夫 |
|
古都暮色つらい訣れの刻を知る |
仲田秀子 |
|
男にも婚期があるさ年暮るる |
山田蔦路 |
|
夕暮れのカラス残業などしない |
福島直球 |
佳 |
茶柱に望みつなぐ秋の暮れ |
山中忠 |
佳 |
いいじゃない笑い上戸の日が暮れる |
小西慶子 |
佳 |
暮れてゆくみんな悩みの無い顔で |
山中忠 |
佳 |
鍵っ子に公園はもう暮れはじめ |
泉比呂史 |
佳 |
歳暮れる地球自転は疾やすぎて |
坂下安伸 |
人 |
日が暮れて探しに戻る夢の跡 |
長島敏子 |
地 |
ケイタイは日暮れの街に吹き溜まる |
沼尾美智子 |
天 |
一人歩き教えて呉れた暮れる刻 |
吉川千穂 |
軸 |
別れたい別れられない日が暮れる |
みぎわはな |
兼題 「柔らかい」 吉川千穂 選
ラ |
稚児地蔵柔和な顔に柿落葉 |
荒垣秋野 |
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京ことばに惹かれて三度切符買う |
山本ひさゑ |
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小春日の中思い出もマシマロに |
小山紀乃 |
|
もの腰の柔わい男を裏がえす |
山本ひさゑ |
|
柔らかいつもりでいるが根は頑固 |
小島知無 |
|
断りを柔らかく言う国なまり |
小西慶子 |
|
柔らかいビフテキ夢でうんと食べ |
前川千津子 |
|
波の音ふる里の時間柔らかい |
樋口祐子 |
|
柔らかい手のひら包む古希の恋 |
小島知無 |
|
柔らかい思考で風をやりすごす |
近藤敦子 |
|
柔らかい日ざし秋の日どっと暮れ |
伊佐次無成 |
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握手するあら柔らかい貴女の手 |
尾畑晴代 |
|
我を捨てた私へ風がやわらかい |
近藤敦子 |
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柔らかい踏み絵にドミノ崩れ落ち |
山中忠 |
|
順調に癒える妻への七分粥 |
古谷日出夫 |
|
ハミングをすると冬日が柔らかい |
沼尾美智子 |
|
柔らかい草を踏みたい車椅子 |
仲田秀子 |
|
やわらかい空想がすき無一文 |
森山勝彦 |
|
柔らかい陽ざしの中で爪を研ぐ |
御影静 |
|
柔らかく諭すを嫌う手に悔いる |
坂下安伸 |
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お休みとやわらかに鳴る鳩時計 |
萩原皐月 |
|
新米やと注意したのに水加減 |
島田握夢 |
|
やわらかい頬おっぱいの匂い抱く |
みぎわはな |
|
ぼっちゃりと温かい手を握りしめ |
村上静子 |
|
握手して苦労知らずの手と思う |
黒嶋海童 |
|
柔らかな手となり母は愚痴っぽい |
毛利きりこ |
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胃の負担軽くと願う芋の粥 |
神田巳珠 |
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湯豆腐を崩しておそいひとを待つ |
泉比呂史 |
|
柔らかな口調に深くなる疑惑 |
毛利きりこ |
|
柔らかいお故郷言葉に癒される |
近藤敦子 |
|
柔らかい口調に出合う田舎町 |
小西慶子 |
佳 |
泳がせて欲しい私は絹豆腐 |
樋口祐子 |
佳 |
柔らかい笑顔で女とどめさす |
増田左代子 |
佳 |
柔らかな日差しコーヒー混ぜている |
長島敏子 |
佳 |
やんわりと挫折を包む里の風 |
御影静 |
佳 |
馴れぬ手に柔らかすぎた握り飯 |
坂下安伸 |
人 |
恋の花明日は満開繭になる |
樋口祐子 |
地 |
京なまりやんわり包むトゲ一本 |
みぎわはな |
天 |
柔らかい土に芽生えたこぼれ種 |
仲田秀子 |
軸 |
人目には柔らか友の裏の顔 |
吉川千穂 |
兼題 「真似」 長島敏子 選
ラ |
上手いこと真似たけど足の長さがちがう |
島田握夢 |
|
兄嫁が美しすぎて真似をする |
杉山清流 |
|
子供には真似して欲しい共白髪 |
斎藤功 |
|
男文字真似てあなたに年賀状 |
毛利きりこ |
|
人真似上手影武者役を物にする |
長野峰明 |
|
父の背の漁のいろはを見て真似る |
古谷日出夫 |
|
逢えぬ日はあなたのしぐさ真似てみる |
村上氷筆 |
|
女優さんの眉を真似して画いてみる |
村上静子 |
|
べらんめえ真似ても違うアクセント |
小山紀乃 |
|
新商売真似した方に儲けられ |
福島直球 |
|
真似されるほどの人気も芸もある |
黒嶋海童 |
|
泣き真似でオヤツを倍にしてる孫 |
長野峰明 |
|
電話口親そっくりのご挨拶 |
竹信与志夫 |
|
真似でなく友の長所を学びたし |
前川千津子 |
|
タレントの真似でタレント飯が食え |
竹内一人 |
|
自信失くしてふと大物を真似てみる |
小山紀乃 |
|
真似をする指がだんだんやせてくる |
萩原皐月 |
|
飛びそうな真似だけしてる崖っぷち |
中本三桂 |
|
タレントを真似て髪染めおへそ出し |
尾畑晴代 |
|
親方の味を盗んだ舌の先 |
古谷日出夫 |
|
模写をした絵からこぼれてくる喜劇 |
御影静 |
|
物まねでいつか舞台の華となる |
上月智恵子 |
|
炭疽菌真似ておお恐白い粉 |
尾畑晴代 |
|
真似事ではじめた詩に遊ばれる |
近藤敦子 |
|
啄木を真似ても母は重過ぎる |
毛利きりこ |
|
お早うおはよう九官鳥に起こされる |
井元照夫 |
|
糠床が微妙に違う祖母の真似 |
増田左代子 |
|
タイタニックのふたりを真似ている舳先 |
村上氷筆 |
|
舞台降りサテどの顔で帰ろうか |
みぎわはな |
|
泣き真似のうまいおんなと飲み明かす |
泉比呂史 |
|
父を真似負けず嫌いのうで相撲 |
小西慶子 |
佳 |
瞬きをすれば鏡も真似をする |
中西保子 |
佳 |
善人を真似て本音の肩が凝る |
竹信与志夫 |
佳 |
打つ真似をしただけ少し惚れている |
吉野瑛二 |
佳 |
誰の真似チンと拝んでつまむ菓子 |
竹信与志夫 |
佳 |
ほんまに造花かいな葉っぱの先千切る |
島田握夢 |
人 |
どう真似て見ても手の出る足の出る |
山本ひさゑ |
地 |
まねごとをしないエンピツ一本 |
伊佐次無成 |
天 |
真似ている内に私が消えてゆく |
島田握夢 |
軸 |
歩幅だけ真似ても夢に追いつけぬ |
長島敏子 |
兼題 「消す」 山田蔦路 選
|
暗転に汚れた指紋消している |
萩原皐月 |
|
古傷をゆっくりと消す夕あかね |
御影静 |
|
書いて消す自信が少し揺れ動く |
上村さな恵 |
|
おいそれと消すに消せない過去がある |
山中忠 |
|
欲みんな消すと仏の顔になる |
吉川千穂 |
|
キャンセルにも名物女将動じない |
竹内一人 |
|
わだかまり消すのに酒が程度よい |
吉川千穂 |
|
昨日今日消しゴムほしいことばかり |
樋口祐子 |
|
真実を語る覚悟でタバコ消す |
山中忠 |
|
臆病な消しゴムすぐに小さくなる |
沼尾美智子 |
|
消去法私一人が残される |
近藤敦子 |
|
贅沢の灯は消して生く共稼ぎ |
坂下安伸 |
|
一行抹消籍はよごれていませんか |
青木公輔 |
|
出来るなら賞味期限は消しておく |
泉比呂史 |
|
消印に胸さわぎする封書くる |
上月智恵子 |
|
恋の火を消して一人のコップ酒 |
吉川千穂 |
|
新世紀昨日のわたし消して発つ |
上村さな恵 |
|
キッスマークも消えたこの恋終わる |
尾畑晴代 |
|
発車べル消え去ってから出る涙 |
仲田秀子 |
|
絵を抜けて少女はモザイクへ消えた |
御影静 |
|
言葉のミス消しゴムだけで償えず |
中西保子 |
|
栄光の過去を消してる二つ三つ |
小西慶子 |
|
詫びる身のつくり笑いをそっと消す |
橋本衛門七 |
|
消去法未練心に朱を引いて |
山中忠 |
|
消えそうで消えぬ悪女がふたり居る |
青木公輔 |
|
消しゴムで消えてしまったちさな恋 |
吉野瑛二 |
|
引き潮へはかなく消えた愛ひとつ |
御影静 |
|
吹き消すか手で消すか線香へ迷い |
島田握夢 |
ラ |
灯明を忘れず消して佛間出る |
尾畑晴代 |
|
唐辛子噛んでうぬぼれ消しておく |
上村さな恵 |
|
消去法で消してやりたい一人いる |
吉野瑛二 |
|
消したのは消しゴムそれとも涙 |
荒垣秋野 |
|
消して書くつのる想いが載せきれぬ |
中西保子 |
|
わたしは消しゴムきれいさっぱり忘れてる |
小山紀乃 |
|
伝言板私を待たず消されゆく |
坂下安伸 |
|
始末書を取られ落書き消しに行き |
福島直球 |
|
プライドを消して貴女の奴隷です |
尾畑晴代 |
|
静かなる部屋で悩みをモカで消す |
中本三桂 |
佳 |
適当に消せば余熱が煮てくれる |
島田握夢 |
佳 |
一つずつ消す思い出の古い順 |
赤井花城 |
佳 |
口笛を吹いてストレス消している |
小西慶子 |
佳 |
消しゴムで消した儚い恋でした |
前川千津子 |
人 |
消しゴムは持たぬ本音で生きている |
みぎわはな |
地 |
名前消す線が一本ずつ増える |
萩原皐月 |
天 |
泣き黒子消してほくろの位置を変え |
増田左代子 |
軸 |
消しゴムで人間を消す鼻がかけ |
山田蔦路 |
兼題 「無事」 泉比呂史 選
ラ |
腹の中見せずに無事な夫婦仲 |
小島知無 |
|
無事御出産待ちこがれてる富士の山 |
近藤敦子 |
|
無事駅に着いたと知らせ飲みに行き |
福島直球 |
|
親は子の子は親の無事糸でんわ |
沼尾美智子 |
|
厄年も無事に過ごした守り札 |
中本三桂 |
|
電話口ひとり暮らしの老母の無事 |
古谷日出夫 |
|
手術無事済んで憎まれ口叩く |
増田左代子 |
|
まっすぐに歩いて来たから今日がある |
吉野瑛二 |
|
守ってと遺影の夫にご飯盛る |
井元照夫 |
|
今日も無事落日赤く空を染め |
上月智恵子 |
|
平凡な男と無事に長い坂 |
山本ひさゑ |
|
子の無事を祈るお百度母のもの |
村上氷筆 |
|
一球を外して今日も無事おわる |
森山勝彦 |
|
今日も無事玄関の靴みな笑う |
樋口祐子 |
|
矢印の逆へ進んでからも無事 |
小山紀乃 |
|
敵も味方も無事を祈って神の視野 |
上村さな恵 |
|
柚子風呂に唄一つ出て今日暮れる |
橋本衛門七 |
|
あの人が来ると無事には済まぬ酒 |
黒嶋海童 |
|
平穏無事男は風を待っている |
長島敏子 |
|
幾坂を無事生かされてきた夫婦 |
萩原皐月 |
|
更新の自慢無事故の免許証 |
坂下安伸 |
|
大声でただいまという無事帰宅 |
森山勝彦 |
|
それなりの歩幅で喜寿の坂も無事 |
仲田秀子 |
|
夫の靴磨いて今日の無事祈る |
仲田秀子 |
|
マイクから声がしている命乞い |
伊佐次無成 |
|
始めて採った豆送ります農一年 |
坂本須磨代 |
|
賀状しか呉れぬが無事でいるらしい |
黒嶋海童 |
|
ベル一回あなたの無事を確かめる |
樋口祐子 |
|
嫁った娘が日々好日の便りくれ |
古谷日出夫 |
|
着いたよの報せにほっと電話口 |
近藤敦子 |
|
父ひとり故郷でつつがなく暮らし |
村上静子 |
佳 |
無事を見て愛の一喝浴びせかけ |
長野峰明 |
佳 |
無事ですかセピアの友の幼な顔 |
荒垣秋野 |
佳 |
こんなに案じてたのに普通の顔して戻る |
島田握夢 |
佳 |
今日も無事野地蔵さんに迎えられ |
上村さな恵 |
佳 |
旅の空君は今頃どのあたり |
長島敏子 |
人 |
無事祈るひとり雨音聞きながら |
長島敏子 |
地 |
食べているかと不躾なことを言う |
前川千津子 |
天 |
無事ならばもう一度観る流れ星 |
毛利きりこ |
軸 |
逆上がり無事に出来た日昏れかかり |
泉比呂史 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
泉 比呂史 |
近藤 敦子 |
長野 峰明 |
斎藤 功 |
神田 巳珠 |
増田左代子 |
古谷日出夫 |
近藤 嘉宏 |
山中 忠 |
杉山 清流 |
吉川 千穂 |
竹信与志夫 |
中西 保子 |
沼尾美智子 |
橋本衛門七 |
小島 知無 |
森山 勝彦 |
仲田 秀子 |
樋口 祐子 |
井元 照夫 |
前川千津子 |
村上 静子 |
長島 敏子 |
坂本須磨代 |
山田 蔦路 |
黒嶋 海童 |
荒垣 秋野 |
毛利きりこ |
福島 直球 |
村上 氷筆 |
萩原 皐月 |
御影 静 |
坂下 安伸 |
島田 握夢 |
みぎわはな |
小西 慶子 |
上村さな恵 |
尾畑 晴代 |
伊佐次無成 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
竹内 一人 |
山本ひさゑ |
中本 三桂 |
上月智恵子 |
小山 紀乃 |
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