平成13年7月29日
神戸市勤労会館
今回のお題目(クリックするとそのテーマの川柳が表示されます)
(ラはラッキー賞)
特別席題 「裸」 神田巳珠 選
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聖域ではありません裸婦像の森は |
柿木英一 |
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裸など見せぬ女の城がある |
黒嶋海童 |
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湯上がりの子を追いかける天花紛 |
古谷日出夫 |
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露座仏の裸よこ目に蝶乱舞 |
上村さな恵 |
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揺れる身の愛を裸にしてうずく |
花田俊枝 |
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雨雲だ裸で待っている甲板 |
坂本須磨代 |
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人間の悩みを知らぬ裸の子 |
吉川千穂 |
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最後の手段裸になってぶち当たれ |
坂本須磨代 |
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かいま見たとてま眩しい娘の裸 |
仲田秀子 |
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試着室そこまで脱いだニューモード |
大橋克己 |
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裸の大将傘一本の旅を行く |
長野峰明 |
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裸婦像に我が身をおいて考える |
小西慶子 |
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裸木に春を約束した夜風 |
長島敏子 |
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文月曼陀羅今は亡き児の水遊び |
上村さな恵 |
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観たくない裸が三人程並ぶ |
青木公輔 |
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裸婦像の前少年の瞳はおとな |
仲田秀子 |
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一糸なし腹の底から眺め合う |
小島知無 |
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裸でも良いと貴男の良い返事 |
松井恵夢 |
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竹馬とは良いもの裸で飲むビール |
松井恵夢 |
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赤ちゃんの裸あずかるバスタオル |
泉比呂史 |
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ロッカーの鍵だけ腕につけ裸 |
福島直球 |
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砂浜ではだかの本音ひびきあう |
中西保子 |
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露天風呂男同士で語る夢 |
長島敏子 |
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稲妻が妻の裸をうつしてる |
杉山清流 |
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三段腹裸になると出る仕掛け |
近藤嘉宏 |
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脱がされてアラ恥ずかしの春のマネキン |
柿木英一 |
ラ |
素裸で付き合う友と目の阿吽 |
井元照夫 |
佳 |
タオル貸してシャワーへ電話鳴っている |
大橋克己 |
佳 |
大胆に姫を脱がせる菊師の手 |
古谷日出夫 |
佳 |
裸婦モデル大胆に描く夏の画布 |
御影静 |
佳 |
裸足並べ足湯のにわか連 |
近藤嘉宏 |
佳 |
オーイ.ハーイと子をリレーした入浴タイム |
近藤敦子 |
人 |
野暮なこと小便小僧にパンツつけ |
長野峰明 |
地 |
クラシック裸で聴くのやめてほし |
前川千津子 |
天 |
真っ白な素肌を眺め眩暈する |
井元照夫 |
軸 |
露天風呂裸の会話花が咲き |
神田巳珠 |
兼題 「夏バテ」 村上静子 選
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夏バテも吹っ飛ぶ君の貌を見て |
村上氷筆 |
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ああ暑い暑い暑いで二キロやせ |
水田象介 |
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夏ばての喉へお茶漬流し込み |
福島直球 |
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夏バテを知らぬ女の皮下脂肪 |
長島敏子 |
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夏バテに負けじと熱いうどん食う |
尾畑晴代 |
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ライバル翔ぶ夏バテなどはしておれぬ |
山本ひさゑ |
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夏ばてと怠け心を言い替える |
斉藤功 |
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夏ばてとは無縁故郷の星空 |
近藤敦子 |
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暑中見舞に夏ばて注意書いておく |
尾畑晴代 |
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夏ばてで私も財布も疲れ気味 |
松井恵夢 |
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飼い主に似て大の字に犬もバテ |
みぎわはな |
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荒療治汗たっぷりのなべ料理 |
沼尾美智子 |
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水槽のうなぎもバテている暑さ |
村上氷筆 |
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夏バテに祖母のメニューが顔を出し |
上月智恵子 |
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夏ばてを言わぬ男のループタイ |
吉野瑛二 |
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恋も順調夏ばて知らぬ娘はデート |
仲田秀子 |
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あの手この手で夏ばてを吹っ飛ばす |
小山紀乃 |
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去年よりこたえています夏疲れ |
萩原皐月 |
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夏ばてを知らぬ男の髭が伸び |
吉野瑛二 |
ラ |
夏ばての犬もだらりと長い舌 |
椙元世津 |
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夏ばての墓にたっぷり水飲ます |
上村さな恵 |
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夏バテに口数減った妻でよい |
井元照夫 |
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夏ばてなんぞ知ったことかよ阿波踊り |
長野峰明 |
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夏ばてを知らない顔に口説かれる |
黒嶋海童 |
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夏ばてを乗り切るための生ビール |
長島敏子 |
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夏ばてに母は梅干し欠かさない |
柿木英一 |
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夏ばては他人の事かと大に寝る |
坂下安伸 |
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ばて気味の夏を頑張る父の背 |
古谷日出夫 |
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よく食べてよく寝夏バテなど無縁 |
村上氷筆 |
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夏ばてを知らぬ金魚に癒される |
赤井花城 |
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夏バテをするヒマもない古希の恋 |
小島知無 |
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夏バテ防止シャワーの後の缶ビール |
萩原皐月 |
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夏ばての胃につるりんとところてん |
近藤敦子 |
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汗流し夏バテ防ぐ山歩き |
小島知無 |
人 |
A、B、Cビタミン揃え夏を討つ |
沼尾美智子 |
地 |
夏ばての老いにやさしい猫そい寝 |
仲田秀子 |
天 |
夏ばて予防そんな台詞が栓を抜く |
長野峰明 |
軸 |
好物の寿司夏ばての妻へ買い |
村上静子 |
兼題 「ランナー」 斎藤功 選
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女子マラソンの先頭に立つサングラス |
伊佐次無成 |
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初ランナー淋しい背なを覚悟する |
吉田幸太 |
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追い越さぬとこにかけ引きあるらしい |
椙元世津 |
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ランナーを励ますように坂がある |
泉比呂史 |
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先頭のランナー二番手気にかかり |
村上静子 |
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ランナーを追う父さんのカメラアイ |
大橋克己 |
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森抜けた少年風を読むランナー |
御影静 |
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走らなくなっても待っているシューズ |
赤井花城 |
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ビリ走る我が子へのどもさける程 |
松井恵夢 |
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ポイ捨てのランナー見送る竹箒 |
神田巳珠 |
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追いつけぬ影走っても走っても |
長島敏子 |
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競うこと好きでランナーの土踏まず |
小西慶子 |
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ランナーの父は昭和を駆け抜けて |
沼尾美智子 |
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伴走者まだみつからぬ子のレース |
近藤敦子 |
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乗り継ぎのホームを走るひとり旅 |
小西慶子 |
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人間のかたちの汗をだすランナー |
吉川千穂 |
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ひと駅をランナーになり通勤路 |
小山紀乃 |
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スタートラインみなライバルの顔に見え |
松井恵夢 |
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ランナーゼッケン目立つ彩がよい |
前川千津子 |
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行き先はトップランナーが知っている |
近藤嘉宏 |
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聖火リレーの聖火灯した車椅子 |
柿木英一 |
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ランナーになれず飲みもの用意する |
沼尾美智子 |
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家族負い父は坂道ひた走る |
みぎわはな |
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折り返し点これから風が味方する |
村上氷筆 |
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定年へ走り続けた父の背な |
吉野瑛二 |
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駅伝の走者に譬え社長継ぐ |
福島直球 |
ラ |
ランナーが消えたトイレを探してる |
水田象介 |
佳 |
盗塁がうまく社内の目が白い |
坂下安伸 |
佳 |
気がぬけぬ小さいランナー入試まで |
仲田秀子 |
佳 |
親の責め負うてランナー坂のぼる |
長野峰明 |
佳 |
甘いささやきふとランナーが振り返る |
青木公輔 |
佳 |
ランナーをはげます亡母か夏の蝶 |
仲田秀子 |
人 |
ランナーへ再起背を押す母がいる |
上村さな恵 |
地 |
長距離のランナー真似る古希の恋 |
小島知無 |
天 |
ランナーの胸で揺れてる守り札 |
長島敏子 |
軸 |
昼寝した兎はすごいランナーだ |
斎藤功 |
兼題 「無理」 柿木英一 選
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善人に化けても無理でボロを出す |
中本三桂 |
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曲折もあったがちさな無理通る |
吉野瑛二 |
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正義感だけで無理した青春期 |
上村さな恵 |
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無理だとは思う柳へ跳んでみる |
黒嶋海童 |
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受け流すことも覚えて無理をせず |
仲田秀子 |
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無理をせぬようにと無理な仕事くれ |
福島直球 |
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来年も明石の花火あるやろか |
水田象介 |
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無理だとは言えず財布を確かめる |
沼尾美智子 |
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あの笑顔どこかに少し無理がある |
みぎわはな |
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孫の無理何時も聞くのはおばあさん |
尾畑晴代 |
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無理しても寺のお布施は弾んどく |
上村さな恵 |
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無理遣りに袋へ詰めるプチトマト |
神田巳珠 |
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医者の子は無理を承知で受験する |
山田蔦路 |
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一汁一菜傘寿の骨は無理をせず |
村上氷筆 |
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欲しいのは無理に挑戦する気力 |
近藤嘉宏 |
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勝つための無理がじわりと責めてくる |
御影静 |
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子の夢に少し無理するパスポート |
沼尾美智子 |
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無理無理と白い色紙に怯じ気づく |
椙元世津 |
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誰あれにも解けぬ恋の方程式 |
長島敏子 |
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高根の花をそっと摘み取るのも勇気 |
青木公輔 |
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婚約はきっちり無理を押しのける |
山田蔦路 |
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引け目から断り切れぬ妻の無理 |
水田象介 |
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鏡に聞くキャミソールは無理ですか |
中西保子 |
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無理させた妻へ詫びてる胸の裡 |
黒嶋海童 |
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無理してる背中互いに見ないふり |
みぎわはな |
ラ |
美人ではないからかなり無理をする |
小西慶子 |
|
病母の無理サイゴの孝行だと思う |
中西保子 |
佳 |
美しい無理を通され火がつかぬ |
花田俊枝 |
佳 |
ハードルの高さ見上げたまま昏れる |
小山紀乃 |
佳 |
病人に無理でも食べてほしい粥 |
泉比呂史 |
佳 |
紫の袱紗に無理を包みこむ |
上村さな恵 |
佳 |
無理をした大風呂敷がたためない |
井元照夫 |
人 |
無理な約束並べたててる選挙カー |
近藤敦子 |
地 |
一枚のハガキに無理な蜃気楼 |
杉山清流 |
天 |
バラ一本では私は動かない |
樋口祐子 |
軸 |
逃げた風船そんな余生はないだろか |
柿木英一 |
兼題 「疼く」 坂本須磨代 選
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子の頬を叱って打った掌が疼く |
黒嶋海童 |
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内攻外患歯痛に耐える熱帯夜 |
大橋克己 |
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まだ弾丸の残る右腕疼く夏 |
仲田秀子 |
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昭和史を手繰れば疼く背の傷 |
古谷日出夫 |
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天ぷらをするたび疼く火傷あと |
福島直球 |
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くちびるの甘さ疼きを曳きずって |
山本ひさゑ |
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蝉時雨もつれた糸がまだ解けぬ |
上月智恵子 |
ラ |
明石市が疼くひと夜の花火あと |
沼尾美智子 |
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遠い日の海ほうずきに疼くもの |
上村さな恵 |
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歳月や癒ゆることなきひとつの負 |
吉野瑛二 |
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青春の日記疼きのここかしこ |
萩原皐月 |
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指切りの指がそれから疼き出す |
みぎわはな |
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抱かれてる時はうずかぬ古希の恋 |
小島知無 |
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裏切った小指が今も疼いてる |
仲田秀子 |
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疼くもの持つ盃が重くなる |
泉比呂史 |
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アルバムを繰る手ふとやむ過去の疵 |
村上氷筆 |
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糸底の疼きを誰も気がつかぬ |
萩原皐月 |
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歓談に遮断機降ろす歯の疼き |
村上氷筆 |
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酒を飲む心の疼きまだとれず |
前川千津子 |
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改革のアキレス腱が疼きだす |
柿木英一 |
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疼くあご抱える歯科の椅子が混み |
古谷日出夫 |
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背信の疼きを映す鏡閉じ |
みぎわはな |
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子等ばかり受難が続く身の疼き |
赤井花城 |
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プチトマト愛の疼きはまだ知らぬ |
上村さな恵 |
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噛られた脛今頃になり疼く |
神田巳珠 |
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かごの花届き仮病が疼きだす |
沼尾美智子 |
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大陸に残した吾子に疼く胸 |
仲田秀子 |
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セピア色の写真にいまだ疼くもの |
村上氷筆 |
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珈琲飲む心の疼き消えそうで |
前川千津子 |
佳 |
疼くしっぽを置いて頭は逃げのびる |
長野峰明 |
佳 |
疼く足つまらん顔を見せにくる |
山田蔦路 |
佳 |
すぐそばに貴方が居れば疼かない |
水田象介 |
佳 |
弁解の裏の疼きにいま気付く |
小山紀乃 |
佳 |
過去のひとだけど出逢えば疼きだす |
村上静子 |
人 |
震災を思うと疼く友の死よ |
前川千津子 |
地 |
じーんじーんと疼いてますと言う地球 |
柿木英一 |
天 |
歯医者の歯が疼きだし休診に |
水田象介 |
軸 |
疼く足にリハビリいじめしています |
坂本須磨代 |
【出席者】 (順不同・敬称略) |
吉川 千穂 |
神田 巳珠 |
坂本須磨代 |
黒嶋 海童 |
松井 恵夢 |
中西 保子 |
沼尾美智子 |
長野 峰明 |
杉山 清流 |
青木 公輔 |
樋口 祐子 |
上村さな恵 |
水田 象介 |
井元 照夫 |
仲田 秀子 |
尾畑 晴代 |
斎藤 功 |
前川千津子 |
近藤 嘉宏 |
近藤 敦子 |
荒垣 秋野 |
長島 敏子 |
大橋 克己 |
小島 知無 |
柿木 英一 |
花田 俊枝 |
吉田 幸太 |
みぎわはな |
古谷日出夫 |
萩原 皐月 |
御影 静 |
山田 蔦路 |
小西 慶子 |
伊佐次無成 |
村上 静子 |
椙元 世津 |
福島 直球 |
泉 比呂史 |
赤井 花城 |
【投 句】 |
上月智恵子 |
山本ひさゑ |
村上 氷筆 |
小山 紀乃 |
中本 三桂 |
吉野 瑛二 |
坂下 安伸 |
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