平成13年9月30日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「○」 中岡千代美 選
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年々縮むのにその上○脚までひどい |
島田握夢 |
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○×で答え性格当てられる |
福島直球 |
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不器用で三角むすびが握れない |
みぎわはな |
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お月さまほっこり炊けた栗ご飯 |
沼尾美智子 |
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生卵ゴクンと秋の真ん中へ |
長島敏子 |
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蛸焼きの丸さへ合わせ口を開け |
椙元世津 |
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輪の中にボクの嫌いな人もいる |
尾畑晴代 |
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まん丸く育ち他愛のない笑顔 |
里嘉矩 |
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ひまわりが笑ったような妻と居る |
増田左代子 |
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一粒の真珠人魚の涙かも |
村上静子 |
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おにやんま眼をまん丸にして果てる |
御影静 |
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ほおずきを鳴らすと戻りくる昨日 |
長島敏子 |
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トンネルの丸さに友の響く声 |
椙元世津 |
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被災地へ届ける愛の輪を拡げ |
古谷日出夫 |
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地球儀の何処を叩けばテロ終わる |
沼尾美智子 |
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テロ支援日の丸すこし焦げ臭い |
柿木英一 |
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月丸し憲法九条読み返す |
近藤敦子 |
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一円が足りないまかりまへんかとレジに言う |
中西保子 |
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丸儲けしたお釣りだが気がひける |
黒嶋海童 |
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五百円玉握り牛丼屋を探し |
福島直球 |
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円周を歩むドラマは果てしなく |
御影静 |
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純真な丸い心を捨てきれぬ |
吉川千穂 |
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円周率呑みこんでいる一夜漬け |
中西保子 |
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ご破算に慣れてる珠が動かない |
山中忠 |
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淋しくて金魚のあぶく見つめてる |
村上静子 |
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妻と子とみんなで丸を書き上げる |
近藤嘉宏 |
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輪の中で母の居場がきまらない |
杉山清流 |
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善人の愛が生きてる針の穴 |
山中忠 |
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赤ちゃんの笑顔と届く家族の輪 |
近藤敦子 |
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官能につかれまるい息を吐く |
杉山清流 |
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消しゴムのまあるくチビて神無月 |
上村さな恵 |
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地震の話のたんびに床へ玉を置き |
島田握夢 |
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急がずに歩くふたりの月の道 |
仲田秀子 |
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まん丸い月だよ散歩誘われる |
近藤敦子 |
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丸いこころを盛ろう月見の宴になる |
小山紀乃 |
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あの夢の続きがみたい丸い月 |
御影静 |
ラ |
悪女にはなれぬまあるい月の夜 |
上村さな恵 |
人 |
どんなもん着せても冴えぬ丸い爪 |
島田握夢 |
地 |
究極の愛です火の輪くぐり抜け |
柿木英一 |
天 |
眼帯の片目で嘘がよく見える |
柿木英一 |
軸 |
想像力を酷使伏せ字を読んでいる |
中岡千代美 |
兼題「意地」 坂下 安伸選
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父の意地お医者泣かせで手がやける |
樋口祐子 |
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時どきは可愛いく見える意地っぱり |
小山紀乃 |
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意地っぱりの妻が朝から口利かぬ |
坂本須磨代 |
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意地悪な赤鬼がいて童話になる |
柿木英一 |
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手錠はめられ急にしょんぼりしだす意地 |
島田握夢 |
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意地を張り後味悪い米を研ぐ |
井元照夫 |
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まだ酔わぬもっと飲ませろ意地っ張り |
藤川芳醇 |
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やさしさで生きるも男の意地である |
みぎわはな |
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秋ふかむ女の意地のダイエット |
前川千津子 |
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意地張ると後のまつりの血を浴びる |
中本三桂 |
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妻なりの意地か哭いても飯を炊く |
山本ひさゑ |
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百までも生きる意地なら持ってるが |
尾畑晴代 |
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蛙道の雑草ふまれてからの意地 |
上村さな恵 |
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意地張ってみてもあなたの腕の中 |
長島敏子 |
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山門の石段数え意地を張る |
山田蔦路 |
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打てば曲がる釘の意地ではありません |
柿木英一 |
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敵のない男の意地は知れている |
柿木英一 |
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子に負けたテレビゲームに意地となり |
黒嶋海童 |
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意地張ってみても半日ごめんなさい |
村上氷筆 |
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再挑戦意地でも首を取ってやる |
福島直球 |
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山椒の粒ほどの意地きかせてる |
樋口祐子 |
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口惜しいが猫なで声に弱い意地 |
中岡千代美 |
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とり過ぎて意地にでも食うバイキング |
小島知無 |
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意地っ張りそろそろ寂しくなる頃か |
荒垣秋野 |
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意地張ってみても息子の世話になる |
中西保子 |
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厨房に入り男が捨てる意地 |
赤井花城 |
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意地張ってみても所詮はしゃぼん玉 |
御影静 |
ラ |
げんこつの中にわたしの意地がある |
泉比呂史 |
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どうぞどうぞとどっちも銚子離さない |
長野峰明 |
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リハビリに歯を喰いしばる意地の汗 |
古谷日出夫 |
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意地ひとつ捨てた女が美しい |
黒嶋海童 |
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意地張ればポキポキ折れる肋骨 |
みぎわはな |
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意地張って損した松茸の匂い |
島田握夢 |
佳 |
かたくなに枯れ葦となり立ちつくす |
御影静 |
佳 |
電車賃へとうとう意地が手を付ける |
島田握夢 |
佳 |
母と嫁の意地の張りあい万才だ |
坂本須磨代 |
佳 |
覗かれて詰めをしておく鍵の穴 |
長野峰明 |
佳 |
辞書貸さず意地悪したと顔赤め |
斎藤功 |
人 |
消しゴムを今日は絶対使わない |
小山紀乃 |
地 |
糠味噌をひたすら混ぜる老の意地 |
荒垣秋野 |
天 |
高楊枝の意地とは別で腹が鳴り |
長野峰明 |
軸 |
言われると意地でも振らぬ他所の旗 |
坂下安伸 |
兼題 「登る」 中西保子 選
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遥かはるかに百名山に登る夢 |
近藤敦子 |
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胸突き八丁ナッブザックに追い越され |
赤井花城 |
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郵便を背に雨の日も登る山 |
福島直球 |
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子には子の登る道あり鍬を振る |
山中忠 |
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ジャングルジム上へ上へと子を支え |
沼尾美智子 |
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階段は足で登ると決めている |
赤井花城 |
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決断はこの坂登りきってから |
御影静 |
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登りつめたジャツクに鬼が待っている |
萩原皐月 |
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文学に這うカタツムリ木に登る |
杉山清流 |
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どんじりの父の背を押す山のぼり |
里嘉矩 |
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あの山を登り切らねば死にきれぬ |
藤川芳醇 |
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上だけを見てたらてっぺんに着いた |
中岡千代美 |
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頂上へ登ると敵がよく見える |
泉比呂史 |
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起死回生男は飽きず樹に登る |
山中忠 |
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登り詰めた頂点の椅子馴染めない |
福島直球 |
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無理無体八十路を富士へ体当たり |
大橋克己 |
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山頂の絶叫以外と若い声 |
山田蔦路 |
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あそこまで登ると指した山に着き |
椙元世津 |
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少しでも高い所が好きな子ら |
坂本須磨代 |
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お茶はいらんと足音が二つ登る |
中岡千代美 |
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日曜の朝は登山帽のつづく道 |
萩原皐月 |
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ピッケルにむかし登った山想う |
泉比呂史 |
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登れない柿は取れない知恵はある |
吉田幸太 |
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お前が好きと打ち明けたく登る |
中岡千代美 |
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登山靴だけは自分でみがきあげ |
村上静子 |
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女の子でも木登りはしてみたい |
椙元世津 |
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頂上に吹き荒れる風父の風 |
みぎわはな |
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許し乞う背中がのぼる非常口 |
長島敏子 |
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プラトニックのままで登った里の山 |
上村さな恵 |
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過去たちを連れて登った遍路坂 |
竹信与志夫 |
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逢いたくて螺旋階段かけあがる |
吉川千穂 |
ラ |
おだてても木には登れぬ豚でよい |
古谷日出夫 |
佳 |
人間に疲れて登る故郷の山 |
黒嶋海童 |
佳 |
ふんばって登る梯子をしかともち |
村上静子 |
佳 |
神戸には登りたい山そこにある |
坂本須磨代 |
佳 |
登りつめた椅子が意外に揺れている |
長野峰明 |
佳 |
正直に登った侭の九段坂 |
竹信与志夫 |
人 |
エッチラオッチラ登ったのに殺風景な寺だ |
島田握夢 |
地 |
登れるか風が試した縄梯子 |
長野峰明 |
天 |
から元気まだ山頂が見えてこぬ |
泉比呂史 |
軸 |
油断して靴見失う登り坂 |
中西保子 |
兼題 「奥」 小山紀乃 選
ラ |
仲直りしたのにしこる胸の奥 |
近藤嘉宏 |
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八十の奥歯いい音たてて噛む |
古谷日出夫 |
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いっち奥僕の作品並んでる |
山田蔦路 |
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目の奥にすべて許すという涙 |
長島敏子 |
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もう一歩奥へって次降りるのに |
島田握夢 |
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奥の戸は開けないでねと念をおす |
中西保子 |
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奥へ行くなとスリッパがそっぽ向く |
青木公輔 |
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1DK奥へどうぞと言われても |
福島直球 |
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奥向きの話を避けるおもいやり |
里嘉矩 |
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押入れの奥に見つけた妻の夢 |
坂本須磨代 |
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奥の手があってにんまり笑ってる |
山本ひさゑ |
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戦友をぽつりと話す夫の奥 |
増田左代子 |
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呪詛の火が炎える涼しい瞳の奥に |
萩原皐月 |
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仏間の奥にひとりで泣ける部屋がある |
泉比呂史 |
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奥の手を二つや三つ持つ男 |
吉川千穂 |
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線引きの奥の土地には手をつけぬ |
杉山清流 |
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仏壇の奥へ問うこと多くなる |
柿木英一 |
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正座した言葉の奥にある予感 |
山中忠 |
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耳の奥おくへとうわさ溜めている |
中本三桂 |
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抽斗の奥からあどけない秘密 |
沼尾美智子 |
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酔った振り仮面の奥にある本音 |
竹信与志夫 |
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消し壺の奥でちろちろする火種 |
御影静 |
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路地奥に一生住んで人嫌い |
尾畑晴代 |
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生年月日の奥は覗かぬ事にして |
青木公輔 |
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どの道も奥が深くて引き返す |
赤井花城 |
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虫干しを時にはしたい胸の奥 |
近藤敦子 |
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奥深い系図の中にあるなだれ |
御影静 |
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手鏡の奥で妬心が目を覚ます |
竹信与志夫 |
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奥の間に父の威厳が今もある |
柿木英一 |
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うっぷんを晴らして奥歯疼き出す |
山中忠 |
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終章の絵解きが出来ぬ森の奥 |
上村さな恵 |
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奥の手を母何本も持っている |
黒嶋海童 |
佳 |
本棚の奥俺だけにある世界 |
山本ひさゑ |
佳 |
壷の奥のこぶしが欲をたしなめる |
泉比呂史 |
佳 |
路地の奥ひっそり生きている民話 |
村上氷筆 |
佳 |
右脳の奥で疼いている昨日 |
長島敏子 |
佳 |
登りたい峰のひとつに君がある |
黒嶋海童 |
人 |
逢いたくて胸の奥まで透ける秋 |
山中忠 |
地 |
森の奥もののけ姫はもう居ない |
赤井花城 |
天 |
その奥に母をみたのか彼岸花 |
竹信与志夫 |
軸 |
いつからか胸奥に棲む赤い虫 |
小山紀乃 |
兼題 「黒」 村上氷筆 選
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泣き黒子一つ母から貰い受け |
赤井花城 |
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黒猫を抱かせた女夢二の絵 |
吉野瑛二 |
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黒ルック流行れば赤と天の邪鬼 |
みぎわはな |
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まっ白い鳩にカラスはあこがれる |
上村さな恵 |
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黒い服そばやで待機葬の列 |
小西慶子 |
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喪中の女つつましく住み秋深む |
仲田秀子 |
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黒板に別れの一行こころから |
小西慶子 |
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ドラマ詰め過ぎて真っ黒になった |
小山紀乃 |
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自尊心ぎっしり漆黒のピアノ |
山本ひさゑ |
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たとうしのすみには黒いなみだ跡 |
杉山清流 |
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白黒をはっきりさせる酒がある |
泉比呂史 |
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白黒を問えぬはざまにある聖書 |
山本ひさゑ |
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筋書きは要らない午後の黒帽子 |
沼尾美智子 |
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黒似合う女と一日だけの旅 |
長島敏子 |
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喪にせめて少し明るい黒を着る |
赤井花城 |
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喪服脱ぐ明日から寡婦にあるいくさ |
山本ひさゑ |
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ブラジャーも黒どんな顔をするかしら |
中岡千代美 |
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黒ばらの素性だれにも分からない |
沼尾美智子 |
ラ |
眼裏で亡母の黒子がよく笑う |
古谷日出夫 |
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黒い傘たたまれひまわりが枯れる |
御影静 |
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墨染めの衣に包む燃えた過去 |
仲田秀子 |
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返り討ちの主役は黒子だと思う |
青木公輔 |
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黒百合はわたしの影を包み込む |
中本三桂 |
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着こなした黒の行く方を追うめがね |
沼尾美智子 |
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生煮えの平和へ黒い噂など |
青木公輔 |
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斎場の駅が吐き出す黒の列 |
福島直球 |
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暗闇の奥が恐くて踏みだせず |
椙元世津 |
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義理ひとつ果たす暑い日の喪服 |
松井恵夢 |
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黒枠の父に偽善を見抜かれる |
柿木英一 |
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失恋を乗り越え黒がよく似合う |
島田握夢 |
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黒と白正義に地球まっぷたつ |
萩原皐月 |
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難民の黒い瞳に罪はない |
萩原皐月 |
佳 |
墨磨っている間に言葉決めている |
椙元世津 |
佳 |
黒幕の操り糸にある偽証 |
長野峰明 |
佳 |
色重ねすぎて自画像黒くなる |
黒嶋海童 |
佳 |
黒豆がふっくら煮える倖せ度 |
みぎわはな |
佳 |
装いを黒でまとめてみる或る日 |
赤井花城 |
人 |
黒揚羽多情なる日は美しい |
中本三桂 |
地 |
ち切れ雲遠くへ心の喪服脱ぐ |
古谷日出夫 |
天 |
喪が明けてためらいがちに黒を脱ぐ |
小山紀乃 |
軸 |
茶番ではすまぬ狂牛病の黒 |
村上氷筆 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
吉川 千穂 |
山田 蔦路 |
長野 峰明 |
斎藤 功 |
村上 氷筆 |
沼尾美智子 |
山中 忠 |
坂本須磨代 |
中西 保子 |
黒嶋 海童 |
近藤 嘉宏 |
長島 敏子 |
上村さな恵 |
井元 照夫 |
仲田 秀子 |
尾畑 晴代 |
村上 静子 |
樋口 祐子 |
杉山 清流 |
増田左代子 |
竹信与志夫 |
萩原 皐月 |
御影 静 |
近藤 敦子 |
前川千津子 |
椙元 世津 |
みぎわはな |
吉田 幸太 |
中岡千代美 |
柿木 英一 |
小西 慶子 |
古谷日出夫 |
大橋 克己 |
荒垣 秋野 |
小島 知無 |
藤川 芳醇 |
島田 握夢 |
福島 直球 |
坂下 安伸 |
里 嘉矩 |
松井 恵夢 |
小山 紀乃 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
泉 比呂史 |
山本ひさゑ |
吉野 瑛二 |
中本 三桂 |
青木 公輔 |
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